公立病院の3割で、看護師の離職率が昨年度はコロナ禍前より上昇していたとの調査結果を、全国自治体病院協議会がまとめた。
3年余りに及ぶ新型コロナ対応による疲労の蓄積の影響がみられ、離職者増に伴って病棟を閉鎖せざるをえなくなった病院もあるという。
調査は全国の858公立病院を対象に、今年2~3月に実施。昨年度の看護師の離職状況については、173病院から回答を得た。
回答した病院の31%(54病院)が、離職率がコロナ禍前の通常の年より「増加した」と答えた。「変わらない」は62%(108病院)、「減少した」は6%(11病院)だった。離職が増えた病院の4割(24病院)が「新型コロナへの対応が影響している」と答えている。
同協議会によると、コロナ禍以前の看護師の年間離職率は1桁台にとどまることが多かったが、昨年度は10%を超える病院もあった。看護師からは「身も心もぼろぼろで、しばらく休みたい」などの声が寄せられているという。
離職者が出た分を補充するための新規採用も思うように進まず、看護師不足で一部の病棟を閉鎖している病院もある。
同協議会の小熊豊会長(北海道・砂川市立病院名誉院長)は「コロナ患者の受け入れは、公立病院が担う部分が大きく、流行初期から現場は頑張ってきた。心身ともに疲労が蓄積した看護師には休養をとってもらい、回復して元気になったら、また現場に復帰してもらいたい」と話している。