人に好かれるためには失礼を避けたほうがいい。コラムニストの石原壮一郎氏が考察した。
【写真】飲み会がストレスになるのは避けたい * * * 新型コロナの感染症法上の位置付けが、5月8日から季節性インフルエンザと同じ「5類」に移行しました。それがきっかけになったのか、繁華街の人出が明らかに増えています。まだまだコロナ以前と同じではないにせよ、飲食店にもにぎわいが戻ってきました。何年ぶりかで会社の飲み会や友人との会食をしたという人も多いでしょう。

飲み会や会食に付きものなのが、失礼な発言や振る舞い。久しぶりすぎて「当然のマナー」をうっかり忘れているケースもありそうです。「失礼なヤツ」と後ろ指を指されないように、無意識のうちに同行者やお店の人に不快な思いをさせないように、「飲食店でやらかしがちな10の失礼」を挙げてみましょう。いくつ身に覚えがありますか?【飲食店でやらかしがちな10の失礼】(その1)「おい、生中」などぞんざいな言い方で注文したり、「ここ拭いて」など横柄な態度を取ったりする(その2)友人や同僚の行きつけの店で、メニューや味や内装やスタッフの対応に不満を述べる(その3)夜に居酒屋に来たのに飲み物を頼まない&喫茶店やカフェでケーキだけ頼む(その4)聞かれてもいないのにお店の人にあれこれアドバイスする(とくに味付け)(その5)店員にしつこく話しかける(若い女性店員に対しておじさんがやりがち)(その6)大皿料理の具材を個々の取り分を考えず、食べたい分だけ自分の皿に取り分ける(エビチリのエビ、舟盛りの大トロなど)(その7)自分の馴染みの店で、ことさら常連面したり同行者にはわからない話題で店主と盛り上がったりする(その8)店や店員のちょっとした不手際に対して、不機嫌になったり文句を言ったりする(その9)同行者の食べ方について、断定口調で「それはマナー違反」とダメ出しをする(その10)同行者に食べ方のマナーをやんわり指摘されたときに、怒りだしたりムキになって反論したりする それぞれ、どこがどう失礼なのかを簡単に説明しましょう。(その1)のように店員に偉そうにするのは、極めて恥ずかしい行為。部下や後輩と一緒だとしたら、即座に「残念な人」のレッテルを貼られます。(その2)は、連れて来てくれた相手に失礼。こういう無神経なことをしていたら、やがて友達をなくすでしょう。(その3)夜に居酒屋に来たら、お酒を飲みたくない場合でもウーロン茶のひとつぐらいはオーダーするのが、店への礼儀です。喫茶店やカフェの飲み物も同じ。(その4)や(その5)は、店の人はニコニコと相手してくれているかもしれませんが、客という立場に甘えている痛々しい行為です。上司や同僚と行って(その6)のようなことをやったら、「仕事ができないヤツ」と判断されても文句は言えません。(その7)は、当人は得意気な気持ちになっているかもしれませんが、同行者としてはウンザリです。(その8)も、同行者は迷惑なだけ。せっかくのお酒や食事が台無しになるので、多少のことはスルーするか笑ってしまうのが大人な態度です。(その9)のように、他人の行動を気安く「マナー違反」と決めつけることこそが重大なマナー違反。マナーの正解は時と場合によって違うし、定番のお作法だけが「正しい」わけではありません。(その10)も器が小さいというか何というか、大人げなさ丸出しな反応です。「身に覚えがあるかも」という項目が半分以上ある人は、周囲の人に「この人と一緒に飲食店に行きたくないなあ」と、ひそかに思われている可能性が大。ここであげた「10の失礼」が、これから先の心がけと行動を変えるきっかけになれば幸いです。自分が楽しく自由な気持ちを保つため ひとつふたつ「なるほど、やっちゃってたけどこれから気をつけよう」と思った項目がある分には、とくに問題はないでしょう。人間なんてそんなもんです。「なぜこれがダメなのか理解できない」「俺は誰になんと言われようとこうする」という項目が半分以上ある方は、「失礼」という概念を越えた独自の価値観をお持ちなのかも。今後も自分自身しか目に入っていない世界で強気に生きていってください。 飲食店で「お店にも同行者にも失礼のないようにしよう」と思うのは、お酒や食事を心置きなく楽しむためです。けっして自分を窮屈にすることではありません。そのほかの失礼も同じ。他人を傷つけたり不愉快な思いをさせたりしないために気を配るのは、ほかならぬ自分が楽しく自由な気持ちを保つためです。 失礼を制する者はコミュニケーションを制する。何を隠そう、つい先日、世の中のあらゆる分野における「失礼」を考察した本が出ました。タイトルは『失礼な一言』(新潮新書)。著者はお恥ずかしながらというか、失礼ながらというか私(石原壮一郎)です。無意識の失礼を防ぐために、より円滑で深い人間関係を築くために、大いにご活用ください。
* * * 新型コロナの感染症法上の位置付けが、5月8日から季節性インフルエンザと同じ「5類」に移行しました。それがきっかけになったのか、繁華街の人出が明らかに増えています。まだまだコロナ以前と同じではないにせよ、飲食店にもにぎわいが戻ってきました。何年ぶりかで会社の飲み会や友人との会食をしたという人も多いでしょう。
飲み会や会食に付きものなのが、失礼な発言や振る舞い。久しぶりすぎて「当然のマナー」をうっかり忘れているケースもありそうです。「失礼なヤツ」と後ろ指を指されないように、無意識のうちに同行者やお店の人に不快な思いをさせないように、「飲食店でやらかしがちな10の失礼」を挙げてみましょう。いくつ身に覚えがありますか?
【飲食店でやらかしがちな10の失礼】
(その1)「おい、生中」などぞんざいな言い方で注文したり、「ここ拭いて」など横柄な態度を取ったりする
(その2)友人や同僚の行きつけの店で、メニューや味や内装やスタッフの対応に不満を述べる
(その3)夜に居酒屋に来たのに飲み物を頼まない&喫茶店やカフェでケーキだけ頼む
(その4)聞かれてもいないのにお店の人にあれこれアドバイスする(とくに味付け)
(その5)店員にしつこく話しかける(若い女性店員に対しておじさんがやりがち)
(その6)大皿料理の具材を個々の取り分を考えず、食べたい分だけ自分の皿に取り分ける(エビチリのエビ、舟盛りの大トロなど)
(その7)自分の馴染みの店で、ことさら常連面したり同行者にはわからない話題で店主と盛り上がったりする
(その8)店や店員のちょっとした不手際に対して、不機嫌になったり文句を言ったりする
(その9)同行者の食べ方について、断定口調で「それはマナー違反」とダメ出しをする
(その10)同行者に食べ方のマナーをやんわり指摘されたときに、怒りだしたりムキになって反論したりする
それぞれ、どこがどう失礼なのかを簡単に説明しましょう。(その1)のように店員に偉そうにするのは、極めて恥ずかしい行為。部下や後輩と一緒だとしたら、即座に「残念な人」のレッテルを貼られます。(その2)は、連れて来てくれた相手に失礼。こういう無神経なことをしていたら、やがて友達をなくすでしょう。(その3)夜に居酒屋に来たら、お酒を飲みたくない場合でもウーロン茶のひとつぐらいはオーダーするのが、店への礼儀です。喫茶店やカフェの飲み物も同じ。
(その4)や(その5)は、店の人はニコニコと相手してくれているかもしれませんが、客という立場に甘えている痛々しい行為です。上司や同僚と行って(その6)のようなことをやったら、「仕事ができないヤツ」と判断されても文句は言えません。(その7)は、当人は得意気な気持ちになっているかもしれませんが、同行者としてはウンザリです。
(その8)も、同行者は迷惑なだけ。せっかくのお酒や食事が台無しになるので、多少のことはスルーするか笑ってしまうのが大人な態度です。(その9)のように、他人の行動を気安く「マナー違反」と決めつけることこそが重大なマナー違反。マナーの正解は時と場合によって違うし、定番のお作法だけが「正しい」わけではありません。(その10)も器が小さいというか何というか、大人げなさ丸出しな反応です。
「身に覚えがあるかも」という項目が半分以上ある人は、周囲の人に「この人と一緒に飲食店に行きたくないなあ」と、ひそかに思われている可能性が大。ここであげた「10の失礼」が、これから先の心がけと行動を変えるきっかけになれば幸いです。
ひとつふたつ「なるほど、やっちゃってたけどこれから気をつけよう」と思った項目がある分には、とくに問題はないでしょう。人間なんてそんなもんです。「なぜこれがダメなのか理解できない」「俺は誰になんと言われようとこうする」という項目が半分以上ある方は、「失礼」という概念を越えた独自の価値観をお持ちなのかも。今後も自分自身しか目に入っていない世界で強気に生きていってください。
飲食店で「お店にも同行者にも失礼のないようにしよう」と思うのは、お酒や食事を心置きなく楽しむためです。けっして自分を窮屈にすることではありません。そのほかの失礼も同じ。他人を傷つけたり不愉快な思いをさせたりしないために気を配るのは、ほかならぬ自分が楽しく自由な気持ちを保つためです。
失礼を制する者はコミュニケーションを制する。何を隠そう、つい先日、世の中のあらゆる分野における「失礼」を考察した本が出ました。タイトルは『失礼な一言』(新潮新書)。著者はお恥ずかしながらというか、失礼ながらというか私(石原壮一郎)です。無意識の失礼を防ぐために、より円滑で深い人間関係を築くために、大いにご活用ください。