侍ジャパンの14年ぶりの世界一奪還で幕を閉じたワールド・ベースボール・クラシック(WBC)。準決勝のメキシコ戦、決勝のアメリカ戦と相次いだ劇的な試合展開に日本中が沸いたが、それはヤクザ業界も同じだった。 元ヤクザで構成する草ソフトボールチーム 野球が好きなヤクザは多い。 WBCを見て、久しぶりにバッティングセンターに行ったという暴力団組員に話を聞いた。

「あの試合(メキシコ戦)は面白かった。俺も久々に打ちたくなってバッティングセンターに行った。100キロなら打てたが、さすがに130キロは難しかった。 草野球をやるヤクザもいるかだって? 基本的に子供とキャッチボールをしたり、バッティングセンターに行くくらいだろう。草野球チームに入ってるヤツもいるだろうが、おおっぴらにできた昔と違って今はバレたら辞めさせられるから素性は隠していると思う。だから入れ墨があるやつは夏でも長袖を着て隠しているはずだ」 長袖なら入れ墨もバレない?(写真はイメージです) カタギの野球チームに入りにくいなら全員ヤクザでチームを作るしかないが、そうするとまた別の問題が浮上する。 「ヤクザでメンバーを集めたら敵対する組織の者が入ってくる可能性もある。組織内でチームを組んで他の組のチームと試合をしたら、そのまま乱闘になるよ」(同組員) そう言って組員は笑うが、実際に元ヤクザだらけのソフトボールチームもある。 2月14日に、かの『ニューヨーク・タイムス』の一面で特集された「竜友会」だ。葛飾区ソフトボール連盟に加盟する、優勝経験もある強豪チームは、メンバーのうち約30人が元ヤクザだと紙面で紹介された。 2012年に結成され、入部条件は現役のヤクザでないことを証明する「破門状」のみ。チームメイトには現役時代は敵対組織にいたメンバーもおり、彼らの懲役を合計すると87年だ。 だがこれは非常に稀な例。暴力団を抜けても、世間の目は厳しく、ほとんどのヤクザや元ヤクザが興じるのは、チームスポーツよりもゴルフのような個人スポーツだそうだ。 WBCでも盛り上がった野球賭博 スポーツには勝ち負けがある。勝ち負けがあれば、そこにはつきものがある。 「WBCはもうすごかった。すごく盛り上がった」 そう話すのは、ある暴力団組織の幹部だ。盛り上がったのは応援ではない。野球賭博だ。 「賭博というのは胴元が儲かるようになっているから俺はやらなかったけど、みんなバンバン賭けていた。それでも『大谷がいるから』といったミーハーな理由で日本に賭けるヤツはいない」 彼らも日本人。心情的には日本を応援したいところだろうし、そもそも日本は強豪だ。それでも日本に賭けなかった理由がある。 「強いチームAと弱いチームBが試合をすれば、当然Aに賭ける人が集中して勝負が成立しない。だから野球賭博は試合ごとに“ハンデ”がつけられる。このハンデとゲームの点差から配当が決まる」(同幹部) ヤクザたちを(賭博で)大いに盛り上がらせてしまった侍ジャパン たとえば、Bにハンデが「2」つけば、下馬評が高いAが1点差で勝利しても、Bに賭けていた人の勝ちとなる。力の差が大きい高校野球と違い、プロ野球では2点以内のハンデがつけられることが多いが、史上最強と言われた侍ジャパンにはハンデが「4.5」もつけられた試合も。 さらに、メキシコにサヨナラ勝ちした影響か、決勝ではなんとあの最強アメリカに「0.5」のハンデがついたそうだ。 「それでアメリカ有利とみて損したやつがたくさんいた」(同幹部) プロ野球、高校野球では…? これがプロ野球だとハンデはさらに細かくつく。戦力差やその日の先発ピッチャーなどによって変わるが、つけ方が複雑でこの幹部もわからないらしい。ハンデをつけているのはいったい誰なのか。 「プロのハンデ師がいる。たぶん胴元の上層部とつながってる元プロ野球の選手だな」 配当は「3分負け」「7分勝ち」「丸勝ち」「丸負け」などと分けられ、ハンデもさらに細かく「1半2」「1半3」といったものもある。説明は割愛するが、いずれも胴元が儲かりやすくなる仕組みとなっているらしい。 「1日1000万以上賭ける者もいる。勝った分は胴元に取り置きし、次の試合に賭ける。取り置きは原則1週間。客と胴元とに信頼関係があるから成り立つわけだ」(同幹部) また、「プロ野球より高校野球のほうが盛り上がる」と語るのは、自身で高校野球賭博を開いたことのある別の幹部だ。 「甲子園の全出場校を8つの枠にランダムに割り振って枠順を決め、優勝と準優勝の枠を予想する。競馬と同じで枠連や単勝はあるが、3連単はない。みんな枠順の紙と赤ペンを持って熱心に予想しているよ」 ピュアな高校野球もヤクザにかかれば賭場へと変わる(写真はイメージです) 多くの組でやっているという野球賭博だが、摘発される件数はそう多くはない。その理由を警視庁の組織犯罪対策四課の元刑事は「野球賭博は違法カジノのような物理的な賭場がない。バカラやルーレットと違ってどこででもできる。1試合で賭ける人間も数人から多くても十数人ほど。最近はSNSやオンラインで賭けたりするから、実態がつかめない」と話す。 1口1000円で10口から掛けられるケースが多く、集まった金額の3割は胴元が取るという。 「100万集まれば30万が胴元、70万の掛金で配当が決まる。高校野球はオッズが重要。普通にやったら優勝候補にみんな賭けるから、ハンデをつけて賭場のバランスを取るんだ」(同) もちろん、ここでも賭けるのは好きな球団や高校ではない。変に情が入れば、それは“丸負け”を意味する。野球賭博をやるヤクザはひいきのチームを作ることさえ許されない。 野球を純粋な気持ちで見るためには、野球賭博から足を洗う必要があるようだ。 取材・文/島田拓 集英社オンライン編集部ニュース班
侍ジャパンの14年ぶりの世界一奪還で幕を閉じたワールド・ベースボール・クラシック(WBC)。準決勝のメキシコ戦、決勝のアメリカ戦と相次いだ劇的な試合展開に日本中が沸いたが、それはヤクザ業界も同じだった。
元ヤクザで構成する草ソフトボールチーム 野球が好きなヤクザは多い。 WBCを見て、久しぶりにバッティングセンターに行ったという暴力団組員に話を聞いた。

「あの試合(メキシコ戦)は面白かった。俺も久々に打ちたくなってバッティングセンターに行った。100キロなら打てたが、さすがに130キロは難しかった。 草野球をやるヤクザもいるかだって? 基本的に子供とキャッチボールをしたり、バッティングセンターに行くくらいだろう。草野球チームに入ってるヤツもいるだろうが、おおっぴらにできた昔と違って今はバレたら辞めさせられるから素性は隠していると思う。だから入れ墨があるやつは夏でも長袖を着て隠しているはずだ」 長袖なら入れ墨もバレない?(写真はイメージです) カタギの野球チームに入りにくいなら全員ヤクザでチームを作るしかないが、そうするとまた別の問題が浮上する。 「ヤクザでメンバーを集めたら敵対する組織の者が入ってくる可能性もある。組織内でチームを組んで他の組のチームと試合をしたら、そのまま乱闘になるよ」(同組員) そう言って組員は笑うが、実際に元ヤクザだらけのソフトボールチームもある。 2月14日に、かの『ニューヨーク・タイムス』の一面で特集された「竜友会」だ。葛飾区ソフトボール連盟に加盟する、優勝経験もある強豪チームは、メンバーのうち約30人が元ヤクザだと紙面で紹介された。 2012年に結成され、入部条件は現役のヤクザでないことを証明する「破門状」のみ。チームメイトには現役時代は敵対組織にいたメンバーもおり、彼らの懲役を合計すると87年だ。 だがこれは非常に稀な例。暴力団を抜けても、世間の目は厳しく、ほとんどのヤクザや元ヤクザが興じるのは、チームスポーツよりもゴルフのような個人スポーツだそうだ。 WBCでも盛り上がった野球賭博 スポーツには勝ち負けがある。勝ち負けがあれば、そこにはつきものがある。 「WBCはもうすごかった。すごく盛り上がった」 そう話すのは、ある暴力団組織の幹部だ。盛り上がったのは応援ではない。野球賭博だ。 「賭博というのは胴元が儲かるようになっているから俺はやらなかったけど、みんなバンバン賭けていた。それでも『大谷がいるから』といったミーハーな理由で日本に賭けるヤツはいない」 彼らも日本人。心情的には日本を応援したいところだろうし、そもそも日本は強豪だ。それでも日本に賭けなかった理由がある。 「強いチームAと弱いチームBが試合をすれば、当然Aに賭ける人が集中して勝負が成立しない。だから野球賭博は試合ごとに“ハンデ”がつけられる。このハンデとゲームの点差から配当が決まる」(同幹部) ヤクザたちを(賭博で)大いに盛り上がらせてしまった侍ジャパン たとえば、Bにハンデが「2」つけば、下馬評が高いAが1点差で勝利しても、Bに賭けていた人の勝ちとなる。力の差が大きい高校野球と違い、プロ野球では2点以内のハンデがつけられることが多いが、史上最強と言われた侍ジャパンにはハンデが「4.5」もつけられた試合も。 さらに、メキシコにサヨナラ勝ちした影響か、決勝ではなんとあの最強アメリカに「0.5」のハンデがついたそうだ。 「それでアメリカ有利とみて損したやつがたくさんいた」(同幹部) プロ野球、高校野球では…? これがプロ野球だとハンデはさらに細かくつく。戦力差やその日の先発ピッチャーなどによって変わるが、つけ方が複雑でこの幹部もわからないらしい。ハンデをつけているのはいったい誰なのか。 「プロのハンデ師がいる。たぶん胴元の上層部とつながってる元プロ野球の選手だな」 配当は「3分負け」「7分勝ち」「丸勝ち」「丸負け」などと分けられ、ハンデもさらに細かく「1半2」「1半3」といったものもある。説明は割愛するが、いずれも胴元が儲かりやすくなる仕組みとなっているらしい。 「1日1000万以上賭ける者もいる。勝った分は胴元に取り置きし、次の試合に賭ける。取り置きは原則1週間。客と胴元とに信頼関係があるから成り立つわけだ」(同幹部) また、「プロ野球より高校野球のほうが盛り上がる」と語るのは、自身で高校野球賭博を開いたことのある別の幹部だ。 「甲子園の全出場校を8つの枠にランダムに割り振って枠順を決め、優勝と準優勝の枠を予想する。競馬と同じで枠連や単勝はあるが、3連単はない。みんな枠順の紙と赤ペンを持って熱心に予想しているよ」 ピュアな高校野球もヤクザにかかれば賭場へと変わる(写真はイメージです) 多くの組でやっているという野球賭博だが、摘発される件数はそう多くはない。その理由を警視庁の組織犯罪対策四課の元刑事は「野球賭博は違法カジノのような物理的な賭場がない。バカラやルーレットと違ってどこででもできる。1試合で賭ける人間も数人から多くても十数人ほど。最近はSNSやオンラインで賭けたりするから、実態がつかめない」と話す。 1口1000円で10口から掛けられるケースが多く、集まった金額の3割は胴元が取るという。 「100万集まれば30万が胴元、70万の掛金で配当が決まる。高校野球はオッズが重要。普通にやったら優勝候補にみんな賭けるから、ハンデをつけて賭場のバランスを取るんだ」(同) もちろん、ここでも賭けるのは好きな球団や高校ではない。変に情が入れば、それは“丸負け”を意味する。野球賭博をやるヤクザはひいきのチームを作ることさえ許されない。 野球を純粋な気持ちで見るためには、野球賭博から足を洗う必要があるようだ。 取材・文/島田拓 集英社オンライン編集部ニュース班
元ヤクザで構成する草ソフトボールチーム 野球が好きなヤクザは多い。 WBCを見て、久しぶりにバッティングセンターに行ったという暴力団組員に話を聞いた。

「あの試合(メキシコ戦)は面白かった。俺も久々に打ちたくなってバッティングセンターに行った。100キロなら打てたが、さすがに130キロは難しかった。 草野球をやるヤクザもいるかだって? 基本的に子供とキャッチボールをしたり、バッティングセンターに行くくらいだろう。草野球チームに入ってるヤツもいるだろうが、おおっぴらにできた昔と違って今はバレたら辞めさせられるから素性は隠していると思う。だから入れ墨があるやつは夏でも長袖を着て隠しているはずだ」 長袖なら入れ墨もバレない?(写真はイメージです) カタギの野球チームに入りにくいなら全員ヤクザでチームを作るしかないが、そうするとまた別の問題が浮上する。 「ヤクザでメンバーを集めたら敵対する組織の者が入ってくる可能性もある。組織内でチームを組んで他の組のチームと試合をしたら、そのまま乱闘になるよ」(同組員) そう言って組員は笑うが、実際に元ヤクザだらけのソフトボールチームもある。 2月14日に、かの『ニューヨーク・タイムス』の一面で特集された「竜友会」だ。葛飾区ソフトボール連盟に加盟する、優勝経験もある強豪チームは、メンバーのうち約30人が元ヤクザだと紙面で紹介された。 2012年に結成され、入部条件は現役のヤクザでないことを証明する「破門状」のみ。チームメイトには現役時代は敵対組織にいたメンバーもおり、彼らの懲役を合計すると87年だ。 だがこれは非常に稀な例。暴力団を抜けても、世間の目は厳しく、ほとんどのヤクザや元ヤクザが興じるのは、チームスポーツよりもゴルフのような個人スポーツだそうだ。 WBCでも盛り上がった野球賭博 スポーツには勝ち負けがある。勝ち負けがあれば、そこにはつきものがある。 「WBCはもうすごかった。すごく盛り上がった」 そう話すのは、ある暴力団組織の幹部だ。盛り上がったのは応援ではない。野球賭博だ。 「賭博というのは胴元が儲かるようになっているから俺はやらなかったけど、みんなバンバン賭けていた。それでも『大谷がいるから』といったミーハーな理由で日本に賭けるヤツはいない」 彼らも日本人。心情的には日本を応援したいところだろうし、そもそも日本は強豪だ。それでも日本に賭けなかった理由がある。 「強いチームAと弱いチームBが試合をすれば、当然Aに賭ける人が集中して勝負が成立しない。だから野球賭博は試合ごとに“ハンデ”がつけられる。このハンデとゲームの点差から配当が決まる」(同幹部) ヤクザたちを(賭博で)大いに盛り上がらせてしまった侍ジャパン たとえば、Bにハンデが「2」つけば、下馬評が高いAが1点差で勝利しても、Bに賭けていた人の勝ちとなる。力の差が大きい高校野球と違い、プロ野球では2点以内のハンデがつけられることが多いが、史上最強と言われた侍ジャパンにはハンデが「4.5」もつけられた試合も。 さらに、メキシコにサヨナラ勝ちした影響か、決勝ではなんとあの最強アメリカに「0.5」のハンデがついたそうだ。 「それでアメリカ有利とみて損したやつがたくさんいた」(同幹部) プロ野球、高校野球では…? これがプロ野球だとハンデはさらに細かくつく。戦力差やその日の先発ピッチャーなどによって変わるが、つけ方が複雑でこの幹部もわからないらしい。ハンデをつけているのはいったい誰なのか。 「プロのハンデ師がいる。たぶん胴元の上層部とつながってる元プロ野球の選手だな」 配当は「3分負け」「7分勝ち」「丸勝ち」「丸負け」などと分けられ、ハンデもさらに細かく「1半2」「1半3」といったものもある。説明は割愛するが、いずれも胴元が儲かりやすくなる仕組みとなっているらしい。 「1日1000万以上賭ける者もいる。勝った分は胴元に取り置きし、次の試合に賭ける。取り置きは原則1週間。客と胴元とに信頼関係があるから成り立つわけだ」(同幹部) また、「プロ野球より高校野球のほうが盛り上がる」と語るのは、自身で高校野球賭博を開いたことのある別の幹部だ。 「甲子園の全出場校を8つの枠にランダムに割り振って枠順を決め、優勝と準優勝の枠を予想する。競馬と同じで枠連や単勝はあるが、3連単はない。みんな枠順の紙と赤ペンを持って熱心に予想しているよ」 ピュアな高校野球もヤクザにかかれば賭場へと変わる(写真はイメージです) 多くの組でやっているという野球賭博だが、摘発される件数はそう多くはない。その理由を警視庁の組織犯罪対策四課の元刑事は「野球賭博は違法カジノのような物理的な賭場がない。バカラやルーレットと違ってどこででもできる。1試合で賭ける人間も数人から多くても十数人ほど。最近はSNSやオンラインで賭けたりするから、実態がつかめない」と話す。 1口1000円で10口から掛けられるケースが多く、集まった金額の3割は胴元が取るという。 「100万集まれば30万が胴元、70万の掛金で配当が決まる。高校野球はオッズが重要。普通にやったら優勝候補にみんな賭けるから、ハンデをつけて賭場のバランスを取るんだ」(同) もちろん、ここでも賭けるのは好きな球団や高校ではない。変に情が入れば、それは“丸負け”を意味する。野球賭博をやるヤクザはひいきのチームを作ることさえ許されない。 野球を純粋な気持ちで見るためには、野球賭博から足を洗う必要があるようだ。 取材・文/島田拓 集英社オンライン編集部ニュース班
野球が好きなヤクザは多い。 WBCを見て、久しぶりにバッティングセンターに行ったという暴力団組員に話を聞いた。

「あの試合(メキシコ戦)は面白かった。俺も久々に打ちたくなってバッティングセンターに行った。100キロなら打てたが、さすがに130キロは難しかった。 草野球をやるヤクザもいるかだって? 基本的に子供とキャッチボールをしたり、バッティングセンターに行くくらいだろう。草野球チームに入ってるヤツもいるだろうが、おおっぴらにできた昔と違って今はバレたら辞めさせられるから素性は隠していると思う。だから入れ墨があるやつは夏でも長袖を着て隠しているはずだ」 長袖なら入れ墨もバレない?(写真はイメージです) カタギの野球チームに入りにくいなら全員ヤクザでチームを作るしかないが、そうするとまた別の問題が浮上する。 「ヤクザでメンバーを集めたら敵対する組織の者が入ってくる可能性もある。組織内でチームを組んで他の組のチームと試合をしたら、そのまま乱闘になるよ」(同組員) そう言って組員は笑うが、実際に元ヤクザだらけのソフトボールチームもある。 2月14日に、かの『ニューヨーク・タイムス』の一面で特集された「竜友会」だ。葛飾区ソフトボール連盟に加盟する、優勝経験もある強豪チームは、メンバーのうち約30人が元ヤクザだと紙面で紹介された。 2012年に結成され、入部条件は現役のヤクザでないことを証明する「破門状」のみ。チームメイトには現役時代は敵対組織にいたメンバーもおり、彼らの懲役を合計すると87年だ。 だがこれは非常に稀な例。暴力団を抜けても、世間の目は厳しく、ほとんどのヤクザや元ヤクザが興じるのは、チームスポーツよりもゴルフのような個人スポーツだそうだ。 WBCでも盛り上がった野球賭博 スポーツには勝ち負けがある。勝ち負けがあれば、そこにはつきものがある。 「WBCはもうすごかった。すごく盛り上がった」 そう話すのは、ある暴力団組織の幹部だ。盛り上がったのは応援ではない。野球賭博だ。 「賭博というのは胴元が儲かるようになっているから俺はやらなかったけど、みんなバンバン賭けていた。それでも『大谷がいるから』といったミーハーな理由で日本に賭けるヤツはいない」 彼らも日本人。心情的には日本を応援したいところだろうし、そもそも日本は強豪だ。それでも日本に賭けなかった理由がある。 「強いチームAと弱いチームBが試合をすれば、当然Aに賭ける人が集中して勝負が成立しない。だから野球賭博は試合ごとに“ハンデ”がつけられる。このハンデとゲームの点差から配当が決まる」(同幹部) ヤクザたちを(賭博で)大いに盛り上がらせてしまった侍ジャパン たとえば、Bにハンデが「2」つけば、下馬評が高いAが1点差で勝利しても、Bに賭けていた人の勝ちとなる。力の差が大きい高校野球と違い、プロ野球では2点以内のハンデがつけられることが多いが、史上最強と言われた侍ジャパンにはハンデが「4.5」もつけられた試合も。 さらに、メキシコにサヨナラ勝ちした影響か、決勝ではなんとあの最強アメリカに「0.5」のハンデがついたそうだ。 「それでアメリカ有利とみて損したやつがたくさんいた」(同幹部) プロ野球、高校野球では…? これがプロ野球だとハンデはさらに細かくつく。戦力差やその日の先発ピッチャーなどによって変わるが、つけ方が複雑でこの幹部もわからないらしい。ハンデをつけているのはいったい誰なのか。 「プロのハンデ師がいる。たぶん胴元の上層部とつながってる元プロ野球の選手だな」 配当は「3分負け」「7分勝ち」「丸勝ち」「丸負け」などと分けられ、ハンデもさらに細かく「1半2」「1半3」といったものもある。説明は割愛するが、いずれも胴元が儲かりやすくなる仕組みとなっているらしい。 「1日1000万以上賭ける者もいる。勝った分は胴元に取り置きし、次の試合に賭ける。取り置きは原則1週間。客と胴元とに信頼関係があるから成り立つわけだ」(同幹部) また、「プロ野球より高校野球のほうが盛り上がる」と語るのは、自身で高校野球賭博を開いたことのある別の幹部だ。 「甲子園の全出場校を8つの枠にランダムに割り振って枠順を決め、優勝と準優勝の枠を予想する。競馬と同じで枠連や単勝はあるが、3連単はない。みんな枠順の紙と赤ペンを持って熱心に予想しているよ」 ピュアな高校野球もヤクザにかかれば賭場へと変わる(写真はイメージです) 多くの組でやっているという野球賭博だが、摘発される件数はそう多くはない。その理由を警視庁の組織犯罪対策四課の元刑事は「野球賭博は違法カジノのような物理的な賭場がない。バカラやルーレットと違ってどこででもできる。1試合で賭ける人間も数人から多くても十数人ほど。最近はSNSやオンラインで賭けたりするから、実態がつかめない」と話す。 1口1000円で10口から掛けられるケースが多く、集まった金額の3割は胴元が取るという。 「100万集まれば30万が胴元、70万の掛金で配当が決まる。高校野球はオッズが重要。普通にやったら優勝候補にみんな賭けるから、ハンデをつけて賭場のバランスを取るんだ」(同) もちろん、ここでも賭けるのは好きな球団や高校ではない。変に情が入れば、それは“丸負け”を意味する。野球賭博をやるヤクザはひいきのチームを作ることさえ許されない。 野球を純粋な気持ちで見るためには、野球賭博から足を洗う必要があるようだ。 取材・文/島田拓 集英社オンライン編集部ニュース班
野球が好きなヤクザは多い。
WBCを見て、久しぶりにバッティングセンターに行ったという暴力団組員に話を聞いた。
「あの試合(メキシコ戦)は面白かった。俺も久々に打ちたくなってバッティングセンターに行った。100キロなら打てたが、さすがに130キロは難しかった。 草野球をやるヤクザもいるかだって? 基本的に子供とキャッチボールをしたり、バッティングセンターに行くくらいだろう。草野球チームに入ってるヤツもいるだろうが、おおっぴらにできた昔と違って今はバレたら辞めさせられるから素性は隠していると思う。だから入れ墨があるやつは夏でも長袖を着て隠しているはずだ」 長袖なら入れ墨もバレない?(写真はイメージです) カタギの野球チームに入りにくいなら全員ヤクザでチームを作るしかないが、そうするとまた別の問題が浮上する。 「ヤクザでメンバーを集めたら敵対する組織の者が入ってくる可能性もある。組織内でチームを組んで他の組のチームと試合をしたら、そのまま乱闘になるよ」(同組員) そう言って組員は笑うが、実際に元ヤクザだらけのソフトボールチームもある。 2月14日に、かの『ニューヨーク・タイムス』の一面で特集された「竜友会」だ。葛飾区ソフトボール連盟に加盟する、優勝経験もある強豪チームは、メンバーのうち約30人が元ヤクザだと紙面で紹介された。 2012年に結成され、入部条件は現役のヤクザでないことを証明する「破門状」のみ。チームメイトには現役時代は敵対組織にいたメンバーもおり、彼らの懲役を合計すると87年だ。 だがこれは非常に稀な例。暴力団を抜けても、世間の目は厳しく、ほとんどのヤクザや元ヤクザが興じるのは、チームスポーツよりもゴルフのような個人スポーツだそうだ。 WBCでも盛り上がった野球賭博 スポーツには勝ち負けがある。勝ち負けがあれば、そこにはつきものがある。 「WBCはもうすごかった。すごく盛り上がった」 そう話すのは、ある暴力団組織の幹部だ。盛り上がったのは応援ではない。野球賭博だ。 「賭博というのは胴元が儲かるようになっているから俺はやらなかったけど、みんなバンバン賭けていた。それでも『大谷がいるから』といったミーハーな理由で日本に賭けるヤツはいない」 彼らも日本人。心情的には日本を応援したいところだろうし、そもそも日本は強豪だ。それでも日本に賭けなかった理由がある。 「強いチームAと弱いチームBが試合をすれば、当然Aに賭ける人が集中して勝負が成立しない。だから野球賭博は試合ごとに“ハンデ”がつけられる。このハンデとゲームの点差から配当が決まる」(同幹部) ヤクザたちを(賭博で)大いに盛り上がらせてしまった侍ジャパン たとえば、Bにハンデが「2」つけば、下馬評が高いAが1点差で勝利しても、Bに賭けていた人の勝ちとなる。力の差が大きい高校野球と違い、プロ野球では2点以内のハンデがつけられることが多いが、史上最強と言われた侍ジャパンにはハンデが「4.5」もつけられた試合も。 さらに、メキシコにサヨナラ勝ちした影響か、決勝ではなんとあの最強アメリカに「0.5」のハンデがついたそうだ。 「それでアメリカ有利とみて損したやつがたくさんいた」(同幹部) プロ野球、高校野球では…? これがプロ野球だとハンデはさらに細かくつく。戦力差やその日の先発ピッチャーなどによって変わるが、つけ方が複雑でこの幹部もわからないらしい。ハンデをつけているのはいったい誰なのか。 「プロのハンデ師がいる。たぶん胴元の上層部とつながってる元プロ野球の選手だな」 配当は「3分負け」「7分勝ち」「丸勝ち」「丸負け」などと分けられ、ハンデもさらに細かく「1半2」「1半3」といったものもある。説明は割愛するが、いずれも胴元が儲かりやすくなる仕組みとなっているらしい。 「1日1000万以上賭ける者もいる。勝った分は胴元に取り置きし、次の試合に賭ける。取り置きは原則1週間。客と胴元とに信頼関係があるから成り立つわけだ」(同幹部) また、「プロ野球より高校野球のほうが盛り上がる」と語るのは、自身で高校野球賭博を開いたことのある別の幹部だ。 「甲子園の全出場校を8つの枠にランダムに割り振って枠順を決め、優勝と準優勝の枠を予想する。競馬と同じで枠連や単勝はあるが、3連単はない。みんな枠順の紙と赤ペンを持って熱心に予想しているよ」 ピュアな高校野球もヤクザにかかれば賭場へと変わる(写真はイメージです) 多くの組でやっているという野球賭博だが、摘発される件数はそう多くはない。その理由を警視庁の組織犯罪対策四課の元刑事は「野球賭博は違法カジノのような物理的な賭場がない。バカラやルーレットと違ってどこででもできる。1試合で賭ける人間も数人から多くても十数人ほど。最近はSNSやオンラインで賭けたりするから、実態がつかめない」と話す。 1口1000円で10口から掛けられるケースが多く、集まった金額の3割は胴元が取るという。 「100万集まれば30万が胴元、70万の掛金で配当が決まる。高校野球はオッズが重要。普通にやったら優勝候補にみんな賭けるから、ハンデをつけて賭場のバランスを取るんだ」(同) もちろん、ここでも賭けるのは好きな球団や高校ではない。変に情が入れば、それは“丸負け”を意味する。野球賭博をやるヤクザはひいきのチームを作ることさえ許されない。 野球を純粋な気持ちで見るためには、野球賭博から足を洗う必要があるようだ。 取材・文/島田拓 集英社オンライン編集部ニュース班
「あの試合(メキシコ戦)は面白かった。俺も久々に打ちたくなってバッティングセンターに行った。100キロなら打てたが、さすがに130キロは難しかった。
草野球をやるヤクザもいるかだって? 基本的に子供とキャッチボールをしたり、バッティングセンターに行くくらいだろう。草野球チームに入ってるヤツもいるだろうが、おおっぴらにできた昔と違って今はバレたら辞めさせられるから素性は隠していると思う。だから入れ墨があるやつは夏でも長袖を着て隠しているはずだ」 長袖なら入れ墨もバレない?(写真はイメージです) カタギの野球チームに入りにくいなら全員ヤクザでチームを作るしかないが、そうするとまた別の問題が浮上する。 「ヤクザでメンバーを集めたら敵対する組織の者が入ってくる可能性もある。組織内でチームを組んで他の組のチームと試合をしたら、そのまま乱闘になるよ」(同組員) そう言って組員は笑うが、実際に元ヤクザだらけのソフトボールチームもある。 2月14日に、かの『ニューヨーク・タイムス』の一面で特集された「竜友会」だ。葛飾区ソフトボール連盟に加盟する、優勝経験もある強豪チームは、メンバーのうち約30人が元ヤクザだと紙面で紹介された。 2012年に結成され、入部条件は現役のヤクザでないことを証明する「破門状」のみ。チームメイトには現役時代は敵対組織にいたメンバーもおり、彼らの懲役を合計すると87年だ。 だがこれは非常に稀な例。暴力団を抜けても、世間の目は厳しく、ほとんどのヤクザや元ヤクザが興じるのは、チームスポーツよりもゴルフのような個人スポーツだそうだ。 WBCでも盛り上がった野球賭博 スポーツには勝ち負けがある。勝ち負けがあれば、そこにはつきものがある。 「WBCはもうすごかった。すごく盛り上がった」 そう話すのは、ある暴力団組織の幹部だ。盛り上がったのは応援ではない。野球賭博だ。 「賭博というのは胴元が儲かるようになっているから俺はやらなかったけど、みんなバンバン賭けていた。それでも『大谷がいるから』といったミーハーな理由で日本に賭けるヤツはいない」 彼らも日本人。心情的には日本を応援したいところだろうし、そもそも日本は強豪だ。それでも日本に賭けなかった理由がある。 「強いチームAと弱いチームBが試合をすれば、当然Aに賭ける人が集中して勝負が成立しない。だから野球賭博は試合ごとに“ハンデ”がつけられる。このハンデとゲームの点差から配当が決まる」(同幹部) ヤクザたちを(賭博で)大いに盛り上がらせてしまった侍ジャパン たとえば、Bにハンデが「2」つけば、下馬評が高いAが1点差で勝利しても、Bに賭けていた人の勝ちとなる。力の差が大きい高校野球と違い、プロ野球では2点以内のハンデがつけられることが多いが、史上最強と言われた侍ジャパンにはハンデが「4.5」もつけられた試合も。 さらに、メキシコにサヨナラ勝ちした影響か、決勝ではなんとあの最強アメリカに「0.5」のハンデがついたそうだ。 「それでアメリカ有利とみて損したやつがたくさんいた」(同幹部) プロ野球、高校野球では…? これがプロ野球だとハンデはさらに細かくつく。戦力差やその日の先発ピッチャーなどによって変わるが、つけ方が複雑でこの幹部もわからないらしい。ハンデをつけているのはいったい誰なのか。 「プロのハンデ師がいる。たぶん胴元の上層部とつながってる元プロ野球の選手だな」 配当は「3分負け」「7分勝ち」「丸勝ち」「丸負け」などと分けられ、ハンデもさらに細かく「1半2」「1半3」といったものもある。説明は割愛するが、いずれも胴元が儲かりやすくなる仕組みとなっているらしい。 「1日1000万以上賭ける者もいる。勝った分は胴元に取り置きし、次の試合に賭ける。取り置きは原則1週間。客と胴元とに信頼関係があるから成り立つわけだ」(同幹部) また、「プロ野球より高校野球のほうが盛り上がる」と語るのは、自身で高校野球賭博を開いたことのある別の幹部だ。 「甲子園の全出場校を8つの枠にランダムに割り振って枠順を決め、優勝と準優勝の枠を予想する。競馬と同じで枠連や単勝はあるが、3連単はない。みんな枠順の紙と赤ペンを持って熱心に予想しているよ」 ピュアな高校野球もヤクザにかかれば賭場へと変わる(写真はイメージです) 多くの組でやっているという野球賭博だが、摘発される件数はそう多くはない。その理由を警視庁の組織犯罪対策四課の元刑事は「野球賭博は違法カジノのような物理的な賭場がない。バカラやルーレットと違ってどこででもできる。1試合で賭ける人間も数人から多くても十数人ほど。最近はSNSやオンラインで賭けたりするから、実態がつかめない」と話す。 1口1000円で10口から掛けられるケースが多く、集まった金額の3割は胴元が取るという。 「100万集まれば30万が胴元、70万の掛金で配当が決まる。高校野球はオッズが重要。普通にやったら優勝候補にみんな賭けるから、ハンデをつけて賭場のバランスを取るんだ」(同) もちろん、ここでも賭けるのは好きな球団や高校ではない。変に情が入れば、それは“丸負け”を意味する。野球賭博をやるヤクザはひいきのチームを作ることさえ許されない。 野球を純粋な気持ちで見るためには、野球賭博から足を洗う必要があるようだ。 取材・文/島田拓 集英社オンライン編集部ニュース班
草野球をやるヤクザもいるかだって? 基本的に子供とキャッチボールをしたり、バッティングセンターに行くくらいだろう。草野球チームに入ってるヤツもいるだろうが、おおっぴらにできた昔と違って今はバレたら辞めさせられるから素性は隠していると思う。だから入れ墨があるやつは夏でも長袖を着て隠しているはずだ」
長袖なら入れ墨もバレない?(写真はイメージです) カタギの野球チームに入りにくいなら全員ヤクザでチームを作るしかないが、そうするとまた別の問題が浮上する。 「ヤクザでメンバーを集めたら敵対する組織の者が入ってくる可能性もある。組織内でチームを組んで他の組のチームと試合をしたら、そのまま乱闘になるよ」(同組員) そう言って組員は笑うが、実際に元ヤクザだらけのソフトボールチームもある。 2月14日に、かの『ニューヨーク・タイムス』の一面で特集された「竜友会」だ。葛飾区ソフトボール連盟に加盟する、優勝経験もある強豪チームは、メンバーのうち約30人が元ヤクザだと紙面で紹介された。 2012年に結成され、入部条件は現役のヤクザでないことを証明する「破門状」のみ。チームメイトには現役時代は敵対組織にいたメンバーもおり、彼らの懲役を合計すると87年だ。 だがこれは非常に稀な例。暴力団を抜けても、世間の目は厳しく、ほとんどのヤクザや元ヤクザが興じるのは、チームスポーツよりもゴルフのような個人スポーツだそうだ。 WBCでも盛り上がった野球賭博 スポーツには勝ち負けがある。勝ち負けがあれば、そこにはつきものがある。 「WBCはもうすごかった。すごく盛り上がった」 そう話すのは、ある暴力団組織の幹部だ。盛り上がったのは応援ではない。野球賭博だ。 「賭博というのは胴元が儲かるようになっているから俺はやらなかったけど、みんなバンバン賭けていた。それでも『大谷がいるから』といったミーハーな理由で日本に賭けるヤツはいない」 彼らも日本人。心情的には日本を応援したいところだろうし、そもそも日本は強豪だ。それでも日本に賭けなかった理由がある。 「強いチームAと弱いチームBが試合をすれば、当然Aに賭ける人が集中して勝負が成立しない。だから野球賭博は試合ごとに“ハンデ”がつけられる。このハンデとゲームの点差から配当が決まる」(同幹部) ヤクザたちを(賭博で)大いに盛り上がらせてしまった侍ジャパン たとえば、Bにハンデが「2」つけば、下馬評が高いAが1点差で勝利しても、Bに賭けていた人の勝ちとなる。力の差が大きい高校野球と違い、プロ野球では2点以内のハンデがつけられることが多いが、史上最強と言われた侍ジャパンにはハンデが「4.5」もつけられた試合も。 さらに、メキシコにサヨナラ勝ちした影響か、決勝ではなんとあの最強アメリカに「0.5」のハンデがついたそうだ。 「それでアメリカ有利とみて損したやつがたくさんいた」(同幹部) プロ野球、高校野球では…? これがプロ野球だとハンデはさらに細かくつく。戦力差やその日の先発ピッチャーなどによって変わるが、つけ方が複雑でこの幹部もわからないらしい。ハンデをつけているのはいったい誰なのか。 「プロのハンデ師がいる。たぶん胴元の上層部とつながってる元プロ野球の選手だな」 配当は「3分負け」「7分勝ち」「丸勝ち」「丸負け」などと分けられ、ハンデもさらに細かく「1半2」「1半3」といったものもある。説明は割愛するが、いずれも胴元が儲かりやすくなる仕組みとなっているらしい。 「1日1000万以上賭ける者もいる。勝った分は胴元に取り置きし、次の試合に賭ける。取り置きは原則1週間。客と胴元とに信頼関係があるから成り立つわけだ」(同幹部) また、「プロ野球より高校野球のほうが盛り上がる」と語るのは、自身で高校野球賭博を開いたことのある別の幹部だ。 「甲子園の全出場校を8つの枠にランダムに割り振って枠順を決め、優勝と準優勝の枠を予想する。競馬と同じで枠連や単勝はあるが、3連単はない。みんな枠順の紙と赤ペンを持って熱心に予想しているよ」 ピュアな高校野球もヤクザにかかれば賭場へと変わる(写真はイメージです) 多くの組でやっているという野球賭博だが、摘発される件数はそう多くはない。その理由を警視庁の組織犯罪対策四課の元刑事は「野球賭博は違法カジノのような物理的な賭場がない。バカラやルーレットと違ってどこででもできる。1試合で賭ける人間も数人から多くても十数人ほど。最近はSNSやオンラインで賭けたりするから、実態がつかめない」と話す。 1口1000円で10口から掛けられるケースが多く、集まった金額の3割は胴元が取るという。 「100万集まれば30万が胴元、70万の掛金で配当が決まる。高校野球はオッズが重要。普通にやったら優勝候補にみんな賭けるから、ハンデをつけて賭場のバランスを取るんだ」(同) もちろん、ここでも賭けるのは好きな球団や高校ではない。変に情が入れば、それは“丸負け”を意味する。野球賭博をやるヤクザはひいきのチームを作ることさえ許されない。 野球を純粋な気持ちで見るためには、野球賭博から足を洗う必要があるようだ。 取材・文/島田拓 集英社オンライン編集部ニュース班
長袖なら入れ墨もバレない?(写真はイメージです) カタギの野球チームに入りにくいなら全員ヤクザでチームを作るしかないが、そうするとまた別の問題が浮上する。 「ヤクザでメンバーを集めたら敵対する組織の者が入ってくる可能性もある。組織内でチームを組んで他の組のチームと試合をしたら、そのまま乱闘になるよ」(同組員) そう言って組員は笑うが、実際に元ヤクザだらけのソフトボールチームもある。 2月14日に、かの『ニューヨーク・タイムス』の一面で特集された「竜友会」だ。葛飾区ソフトボール連盟に加盟する、優勝経験もある強豪チームは、メンバーのうち約30人が元ヤクザだと紙面で紹介された。 2012年に結成され、入部条件は現役のヤクザでないことを証明する「破門状」のみ。チームメイトには現役時代は敵対組織にいたメンバーもおり、彼らの懲役を合計すると87年だ。 だがこれは非常に稀な例。暴力団を抜けても、世間の目は厳しく、ほとんどのヤクザや元ヤクザが興じるのは、チームスポーツよりもゴルフのような個人スポーツだそうだ。 WBCでも盛り上がった野球賭博 スポーツには勝ち負けがある。勝ち負けがあれば、そこにはつきものがある。 「WBCはもうすごかった。すごく盛り上がった」 そう話すのは、ある暴力団組織の幹部だ。盛り上がったのは応援ではない。野球賭博だ。 「賭博というのは胴元が儲かるようになっているから俺はやらなかったけど、みんなバンバン賭けていた。それでも『大谷がいるから』といったミーハーな理由で日本に賭けるヤツはいない」 彼らも日本人。心情的には日本を応援したいところだろうし、そもそも日本は強豪だ。それでも日本に賭けなかった理由がある。 「強いチームAと弱いチームBが試合をすれば、当然Aに賭ける人が集中して勝負が成立しない。だから野球賭博は試合ごとに“ハンデ”がつけられる。このハンデとゲームの点差から配当が決まる」(同幹部) ヤクザたちを(賭博で)大いに盛り上がらせてしまった侍ジャパン たとえば、Bにハンデが「2」つけば、下馬評が高いAが1点差で勝利しても、Bに賭けていた人の勝ちとなる。力の差が大きい高校野球と違い、プロ野球では2点以内のハンデがつけられることが多いが、史上最強と言われた侍ジャパンにはハンデが「4.5」もつけられた試合も。 さらに、メキシコにサヨナラ勝ちした影響か、決勝ではなんとあの最強アメリカに「0.5」のハンデがついたそうだ。 「それでアメリカ有利とみて損したやつがたくさんいた」(同幹部) プロ野球、高校野球では…? これがプロ野球だとハンデはさらに細かくつく。戦力差やその日の先発ピッチャーなどによって変わるが、つけ方が複雑でこの幹部もわからないらしい。ハンデをつけているのはいったい誰なのか。 「プロのハンデ師がいる。たぶん胴元の上層部とつながってる元プロ野球の選手だな」 配当は「3分負け」「7分勝ち」「丸勝ち」「丸負け」などと分けられ、ハンデもさらに細かく「1半2」「1半3」といったものもある。説明は割愛するが、いずれも胴元が儲かりやすくなる仕組みとなっているらしい。 「1日1000万以上賭ける者もいる。勝った分は胴元に取り置きし、次の試合に賭ける。取り置きは原則1週間。客と胴元とに信頼関係があるから成り立つわけだ」(同幹部) また、「プロ野球より高校野球のほうが盛り上がる」と語るのは、自身で高校野球賭博を開いたことのある別の幹部だ。 「甲子園の全出場校を8つの枠にランダムに割り振って枠順を決め、優勝と準優勝の枠を予想する。競馬と同じで枠連や単勝はあるが、3連単はない。みんな枠順の紙と赤ペンを持って熱心に予想しているよ」 ピュアな高校野球もヤクザにかかれば賭場へと変わる(写真はイメージです) 多くの組でやっているという野球賭博だが、摘発される件数はそう多くはない。その理由を警視庁の組織犯罪対策四課の元刑事は「野球賭博は違法カジノのような物理的な賭場がない。バカラやルーレットと違ってどこででもできる。1試合で賭ける人間も数人から多くても十数人ほど。最近はSNSやオンラインで賭けたりするから、実態がつかめない」と話す。 1口1000円で10口から掛けられるケースが多く、集まった金額の3割は胴元が取るという。 「100万集まれば30万が胴元、70万の掛金で配当が決まる。高校野球はオッズが重要。普通にやったら優勝候補にみんな賭けるから、ハンデをつけて賭場のバランスを取るんだ」(同) もちろん、ここでも賭けるのは好きな球団や高校ではない。変に情が入れば、それは“丸負け”を意味する。野球賭博をやるヤクザはひいきのチームを作ることさえ許されない。 野球を純粋な気持ちで見るためには、野球賭博から足を洗う必要があるようだ。 取材・文/島田拓 集英社オンライン編集部ニュース班
長袖なら入れ墨もバレない?(写真はイメージです)
長袖なら入れ墨もバレない?(写真はイメージです)

カタギの野球チームに入りにくいなら全員ヤクザでチームを作るしかないが、そうするとまた別の問題が浮上する。 「ヤクザでメンバーを集めたら敵対する組織の者が入ってくる可能性もある。組織内でチームを組んで他の組のチームと試合をしたら、そのまま乱闘になるよ」(同組員) そう言って組員は笑うが、実際に元ヤクザだらけのソフトボールチームもある。 2月14日に、かの『ニューヨーク・タイムス』の一面で特集された「竜友会」だ。葛飾区ソフトボール連盟に加盟する、優勝経験もある強豪チームは、メンバーのうち約30人が元ヤクザだと紙面で紹介された。 2012年に結成され、入部条件は現役のヤクザでないことを証明する「破門状」のみ。チームメイトには現役時代は敵対組織にいたメンバーもおり、彼らの懲役を合計すると87年だ。 だがこれは非常に稀な例。暴力団を抜けても、世間の目は厳しく、ほとんどのヤクザや元ヤクザが興じるのは、チームスポーツよりもゴルフのような個人スポーツだそうだ。 WBCでも盛り上がった野球賭博 スポーツには勝ち負けがある。勝ち負けがあれば、そこにはつきものがある。 「WBCはもうすごかった。すごく盛り上がった」 そう話すのは、ある暴力団組織の幹部だ。盛り上がったのは応援ではない。野球賭博だ。 「賭博というのは胴元が儲かるようになっているから俺はやらなかったけど、みんなバンバン賭けていた。それでも『大谷がいるから』といったミーハーな理由で日本に賭けるヤツはいない」 彼らも日本人。心情的には日本を応援したいところだろうし、そもそも日本は強豪だ。それでも日本に賭けなかった理由がある。 「強いチームAと弱いチームBが試合をすれば、当然Aに賭ける人が集中して勝負が成立しない。だから野球賭博は試合ごとに“ハンデ”がつけられる。このハンデとゲームの点差から配当が決まる」(同幹部) ヤクザたちを(賭博で)大いに盛り上がらせてしまった侍ジャパン たとえば、Bにハンデが「2」つけば、下馬評が高いAが1点差で勝利しても、Bに賭けていた人の勝ちとなる。力の差が大きい高校野球と違い、プロ野球では2点以内のハンデがつけられることが多いが、史上最強と言われた侍ジャパンにはハンデが「4.5」もつけられた試合も。 さらに、メキシコにサヨナラ勝ちした影響か、決勝ではなんとあの最強アメリカに「0.5」のハンデがついたそうだ。 「それでアメリカ有利とみて損したやつがたくさんいた」(同幹部) プロ野球、高校野球では…? これがプロ野球だとハンデはさらに細かくつく。戦力差やその日の先発ピッチャーなどによって変わるが、つけ方が複雑でこの幹部もわからないらしい。ハンデをつけているのはいったい誰なのか。 「プロのハンデ師がいる。たぶん胴元の上層部とつながってる元プロ野球の選手だな」 配当は「3分負け」「7分勝ち」「丸勝ち」「丸負け」などと分けられ、ハンデもさらに細かく「1半2」「1半3」といったものもある。説明は割愛するが、いずれも胴元が儲かりやすくなる仕組みとなっているらしい。 「1日1000万以上賭ける者もいる。勝った分は胴元に取り置きし、次の試合に賭ける。取り置きは原則1週間。客と胴元とに信頼関係があるから成り立つわけだ」(同幹部) また、「プロ野球より高校野球のほうが盛り上がる」と語るのは、自身で高校野球賭博を開いたことのある別の幹部だ。 「甲子園の全出場校を8つの枠にランダムに割り振って枠順を決め、優勝と準優勝の枠を予想する。競馬と同じで枠連や単勝はあるが、3連単はない。みんな枠順の紙と赤ペンを持って熱心に予想しているよ」 ピュアな高校野球もヤクザにかかれば賭場へと変わる(写真はイメージです) 多くの組でやっているという野球賭博だが、摘発される件数はそう多くはない。その理由を警視庁の組織犯罪対策四課の元刑事は「野球賭博は違法カジノのような物理的な賭場がない。バカラやルーレットと違ってどこででもできる。1試合で賭ける人間も数人から多くても十数人ほど。最近はSNSやオンラインで賭けたりするから、実態がつかめない」と話す。 1口1000円で10口から掛けられるケースが多く、集まった金額の3割は胴元が取るという。 「100万集まれば30万が胴元、70万の掛金で配当が決まる。高校野球はオッズが重要。普通にやったら優勝候補にみんな賭けるから、ハンデをつけて賭場のバランスを取るんだ」(同) もちろん、ここでも賭けるのは好きな球団や高校ではない。変に情が入れば、それは“丸負け”を意味する。野球賭博をやるヤクザはひいきのチームを作ることさえ許されない。 野球を純粋な気持ちで見るためには、野球賭博から足を洗う必要があるようだ。 取材・文/島田拓 集英社オンライン編集部ニュース班
カタギの野球チームに入りにくいなら全員ヤクザでチームを作るしかないが、そうするとまた別の問題が浮上する。
「ヤクザでメンバーを集めたら敵対する組織の者が入ってくる可能性もある。組織内でチームを組んで他の組のチームと試合をしたら、そのまま乱闘になるよ」(同組員) そう言って組員は笑うが、実際に元ヤクザだらけのソフトボールチームもある。 2月14日に、かの『ニューヨーク・タイムス』の一面で特集された「竜友会」だ。葛飾区ソフトボール連盟に加盟する、優勝経験もある強豪チームは、メンバーのうち約30人が元ヤクザだと紙面で紹介された。 2012年に結成され、入部条件は現役のヤクザでないことを証明する「破門状」のみ。チームメイトには現役時代は敵対組織にいたメンバーもおり、彼らの懲役を合計すると87年だ。 だがこれは非常に稀な例。暴力団を抜けても、世間の目は厳しく、ほとんどのヤクザや元ヤクザが興じるのは、チームスポーツよりもゴルフのような個人スポーツだそうだ。 WBCでも盛り上がった野球賭博 スポーツには勝ち負けがある。勝ち負けがあれば、そこにはつきものがある。 「WBCはもうすごかった。すごく盛り上がった」 そう話すのは、ある暴力団組織の幹部だ。盛り上がったのは応援ではない。野球賭博だ。 「賭博というのは胴元が儲かるようになっているから俺はやらなかったけど、みんなバンバン賭けていた。それでも『大谷がいるから』といったミーハーな理由で日本に賭けるヤツはいない」 彼らも日本人。心情的には日本を応援したいところだろうし、そもそも日本は強豪だ。それでも日本に賭けなかった理由がある。 「強いチームAと弱いチームBが試合をすれば、当然Aに賭ける人が集中して勝負が成立しない。だから野球賭博は試合ごとに“ハンデ”がつけられる。このハンデとゲームの点差から配当が決まる」(同幹部) ヤクザたちを(賭博で)大いに盛り上がらせてしまった侍ジャパン たとえば、Bにハンデが「2」つけば、下馬評が高いAが1点差で勝利しても、Bに賭けていた人の勝ちとなる。力の差が大きい高校野球と違い、プロ野球では2点以内のハンデがつけられることが多いが、史上最強と言われた侍ジャパンにはハンデが「4.5」もつけられた試合も。 さらに、メキシコにサヨナラ勝ちした影響か、決勝ではなんとあの最強アメリカに「0.5」のハンデがついたそうだ。 「それでアメリカ有利とみて損したやつがたくさんいた」(同幹部) プロ野球、高校野球では…? これがプロ野球だとハンデはさらに細かくつく。戦力差やその日の先発ピッチャーなどによって変わるが、つけ方が複雑でこの幹部もわからないらしい。ハンデをつけているのはいったい誰なのか。 「プロのハンデ師がいる。たぶん胴元の上層部とつながってる元プロ野球の選手だな」 配当は「3分負け」「7分勝ち」「丸勝ち」「丸負け」などと分けられ、ハンデもさらに細かく「1半2」「1半3」といったものもある。説明は割愛するが、いずれも胴元が儲かりやすくなる仕組みとなっているらしい。 「1日1000万以上賭ける者もいる。勝った分は胴元に取り置きし、次の試合に賭ける。取り置きは原則1週間。客と胴元とに信頼関係があるから成り立つわけだ」(同幹部) また、「プロ野球より高校野球のほうが盛り上がる」と語るのは、自身で高校野球賭博を開いたことのある別の幹部だ。 「甲子園の全出場校を8つの枠にランダムに割り振って枠順を決め、優勝と準優勝の枠を予想する。競馬と同じで枠連や単勝はあるが、3連単はない。みんな枠順の紙と赤ペンを持って熱心に予想しているよ」 ピュアな高校野球もヤクザにかかれば賭場へと変わる(写真はイメージです) 多くの組でやっているという野球賭博だが、摘発される件数はそう多くはない。その理由を警視庁の組織犯罪対策四課の元刑事は「野球賭博は違法カジノのような物理的な賭場がない。バカラやルーレットと違ってどこででもできる。1試合で賭ける人間も数人から多くても十数人ほど。最近はSNSやオンラインで賭けたりするから、実態がつかめない」と話す。 1口1000円で10口から掛けられるケースが多く、集まった金額の3割は胴元が取るという。 「100万集まれば30万が胴元、70万の掛金で配当が決まる。高校野球はオッズが重要。普通にやったら優勝候補にみんな賭けるから、ハンデをつけて賭場のバランスを取るんだ」(同) もちろん、ここでも賭けるのは好きな球団や高校ではない。変に情が入れば、それは“丸負け”を意味する。野球賭博をやるヤクザはひいきのチームを作ることさえ許されない。 野球を純粋な気持ちで見るためには、野球賭博から足を洗う必要があるようだ。 取材・文/島田拓 集英社オンライン編集部ニュース班
「ヤクザでメンバーを集めたら敵対する組織の者が入ってくる可能性もある。組織内でチームを組んで他の組のチームと試合をしたら、そのまま乱闘になるよ」(同組員)
そう言って組員は笑うが、実際に元ヤクザだらけのソフトボールチームもある。 2月14日に、かの『ニューヨーク・タイムス』の一面で特集された「竜友会」だ。葛飾区ソフトボール連盟に加盟する、優勝経験もある強豪チームは、メンバーのうち約30人が元ヤクザだと紙面で紹介された。 2012年に結成され、入部条件は現役のヤクザでないことを証明する「破門状」のみ。チームメイトには現役時代は敵対組織にいたメンバーもおり、彼らの懲役を合計すると87年だ。 だがこれは非常に稀な例。暴力団を抜けても、世間の目は厳しく、ほとんどのヤクザや元ヤクザが興じるのは、チームスポーツよりもゴルフのような個人スポーツだそうだ。 WBCでも盛り上がった野球賭博 スポーツには勝ち負けがある。勝ち負けがあれば、そこにはつきものがある。 「WBCはもうすごかった。すごく盛り上がった」 そう話すのは、ある暴力団組織の幹部だ。盛り上がったのは応援ではない。野球賭博だ。 「賭博というのは胴元が儲かるようになっているから俺はやらなかったけど、みんなバンバン賭けていた。それでも『大谷がいるから』といったミーハーな理由で日本に賭けるヤツはいない」 彼らも日本人。心情的には日本を応援したいところだろうし、そもそも日本は強豪だ。それでも日本に賭けなかった理由がある。 「強いチームAと弱いチームBが試合をすれば、当然Aに賭ける人が集中して勝負が成立しない。だから野球賭博は試合ごとに“ハンデ”がつけられる。このハンデとゲームの点差から配当が決まる」(同幹部) ヤクザたちを(賭博で)大いに盛り上がらせてしまった侍ジャパン たとえば、Bにハンデが「2」つけば、下馬評が高いAが1点差で勝利しても、Bに賭けていた人の勝ちとなる。力の差が大きい高校野球と違い、プロ野球では2点以内のハンデがつけられることが多いが、史上最強と言われた侍ジャパンにはハンデが「4.5」もつけられた試合も。 さらに、メキシコにサヨナラ勝ちした影響か、決勝ではなんとあの最強アメリカに「0.5」のハンデがついたそうだ。 「それでアメリカ有利とみて損したやつがたくさんいた」(同幹部) プロ野球、高校野球では…? これがプロ野球だとハンデはさらに細かくつく。戦力差やその日の先発ピッチャーなどによって変わるが、つけ方が複雑でこの幹部もわからないらしい。ハンデをつけているのはいったい誰なのか。 「プロのハンデ師がいる。たぶん胴元の上層部とつながってる元プロ野球の選手だな」 配当は「3分負け」「7分勝ち」「丸勝ち」「丸負け」などと分けられ、ハンデもさらに細かく「1半2」「1半3」といったものもある。説明は割愛するが、いずれも胴元が儲かりやすくなる仕組みとなっているらしい。 「1日1000万以上賭ける者もいる。勝った分は胴元に取り置きし、次の試合に賭ける。取り置きは原則1週間。客と胴元とに信頼関係があるから成り立つわけだ」(同幹部) また、「プロ野球より高校野球のほうが盛り上がる」と語るのは、自身で高校野球賭博を開いたことのある別の幹部だ。 「甲子園の全出場校を8つの枠にランダムに割り振って枠順を決め、優勝と準優勝の枠を予想する。競馬と同じで枠連や単勝はあるが、3連単はない。みんな枠順の紙と赤ペンを持って熱心に予想しているよ」 ピュアな高校野球もヤクザにかかれば賭場へと変わる(写真はイメージです) 多くの組でやっているという野球賭博だが、摘発される件数はそう多くはない。その理由を警視庁の組織犯罪対策四課の元刑事は「野球賭博は違法カジノのような物理的な賭場がない。バカラやルーレットと違ってどこででもできる。1試合で賭ける人間も数人から多くても十数人ほど。最近はSNSやオンラインで賭けたりするから、実態がつかめない」と話す。 1口1000円で10口から掛けられるケースが多く、集まった金額の3割は胴元が取るという。 「100万集まれば30万が胴元、70万の掛金で配当が決まる。高校野球はオッズが重要。普通にやったら優勝候補にみんな賭けるから、ハンデをつけて賭場のバランスを取るんだ」(同) もちろん、ここでも賭けるのは好きな球団や高校ではない。変に情が入れば、それは“丸負け”を意味する。野球賭博をやるヤクザはひいきのチームを作ることさえ許されない。 野球を純粋な気持ちで見るためには、野球賭博から足を洗う必要があるようだ。 取材・文/島田拓 集英社オンライン編集部ニュース班
そう言って組員は笑うが、実際に元ヤクザだらけのソフトボールチームもある。
2月14日に、かの『ニューヨーク・タイムス』の一面で特集された「竜友会」だ。葛飾区ソフトボール連盟に加盟する、優勝経験もある強豪チームは、メンバーのうち約30人が元ヤクザだと紙面で紹介された。
2012年に結成され、入部条件は現役のヤクザでないことを証明する「破門状」のみ。チームメイトには現役時代は敵対組織にいたメンバーもおり、彼らの懲役を合計すると87年だ。
だがこれは非常に稀な例。暴力団を抜けても、世間の目は厳しく、ほとんどのヤクザや元ヤクザが興じるのは、チームスポーツよりもゴルフのような個人スポーツだそうだ。 WBCでも盛り上がった野球賭博 スポーツには勝ち負けがある。勝ち負けがあれば、そこにはつきものがある。 「WBCはもうすごかった。すごく盛り上がった」 そう話すのは、ある暴力団組織の幹部だ。盛り上がったのは応援ではない。野球賭博だ。 「賭博というのは胴元が儲かるようになっているから俺はやらなかったけど、みんなバンバン賭けていた。それでも『大谷がいるから』といったミーハーな理由で日本に賭けるヤツはいない」 彼らも日本人。心情的には日本を応援したいところだろうし、そもそも日本は強豪だ。それでも日本に賭けなかった理由がある。 「強いチームAと弱いチームBが試合をすれば、当然Aに賭ける人が集中して勝負が成立しない。だから野球賭博は試合ごとに“ハンデ”がつけられる。このハンデとゲームの点差から配当が決まる」(同幹部) ヤクザたちを(賭博で)大いに盛り上がらせてしまった侍ジャパン たとえば、Bにハンデが「2」つけば、下馬評が高いAが1点差で勝利しても、Bに賭けていた人の勝ちとなる。力の差が大きい高校野球と違い、プロ野球では2点以内のハンデがつけられることが多いが、史上最強と言われた侍ジャパンにはハンデが「4.5」もつけられた試合も。 さらに、メキシコにサヨナラ勝ちした影響か、決勝ではなんとあの最強アメリカに「0.5」のハンデがついたそうだ。 「それでアメリカ有利とみて損したやつがたくさんいた」(同幹部) プロ野球、高校野球では…? これがプロ野球だとハンデはさらに細かくつく。戦力差やその日の先発ピッチャーなどによって変わるが、つけ方が複雑でこの幹部もわからないらしい。ハンデをつけているのはいったい誰なのか。 「プロのハンデ師がいる。たぶん胴元の上層部とつながってる元プロ野球の選手だな」 配当は「3分負け」「7分勝ち」「丸勝ち」「丸負け」などと分けられ、ハンデもさらに細かく「1半2」「1半3」といったものもある。説明は割愛するが、いずれも胴元が儲かりやすくなる仕組みとなっているらしい。 「1日1000万以上賭ける者もいる。勝った分は胴元に取り置きし、次の試合に賭ける。取り置きは原則1週間。客と胴元とに信頼関係があるから成り立つわけだ」(同幹部) また、「プロ野球より高校野球のほうが盛り上がる」と語るのは、自身で高校野球賭博を開いたことのある別の幹部だ。 「甲子園の全出場校を8つの枠にランダムに割り振って枠順を決め、優勝と準優勝の枠を予想する。競馬と同じで枠連や単勝はあるが、3連単はない。みんな枠順の紙と赤ペンを持って熱心に予想しているよ」 ピュアな高校野球もヤクザにかかれば賭場へと変わる(写真はイメージです) 多くの組でやっているという野球賭博だが、摘発される件数はそう多くはない。その理由を警視庁の組織犯罪対策四課の元刑事は「野球賭博は違法カジノのような物理的な賭場がない。バカラやルーレットと違ってどこででもできる。1試合で賭ける人間も数人から多くても十数人ほど。最近はSNSやオンラインで賭けたりするから、実態がつかめない」と話す。 1口1000円で10口から掛けられるケースが多く、集まった金額の3割は胴元が取るという。 「100万集まれば30万が胴元、70万の掛金で配当が決まる。高校野球はオッズが重要。普通にやったら優勝候補にみんな賭けるから、ハンデをつけて賭場のバランスを取るんだ」(同) もちろん、ここでも賭けるのは好きな球団や高校ではない。変に情が入れば、それは“丸負け”を意味する。野球賭博をやるヤクザはひいきのチームを作ることさえ許されない。 野球を純粋な気持ちで見るためには、野球賭博から足を洗う必要があるようだ。 取材・文/島田拓 集英社オンライン編集部ニュース班
だがこれは非常に稀な例。暴力団を抜けても、世間の目は厳しく、ほとんどのヤクザや元ヤクザが興じるのは、チームスポーツよりもゴルフのような個人スポーツだそうだ。
WBCでも盛り上がった野球賭博 スポーツには勝ち負けがある。勝ち負けがあれば、そこにはつきものがある。 「WBCはもうすごかった。すごく盛り上がった」 そう話すのは、ある暴力団組織の幹部だ。盛り上がったのは応援ではない。野球賭博だ。 「賭博というのは胴元が儲かるようになっているから俺はやらなかったけど、みんなバンバン賭けていた。それでも『大谷がいるから』といったミーハーな理由で日本に賭けるヤツはいない」 彼らも日本人。心情的には日本を応援したいところだろうし、そもそも日本は強豪だ。それでも日本に賭けなかった理由がある。 「強いチームAと弱いチームBが試合をすれば、当然Aに賭ける人が集中して勝負が成立しない。だから野球賭博は試合ごとに“ハンデ”がつけられる。このハンデとゲームの点差から配当が決まる」(同幹部) ヤクザたちを(賭博で)大いに盛り上がらせてしまった侍ジャパン たとえば、Bにハンデが「2」つけば、下馬評が高いAが1点差で勝利しても、Bに賭けていた人の勝ちとなる。力の差が大きい高校野球と違い、プロ野球では2点以内のハンデがつけられることが多いが、史上最強と言われた侍ジャパンにはハンデが「4.5」もつけられた試合も。 さらに、メキシコにサヨナラ勝ちした影響か、決勝ではなんとあの最強アメリカに「0.5」のハンデがついたそうだ。 「それでアメリカ有利とみて損したやつがたくさんいた」(同幹部) プロ野球、高校野球では…? これがプロ野球だとハンデはさらに細かくつく。戦力差やその日の先発ピッチャーなどによって変わるが、つけ方が複雑でこの幹部もわからないらしい。ハンデをつけているのはいったい誰なのか。 「プロのハンデ師がいる。たぶん胴元の上層部とつながってる元プロ野球の選手だな」 配当は「3分負け」「7分勝ち」「丸勝ち」「丸負け」などと分けられ、ハンデもさらに細かく「1半2」「1半3」といったものもある。説明は割愛するが、いずれも胴元が儲かりやすくなる仕組みとなっているらしい。 「1日1000万以上賭ける者もいる。勝った分は胴元に取り置きし、次の試合に賭ける。取り置きは原則1週間。客と胴元とに信頼関係があるから成り立つわけだ」(同幹部) また、「プロ野球より高校野球のほうが盛り上がる」と語るのは、自身で高校野球賭博を開いたことのある別の幹部だ。 「甲子園の全出場校を8つの枠にランダムに割り振って枠順を決め、優勝と準優勝の枠を予想する。競馬と同じで枠連や単勝はあるが、3連単はない。みんな枠順の紙と赤ペンを持って熱心に予想しているよ」 ピュアな高校野球もヤクザにかかれば賭場へと変わる(写真はイメージです) 多くの組でやっているという野球賭博だが、摘発される件数はそう多くはない。その理由を警視庁の組織犯罪対策四課の元刑事は「野球賭博は違法カジノのような物理的な賭場がない。バカラやルーレットと違ってどこででもできる。1試合で賭ける人間も数人から多くても十数人ほど。最近はSNSやオンラインで賭けたりするから、実態がつかめない」と話す。 1口1000円で10口から掛けられるケースが多く、集まった金額の3割は胴元が取るという。 「100万集まれば30万が胴元、70万の掛金で配当が決まる。高校野球はオッズが重要。普通にやったら優勝候補にみんな賭けるから、ハンデをつけて賭場のバランスを取るんだ」(同) もちろん、ここでも賭けるのは好きな球団や高校ではない。変に情が入れば、それは“丸負け”を意味する。野球賭博をやるヤクザはひいきのチームを作ることさえ許されない。 野球を純粋な気持ちで見るためには、野球賭博から足を洗う必要があるようだ。 取材・文/島田拓 集英社オンライン編集部ニュース班
WBCでも盛り上がった野球賭博 スポーツには勝ち負けがある。勝ち負けがあれば、そこにはつきものがある。 「WBCはもうすごかった。すごく盛り上がった」 そう話すのは、ある暴力団組織の幹部だ。盛り上がったのは応援ではない。野球賭博だ。 「賭博というのは胴元が儲かるようになっているから俺はやらなかったけど、みんなバンバン賭けていた。それでも『大谷がいるから』といったミーハーな理由で日本に賭けるヤツはいない」 彼らも日本人。心情的には日本を応援したいところだろうし、そもそも日本は強豪だ。それでも日本に賭けなかった理由がある。 「強いチームAと弱いチームBが試合をすれば、当然Aに賭ける人が集中して勝負が成立しない。だから野球賭博は試合ごとに“ハンデ”がつけられる。このハンデとゲームの点差から配当が決まる」(同幹部) ヤクザたちを(賭博で)大いに盛り上がらせてしまった侍ジャパン たとえば、Bにハンデが「2」つけば、下馬評が高いAが1点差で勝利しても、Bに賭けていた人の勝ちとなる。力の差が大きい高校野球と違い、プロ野球では2点以内のハンデがつけられることが多いが、史上最強と言われた侍ジャパンにはハンデが「4.5」もつけられた試合も。 さらに、メキシコにサヨナラ勝ちした影響か、決勝ではなんとあの最強アメリカに「0.5」のハンデがついたそうだ。 「それでアメリカ有利とみて損したやつがたくさんいた」(同幹部) プロ野球、高校野球では…? これがプロ野球だとハンデはさらに細かくつく。戦力差やその日の先発ピッチャーなどによって変わるが、つけ方が複雑でこの幹部もわからないらしい。ハンデをつけているのはいったい誰なのか。 「プロのハンデ師がいる。たぶん胴元の上層部とつながってる元プロ野球の選手だな」 配当は「3分負け」「7分勝ち」「丸勝ち」「丸負け」などと分けられ、ハンデもさらに細かく「1半2」「1半3」といったものもある。説明は割愛するが、いずれも胴元が儲かりやすくなる仕組みとなっているらしい。 「1日1000万以上賭ける者もいる。勝った分は胴元に取り置きし、次の試合に賭ける。取り置きは原則1週間。客と胴元とに信頼関係があるから成り立つわけだ」(同幹部) また、「プロ野球より高校野球のほうが盛り上がる」と語るのは、自身で高校野球賭博を開いたことのある別の幹部だ。 「甲子園の全出場校を8つの枠にランダムに割り振って枠順を決め、優勝と準優勝の枠を予想する。競馬と同じで枠連や単勝はあるが、3連単はない。みんな枠順の紙と赤ペンを持って熱心に予想しているよ」 ピュアな高校野球もヤクザにかかれば賭場へと変わる(写真はイメージです) 多くの組でやっているという野球賭博だが、摘発される件数はそう多くはない。その理由を警視庁の組織犯罪対策四課の元刑事は「野球賭博は違法カジノのような物理的な賭場がない。バカラやルーレットと違ってどこででもできる。1試合で賭ける人間も数人から多くても十数人ほど。最近はSNSやオンラインで賭けたりするから、実態がつかめない」と話す。 1口1000円で10口から掛けられるケースが多く、集まった金額の3割は胴元が取るという。 「100万集まれば30万が胴元、70万の掛金で配当が決まる。高校野球はオッズが重要。普通にやったら優勝候補にみんな賭けるから、ハンデをつけて賭場のバランスを取るんだ」(同) もちろん、ここでも賭けるのは好きな球団や高校ではない。変に情が入れば、それは“丸負け”を意味する。野球賭博をやるヤクザはひいきのチームを作ることさえ許されない。 野球を純粋な気持ちで見るためには、野球賭博から足を洗う必要があるようだ。 取材・文/島田拓 集英社オンライン編集部ニュース班
スポーツには勝ち負けがある。勝ち負けがあれば、そこにはつきものがある。 「WBCはもうすごかった。すごく盛り上がった」 そう話すのは、ある暴力団組織の幹部だ。盛り上がったのは応援ではない。野球賭博だ。 「賭博というのは胴元が儲かるようになっているから俺はやらなかったけど、みんなバンバン賭けていた。それでも『大谷がいるから』といったミーハーな理由で日本に賭けるヤツはいない」 彼らも日本人。心情的には日本を応援したいところだろうし、そもそも日本は強豪だ。それでも日本に賭けなかった理由がある。 「強いチームAと弱いチームBが試合をすれば、当然Aに賭ける人が集中して勝負が成立しない。だから野球賭博は試合ごとに“ハンデ”がつけられる。このハンデとゲームの点差から配当が決まる」(同幹部) ヤクザたちを(賭博で)大いに盛り上がらせてしまった侍ジャパン たとえば、Bにハンデが「2」つけば、下馬評が高いAが1点差で勝利しても、Bに賭けていた人の勝ちとなる。力の差が大きい高校野球と違い、プロ野球では2点以内のハンデがつけられることが多いが、史上最強と言われた侍ジャパンにはハンデが「4.5」もつけられた試合も。 さらに、メキシコにサヨナラ勝ちした影響か、決勝ではなんとあの最強アメリカに「0.5」のハンデがついたそうだ。 「それでアメリカ有利とみて損したやつがたくさんいた」(同幹部) プロ野球、高校野球では…? これがプロ野球だとハンデはさらに細かくつく。戦力差やその日の先発ピッチャーなどによって変わるが、つけ方が複雑でこの幹部もわからないらしい。ハンデをつけているのはいったい誰なのか。 「プロのハンデ師がいる。たぶん胴元の上層部とつながってる元プロ野球の選手だな」 配当は「3分負け」「7分勝ち」「丸勝ち」「丸負け」などと分けられ、ハンデもさらに細かく「1半2」「1半3」といったものもある。説明は割愛するが、いずれも胴元が儲かりやすくなる仕組みとなっているらしい。 「1日1000万以上賭ける者もいる。勝った分は胴元に取り置きし、次の試合に賭ける。取り置きは原則1週間。客と胴元とに信頼関係があるから成り立つわけだ」(同幹部) また、「プロ野球より高校野球のほうが盛り上がる」と語るのは、自身で高校野球賭博を開いたことのある別の幹部だ。 「甲子園の全出場校を8つの枠にランダムに割り振って枠順を決め、優勝と準優勝の枠を予想する。競馬と同じで枠連や単勝はあるが、3連単はない。みんな枠順の紙と赤ペンを持って熱心に予想しているよ」 ピュアな高校野球もヤクザにかかれば賭場へと変わる(写真はイメージです) 多くの組でやっているという野球賭博だが、摘発される件数はそう多くはない。その理由を警視庁の組織犯罪対策四課の元刑事は「野球賭博は違法カジノのような物理的な賭場がない。バカラやルーレットと違ってどこででもできる。1試合で賭ける人間も数人から多くても十数人ほど。最近はSNSやオンラインで賭けたりするから、実態がつかめない」と話す。 1口1000円で10口から掛けられるケースが多く、集まった金額の3割は胴元が取るという。 「100万集まれば30万が胴元、70万の掛金で配当が決まる。高校野球はオッズが重要。普通にやったら優勝候補にみんな賭けるから、ハンデをつけて賭場のバランスを取るんだ」(同) もちろん、ここでも賭けるのは好きな球団や高校ではない。変に情が入れば、それは“丸負け”を意味する。野球賭博をやるヤクザはひいきのチームを作ることさえ許されない。 野球を純粋な気持ちで見るためには、野球賭博から足を洗う必要があるようだ。 取材・文/島田拓 集英社オンライン編集部ニュース班
スポーツには勝ち負けがある。勝ち負けがあれば、そこにはつきものがある。
「WBCはもうすごかった。すごく盛り上がった」 そう話すのは、ある暴力団組織の幹部だ。盛り上がったのは応援ではない。野球賭博だ。 「賭博というのは胴元が儲かるようになっているから俺はやらなかったけど、みんなバンバン賭けていた。それでも『大谷がいるから』といったミーハーな理由で日本に賭けるヤツはいない」 彼らも日本人。心情的には日本を応援したいところだろうし、そもそも日本は強豪だ。それでも日本に賭けなかった理由がある。 「強いチームAと弱いチームBが試合をすれば、当然Aに賭ける人が集中して勝負が成立しない。だから野球賭博は試合ごとに“ハンデ”がつけられる。このハンデとゲームの点差から配当が決まる」(同幹部) ヤクザたちを(賭博で)大いに盛り上がらせてしまった侍ジャパン たとえば、Bにハンデが「2」つけば、下馬評が高いAが1点差で勝利しても、Bに賭けていた人の勝ちとなる。力の差が大きい高校野球と違い、プロ野球では2点以内のハンデがつけられることが多いが、史上最強と言われた侍ジャパンにはハンデが「4.5」もつけられた試合も。 さらに、メキシコにサヨナラ勝ちした影響か、決勝ではなんとあの最強アメリカに「0.5」のハンデがついたそうだ。 「それでアメリカ有利とみて損したやつがたくさんいた」(同幹部) プロ野球、高校野球では…? これがプロ野球だとハンデはさらに細かくつく。戦力差やその日の先発ピッチャーなどによって変わるが、つけ方が複雑でこの幹部もわからないらしい。ハンデをつけているのはいったい誰なのか。 「プロのハンデ師がいる。たぶん胴元の上層部とつながってる元プロ野球の選手だな」 配当は「3分負け」「7分勝ち」「丸勝ち」「丸負け」などと分けられ、ハンデもさらに細かく「1半2」「1半3」といったものもある。説明は割愛するが、いずれも胴元が儲かりやすくなる仕組みとなっているらしい。 「1日1000万以上賭ける者もいる。勝った分は胴元に取り置きし、次の試合に賭ける。取り置きは原則1週間。客と胴元とに信頼関係があるから成り立つわけだ」(同幹部) また、「プロ野球より高校野球のほうが盛り上がる」と語るのは、自身で高校野球賭博を開いたことのある別の幹部だ。 「甲子園の全出場校を8つの枠にランダムに割り振って枠順を決め、優勝と準優勝の枠を予想する。競馬と同じで枠連や単勝はあるが、3連単はない。みんな枠順の紙と赤ペンを持って熱心に予想しているよ」 ピュアな高校野球もヤクザにかかれば賭場へと変わる(写真はイメージです) 多くの組でやっているという野球賭博だが、摘発される件数はそう多くはない。その理由を警視庁の組織犯罪対策四課の元刑事は「野球賭博は違法カジノのような物理的な賭場がない。バカラやルーレットと違ってどこででもできる。1試合で賭ける人間も数人から多くても十数人ほど。最近はSNSやオンラインで賭けたりするから、実態がつかめない」と話す。 1口1000円で10口から掛けられるケースが多く、集まった金額の3割は胴元が取るという。 「100万集まれば30万が胴元、70万の掛金で配当が決まる。高校野球はオッズが重要。普通にやったら優勝候補にみんな賭けるから、ハンデをつけて賭場のバランスを取るんだ」(同) もちろん、ここでも賭けるのは好きな球団や高校ではない。変に情が入れば、それは“丸負け”を意味する。野球賭博をやるヤクザはひいきのチームを作ることさえ許されない。 野球を純粋な気持ちで見るためには、野球賭博から足を洗う必要があるようだ。 取材・文/島田拓 集英社オンライン編集部ニュース班
「WBCはもうすごかった。すごく盛り上がった」
そう話すのは、ある暴力団組織の幹部だ。盛り上がったのは応援ではない。野球賭博だ。 「賭博というのは胴元が儲かるようになっているから俺はやらなかったけど、みんなバンバン賭けていた。それでも『大谷がいるから』といったミーハーな理由で日本に賭けるヤツはいない」 彼らも日本人。心情的には日本を応援したいところだろうし、そもそも日本は強豪だ。それでも日本に賭けなかった理由がある。 「強いチームAと弱いチームBが試合をすれば、当然Aに賭ける人が集中して勝負が成立しない。だから野球賭博は試合ごとに“ハンデ”がつけられる。このハンデとゲームの点差から配当が決まる」(同幹部) ヤクザたちを(賭博で)大いに盛り上がらせてしまった侍ジャパン たとえば、Bにハンデが「2」つけば、下馬評が高いAが1点差で勝利しても、Bに賭けていた人の勝ちとなる。力の差が大きい高校野球と違い、プロ野球では2点以内のハンデがつけられることが多いが、史上最強と言われた侍ジャパンにはハンデが「4.5」もつけられた試合も。 さらに、メキシコにサヨナラ勝ちした影響か、決勝ではなんとあの最強アメリカに「0.5」のハンデがついたそうだ。 「それでアメリカ有利とみて損したやつがたくさんいた」(同幹部) プロ野球、高校野球では…? これがプロ野球だとハンデはさらに細かくつく。戦力差やその日の先発ピッチャーなどによって変わるが、つけ方が複雑でこの幹部もわからないらしい。ハンデをつけているのはいったい誰なのか。 「プロのハンデ師がいる。たぶん胴元の上層部とつながってる元プロ野球の選手だな」 配当は「3分負け」「7分勝ち」「丸勝ち」「丸負け」などと分けられ、ハンデもさらに細かく「1半2」「1半3」といったものもある。説明は割愛するが、いずれも胴元が儲かりやすくなる仕組みとなっているらしい。 「1日1000万以上賭ける者もいる。勝った分は胴元に取り置きし、次の試合に賭ける。取り置きは原則1週間。客と胴元とに信頼関係があるから成り立つわけだ」(同幹部) また、「プロ野球より高校野球のほうが盛り上がる」と語るのは、自身で高校野球賭博を開いたことのある別の幹部だ。 「甲子園の全出場校を8つの枠にランダムに割り振って枠順を決め、優勝と準優勝の枠を予想する。競馬と同じで枠連や単勝はあるが、3連単はない。みんな枠順の紙と赤ペンを持って熱心に予想しているよ」 ピュアな高校野球もヤクザにかかれば賭場へと変わる(写真はイメージです) 多くの組でやっているという野球賭博だが、摘発される件数はそう多くはない。その理由を警視庁の組織犯罪対策四課の元刑事は「野球賭博は違法カジノのような物理的な賭場がない。バカラやルーレットと違ってどこででもできる。1試合で賭ける人間も数人から多くても十数人ほど。最近はSNSやオンラインで賭けたりするから、実態がつかめない」と話す。 1口1000円で10口から掛けられるケースが多く、集まった金額の3割は胴元が取るという。 「100万集まれば30万が胴元、70万の掛金で配当が決まる。高校野球はオッズが重要。普通にやったら優勝候補にみんな賭けるから、ハンデをつけて賭場のバランスを取るんだ」(同) もちろん、ここでも賭けるのは好きな球団や高校ではない。変に情が入れば、それは“丸負け”を意味する。野球賭博をやるヤクザはひいきのチームを作ることさえ許されない。 野球を純粋な気持ちで見るためには、野球賭博から足を洗う必要があるようだ。 取材・文/島田拓 集英社オンライン編集部ニュース班
そう話すのは、ある暴力団組織の幹部だ。盛り上がったのは応援ではない。野球賭博だ。
「賭博というのは胴元が儲かるようになっているから俺はやらなかったけど、みんなバンバン賭けていた。それでも『大谷がいるから』といったミーハーな理由で日本に賭けるヤツはいない」 彼らも日本人。心情的には日本を応援したいところだろうし、そもそも日本は強豪だ。それでも日本に賭けなかった理由がある。 「強いチームAと弱いチームBが試合をすれば、当然Aに賭ける人が集中して勝負が成立しない。だから野球賭博は試合ごとに“ハンデ”がつけられる。このハンデとゲームの点差から配当が決まる」(同幹部) ヤクザたちを(賭博で)大いに盛り上がらせてしまった侍ジャパン たとえば、Bにハンデが「2」つけば、下馬評が高いAが1点差で勝利しても、Bに賭けていた人の勝ちとなる。力の差が大きい高校野球と違い、プロ野球では2点以内のハンデがつけられることが多いが、史上最強と言われた侍ジャパンにはハンデが「4.5」もつけられた試合も。 さらに、メキシコにサヨナラ勝ちした影響か、決勝ではなんとあの最強アメリカに「0.5」のハンデがついたそうだ。 「それでアメリカ有利とみて損したやつがたくさんいた」(同幹部) プロ野球、高校野球では…? これがプロ野球だとハンデはさらに細かくつく。戦力差やその日の先発ピッチャーなどによって変わるが、つけ方が複雑でこの幹部もわからないらしい。ハンデをつけているのはいったい誰なのか。 「プロのハンデ師がいる。たぶん胴元の上層部とつながってる元プロ野球の選手だな」 配当は「3分負け」「7分勝ち」「丸勝ち」「丸負け」などと分けられ、ハンデもさらに細かく「1半2」「1半3」といったものもある。説明は割愛するが、いずれも胴元が儲かりやすくなる仕組みとなっているらしい。 「1日1000万以上賭ける者もいる。勝った分は胴元に取り置きし、次の試合に賭ける。取り置きは原則1週間。客と胴元とに信頼関係があるから成り立つわけだ」(同幹部) また、「プロ野球より高校野球のほうが盛り上がる」と語るのは、自身で高校野球賭博を開いたことのある別の幹部だ。 「甲子園の全出場校を8つの枠にランダムに割り振って枠順を決め、優勝と準優勝の枠を予想する。競馬と同じで枠連や単勝はあるが、3連単はない。みんな枠順の紙と赤ペンを持って熱心に予想しているよ」 ピュアな高校野球もヤクザにかかれば賭場へと変わる(写真はイメージです) 多くの組でやっているという野球賭博だが、摘発される件数はそう多くはない。その理由を警視庁の組織犯罪対策四課の元刑事は「野球賭博は違法カジノのような物理的な賭場がない。バカラやルーレットと違ってどこででもできる。1試合で賭ける人間も数人から多くても十数人ほど。最近はSNSやオンラインで賭けたりするから、実態がつかめない」と話す。 1口1000円で10口から掛けられるケースが多く、集まった金額の3割は胴元が取るという。 「100万集まれば30万が胴元、70万の掛金で配当が決まる。高校野球はオッズが重要。普通にやったら優勝候補にみんな賭けるから、ハンデをつけて賭場のバランスを取るんだ」(同) もちろん、ここでも賭けるのは好きな球団や高校ではない。変に情が入れば、それは“丸負け”を意味する。野球賭博をやるヤクザはひいきのチームを作ることさえ許されない。 野球を純粋な気持ちで見るためには、野球賭博から足を洗う必要があるようだ。 取材・文/島田拓 集英社オンライン編集部ニュース班
「賭博というのは胴元が儲かるようになっているから俺はやらなかったけど、みんなバンバン賭けていた。それでも『大谷がいるから』といったミーハーな理由で日本に賭けるヤツはいない」
彼らも日本人。心情的には日本を応援したいところだろうし、そもそも日本は強豪だ。それでも日本に賭けなかった理由がある。 「強いチームAと弱いチームBが試合をすれば、当然Aに賭ける人が集中して勝負が成立しない。だから野球賭博は試合ごとに“ハンデ”がつけられる。このハンデとゲームの点差から配当が決まる」(同幹部) ヤクザたちを(賭博で)大いに盛り上がらせてしまった侍ジャパン たとえば、Bにハンデが「2」つけば、下馬評が高いAが1点差で勝利しても、Bに賭けていた人の勝ちとなる。力の差が大きい高校野球と違い、プロ野球では2点以内のハンデがつけられることが多いが、史上最強と言われた侍ジャパンにはハンデが「4.5」もつけられた試合も。 さらに、メキシコにサヨナラ勝ちした影響か、決勝ではなんとあの最強アメリカに「0.5」のハンデがついたそうだ。 「それでアメリカ有利とみて損したやつがたくさんいた」(同幹部) プロ野球、高校野球では…? これがプロ野球だとハンデはさらに細かくつく。戦力差やその日の先発ピッチャーなどによって変わるが、つけ方が複雑でこの幹部もわからないらしい。ハンデをつけているのはいったい誰なのか。 「プロのハンデ師がいる。たぶん胴元の上層部とつながってる元プロ野球の選手だな」 配当は「3分負け」「7分勝ち」「丸勝ち」「丸負け」などと分けられ、ハンデもさらに細かく「1半2」「1半3」といったものもある。説明は割愛するが、いずれも胴元が儲かりやすくなる仕組みとなっているらしい。 「1日1000万以上賭ける者もいる。勝った分は胴元に取り置きし、次の試合に賭ける。取り置きは原則1週間。客と胴元とに信頼関係があるから成り立つわけだ」(同幹部) また、「プロ野球より高校野球のほうが盛り上がる」と語るのは、自身で高校野球賭博を開いたことのある別の幹部だ。 「甲子園の全出場校を8つの枠にランダムに割り振って枠順を決め、優勝と準優勝の枠を予想する。競馬と同じで枠連や単勝はあるが、3連単はない。みんな枠順の紙と赤ペンを持って熱心に予想しているよ」 ピュアな高校野球もヤクザにかかれば賭場へと変わる(写真はイメージです) 多くの組でやっているという野球賭博だが、摘発される件数はそう多くはない。その理由を警視庁の組織犯罪対策四課の元刑事は「野球賭博は違法カジノのような物理的な賭場がない。バカラやルーレットと違ってどこででもできる。1試合で賭ける人間も数人から多くても十数人ほど。最近はSNSやオンラインで賭けたりするから、実態がつかめない」と話す。 1口1000円で10口から掛けられるケースが多く、集まった金額の3割は胴元が取るという。 「100万集まれば30万が胴元、70万の掛金で配当が決まる。高校野球はオッズが重要。普通にやったら優勝候補にみんな賭けるから、ハンデをつけて賭場のバランスを取るんだ」(同) もちろん、ここでも賭けるのは好きな球団や高校ではない。変に情が入れば、それは“丸負け”を意味する。野球賭博をやるヤクザはひいきのチームを作ることさえ許されない。 野球を純粋な気持ちで見るためには、野球賭博から足を洗う必要があるようだ。 取材・文/島田拓 集英社オンライン編集部ニュース班
彼らも日本人。心情的には日本を応援したいところだろうし、そもそも日本は強豪だ。それでも日本に賭けなかった理由がある。
「強いチームAと弱いチームBが試合をすれば、当然Aに賭ける人が集中して勝負が成立しない。だから野球賭博は試合ごとに“ハンデ”がつけられる。このハンデとゲームの点差から配当が決まる」(同幹部) ヤクザたちを(賭博で)大いに盛り上がらせてしまった侍ジャパン たとえば、Bにハンデが「2」つけば、下馬評が高いAが1点差で勝利しても、Bに賭けていた人の勝ちとなる。力の差が大きい高校野球と違い、プロ野球では2点以内のハンデがつけられることが多いが、史上最強と言われた侍ジャパンにはハンデが「4.5」もつけられた試合も。 さらに、メキシコにサヨナラ勝ちした影響か、決勝ではなんとあの最強アメリカに「0.5」のハンデがついたそうだ。 「それでアメリカ有利とみて損したやつがたくさんいた」(同幹部) プロ野球、高校野球では…? これがプロ野球だとハンデはさらに細かくつく。戦力差やその日の先発ピッチャーなどによって変わるが、つけ方が複雑でこの幹部もわからないらしい。ハンデをつけているのはいったい誰なのか。 「プロのハンデ師がいる。たぶん胴元の上層部とつながってる元プロ野球の選手だな」 配当は「3分負け」「7分勝ち」「丸勝ち」「丸負け」などと分けられ、ハンデもさらに細かく「1半2」「1半3」といったものもある。説明は割愛するが、いずれも胴元が儲かりやすくなる仕組みとなっているらしい。 「1日1000万以上賭ける者もいる。勝った分は胴元に取り置きし、次の試合に賭ける。取り置きは原則1週間。客と胴元とに信頼関係があるから成り立つわけだ」(同幹部) また、「プロ野球より高校野球のほうが盛り上がる」と語るのは、自身で高校野球賭博を開いたことのある別の幹部だ。 「甲子園の全出場校を8つの枠にランダムに割り振って枠順を決め、優勝と準優勝の枠を予想する。競馬と同じで枠連や単勝はあるが、3連単はない。みんな枠順の紙と赤ペンを持って熱心に予想しているよ」 ピュアな高校野球もヤクザにかかれば賭場へと変わる(写真はイメージです) 多くの組でやっているという野球賭博だが、摘発される件数はそう多くはない。その理由を警視庁の組織犯罪対策四課の元刑事は「野球賭博は違法カジノのような物理的な賭場がない。バカラやルーレットと違ってどこででもできる。1試合で賭ける人間も数人から多くても十数人ほど。最近はSNSやオンラインで賭けたりするから、実態がつかめない」と話す。 1口1000円で10口から掛けられるケースが多く、集まった金額の3割は胴元が取るという。 「100万集まれば30万が胴元、70万の掛金で配当が決まる。高校野球はオッズが重要。普通にやったら優勝候補にみんな賭けるから、ハンデをつけて賭場のバランスを取るんだ」(同) もちろん、ここでも賭けるのは好きな球団や高校ではない。変に情が入れば、それは“丸負け”を意味する。野球賭博をやるヤクザはひいきのチームを作ることさえ許されない。 野球を純粋な気持ちで見るためには、野球賭博から足を洗う必要があるようだ。 取材・文/島田拓 集英社オンライン編集部ニュース班
「強いチームAと弱いチームBが試合をすれば、当然Aに賭ける人が集中して勝負が成立しない。だから野球賭博は試合ごとに“ハンデ”がつけられる。このハンデとゲームの点差から配当が決まる」(同幹部)
ヤクザたちを(賭博で)大いに盛り上がらせてしまった侍ジャパン たとえば、Bにハンデが「2」つけば、下馬評が高いAが1点差で勝利しても、Bに賭けていた人の勝ちとなる。力の差が大きい高校野球と違い、プロ野球では2点以内のハンデがつけられることが多いが、史上最強と言われた侍ジャパンにはハンデが「4.5」もつけられた試合も。 さらに、メキシコにサヨナラ勝ちした影響か、決勝ではなんとあの最強アメリカに「0.5」のハンデがついたそうだ。 「それでアメリカ有利とみて損したやつがたくさんいた」(同幹部) プロ野球、高校野球では…? これがプロ野球だとハンデはさらに細かくつく。戦力差やその日の先発ピッチャーなどによって変わるが、つけ方が複雑でこの幹部もわからないらしい。ハンデをつけているのはいったい誰なのか。 「プロのハンデ師がいる。たぶん胴元の上層部とつながってる元プロ野球の選手だな」 配当は「3分負け」「7分勝ち」「丸勝ち」「丸負け」などと分けられ、ハンデもさらに細かく「1半2」「1半3」といったものもある。説明は割愛するが、いずれも胴元が儲かりやすくなる仕組みとなっているらしい。 「1日1000万以上賭ける者もいる。勝った分は胴元に取り置きし、次の試合に賭ける。取り置きは原則1週間。客と胴元とに信頼関係があるから成り立つわけだ」(同幹部) また、「プロ野球より高校野球のほうが盛り上がる」と語るのは、自身で高校野球賭博を開いたことのある別の幹部だ。 「甲子園の全出場校を8つの枠にランダムに割り振って枠順を決め、優勝と準優勝の枠を予想する。競馬と同じで枠連や単勝はあるが、3連単はない。みんな枠順の紙と赤ペンを持って熱心に予想しているよ」 ピュアな高校野球もヤクザにかかれば賭場へと変わる(写真はイメージです) 多くの組でやっているという野球賭博だが、摘発される件数はそう多くはない。その理由を警視庁の組織犯罪対策四課の元刑事は「野球賭博は違法カジノのような物理的な賭場がない。バカラやルーレットと違ってどこででもできる。1試合で賭ける人間も数人から多くても十数人ほど。最近はSNSやオンラインで賭けたりするから、実態がつかめない」と話す。 1口1000円で10口から掛けられるケースが多く、集まった金額の3割は胴元が取るという。 「100万集まれば30万が胴元、70万の掛金で配当が決まる。高校野球はオッズが重要。普通にやったら優勝候補にみんな賭けるから、ハンデをつけて賭場のバランスを取るんだ」(同) もちろん、ここでも賭けるのは好きな球団や高校ではない。変に情が入れば、それは“丸負け”を意味する。野球賭博をやるヤクザはひいきのチームを作ることさえ許されない。 野球を純粋な気持ちで見るためには、野球賭博から足を洗う必要があるようだ。 取材・文/島田拓 集英社オンライン編集部ニュース班
ヤクザたちを(賭博で)大いに盛り上がらせてしまった侍ジャパン たとえば、Bにハンデが「2」つけば、下馬評が高いAが1点差で勝利しても、Bに賭けていた人の勝ちとなる。力の差が大きい高校野球と違い、プロ野球では2点以内のハンデがつけられることが多いが、史上最強と言われた侍ジャパンにはハンデが「4.5」もつけられた試合も。 さらに、メキシコにサヨナラ勝ちした影響か、決勝ではなんとあの最強アメリカに「0.5」のハンデがついたそうだ。 「それでアメリカ有利とみて損したやつがたくさんいた」(同幹部) プロ野球、高校野球では…? これがプロ野球だとハンデはさらに細かくつく。戦力差やその日の先発ピッチャーなどによって変わるが、つけ方が複雑でこの幹部もわからないらしい。ハンデをつけているのはいったい誰なのか。 「プロのハンデ師がいる。たぶん胴元の上層部とつながってる元プロ野球の選手だな」 配当は「3分負け」「7分勝ち」「丸勝ち」「丸負け」などと分けられ、ハンデもさらに細かく「1半2」「1半3」といったものもある。説明は割愛するが、いずれも胴元が儲かりやすくなる仕組みとなっているらしい。 「1日1000万以上賭ける者もいる。勝った分は胴元に取り置きし、次の試合に賭ける。取り置きは原則1週間。客と胴元とに信頼関係があるから成り立つわけだ」(同幹部) また、「プロ野球より高校野球のほうが盛り上がる」と語るのは、自身で高校野球賭博を開いたことのある別の幹部だ。 「甲子園の全出場校を8つの枠にランダムに割り振って枠順を決め、優勝と準優勝の枠を予想する。競馬と同じで枠連や単勝はあるが、3連単はない。みんな枠順の紙と赤ペンを持って熱心に予想しているよ」 ピュアな高校野球もヤクザにかかれば賭場へと変わる(写真はイメージです) 多くの組でやっているという野球賭博だが、摘発される件数はそう多くはない。その理由を警視庁の組織犯罪対策四課の元刑事は「野球賭博は違法カジノのような物理的な賭場がない。バカラやルーレットと違ってどこででもできる。1試合で賭ける人間も数人から多くても十数人ほど。最近はSNSやオンラインで賭けたりするから、実態がつかめない」と話す。 1口1000円で10口から掛けられるケースが多く、集まった金額の3割は胴元が取るという。 「100万集まれば30万が胴元、70万の掛金で配当が決まる。高校野球はオッズが重要。普通にやったら優勝候補にみんな賭けるから、ハンデをつけて賭場のバランスを取るんだ」(同) もちろん、ここでも賭けるのは好きな球団や高校ではない。変に情が入れば、それは“丸負け”を意味する。野球賭博をやるヤクザはひいきのチームを作ることさえ許されない。 野球を純粋な気持ちで見るためには、野球賭博から足を洗う必要があるようだ。 取材・文/島田拓 集英社オンライン編集部ニュース班
ヤクザたちを(賭博で)大いに盛り上がらせてしまった侍ジャパン
ヤクザたちを(賭博で)大いに盛り上がらせてしまった侍ジャパン

たとえば、Bにハンデが「2」つけば、下馬評が高いAが1点差で勝利しても、Bに賭けていた人の勝ちとなる。力の差が大きい高校野球と違い、プロ野球では2点以内のハンデがつけられることが多いが、史上最強と言われた侍ジャパンにはハンデが「4.5」もつけられた試合も。 さらに、メキシコにサヨナラ勝ちした影響か、決勝ではなんとあの最強アメリカに「0.5」のハンデがついたそうだ。 「それでアメリカ有利とみて損したやつがたくさんいた」(同幹部) プロ野球、高校野球では…? これがプロ野球だとハンデはさらに細かくつく。戦力差やその日の先発ピッチャーなどによって変わるが、つけ方が複雑でこの幹部もわからないらしい。ハンデをつけているのはいったい誰なのか。 「プロのハンデ師がいる。たぶん胴元の上層部とつながってる元プロ野球の選手だな」 配当は「3分負け」「7分勝ち」「丸勝ち」「丸負け」などと分けられ、ハンデもさらに細かく「1半2」「1半3」といったものもある。説明は割愛するが、いずれも胴元が儲かりやすくなる仕組みとなっているらしい。 「1日1000万以上賭ける者もいる。勝った分は胴元に取り置きし、次の試合に賭ける。取り置きは原則1週間。客と胴元とに信頼関係があるから成り立つわけだ」(同幹部) また、「プロ野球より高校野球のほうが盛り上がる」と語るのは、自身で高校野球賭博を開いたことのある別の幹部だ。 「甲子園の全出場校を8つの枠にランダムに割り振って枠順を決め、優勝と準優勝の枠を予想する。競馬と同じで枠連や単勝はあるが、3連単はない。みんな枠順の紙と赤ペンを持って熱心に予想しているよ」 ピュアな高校野球もヤクザにかかれば賭場へと変わる(写真はイメージです) 多くの組でやっているという野球賭博だが、摘発される件数はそう多くはない。その理由を警視庁の組織犯罪対策四課の元刑事は「野球賭博は違法カジノのような物理的な賭場がない。バカラやルーレットと違ってどこででもできる。1試合で賭ける人間も数人から多くても十数人ほど。最近はSNSやオンラインで賭けたりするから、実態がつかめない」と話す。 1口1000円で10口から掛けられるケースが多く、集まった金額の3割は胴元が取るという。 「100万集まれば30万が胴元、70万の掛金で配当が決まる。高校野球はオッズが重要。普通にやったら優勝候補にみんな賭けるから、ハンデをつけて賭場のバランスを取るんだ」(同) もちろん、ここでも賭けるのは好きな球団や高校ではない。変に情が入れば、それは“丸負け”を意味する。野球賭博をやるヤクザはひいきのチームを作ることさえ許されない。 野球を純粋な気持ちで見るためには、野球賭博から足を洗う必要があるようだ。 取材・文/島田拓 集英社オンライン編集部ニュース班
たとえば、Bにハンデが「2」つけば、下馬評が高いAが1点差で勝利しても、Bに賭けていた人の勝ちとなる。力の差が大きい高校野球と違い、プロ野球では2点以内のハンデがつけられることが多いが、史上最強と言われた侍ジャパンにはハンデが「4.5」もつけられた試合も。
さらに、メキシコにサヨナラ勝ちした影響か、決勝ではなんとあの最強アメリカに「0.5」のハンデがついたそうだ。
「それでアメリカ有利とみて損したやつがたくさんいた」(同幹部) プロ野球、高校野球では…? これがプロ野球だとハンデはさらに細かくつく。戦力差やその日の先発ピッチャーなどによって変わるが、つけ方が複雑でこの幹部もわからないらしい。ハンデをつけているのはいったい誰なのか。 「プロのハンデ師がいる。たぶん胴元の上層部とつながってる元プロ野球の選手だな」 配当は「3分負け」「7分勝ち」「丸勝ち」「丸負け」などと分けられ、ハンデもさらに細かく「1半2」「1半3」といったものもある。説明は割愛するが、いずれも胴元が儲かりやすくなる仕組みとなっているらしい。 「1日1000万以上賭ける者もいる。勝った分は胴元に取り置きし、次の試合に賭ける。取り置きは原則1週間。客と胴元とに信頼関係があるから成り立つわけだ」(同幹部) また、「プロ野球より高校野球のほうが盛り上がる」と語るのは、自身で高校野球賭博を開いたことのある別の幹部だ。 「甲子園の全出場校を8つの枠にランダムに割り振って枠順を決め、優勝と準優勝の枠を予想する。競馬と同じで枠連や単勝はあるが、3連単はない。みんな枠順の紙と赤ペンを持って熱心に予想しているよ」 ピュアな高校野球もヤクザにかかれば賭場へと変わる(写真はイメージです) 多くの組でやっているという野球賭博だが、摘発される件数はそう多くはない。その理由を警視庁の組織犯罪対策四課の元刑事は「野球賭博は違法カジノのような物理的な賭場がない。バカラやルーレットと違ってどこででもできる。1試合で賭ける人間も数人から多くても十数人ほど。最近はSNSやオンラインで賭けたりするから、実態がつかめない」と話す。 1口1000円で10口から掛けられるケースが多く、集まった金額の3割は胴元が取るという。 「100万集まれば30万が胴元、70万の掛金で配当が決まる。高校野球はオッズが重要。普通にやったら優勝候補にみんな賭けるから、ハンデをつけて賭場のバランスを取るんだ」(同) もちろん、ここでも賭けるのは好きな球団や高校ではない。変に情が入れば、それは“丸負け”を意味する。野球賭博をやるヤクザはひいきのチームを作ることさえ許されない。 野球を純粋な気持ちで見るためには、野球賭博から足を洗う必要があるようだ。 取材・文/島田拓 集英社オンライン編集部ニュース班
「それでアメリカ有利とみて損したやつがたくさんいた」(同幹部)
プロ野球、高校野球では…? これがプロ野球だとハンデはさらに細かくつく。戦力差やその日の先発ピッチャーなどによって変わるが、つけ方が複雑でこの幹部もわからないらしい。ハンデをつけているのはいったい誰なのか。 「プロのハンデ師がいる。たぶん胴元の上層部とつながってる元プロ野球の選手だな」 配当は「3分負け」「7分勝ち」「丸勝ち」「丸負け」などと分けられ、ハンデもさらに細かく「1半2」「1半3」といったものもある。説明は割愛するが、いずれも胴元が儲かりやすくなる仕組みとなっているらしい。 「1日1000万以上賭ける者もいる。勝った分は胴元に取り置きし、次の試合に賭ける。取り置きは原則1週間。客と胴元とに信頼関係があるから成り立つわけだ」(同幹部) また、「プロ野球より高校野球のほうが盛り上がる」と語るのは、自身で高校野球賭博を開いたことのある別の幹部だ。 「甲子園の全出場校を8つの枠にランダムに割り振って枠順を決め、優勝と準優勝の枠を予想する。競馬と同じで枠連や単勝はあるが、3連単はない。みんな枠順の紙と赤ペンを持って熱心に予想しているよ」 ピュアな高校野球もヤクザにかかれば賭場へと変わる(写真はイメージです) 多くの組でやっているという野球賭博だが、摘発される件数はそう多くはない。その理由を警視庁の組織犯罪対策四課の元刑事は「野球賭博は違法カジノのような物理的な賭場がない。バカラやルーレットと違ってどこででもできる。1試合で賭ける人間も数人から多くても十数人ほど。最近はSNSやオンラインで賭けたりするから、実態がつかめない」と話す。 1口1000円で10口から掛けられるケースが多く、集まった金額の3割は胴元が取るという。 「100万集まれば30万が胴元、70万の掛金で配当が決まる。高校野球はオッズが重要。普通にやったら優勝候補にみんな賭けるから、ハンデをつけて賭場のバランスを取るんだ」(同) もちろん、ここでも賭けるのは好きな球団や高校ではない。変に情が入れば、それは“丸負け”を意味する。野球賭博をやるヤクザはひいきのチームを作ることさえ許されない。 野球を純粋な気持ちで見るためには、野球賭博から足を洗う必要があるようだ。 取材・文/島田拓 集英社オンライン編集部ニュース班
プロ野球、高校野球では…? これがプロ野球だとハンデはさらに細かくつく。戦力差やその日の先発ピッチャーなどによって変わるが、つけ方が複雑でこの幹部もわからないらしい。ハンデをつけているのはいったい誰なのか。 「プロのハンデ師がいる。たぶん胴元の上層部とつながってる元プロ野球の選手だな」 配当は「3分負け」「7分勝ち」「丸勝ち」「丸負け」などと分けられ、ハンデもさらに細かく「1半2」「1半3」といったものもある。説明は割愛するが、いずれも胴元が儲かりやすくなる仕組みとなっているらしい。 「1日1000万以上賭ける者もいる。勝った分は胴元に取り置きし、次の試合に賭ける。取り置きは原則1週間。客と胴元とに信頼関係があるから成り立つわけだ」(同幹部) また、「プロ野球より高校野球のほうが盛り上がる」と語るのは、自身で高校野球賭博を開いたことのある別の幹部だ。 「甲子園の全出場校を8つの枠にランダムに割り振って枠順を決め、優勝と準優勝の枠を予想する。競馬と同じで枠連や単勝はあるが、3連単はない。みんな枠順の紙と赤ペンを持って熱心に予想しているよ」 ピュアな高校野球もヤクザにかかれば賭場へと変わる(写真はイメージです) 多くの組でやっているという野球賭博だが、摘発される件数はそう多くはない。その理由を警視庁の組織犯罪対策四課の元刑事は「野球賭博は違法カジノのような物理的な賭場がない。バカラやルーレットと違ってどこででもできる。1試合で賭ける人間も数人から多くても十数人ほど。最近はSNSやオンラインで賭けたりするから、実態がつかめない」と話す。 1口1000円で10口から掛けられるケースが多く、集まった金額の3割は胴元が取るという。 「100万集まれば30万が胴元、70万の掛金で配当が決まる。高校野球はオッズが重要。普通にやったら優勝候補にみんな賭けるから、ハンデをつけて賭場のバランスを取るんだ」(同) もちろん、ここでも賭けるのは好きな球団や高校ではない。変に情が入れば、それは“丸負け”を意味する。野球賭博をやるヤクザはひいきのチームを作ることさえ許されない。 野球を純粋な気持ちで見るためには、野球賭博から足を洗う必要があるようだ。 取材・文/島田拓 集英社オンライン編集部ニュース班
これがプロ野球だとハンデはさらに細かくつく。戦力差やその日の先発ピッチャーなどによって変わるが、つけ方が複雑でこの幹部もわからないらしい。ハンデをつけているのはいったい誰なのか。 「プロのハンデ師がいる。たぶん胴元の上層部とつながってる元プロ野球の選手だな」 配当は「3分負け」「7分勝ち」「丸勝ち」「丸負け」などと分けられ、ハンデもさらに細かく「1半2」「1半3」といったものもある。説明は割愛するが、いずれも胴元が儲かりやすくなる仕組みとなっているらしい。 「1日1000万以上賭ける者もいる。勝った分は胴元に取り置きし、次の試合に賭ける。取り置きは原則1週間。客と胴元とに信頼関係があるから成り立つわけだ」(同幹部) また、「プロ野球より高校野球のほうが盛り上がる」と語るのは、自身で高校野球賭博を開いたことのある別の幹部だ。 「甲子園の全出場校を8つの枠にランダムに割り振って枠順を決め、優勝と準優勝の枠を予想する。競馬と同じで枠連や単勝はあるが、3連単はない。みんな枠順の紙と赤ペンを持って熱心に予想しているよ」 ピュアな高校野球もヤクザにかかれば賭場へと変わる(写真はイメージです) 多くの組でやっているという野球賭博だが、摘発される件数はそう多くはない。その理由を警視庁の組織犯罪対策四課の元刑事は「野球賭博は違法カジノのような物理的な賭場がない。バカラやルーレットと違ってどこででもできる。1試合で賭ける人間も数人から多くても十数人ほど。最近はSNSやオンラインで賭けたりするから、実態がつかめない」と話す。 1口1000円で10口から掛けられるケースが多く、集まった金額の3割は胴元が取るという。 「100万集まれば30万が胴元、70万の掛金で配当が決まる。高校野球はオッズが重要。普通にやったら優勝候補にみんな賭けるから、ハンデをつけて賭場のバランスを取るんだ」(同) もちろん、ここでも賭けるのは好きな球団や高校ではない。変に情が入れば、それは“丸負け”を意味する。野球賭博をやるヤクザはひいきのチームを作ることさえ許されない。 野球を純粋な気持ちで見るためには、野球賭博から足を洗う必要があるようだ。 取材・文/島田拓 集英社オンライン編集部ニュース班
これがプロ野球だとハンデはさらに細かくつく。戦力差やその日の先発ピッチャーなどによって変わるが、つけ方が複雑でこの幹部もわからないらしい。ハンデをつけているのはいったい誰なのか。
「プロのハンデ師がいる。たぶん胴元の上層部とつながってる元プロ野球の選手だな」 配当は「3分負け」「7分勝ち」「丸勝ち」「丸負け」などと分けられ、ハンデもさらに細かく「1半2」「1半3」といったものもある。説明は割愛するが、いずれも胴元が儲かりやすくなる仕組みとなっているらしい。 「1日1000万以上賭ける者もいる。勝った分は胴元に取り置きし、次の試合に賭ける。取り置きは原則1週間。客と胴元とに信頼関係があるから成り立つわけだ」(同幹部) また、「プロ野球より高校野球のほうが盛り上がる」と語るのは、自身で高校野球賭博を開いたことのある別の幹部だ。 「甲子園の全出場校を8つの枠にランダムに割り振って枠順を決め、優勝と準優勝の枠を予想する。競馬と同じで枠連や単勝はあるが、3連単はない。みんな枠順の紙と赤ペンを持って熱心に予想しているよ」 ピュアな高校野球もヤクザにかかれば賭場へと変わる(写真はイメージです) 多くの組でやっているという野球賭博だが、摘発される件数はそう多くはない。その理由を警視庁の組織犯罪対策四課の元刑事は「野球賭博は違法カジノのような物理的な賭場がない。バカラやルーレットと違ってどこででもできる。1試合で賭ける人間も数人から多くても十数人ほど。最近はSNSやオンラインで賭けたりするから、実態がつかめない」と話す。 1口1000円で10口から掛けられるケースが多く、集まった金額の3割は胴元が取るという。 「100万集まれば30万が胴元、70万の掛金で配当が決まる。高校野球はオッズが重要。普通にやったら優勝候補にみんな賭けるから、ハンデをつけて賭場のバランスを取るんだ」(同) もちろん、ここでも賭けるのは好きな球団や高校ではない。変に情が入れば、それは“丸負け”を意味する。野球賭博をやるヤクザはひいきのチームを作ることさえ許されない。 野球を純粋な気持ちで見るためには、野球賭博から足を洗う必要があるようだ。 取材・文/島田拓 集英社オンライン編集部ニュース班
「プロのハンデ師がいる。たぶん胴元の上層部とつながってる元プロ野球の選手だな」
配当は「3分負け」「7分勝ち」「丸勝ち」「丸負け」などと分けられ、ハンデもさらに細かく「1半2」「1半3」といったものもある。説明は割愛するが、いずれも胴元が儲かりやすくなる仕組みとなっているらしい。 「1日1000万以上賭ける者もいる。勝った分は胴元に取り置きし、次の試合に賭ける。取り置きは原則1週間。客と胴元とに信頼関係があるから成り立つわけだ」(同幹部) また、「プロ野球より高校野球のほうが盛り上がる」と語るのは、自身で高校野球賭博を開いたことのある別の幹部だ。 「甲子園の全出場校を8つの枠にランダムに割り振って枠順を決め、優勝と準優勝の枠を予想する。競馬と同じで枠連や単勝はあるが、3連単はない。みんな枠順の紙と赤ペンを持って熱心に予想しているよ」 ピュアな高校野球もヤクザにかかれば賭場へと変わる(写真はイメージです) 多くの組でやっているという野球賭博だが、摘発される件数はそう多くはない。その理由を警視庁の組織犯罪対策四課の元刑事は「野球賭博は違法カジノのような物理的な賭場がない。バカラやルーレットと違ってどこででもできる。1試合で賭ける人間も数人から多くても十数人ほど。最近はSNSやオンラインで賭けたりするから、実態がつかめない」と話す。 1口1000円で10口から掛けられるケースが多く、集まった金額の3割は胴元が取るという。 「100万集まれば30万が胴元、70万の掛金で配当が決まる。高校野球はオッズが重要。普通にやったら優勝候補にみんな賭けるから、ハンデをつけて賭場のバランスを取るんだ」(同) もちろん、ここでも賭けるのは好きな球団や高校ではない。変に情が入れば、それは“丸負け”を意味する。野球賭博をやるヤクザはひいきのチームを作ることさえ許されない。 野球を純粋な気持ちで見るためには、野球賭博から足を洗う必要があるようだ。 取材・文/島田拓 集英社オンライン編集部ニュース班
配当は「3分負け」「7分勝ち」「丸勝ち」「丸負け」などと分けられ、ハンデもさらに細かく「1半2」「1半3」といったものもある。説明は割愛するが、いずれも胴元が儲かりやすくなる仕組みとなっているらしい。
「1日1000万以上賭ける者もいる。勝った分は胴元に取り置きし、次の試合に賭ける。取り置きは原則1週間。客と胴元とに信頼関係があるから成り立つわけだ」(同幹部) また、「プロ野球より高校野球のほうが盛り上がる」と語るのは、自身で高校野球賭博を開いたことのある別の幹部だ。 「甲子園の全出場校を8つの枠にランダムに割り振って枠順を決め、優勝と準優勝の枠を予想する。競馬と同じで枠連や単勝はあるが、3連単はない。みんな枠順の紙と赤ペンを持って熱心に予想しているよ」 ピュアな高校野球もヤクザにかかれば賭場へと変わる(写真はイメージです) 多くの組でやっているという野球賭博だが、摘発される件数はそう多くはない。その理由を警視庁の組織犯罪対策四課の元刑事は「野球賭博は違法カジノのような物理的な賭場がない。バカラやルーレットと違ってどこででもできる。1試合で賭ける人間も数人から多くても十数人ほど。最近はSNSやオンラインで賭けたりするから、実態がつかめない」と話す。 1口1000円で10口から掛けられるケースが多く、集まった金額の3割は胴元が取るという。 「100万集まれば30万が胴元、70万の掛金で配当が決まる。高校野球はオッズが重要。普通にやったら優勝候補にみんな賭けるから、ハンデをつけて賭場のバランスを取るんだ」(同) もちろん、ここでも賭けるのは好きな球団や高校ではない。変に情が入れば、それは“丸負け”を意味する。野球賭博をやるヤクザはひいきのチームを作ることさえ許されない。 野球を純粋な気持ちで見るためには、野球賭博から足を洗う必要があるようだ。 取材・文/島田拓 集英社オンライン編集部ニュース班
「1日1000万以上賭ける者もいる。勝った分は胴元に取り置きし、次の試合に賭ける。取り置きは原則1週間。客と胴元とに信頼関係があるから成り立つわけだ」(同幹部)
また、「プロ野球より高校野球のほうが盛り上がる」と語るのは、自身で高校野球賭博を開いたことのある別の幹部だ。 「甲子園の全出場校を8つの枠にランダムに割り振って枠順を決め、優勝と準優勝の枠を予想する。競馬と同じで枠連や単勝はあるが、3連単はない。みんな枠順の紙と赤ペンを持って熱心に予想しているよ」 ピュアな高校野球もヤクザにかかれば賭場へと変わる(写真はイメージです) 多くの組でやっているという野球賭博だが、摘発される件数はそう多くはない。その理由を警視庁の組織犯罪対策四課の元刑事は「野球賭博は違法カジノのような物理的な賭場がない。バカラやルーレットと違ってどこででもできる。1試合で賭ける人間も数人から多くても十数人ほど。最近はSNSやオンラインで賭けたりするから、実態がつかめない」と話す。 1口1000円で10口から掛けられるケースが多く、集まった金額の3割は胴元が取るという。 「100万集まれば30万が胴元、70万の掛金で配当が決まる。高校野球はオッズが重要。普通にやったら優勝候補にみんな賭けるから、ハンデをつけて賭場のバランスを取るんだ」(同) もちろん、ここでも賭けるのは好きな球団や高校ではない。変に情が入れば、それは“丸負け”を意味する。野球賭博をやるヤクザはひいきのチームを作ることさえ許されない。 野球を純粋な気持ちで見るためには、野球賭博から足を洗う必要があるようだ。 取材・文/島田拓 集英社オンライン編集部ニュース班
また、「プロ野球より高校野球のほうが盛り上がる」と語るのは、自身で高校野球賭博を開いたことのある別の幹部だ。
「甲子園の全出場校を8つの枠にランダムに割り振って枠順を決め、優勝と準優勝の枠を予想する。競馬と同じで枠連や単勝はあるが、3連単はない。みんな枠順の紙と赤ペンを持って熱心に予想しているよ」 ピュアな高校野球もヤクザにかかれば賭場へと変わる(写真はイメージです) 多くの組でやっているという野球賭博だが、摘発される件数はそう多くはない。その理由を警視庁の組織犯罪対策四課の元刑事は「野球賭博は違法カジノのような物理的な賭場がない。バカラやルーレットと違ってどこででもできる。1試合で賭ける人間も数人から多くても十数人ほど。最近はSNSやオンラインで賭けたりするから、実態がつかめない」と話す。 1口1000円で10口から掛けられるケースが多く、集まった金額の3割は胴元が取るという。 「100万集まれば30万が胴元、70万の掛金で配当が決まる。高校野球はオッズが重要。普通にやったら優勝候補にみんな賭けるから、ハンデをつけて賭場のバランスを取るんだ」(同) もちろん、ここでも賭けるのは好きな球団や高校ではない。変に情が入れば、それは“丸負け”を意味する。野球賭博をやるヤクザはひいきのチームを作ることさえ許されない。 野球を純粋な気持ちで見るためには、野球賭博から足を洗う必要があるようだ。 取材・文/島田拓 集英社オンライン編集部ニュース班
「甲子園の全出場校を8つの枠にランダムに割り振って枠順を決め、優勝と準優勝の枠を予想する。競馬と同じで枠連や単勝はあるが、3連単はない。みんな枠順の紙と赤ペンを持って熱心に予想しているよ」
ピュアな高校野球もヤクザにかかれば賭場へと変わる(写真はイメージです) 多くの組でやっているという野球賭博だが、摘発される件数はそう多くはない。その理由を警視庁の組織犯罪対策四課の元刑事は「野球賭博は違法カジノのような物理的な賭場がない。バカラやルーレットと違ってどこででもできる。1試合で賭ける人間も数人から多くても十数人ほど。最近はSNSやオンラインで賭けたりするから、実態がつかめない」と話す。 1口1000円で10口から掛けられるケースが多く、集まった金額の3割は胴元が取るという。 「100万集まれば30万が胴元、70万の掛金で配当が決まる。高校野球はオッズが重要。普通にやったら優勝候補にみんな賭けるから、ハンデをつけて賭場のバランスを取るんだ」(同) もちろん、ここでも賭けるのは好きな球団や高校ではない。変に情が入れば、それは“丸負け”を意味する。野球賭博をやるヤクザはひいきのチームを作ることさえ許されない。 野球を純粋な気持ちで見るためには、野球賭博から足を洗う必要があるようだ。 取材・文/島田拓 集英社オンライン編集部ニュース班
ピュアな高校野球もヤクザにかかれば賭場へと変わる(写真はイメージです) 多くの組でやっているという野球賭博だが、摘発される件数はそう多くはない。その理由を警視庁の組織犯罪対策四課の元刑事は「野球賭博は違法カジノのような物理的な賭場がない。バカラやルーレットと違ってどこででもできる。1試合で賭ける人間も数人から多くても十数人ほど。最近はSNSやオンラインで賭けたりするから、実態がつかめない」と話す。 1口1000円で10口から掛けられるケースが多く、集まった金額の3割は胴元が取るという。 「100万集まれば30万が胴元、70万の掛金で配当が決まる。高校野球はオッズが重要。普通にやったら優勝候補にみんな賭けるから、ハンデをつけて賭場のバランスを取るんだ」(同) もちろん、ここでも賭けるのは好きな球団や高校ではない。変に情が入れば、それは“丸負け”を意味する。野球賭博をやるヤクザはひいきのチームを作ることさえ許されない。 野球を純粋な気持ちで見るためには、野球賭博から足を洗う必要があるようだ。 取材・文/島田拓 集英社オンライン編集部ニュース班
ピュアな高校野球もヤクザにかかれば賭場へと変わる(写真はイメージです)
ピュアな高校野球もヤクザにかかれば賭場へと変わる(写真はイメージです)

多くの組でやっているという野球賭博だが、摘発される件数はそう多くはない。その理由を警視庁の組織犯罪対策四課の元刑事は「野球賭博は違法カジノのような物理的な賭場がない。バカラやルーレットと違ってどこででもできる。1試合で賭ける人間も数人から多くても十数人ほど。最近はSNSやオンラインで賭けたりするから、実態がつかめない」と話す。 1口1000円で10口から掛けられるケースが多く、集まった金額の3割は胴元が取るという。 「100万集まれば30万が胴元、70万の掛金で配当が決まる。高校野球はオッズが重要。普通にやったら優勝候補にみんな賭けるから、ハンデをつけて賭場のバランスを取るんだ」(同) もちろん、ここでも賭けるのは好きな球団や高校ではない。変に情が入れば、それは“丸負け”を意味する。野球賭博をやるヤクザはひいきのチームを作ることさえ許されない。 野球を純粋な気持ちで見るためには、野球賭博から足を洗う必要があるようだ。 取材・文/島田拓 集英社オンライン編集部ニュース班
多くの組でやっているという野球賭博だが、摘発される件数はそう多くはない。その理由を警視庁の組織犯罪対策四課の元刑事は「野球賭博は違法カジノのような物理的な賭場がない。バカラやルーレットと違ってどこででもできる。1試合で賭ける人間も数人から多くても十数人ほど。最近はSNSやオンラインで賭けたりするから、実態がつかめない」と話す。
1口1000円で10口から掛けられるケースが多く、集まった金額の3割は胴元が取るという。 「100万集まれば30万が胴元、70万の掛金で配当が決まる。高校野球はオッズが重要。普通にやったら優勝候補にみんな賭けるから、ハンデをつけて賭場のバランスを取るんだ」(同) もちろん、ここでも賭けるのは好きな球団や高校ではない。変に情が入れば、それは“丸負け”を意味する。野球賭博をやるヤクザはひいきのチームを作ることさえ許されない。 野球を純粋な気持ちで見るためには、野球賭博から足を洗う必要があるようだ。 取材・文/島田拓 集英社オンライン編集部ニュース班
1口1000円で10口から掛けられるケースが多く、集まった金額の3割は胴元が取るという。
「100万集まれば30万が胴元、70万の掛金で配当が決まる。高校野球はオッズが重要。普通にやったら優勝候補にみんな賭けるから、ハンデをつけて賭場のバランスを取るんだ」(同) もちろん、ここでも賭けるのは好きな球団や高校ではない。変に情が入れば、それは“丸負け”を意味する。野球賭博をやるヤクザはひいきのチームを作ることさえ許されない。 野球を純粋な気持ちで見るためには、野球賭博から足を洗う必要があるようだ。 取材・文/島田拓 集英社オンライン編集部ニュース班
「100万集まれば30万が胴元、70万の掛金で配当が決まる。高校野球はオッズが重要。普通にやったら優勝候補にみんな賭けるから、ハンデをつけて賭場のバランスを取るんだ」(同)
もちろん、ここでも賭けるのは好きな球団や高校ではない。変に情が入れば、それは“丸負け”を意味する。野球賭博をやるヤクザはひいきのチームを作ることさえ許されない。 野球を純粋な気持ちで見るためには、野球賭博から足を洗う必要があるようだ。 取材・文/島田拓 集英社オンライン編集部ニュース班
もちろん、ここでも賭けるのは好きな球団や高校ではない。変に情が入れば、それは“丸負け”を意味する。野球賭博をやるヤクザはひいきのチームを作ることさえ許されない。
野球を純粋な気持ちで見るためには、野球賭博から足を洗う必要があるようだ。
取材・文/島田拓 集英社オンライン編集部ニュース班
取材・文/島田拓
集英社オンライン編集部ニュース班