東日本大震災をきっかけとした暮らし方や価値観の変化に、コロナ禍での生活様式の多様化、「地方創生プロジェクト」政策などの相乗効果により、ムーブメントとなっている都市部からの地方移住。単身者にも移住支援金が最大で60万円が支給され、さらに起業すれば起業支援金が最大で200万円上乗せされる。
個人事業主であっても、移住先に「開業届け」を出せば「起業」と見なされるようで、リモートワークが可能なフリーランスなら、地方移住はおススメかもしれない。
一言で地方移住といっても「どこに移住すれば良いかわからない」という場合、例えば『人里離れた山奥で世捨て人のような暮らしがしたい』とか『サーフイン仲間が気軽に集まれるような海のそばに住みたい』など、イメージや条件を伝えれば、希望に沿う場所を見つけてくれる移住コーディネーターがいる。さらに、先輩移住者による移住者コミュニティなども多く見受けられ、地方移住におけるサポートは手厚いように思えるが、「手助けをするのは移住まで。住み始めてからの生活については自己責任」と捉えることもできる。(iStock)インターネットで行った移住者へのアンケート調査では7割以上の人が「移住後の生活に満足している」と回答しているが、残りの3割弱に該当する男性がいる。移住後に「人権が奪われる」という憂き目に遭い、次々と襲い掛かる予期せぬ展開に心が折れて都会に舞い戻って来た、WEBデザイナーの渡部明さん(仮名・46歳)だ。「6年前、離婚をきっかけに単身で都内から東海地方に移住しました。移住を思いたったきっかけは気分転換です。幸い僕の仕事はどこにいてもできるし、何か必要があって上京するにも便利だし、言葉や文化などもそれほど都内と変わらない。何の問題もない場所ということで選びました」(明さん、以下同)財産分与のためにマンションを売ったお金で中古の戸建てを購入した明さん。広々とした庭付き、3LDKの物件はひとり暮らしには持て余しそうだが、「これ以上小さい家がなかったんです(苦笑)」。周囲を田んぼと畑に囲まれ、隣家まで300メートル以上ある。「まさに陸の孤島といった感じ。いちいち歩いて挨拶に回るのは大変なので、自治会にお願いして、簡単なプロフィールを書き添えた挨拶状を回覧板で回してもらうことにしました。地方は近所付き合いが密だとは聞いてましたが、それは子供とか高齢者のいる家族連れのこと。僕のような単身男性は無縁だろうと思い、近所の人とは挨拶程度の付き合いしかしませんでした。向こうも同じでしたよ。『いいお天気ですね』くらいの声かけはしましたけど『はいー』って感じで会釈を返してくれるくらい。 町中ではあちこちで立ち話をしている人も見かけましたけど、その輪の中に僕が誘われることはなかったです。移住者だから興味を持たれるのは仕方ないとしても、必要以上に馴れ馴れしくされても困るじゃないですか? その点、あまり相手にされないのは僕的に快適でした。田舎の人でもちゃんと相手によって距離感を考えるんだなと感心したものです」地元の人から距離を置かれてることを「配慮」「気遣い」だと感じていた明さんだったが、実際のところは「警戒心」だった。明さんが事前に公表した「東京都出身」「在宅勤務のプログラマー」「独身」「41歳(※当時)」というプロフィールと、小太りの体型に眼鏡。本人は真面目なつもりでも、見ようによっては根暗に感じる無表情…という不鮮明な明さんの画像が、地元住民の間に波紋を広げていたことに、この時の明さんは気付いていなかった。近隣住民から「不審者」扱いされていることに気付き「僕が移住する前から、町内では小学生の女の子が変質者に襲われる事件が何件か起きていたようで、僕が移住して半年ちょっと過ぎた頃にも起きたんです。この時、警察がウチに来たことで自分の立場を思い知りました。そう僕が犯人だと疑われたんです」被害にあった女児達の証言によると、犯人は「眼鏡をかけた、ちょっと太ったおじさん」で「見たことがない人」。これに、はからずも該当してしまった明さんは、移住当初から密かに疑惑の人物だったのである。「小学校低学年のコから見た『おじさん』がどの程度の範囲なのかわかりませんが、眼鏡をかけた小太りの中年男性なんて、そこら中にいるはず。それなのに、なぜ僕が?って思うじゃないですか?そうしたら警察官が『ご近所の方に心当たりはありませんか?と聞いたら、アナタの名前しか出なかった』と言うんです。『は?』って感じですよ。 『何で僕の名前だけがあがるんでしょう?』とさらに聞いたら『身元がはっきりしてないからじゃないですか?』と言われました。『他の住民はみんなアナタがどこの誰か知らない』とか…つまり不審者扱いなんです。何のための住民登録なんだって思いましたね」「住民同士が全員知り合い」というのは地方あるあるだが、移住者だからと言って不審者扱いされるのではたまったもんじゃない。後編『「変質者」「下着泥棒」呼ばわりされて…地方移住した40代男性デザイナーにヤバすぎる視線が集中して警察沙汰の悲劇』に続く。
一言で地方移住といっても「どこに移住すれば良いかわからない」という場合、例えば『人里離れた山奥で世捨て人のような暮らしがしたい』とか『サーフイン仲間が気軽に集まれるような海のそばに住みたい』など、イメージや条件を伝えれば、希望に沿う場所を見つけてくれる移住コーディネーターがいる。
さらに、先輩移住者による移住者コミュニティなども多く見受けられ、地方移住におけるサポートは手厚いように思えるが、「手助けをするのは移住まで。住み始めてからの生活については自己責任」と捉えることもできる。
(iStock)
インターネットで行った移住者へのアンケート調査では7割以上の人が「移住後の生活に満足している」と回答しているが、残りの3割弱に該当する男性がいる。
移住後に「人権が奪われる」という憂き目に遭い、次々と襲い掛かる予期せぬ展開に心が折れて都会に舞い戻って来た、WEBデザイナーの渡部明さん(仮名・46歳)だ。
「6年前、離婚をきっかけに単身で都内から東海地方に移住しました。移住を思いたったきっかけは気分転換です。幸い僕の仕事はどこにいてもできるし、何か必要があって上京するにも便利だし、言葉や文化などもそれほど都内と変わらない。何の問題もない場所ということで選びました」(明さん、以下同)
財産分与のためにマンションを売ったお金で中古の戸建てを購入した明さん。広々とした庭付き、3LDKの物件はひとり暮らしには持て余しそうだが、「これ以上小さい家がなかったんです(苦笑)」。
周囲を田んぼと畑に囲まれ、隣家まで300メートル以上ある。
「まさに陸の孤島といった感じ。いちいち歩いて挨拶に回るのは大変なので、自治会にお願いして、簡単なプロフィールを書き添えた挨拶状を回覧板で回してもらうことにしました。地方は近所付き合いが密だとは聞いてましたが、それは子供とか高齢者のいる家族連れのこと。
僕のような単身男性は無縁だろうと思い、近所の人とは挨拶程度の付き合いしかしませんでした。向こうも同じでしたよ。『いいお天気ですね』くらいの声かけはしましたけど『はいー』って感じで会釈を返してくれるくらい。
町中ではあちこちで立ち話をしている人も見かけましたけど、その輪の中に僕が誘われることはなかったです。移住者だから興味を持たれるのは仕方ないとしても、必要以上に馴れ馴れしくされても困るじゃないですか? その点、あまり相手にされないのは僕的に快適でした。田舎の人でもちゃんと相手によって距離感を考えるんだなと感心したものです」地元の人から距離を置かれてることを「配慮」「気遣い」だと感じていた明さんだったが、実際のところは「警戒心」だった。明さんが事前に公表した「東京都出身」「在宅勤務のプログラマー」「独身」「41歳(※当時)」というプロフィールと、小太りの体型に眼鏡。本人は真面目なつもりでも、見ようによっては根暗に感じる無表情…という不鮮明な明さんの画像が、地元住民の間に波紋を広げていたことに、この時の明さんは気付いていなかった。近隣住民から「不審者」扱いされていることに気付き「僕が移住する前から、町内では小学生の女の子が変質者に襲われる事件が何件か起きていたようで、僕が移住して半年ちょっと過ぎた頃にも起きたんです。この時、警察がウチに来たことで自分の立場を思い知りました。そう僕が犯人だと疑われたんです」被害にあった女児達の証言によると、犯人は「眼鏡をかけた、ちょっと太ったおじさん」で「見たことがない人」。これに、はからずも該当してしまった明さんは、移住当初から密かに疑惑の人物だったのである。「小学校低学年のコから見た『おじさん』がどの程度の範囲なのかわかりませんが、眼鏡をかけた小太りの中年男性なんて、そこら中にいるはず。それなのに、なぜ僕が?って思うじゃないですか?そうしたら警察官が『ご近所の方に心当たりはありませんか?と聞いたら、アナタの名前しか出なかった』と言うんです。『は?』って感じですよ。 『何で僕の名前だけがあがるんでしょう?』とさらに聞いたら『身元がはっきりしてないからじゃないですか?』と言われました。『他の住民はみんなアナタがどこの誰か知らない』とか…つまり不審者扱いなんです。何のための住民登録なんだって思いましたね」「住民同士が全員知り合い」というのは地方あるあるだが、移住者だからと言って不審者扱いされるのではたまったもんじゃない。後編『「変質者」「下着泥棒」呼ばわりされて…地方移住した40代男性デザイナーにヤバすぎる視線が集中して警察沙汰の悲劇』に続く。
町中ではあちこちで立ち話をしている人も見かけましたけど、その輪の中に僕が誘われることはなかったです。移住者だから興味を持たれるのは仕方ないとしても、必要以上に馴れ馴れしくされても困るじゃないですか? その点、あまり相手にされないのは僕的に快適でした。田舎の人でもちゃんと相手によって距離感を考えるんだなと感心したものです」
地元の人から距離を置かれてることを「配慮」「気遣い」だと感じていた明さんだったが、実際のところは「警戒心」だった。明さんが事前に公表した「東京都出身」「在宅勤務のプログラマー」「独身」「41歳(※当時)」というプロフィールと、小太りの体型に眼鏡。本人は真面目なつもりでも、見ようによっては根暗に感じる無表情…という不鮮明な明さんの画像が、地元住民の間に波紋を広げていたことに、この時の明さんは気付いていなかった。
「僕が移住する前から、町内では小学生の女の子が変質者に襲われる事件が何件か起きていたようで、僕が移住して半年ちょっと過ぎた頃にも起きたんです。この時、警察がウチに来たことで自分の立場を思い知りました。そう僕が犯人だと疑われたんです」
被害にあった女児達の証言によると、犯人は「眼鏡をかけた、ちょっと太ったおじさん」で「見たことがない人」。これに、はからずも該当してしまった明さんは、移住当初から密かに疑惑の人物だったのである。
「小学校低学年のコから見た『おじさん』がどの程度の範囲なのかわかりませんが、眼鏡をかけた小太りの中年男性なんて、そこら中にいるはず。それなのに、なぜ僕が?って思うじゃないですか?そうしたら警察官が『ご近所の方に心当たりはありませんか?と聞いたら、アナタの名前しか出なかった』と言うんです。『は?』って感じですよ。
『何で僕の名前だけがあがるんでしょう?』とさらに聞いたら『身元がはっきりしてないからじゃないですか?』と言われました。『他の住民はみんなアナタがどこの誰か知らない』とか…つまり不審者扱いなんです。何のための住民登録なんだって思いましたね」「住民同士が全員知り合い」というのは地方あるあるだが、移住者だからと言って不審者扱いされるのではたまったもんじゃない。後編『「変質者」「下着泥棒」呼ばわりされて…地方移住した40代男性デザイナーにヤバすぎる視線が集中して警察沙汰の悲劇』に続く。
『何で僕の名前だけがあがるんでしょう?』とさらに聞いたら『身元がはっきりしてないからじゃないですか?』と言われました。『他の住民はみんなアナタがどこの誰か知らない』とか…つまり不審者扱いなんです。何のための住民登録なんだって思いましたね」
「住民同士が全員知り合い」というのは地方あるあるだが、移住者だからと言って不審者扱いされるのではたまったもんじゃない。
後編『「変質者」「下着泥棒」呼ばわりされて…地方移住した40代男性デザイナーにヤバすぎる視線が集中して警察沙汰の悲劇』に続く。