石川県で5日、震度6強を観測した地震では、能登半島の先端に位置する珠洲市が激しい揺れに見舞われた。
激しい横揺れに家屋の倒壊やブロック塀が倒れるなどの被害が出ている。現地では緊急車両が慌ただしく行き交うなど緊迫した雰囲気に包まれ、住民は「生きた心地がしなかった」「今までで一番大きな地震だった」と話した。
「激しい横揺れで立っていられなかった」。珠洲市折戸町で飲食店を営む男性(72)は営業中の店内にいた。「高台にあるので津波の心配はないが、建物が古く、倒れるかもしれないと思った」と、店内にあった酒の瓶が倒れて割れる中、約20人いた客を店外へと誘導した。
自身と客にけがはなかったが、市内の自宅や知人の様子が心配だといい、「消防車のサイレンの音が鳴ったりしているので、みんなが無事が本当に心配だ」と話した。
同市で民宿を経営する60代女性は、宿泊客の受け入れや食事の準備をしていた最中に揺れに襲われた。「激しい横揺れが続き、柱に一生懸命つかまった。揺れが収まってもグラグラする感じがして怖かった」と当時を振り返った。
能登半島では、昨年6月にも地震が発生し、同市では震度6弱を観測。女性は「今回はより揺れが大きく強く感じた」という。
宿内は「テレビや棚の中の食器が落ちて割れたり、壁が剥がれ落ちたりして、部屋の中が荒れている」といい、連休中に宿泊予定の客には個別に連絡を取りながらキャンセルに理解を求める。「大型連休で多くの方に楽しんで過ごしてほしかったが、残念だ」と語った。