男性従業員が飼育舎の乳牛を蹴ったり殴ったりするような様子が映った動画が拡散した問題で、騒動の現場となった大田原農場が2023年7月4日、男性を懲戒解雇処分にしたと発表した。
男性と農場は3日、動物愛護管理法違反で書類送検されていた。
問題視された動画は少なくとも2つあった。
1つの動画では、帽子を被り白い長靴を履いた作業着の男性が、牛の鼻などに着けたロープを引っ張りながら、まず右足で牛の顔を蹴った。さらに、ロープを飼育舎の柱に引っかけて、牛の顔を引くと、首を右足で蹴り上げた。蹴りは、4回も繰り返している。
もう1つの動画では、男性が牛のロープを引っ張りながら、牛のアゴを右手で叩く。また、顔を指でいじるような動きをして、牛が暴れていた。すると、男性は、牛の首に右手でパンチを浴びせる。今度は、右足で首を蹴り上げ、さらに顔も蹴っていた。
TikTokで牛に対する虐待行為が批判を浴びると、ツイッターでも2023年6月10日に取り上げられ、拡散された。J-CASTニュースなどが騒動を報じると、農場は14日に公式サイトで事実を認め謝罪した。動画は従業員が自撮りしたものだという。
その後、送検翌日の7月3日、農場は改めて公式サイトで謝罪し、一連の経緯を説明した。
農場は「指導不足・監督不行き届きについて責任を痛感しております」として、従業員を6月29日付で懲戒解雇処分としたことを明かした。
対応に時間がかかった理由については、こう説明している。
牛に対する虐待行為を行った理由について、男性は被害にあった牛に蹴られ、それに対して腹を立てて行ってしまった。
「会社には不満はなく、このような大きな話題になるとは考えていなかった」と説明したという。「そのような動機は理解しがたく、またいかなる理由があろうともこのような卑劣な行為は断固として許すことができません」と厳しく断じた。
なお、聴き取り調査等を行った結果「本件以外に牛に対する虐待行為は認められなかった」という。
また、動画に映った他の従業員が見て見ぬふりをしていたのではないかとする指摘には、「実際の作業位置から本件が起きた方向を見ても、搾乳する牛やその乳房により視界が遮られており、暴行行為を視認できる状況にないこと、また機械の動作音等もあることから、状況を窺い知ることは困難であった」と説明。警察の捜査や保健所の調査でも確認されたという。
被害にあった牛については、健康上の問題はなく元気に過ごしているとした。