徳島市の阿波おどりで設置されたプレミアム桟敷席が違法状態で運営されていた問題で、桟敷席に観客を入れる判断をしたのは、主催する「阿波おどり未来へつなぐ実行委員会」トップを務める市OBの弘田昌紀委員長代行(市文化振興公社理事長)だったことがわかった。
他の委員には一連の対応が報告されていなかったことも判明した。
実行委が4日、同市内で開いた定例会合で説明した。会合には、踊り手や地元経済団体の代表ら28人の委員のうち23人が参加。弘田氏は違法桟敷席について、「関係するみなさまに深くお詫(わ)び申し上げる」と陳謝した。
1人20万円のプレミアム桟敷席は、レジャー予約サイト運営会社「アソビュー」(東京)の提案を受け、今年初めて8月12~14日に開設。実行委によると、市建築指導課から階段の幅が足りないなどと指摘され、建築基準法に適合していることを示す検査済証を交付されなかったが、警備スタッフの増員などで対応することにし、弘田氏の判断で桟敷席に客を入れたという。
実行委は委員長が空席になっており、弘田氏がトップを務める。会合では、出席した委員から「実行委(の委員)に判断を仰ぐことも必要だったのではないか」との指摘が上がった。
弘田氏は終了後、取材に「検査済証がなければ違法建築になるという認識がなかった」と釈明。責任の取り方については「自分なりに考えている」と述べた。
■災害想定時の中止手引策定へ
阿波おどりを主催する実行委員会の弘田昌紀委員長代行は4日、取材に対し、災害が想定される際に中止の判断をするためのマニュアルを策定する方針を明らかにした。台風7号が接近していた8月14日、徳島市の中止要請を受け入れず、暴風警報が発表される中で開催したことに批判が上がったためで、「公演をストップできる体制を市と協議したい」と述べた。