富山県滑川(なめりかわ)市の市立中学教諭だった40代男性がくも膜下出血を発症して死亡したのは、市側が勤務時間を適切に管理しなかったためとして、遺族が県と市に約1億円の損害賠償を求めた訴訟の判決が5日、富山地裁であった。松井洋裁判長は、男性の負担軽減策を講じなかった学校側の安全配慮義務違反を認め、県と市に約8300万円の支払いを命じた。
教員過労死、市側に8300万円賠償命令 53日間で休み1日 「夫には(過重労働を)止められなくてごめんねと伝えたい。もう二度と私たちのようなつらい思いをする家族を生まないでほしい」。男性の妻は判決後の記者会見で、時折声を詰まらせながら訴えた。

男性は「ずっと現場で教えたい」と話すほど熱心な教員だった。だが、週末は部活動の指導で潰れ、たまに家にいる時も疲れて寝ていたという。 裁判では部活動の指導が労働時間と認められるかどうかが争点となり、判決はこれを肯定した。妻は「家族の時間を犠牲にして働いたことが仕事だと認められてうれしい」と安堵(あんど)する表情を見せた。今回の判決を通じ、教員の長時間労働の改善につながってほしいと願っていた。現場の教員に対し「今一度、自分の働き方に疑問を持ってほしい。それは命を削ってまでやらなければいけない仕事なんでしょうか」と呼び掛けた。 遺族側代理人の松丸正弁護士(大阪弁護士会)によると、教員の過重労働を巡り行政の賠償責任を追及する訴訟は少ないという。松丸弁護士は「長時間労働の問題を抜本的に解決するため、この判決を教育界全体で重く受け止めるべきだ」と話した。【鈴木拓也】
「夫には(過重労働を)止められなくてごめんねと伝えたい。もう二度と私たちのようなつらい思いをする家族を生まないでほしい」。男性の妻は判決後の記者会見で、時折声を詰まらせながら訴えた。
男性は「ずっと現場で教えたい」と話すほど熱心な教員だった。だが、週末は部活動の指導で潰れ、たまに家にいる時も疲れて寝ていたという。
裁判では部活動の指導が労働時間と認められるかどうかが争点となり、判決はこれを肯定した。妻は「家族の時間を犠牲にして働いたことが仕事だと認められてうれしい」と安堵(あんど)する表情を見せた。今回の判決を通じ、教員の長時間労働の改善につながってほしいと願っていた。現場の教員に対し「今一度、自分の働き方に疑問を持ってほしい。それは命を削ってまでやらなければいけない仕事なんでしょうか」と呼び掛けた。
遺族側代理人の松丸正弁護士(大阪弁護士会)によると、教員の過重労働を巡り行政の賠償責任を追及する訴訟は少ないという。松丸弁護士は「長時間労働の問題を抜本的に解決するため、この判決を教育界全体で重く受け止めるべきだ」と話した。【鈴木拓也】