「自分の車に火をつけました」
ゴールデンウィーク中ののどかな朝、長めの白髪交じりの男が警察に出頭し、こう語った。家事発生から約2時間後のこと。男は淡々とした様子で「間違いありません」と容疑を認めているという。
5月3日、神奈川県警金沢署は建造物等以外放火の疑いで横浜市内に住む無職・原文雄容疑者(58)を逮捕した。原容疑者は同日早朝5時すぎ、自宅マンションの立体駐車場で自身の軽自動車に火をつけたという。駐車場に停まっていた他の自動車5台に延焼し、計6台が焼損した。
「現場からはガソリンのような成分が検出されています。マンションの住民によると、『ボン! ボン!』という大きな爆発音が3~4回聞こえたとか。火災報知器がけたたましく鳴り響き、敷地内を白い煙が覆い、早朝から騒然とした雰囲気に包まれたそうです。
住民たちはすぐに消火活動に入りましたが、一部では子どもたちを避難させようとパニックが起きたといいます。110番通報を受けた警察や消防隊が出動。火が収まったのは発生から約1時間後です。幸いケガ人はいませんでしたが、現場には真っ黒こげになった原容疑者の車が生々しい姿をさらしていました」(全国紙社会部記者)
当該マンションには、住民用とは別に車専用の出入り口が設けられており、カギやリモコンで開閉するようになっている。防犯カメラなどのセキュリティもしっかりしていた。
「放火事件が起きる5日前の4月28日にも、駐車場でトラブルが起きていました。停まっていた車70台ほどのフロント部分などに、カセットコンロ用のガスボンベが置かれていたんです。多くのボンベにはクギが刺さり赤いテープが巻かれていたとか。
住民はゴールデンウィーク中にもかかわらず、落ち着かない日々を過ごしていたようです。周辺の防犯カメラには、駐車場で不審な動きをする原容疑者とみられる人物が映っていました。警察は放火事件とは別に、威力業務妨害の疑いでも捜査を進めています」(同前)
マンションの住民によると、原容疑者の評判はあまり良くなかったという。
「すれ違ってもボソボソと挨拶する程度で、暗い印象を受けました。近所づき合いは、ほとんどなかったと思います。出歩いている姿を、あまり見かけませんでした」
5月3日夜11時過ぎには、千葉県浦安市のマンションの駐輪場でバイクや自転車など17台が焼ける火事が起きている。現場からは横浜市の事件同様、カセットボンベが見つかった。警察は模倣犯の可能性があるとみて、捜査を進めている。