野鳥が釣り糸に絡まったり、釣り針をのみ込んだりするケースが相次いでいるとして、保護団体が釣り人にマナー向上を訴えている。
耐久性が高い釣り糸はプラスチックごみの中でも自然界で分解されにくく、アウトドアブームで釣り人気が高まる中、使い終わった釣り具は持ち帰るよう呼び掛けている。
野鳥の保護活動などに取り組む日本鳥類保護連盟は、昭和56年から海岸などに残された釣り糸などを拾う活動を実施。東京湾に面した葛西海浜公園(東京都江戸川区)の西なぎさで今年5月21日に回収した釣り糸は、合わせると長さ1261メートルに及んだ。実際に釣り糸が脚と木の枝に絡まって命を落としたハクセキレイの姿もあったという。
ナイロンなどを素材とする釣り糸は耐久性が高く、米海洋大気局(NOAA)は、自然界で分解されるまでに要する時間がレジ袋は1~20年なのに対し、釣り糸は600年と推定。海洋ごみの中でも特に長いという。
同連盟の吉田裕樹さんは「釣り糸がいったん鳥の脚に絡まるとどんどん締まり、その部分が壊死してしまう」と話す。また、釣り針をのみ込んで死ぬケースもある。釣り糸は見えにくいため海岸の清掃活動でも見過ごされることが多いといい、釣りを楽しんだ後は釣り針や釣り糸を持ち帰るよう呼び掛けている。