19日に開幕したG7広島サミット(先進7か国首脳会議)では、ウクライナのゼレンスキー大統領の訪日が明らかになるなど初日から話題が豊富だ。その一方、サミット開催による規制を知らずに広島入りした外国人観光客たちが困惑する姿も――。
ウクライナ侵攻を続けるロシアへの協調制裁を行うG7首脳が、厳戒態勢の広島に集結。史上初めてそろって平和記念公園内にある原爆慰霊碑に献花し、1945年8月6日に広島に投下された原爆の恐ろしさの再認識と「核兵器のない世界」への機運を醸成した。
また、ビッグニュースも飛び込んできた。当初、サミット最終日の21日にオンライン参加すると発表されていたゼレンスキー大統領が、対面で出席するため訪日することが判明。ますます今回の広島サミットに世界中の注目が集まっている。
だが、厳重警戒によって、外国人観光客の混乱も見られた。 まずは19日朝の広島空港だ。8時20分に羽田空港からのJAL便で到着した外国人観光客の中には、広島市内に出るリムジンバスが規制で運休なのを知らない人も…。空港スタッフが最寄りのJRの駅までバスが出ていることを説明するが、なかなかニュアンスが伝わらず、困惑して右往左往する姿も見られた。 広島在住の友人に会いに来たという20代ドイツ人男性は「最悪のタイミングで広島に来てしまった。リムジンバスが運休なのは、昨日、航空会社からメールが来て初めて知った。予約の段階で教えてくれないと、どうしようもない」と告知不足を指摘。男性が見つめるサミット期間中の規制を知らせるポスターに躍る「G7広島サミットが終わったら、広島に行ってみよう!」との皮肉すぎるキャッチコピーが何ともやるせない。 路線の長さ日本一を誇る広島電鉄の路面電車も、サミットによる規制の影響があった。19日午前にG7首脳が原爆資料館を訪問するため付近の道路を完全封鎖。結果、運行ダイヤが大幅に乱れ、行き先が急きょ変更になることもあった。広島電鉄関係者は「道路の規制情報がトップシークレットで、直前まで情報が下りてこない。こんなのは初めて」と大混乱の様子だ。 スペインから初めて日本に旅行に来たという60代夫婦は「まさかサミットとかぶってしまうなんてバッドラック。観光できそうなのは広島城(サミット期間中も開館)だけなので行ってみるよ」と、いつ出発するかわからない路面電車を待ち続けた。 観光客の混乱は広島観光随一のスポットである宮島に渡るフェリーターミナル前でも繰り広げられた。日本の観光パンフレットには必ず載っている宮島の厳島神社を目指す外国人観光客たちが、サミットによる規制で島に渡れないことを知らずに来てしまうのだ。 フィリピンから来たという20代男性の2人組は、宮島に渡れないことを知ると「オーマイガー」と天を仰ぎ、「絶対ムリなの?」とガックリ肩を落とした。 JR宮島口駅と広電宮島口駅の前には英語の堪能なスタッフが常駐し、規制を知らずにやってきた外国人観光客たちに悲しすぎる“宣告”をする役目を果たした。ある担当者は「特に朝方はかなりの外国人観光客がいらっしゃって、残念そうに帰っていきました」と胸を痛めた。 すべての人にサミットによる規制を周知徹底するのは難しい。かといって厳戒態勢を緩めることもできず、外国人観光客があおりを食っても仕方がないのかもしれない。
だが、厳重警戒によって、外国人観光客の混乱も見られた。
まずは19日朝の広島空港だ。8時20分に羽田空港からのJAL便で到着した外国人観光客の中には、広島市内に出るリムジンバスが規制で運休なのを知らない人も…。空港スタッフが最寄りのJRの駅までバスが出ていることを説明するが、なかなかニュアンスが伝わらず、困惑して右往左往する姿も見られた。
広島在住の友人に会いに来たという20代ドイツ人男性は「最悪のタイミングで広島に来てしまった。リムジンバスが運休なのは、昨日、航空会社からメールが来て初めて知った。予約の段階で教えてくれないと、どうしようもない」と告知不足を指摘。男性が見つめるサミット期間中の規制を知らせるポスターに躍る「G7広島サミットが終わったら、広島に行ってみよう!」との皮肉すぎるキャッチコピーが何ともやるせない。
路線の長さ日本一を誇る広島電鉄の路面電車も、サミットによる規制の影響があった。19日午前にG7首脳が原爆資料館を訪問するため付近の道路を完全封鎖。結果、運行ダイヤが大幅に乱れ、行き先が急きょ変更になることもあった。広島電鉄関係者は「道路の規制情報がトップシークレットで、直前まで情報が下りてこない。こんなのは初めて」と大混乱の様子だ。
スペインから初めて日本に旅行に来たという60代夫婦は「まさかサミットとかぶってしまうなんてバッドラック。観光できそうなのは広島城(サミット期間中も開館)だけなので行ってみるよ」と、いつ出発するかわからない路面電車を待ち続けた。
観光客の混乱は広島観光随一のスポットである宮島に渡るフェリーターミナル前でも繰り広げられた。日本の観光パンフレットには必ず載っている宮島の厳島神社を目指す外国人観光客たちが、サミットによる規制で島に渡れないことを知らずに来てしまうのだ。
フィリピンから来たという20代男性の2人組は、宮島に渡れないことを知ると「オーマイガー」と天を仰ぎ、「絶対ムリなの?」とガックリ肩を落とした。
JR宮島口駅と広電宮島口駅の前には英語の堪能なスタッフが常駐し、規制を知らずにやってきた外国人観光客たちに悲しすぎる“宣告”をする役目を果たした。ある担当者は「特に朝方はかなりの外国人観光客がいらっしゃって、残念そうに帰っていきました」と胸を痛めた。
すべての人にサミットによる規制を周知徹底するのは難しい。かといって厳戒態勢を緩めることもできず、外国人観光客があおりを食っても仕方がないのかもしれない。