様々な年代の人たちが集まり働く職場は、多種多様な価値観がひしめき合う場所でもある。
例えば、現在は「労働者主体」に変わりつつある日本の労働環境も、ほんの40年ほど前は日本のサラリーマンは企業戦士と呼ばれ、『24時間戦えますか』のキャッチフレーズが流行語になるほど「企業主体」の職場環境であった。
「労働者主体」と「企業主体」の環境の違いは、労働者それぞれの経験値の違いにつながり、それゆえ働き手個人個人の価値観のズレに発展する。当然ながらそのズレが大きければ大きいほど、職場でのトラブルも勃発する。
事実、厚生労働省による令和3年「労働安全衛生調査(実態調査)」の仕事や職業生活における不安やストレスに関する調査では、約過半数が「強いストレスとなっていると感じる事柄がある」と答え、うち25.7%の人が「対人関係(セクハラ、パワハラを含む)」と答えている。
家族問題や相続などを主に扱う後藤千絵弁護士も、自身が上梓した書籍『職場の嫌な人から自分を守る言葉の護身術 ムダに「反応しない」。ムダに「争わない」。』のなかで、「最近では、家族間の「モラハラ」だけでなく、職場やコミュニティでの「モラハラ」に関する悩み相談も近年は多く寄せられるようになりました」と訴える。
職場の人間関係の思いがけない「落とし穴」といえば「根も葉もない噂話」もそのひとつだ。仮に噂話をしている側は悪気はなくても、本人の耳に入れば決して気持ちいものでもないし、ショックで受け心を痛める可能性だってある。かといって、人の口には戸は立てられないもの。そんな時にどう対処すれば良いのか。
<【弁護士直伝】突然キレて八つ当たりする「ヤバすぎる上司」に、絶対に「やってはいけない」こと…職場の“厄介な人”はこう対処せよ>に引き続き、後藤弁護士が実例とともにお伝えする。
職場で根も葉もない噂話を流された経験はないでしょうか?
「男に色目を使っている」「○○さんのことを狙っている」「課長や部長におべんちゃらばかり言っている」「(コネ入社ではないのに)コネでいい部署に配属された」
といった具合です。
根も葉もない噂の原因は、ほとんどが嫉妬に起因するものだったり、単なるいじめだったりするので、気にする必要はありません。ただ、実際に耳に入ってしまった時は、やはりいい気持ちはしません。
Photo by iStock
Iさんは、大学を卒業後、念願だった保育園に入社しました。仕事は楽しく、子どもたちもかわいくてしかたがない―。そんな時、同僚のJさんから「耳に入れようかどうか迷ったんだけど」と前置きして聞かされたのは、保育園の中で、「I先生はかなりのぶりっこで、お父さんたちに媚びている」という噂が流れているということ。言われてみれば、Iさんの声はちょっと甘いハスキーボイスで、かわいらしいのですが、本人は「男に媚びている」という意識はまったくありません。そんな噂が立つこと自体、とてもショックでした。それ以来、猛省をして、身だしなみや話し方に細心の注意を払うようにしたそうです。ところが、しばらくたって、またJさんから聞いたのは、「お母さんたちが担任はI先生で大丈夫かしら?と心配している」「I先生は保育園の仕事が好きじゃないらしい。子どもといてもつまらなそう」という話でした。ただ、その噂があまりに的はずれだったために、Iさんは他人の評価や噂といった実体のないものに惑わされていた自分に気づくことができたそうなのです。ポーカーフェイスで聞き流す「人の噂も75日」と言いますが、それは昔の話。情報ツールが発達した現代社会では、せいぜい30日くらいではないでしょうか。変な噂を立てられても、根拠がないのであれば、まったく気にすることはなく、1カ月間スルーできたら、そのうち噂は消滅します。Photo by iStock 特に、職場での噂や陰口は、いちいち気にしていたら身が持ちません。自分が噂されていると知って、おどおどしていたら、その噂が本当だと認めるようなもの。噂というものはあなたが力を与えなかったら、そのうち自然に消滅します。何か聞かれても、「火のないところに煙が立っちゃったわ」などと言って、笑ってスルーするくらいの心のゆとりを持ちましょう。Iさんは、Jさんからどんな噂を聞かされても、「へえ、そうなんだ」と、何事もなかったかのように、ポーカーフェイスで聞き流すことに徹しました。あくまでも「平然としている」態度を崩さないことが大切なのです。噂などどこ吹く風で、たとえ何を言われたとしても、「それが何か?」「それがどうしましたか?」「あ、そうなんですね~」「ふうん、それで?」「そんな話になってるんだ」などと返しておけばいいのです。大事なのは、相手にダメージを受けていることを悟られないようにすることです。そうしたところ、Iさんの仕事熱心な誠実な態度が保護者の方たちにもわかったようで、悪い噂をする人はいなくなったそうです。ただ、Iさんは、毎回頼んでもいないのにこんな噂が流れているとわざわざご注進に来てくれるJさんに対しては、思うところがあったようで、「私は信じていないけど、噂を流したのはJだという人がいてね……」「Jも私みたいに変な噂を流されないように気をつけたほうがいいよ」と念のため一言釘を刺しておいたそうです。噂話をわざわざ本人の耳に入れるのは、「その話を聞いた本人の反応が見たい」といった残酷な気持ちが少なからずあるからです。 そんな人には、ポーカーフェイスで聞き流すとともに、「その噂を流したのはあなただって言う人がいるのよ、もちろん私は信じてないけどね……」などとけん制しておくと、今後の防止策にもなって効果的です。不愉快な話を聞く必要など、一切ありません。もちろん、耳の痛いアドバイスでも本人のためを思って言ってくれているのであれば耳を傾ける必要がありますが、それはあくまで当の本人が自分の言葉でしてくれたアドバイスにかぎります。不愉快な噂話を本人の耳に入れるのとは根本的に違いますので、そこはくれぐれも誤解しないようにしてください。
Iさんは、大学を卒業後、念願だった保育園に入社しました。仕事は楽しく、子どもたちもかわいくてしかたがない―。
そんな時、同僚のJさんから「耳に入れようかどうか迷ったんだけど」と前置きして聞かされたのは、保育園の中で、「I先生はかなりのぶりっこで、お父さんたちに媚びている」という噂が流れているということ。
言われてみれば、Iさんの声はちょっと甘いハスキーボイスで、かわいらしいのですが、本人は「男に媚びている」という意識はまったくありません。そんな噂が立つこと自体、とてもショックでした。
それ以来、猛省をして、身だしなみや話し方に細心の注意を払うようにしたそうです。ところが、しばらくたって、またJさんから聞いたのは、
「お母さんたちが担任はI先生で大丈夫かしら?と心配している」
「I先生は保育園の仕事が好きじゃないらしい。子どもといてもつまらなそう」
という話でした。ただ、その噂があまりに的はずれだったために、Iさんは他人の評価や噂といった実体のないものに惑わされていた自分に気づくことができたそうなのです。
「人の噂も75日」と言いますが、それは昔の話。
情報ツールが発達した現代社会では、せいぜい30日くらいではないでしょうか。変な噂を立てられても、根拠がないのであれば、まったく気にすることはなく、1カ月間スルーできたら、そのうち噂は消滅します。
Photo by iStock
特に、職場での噂や陰口は、いちいち気にしていたら身が持ちません。自分が噂されていると知って、おどおどしていたら、その噂が本当だと認めるようなもの。噂というものはあなたが力を与えなかったら、そのうち自然に消滅します。何か聞かれても、「火のないところに煙が立っちゃったわ」などと言って、笑ってスルーするくらいの心のゆとりを持ちましょう。Iさんは、Jさんからどんな噂を聞かされても、「へえ、そうなんだ」と、何事もなかったかのように、ポーカーフェイスで聞き流すことに徹しました。あくまでも「平然としている」態度を崩さないことが大切なのです。噂などどこ吹く風で、たとえ何を言われたとしても、「それが何か?」「それがどうしましたか?」「あ、そうなんですね~」「ふうん、それで?」「そんな話になってるんだ」などと返しておけばいいのです。大事なのは、相手にダメージを受けていることを悟られないようにすることです。そうしたところ、Iさんの仕事熱心な誠実な態度が保護者の方たちにもわかったようで、悪い噂をする人はいなくなったそうです。ただ、Iさんは、毎回頼んでもいないのにこんな噂が流れているとわざわざご注進に来てくれるJさんに対しては、思うところがあったようで、「私は信じていないけど、噂を流したのはJだという人がいてね……」「Jも私みたいに変な噂を流されないように気をつけたほうがいいよ」と念のため一言釘を刺しておいたそうです。噂話をわざわざ本人の耳に入れるのは、「その話を聞いた本人の反応が見たい」といった残酷な気持ちが少なからずあるからです。 そんな人には、ポーカーフェイスで聞き流すとともに、「その噂を流したのはあなただって言う人がいるのよ、もちろん私は信じてないけどね……」などとけん制しておくと、今後の防止策にもなって効果的です。不愉快な話を聞く必要など、一切ありません。もちろん、耳の痛いアドバイスでも本人のためを思って言ってくれているのであれば耳を傾ける必要がありますが、それはあくまで当の本人が自分の言葉でしてくれたアドバイスにかぎります。不愉快な噂話を本人の耳に入れるのとは根本的に違いますので、そこはくれぐれも誤解しないようにしてください。
特に、職場での噂や陰口は、いちいち気にしていたら身が持ちません。自分が噂されていると知って、おどおどしていたら、その噂が本当だと認めるようなもの。噂というものはあなたが力を与えなかったら、そのうち自然に消滅します。
何か聞かれても、「火のないところに煙が立っちゃったわ」などと言って、笑ってスルーするくらいの心のゆとりを持ちましょう。Iさんは、Jさんからどんな噂を聞かされても、「へえ、そうなんだ」と、何事もなかったかのように、ポーカーフェイスで聞き流すことに徹しました。
あくまでも「平然としている」態度を崩さないことが大切なのです。噂などどこ吹く風で、たとえ何を言われたとしても、「それが何か?」「それがどうしましたか?」「あ、そうなんですね~」「ふうん、それで?」「そんな話になってるんだ」などと返しておけばいいのです。
大事なのは、相手にダメージを受けていることを悟られないようにすることです。そうしたところ、Iさんの仕事熱心な誠実な態度が保護者の方たちにもわかったようで、悪い噂をする人はいなくなったそうです。
ただ、Iさんは、毎回頼んでもいないのにこんな噂が流れているとわざわざご注進に来てくれるJさんに対しては、思うところがあったようで、「私は信じていないけど、噂を流したのはJだという人がいてね……」
「Jも私みたいに変な噂を流されないように気をつけたほうがいいよ」と念のため一言釘を刺しておいたそうです。噂話をわざわざ本人の耳に入れるのは、「その話を聞いた本人の反応が見たい」といった残酷な気持ちが少なからずあるからです。
そんな人には、ポーカーフェイスで聞き流すとともに、「その噂を流したのはあなただって言う人がいるのよ、もちろん私は信じてないけどね……」などとけん制しておくと、今後の防止策にもなって効果的です。不愉快な話を聞く必要など、一切ありません。もちろん、耳の痛いアドバイスでも本人のためを思って言ってくれているのであれば耳を傾ける必要がありますが、それはあくまで当の本人が自分の言葉でしてくれたアドバイスにかぎります。不愉快な噂話を本人の耳に入れるのとは根本的に違いますので、そこはくれぐれも誤解しないようにしてください。
そんな人には、ポーカーフェイスで聞き流すとともに、「その噂を流したのはあなただって言う人がいるのよ、もちろん私は信じてないけどね……」などとけん制しておくと、今後の防止策にもなって効果的です。
不愉快な話を聞く必要など、一切ありません。
もちろん、耳の痛いアドバイスでも本人のためを思って言ってくれているのであれば耳を傾ける必要がありますが、それはあくまで当の本人が自分の言葉でしてくれたアドバイスにかぎります。
不愉快な噂話を本人の耳に入れるのとは根本的に違いますので、そこはくれぐれも誤解しないようにしてください。