栃木県日光市の元ゴルフ場で昨年1月、スーツケースなどに入った成人男性の切断遺体が見つかった死体遺棄事件で、同じ男性の両下肢部分が市内の空き家で新たに発見されたことが3日、捜査関係者への取材で分かった。
空き家には詐欺グループが出入りしていた疑いがあり、県警は詐欺罪で先月起訴された無職の男(55)が何らかの事情を知っている可能性もあるとみて調べる方針。
切断遺体は昨年1月19日、日光市長畑の元ゴルフ場で見つかった。スーツケースに胴体が、近くに落ちていたスポーツバッグに腰から膝上までが入っており、付近にはビニール袋に入った頭部や両腕もあった。のこぎりなど複数の刃物も見つかったが、両下肢だけは未発見となっていた。
捜査関係者によると、別の事件の捜査の過程で空き家の存在が浮上し、立ち入った捜査員が今年2月頃、両下肢を発見。DNA型を調べたところ、元ゴルフ場の切断遺体と一致した。
空き家は元ゴルフ場の北東約6キロ・メートル、JR下野大沢駅から数百メートル西の住宅街にある平屋。空き家からは複数人の指紋が検出され、このうちの1人が5月に社会福祉協議会の貸付金を不正受給したとして逮捕、起訴された無職の男だった。空き家では血液反応は確認されず、遺体は別の場所で切断された可能性もある。
司法解剖などの結果、遺体は40~70歳前後で血液型はA型、身長1メートル60~70程度と推定された。死因は特定できなかったが、顔の左側に骨折した痕跡があったほか、あごには切り傷が確認された。遺体から2種類のDNA型が検出され、県警は骨髄移植を受けた可能性があるとみている。捜査関係者によると、国内の骨髄移植データで一致するものは確認されていないという。