沖縄県浦添市が今年6月、市内に開業したホテルをPRするため、動画投稿アプリ「TikTok」に「市長が美女とホテルへ」と字幕がついた動画を投稿し、女性蔑視(べっし)やセクハラに当たるとの指摘が市民らからあったとして、松本哲治市長(55)は22日、記者会見し「不快に感じた視聴者や市民に深くおわび申し上げる」と陳謝した。
問題となったのは、「TikTok市長」というアカウント名で投稿された53秒の動画。冒頭で「市長が美女とホテルへ」と字幕があり、終盤では松本市長がプールサイドで女性従業員に「君も一緒にプールに入らない?」と誘う内容。松本氏は「観光という視点も含め、なんとかPRしなきゃという焦りが勇み足になってしまった。今後は地道な活動に徹していきたい」と釈明。
市は「観光誘致や市のPRのため」だとして、2022年10月から今年6月まで、25本の動画を投稿。公式アカウントのフォロワーは19万人(22日現在)。外部のクリエイターが書いた台本に、市長や職員が意見を出して制作した。全期間を通して、クリエイターには240万円が支払われていたという。他の動画にも指摘があり、「不適切なものかどうか検討しなければならない」と話した。
松本市長は13年に初当選し、3期目。市は21年10月、性の多様性に関する条例を施行しており、「ジェンダーや性の考え方について一生懸命に取り組んできたつもりだったが、痛恨の極み」と述べた。自身のジェンダーやハラスメントの意識について問われると「動画を見てギリギリOKだと思っていた私自身の感覚をもう一度、専門家のご意見を聴取しながら反省しなければならない」。現在投稿されている動画については、専門家などと相談して対応を検討するとした。
10月28、29日には同市内で全国から人気のTikTokクリエイターが参加する「TikTok Creative Festival on Tour」が開催される予定となっている。松本市長は同イベントの誘致がTikTok配信を始めた「最終的な目的の一つだった」と触れ、「(イベント開催を)継続したいと思っているが、先方のご意見も聞き、協議していければ」と話した。
◆動画の内容 「沖縄のリゾートホテルで浦添市長が若い女性と密会していると通報が入った。市長はもちろん妻子持ち。今回ばかりは本当にまずい。止めなくては」というナレーションの後、女性と部屋に入った市長を直撃すると「浦添市に新しくできたホテルを紹介してもらってたんだよ」と返答。この女性もホテルを案内してくれるスタッフだと説明する。最後に市長は「せっかくなら君も一緒にプールに入らない?」と女性を誘うが、そっけなく断られる。