地元をホームタウンとするサッカーJ1湘南ベルマーレを応援するため、神奈川県小田原市と市議会が職員と議員にチームのユニホームを着用して市議会本会議に出席するよう求めたことが波紋を広げている。特定チームの応援の強要に当たると一部議員が反発したことで着用は“任意”となったが、最終的に職員は全員が着用。市関係者からは「実質的な強制でパワーハラスメント」との声が聞かれる。
市の予算案を巡り、一部の市議から修正案が提出されるなど“熱戦”が繰り広げられた15日の市議会本会議場。守屋輝彦市長ら市幹部37人全員が緑色のユニホームに身を包んだ一方、27人いる市議は5人が私服姿で、傍聴席の女性は「真剣な議論をしているのに格好がチャラチャラしている」と首をかしげていた。
今シーズンでJリーグ加盟30周年を迎えるベルマーレが市にPRの協力を依頼。市は大阪府吹田市議会でガンバ大阪のユニホームを着用した前例を参考に、今年8月、議会側にユニホーム着用への協力を求めた。
しかし、一部の議員が「内心の自由の侵害。懲罰覚悟で着用は断固拒否」「多様な意見があるべき議会でベルマーレ応援一色になるのはおかしい」と反発。私服で本会議に臨んだ議員は「軽い気持ちで応援を求める市と議会の意識の低さにあきれた」と憤る。
市は市職員も含めて任意着用へと方針転換したが、市関係者の1人は「任意と言われても市長の方針に逆らえるわけがない」と明かし、「他のチームを応援する立場からは屈辱的」と声を潜めた。