古都・鎌倉にある由緒正しき古寺で、住職の地位をめぐって父と息子が「骨肉の争い」を繰り広げているという。
江ノ島電鉄の腰越(こしごえ)駅から歩いてほど近い『満福寺』は、744年に行基が創建したと伝わる真言宗の名刹だ。歴史好きの間では、源義経が仲違いした兄・頼朝と和解するために鎌倉に向かう途中、この寺に立ち寄り、許しを得るために「腰越状」を書いた場所として知られる。
歴史の風情が残る境内には、弁慶が腰かけたと言われる石もあり、昨年のNHK大河ドラマ『鎌倉殿の13人』の影響もあって、今年のゴールデンウィークには多くの参拝客が訪れた。
しかし、その一方で大トラブルが起きていたのだ。
満福寺の檀家の一人がこう明かす。
「昨年、満福寺の住職はYさんから副住職を務めていた息子のTさんに替わりました。Yさんはもう80歳近くで持病も抱えていますから、それが理由だと思ったのですが、実はクーデターだったんです」
同寺の関係者によると、住職交代にはこんなウラ事情があったという。
「Yさんには寺の職員に対して『セクハラ』や『パワハラ』をしていた疑惑をはじめ、過去に暴力団関係者と付き合いがあった疑いもあったんです。それらなどを理由に昨年4月、寺の責任役員だったTさんらが弁護士を含めて話し合い、責任委員会でYさんを解任する決議をしました。昨年11月には本山の管長からもTさんが住職に任命されていたんです」
ところがこれに父親・Y氏が激怒。今年1月に息子・T氏の住職就任は寺の規則に違反しているため「無効」であり、現在も自分が住職であるとして横浜地裁に仮処分の申立てを行ったのだ。
「父子の言い分は真っ向から対立しています。さらにYさんを解任した際に責任役員だった実姉が『自分の意思で決議に押印していない』といった主張を始めて、事態は混乱しています」(同前)
前出の檀家はこう嘆く。
「すでにTさんは新住職としてお寺は滞りなく運営されています。ところが、前住職であるYさんの承諾がないため、登記上の寺の代表者は今もYさんのままなんです。早く不毛な『親子喧嘩』が解決してくれることを願うばかりですよ」
そんな中、本誌は別の檀家からY氏の写真(1~2枚目)を入手した。Y氏が女性の手を無理やり握っているように見える。寺の元職員はこう語る。
「Yさんがお寺で働く女性たちの身体を触るのは日常茶飯事でした。用事や挨拶のためにYさんの前に立つといきなり触るんです。みんな我慢していましたよ。そもそもYさんはこの10年くらいはほとんど葬儀にも行かず、数年前までは毎晩のように横浜市内の韓国クラブに通って飲んでいました。本人も自慢げに『俺の行く韓国クラブは座るだけで何万もするんだ』って言っていましたね」
これは僧侶としていかがなものなのか。本誌はY氏に話を聞いた。
――この写真はどういう状況ですか?
「(女性は)従業員かな。(向こうが)手を出すから、(自分も)手を出したのよ。握手みたいな感じ。嫌がってないさ。そりゃあ女の人とは、いろんなことはあるよ。それはないとは言わないよ」
――女性が嫌がったわけではない?
「そうそう。そこはないよ」
――Yさんは暴力団関係者と親しいという話も聞いています。
「昔からの地元の友達だなぁ」
――息子のTさんとはどうして裁判に?
「(住職には)まだ早えな、というだけよ。勝手に届け出した、って感じかな」
一方のT氏は本誌にこう語った。
「民事裁判になっていることは事実です。父による職員へのパワハラやセクハラなども含めて、これから裁判で私が住職に就任した正当性を主張していきます」
いがみ合う父と息子、裁判ではどちらの住職が唱える言葉が事実として認められるのだろうか――。
『FRIDAY』2023年5月26日号より