不祥事の発覚が相次ぐ中古車販売大手ビッグモーター(東京)が全従業員に対し、秘密保持に関する誓約書の提出を求めていることが5日、関係者への取材で分かった。社内の情報が報道されるのを防ぐためとして、電子メールなどの監視にも同意を求めている。社内からは「社員への締め付けだ」との声が上がる。
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関係者によると、誓約書は業務で知り得た情報を外部に漏らさないことや、業務用のパソコンや電子メールの調査・モニタリング(監視)に同意を求める内容。違反者には懲戒処分や損害賠償請求をするとし、社員だけでなくアルバイトにも署名を求めているという。
誓約書への署名を呼びかける内部文書では、社内の情報が報道されている現状を「当社に対する社会からの評価が必要以上に低下してしまうという状況」と記述。報道機関の取材に応じれば「当社への深刻なダメージとなる」と強調した。
同社は西日本新聞の取材に「(誓約書は)広報部門を設置し、取材対応を一本化することになったため」と説明するが、ある従業員は「経営陣は変わっても社員を締め付ける体質は変わっていない」と話す。
公益通報制度に詳しい中村雅人弁護士(東京)は「監督官庁や報道機関への不正の通報は公益性がある行為。同社の一連の問題は社内でいくら不正を指摘しても是正されなかった経緯がある。誓約書を書かせるよりも社内の内部通報体制の整備が先ではないか」と指摘した。
(古川大二)