《ぐんまちゃん家のお家騒動》「5000万円でどうにかして…」地方創生の星とうたわれた男が直面した群馬県の「裏切り」と「姑息」 から続く
「今回の件は5000万円でどうにかして欲しい」
【画像】5000万円を提示したという副知事とは…
突然押しかけてきた宇留賀敬一群馬県副知事は、こう迫ってきたという。
永井彰一は余りに唐突な話に戸惑い押し黙った。一体5000万円とはいかなる趣旨の金額なのか、それさえもわからなかった。宇留賀はこの5000万円が解決金であるとほのめかし、「県に支払いの義務はないし、法的にも根拠のあるお金ではない」と説明。さらにこう続けたという。
「したがって、後日、オンブズマンなどの第三者から指摘を受け、県側が訴訟で敗訴した場合は返還してもらわねばならないが、自分としてのできる限りの誠意がこれだ」(全2回の2回目/最初から読む)
同席していた「田プラ」幹部が語気を強めた。
「そんな血まみれのお金をどうして受け取れるか? 『ぐんまちゃん家』は県側の要請があって受託した業務だ。だから長期的な投資もし、社員も雇用した。撤退となれば社員らの行き先、また原状復帰の資金、投資の回収などについて話し合いをしたいと言っているだけだ。あなたはなにか勘違いしている」
にわかに信じられない。県政の長に近い人間がそうした類の大金を非公式に提示するなど驚天動地の話だ。
この“宇留賀事件”から数日後、「田プラ」に対して県側は「今後は代理人を通してやりとりしてほしい」と一方的に通告してきたという。「田プラ」側もやむなく代理人弁護士を立て、「ぐんまちゃん家」撤退にかかる諸経費についての協議を求めざるを得なくなった。【再現】5000万円の件についてのやり取り 2022年9月12日、「田プラ」の幹部2人が群馬県の代理人弁護士を群馬県前橋市に訪ねた。その一部、県側が否定している宇留賀副知事が提示した5000万円の件についてこんなやり取りがあった。「田プラ」側 既に代理人同士の応酬になっている状況下にもかかわらずに当事者である自分達と面会の機会を設定していただいたことについて感謝申し上げる。まず今回の要望書、回答書に関して、これらの書面に先立つ5月23日に宇留賀副知事が田プラに訪問されて5000万円を支払うという話があったことを先生自身はご存知か?「群馬県代理人弁護士」(以下、群馬県) 初耳。ただ5000万円というキーワードで思い出したが、賃貸人(筆者注:「県」のこと)に対する原状回復債務を田プラが引き受けた上で、1階部分の原状回復費用見合いとして相応額の全額を支払うというような話題が自分と県庁側との協議の席でなされたことがあった。「田プラ」側 当時の副知事の発言によれば、田プラへの訪問前に相談した顧問弁護士からも猛反対されたが、話を収めるために訴訟リスク覚悟で金の算段をつけたかのような言いぶりだった。その際の「顧問弁護士」というのは先生ではないのか?「群馬県」 自分ではない。原状回復債務を田プラに移転して、原状回復代金として5000万円が県から田プラに支払われるスキームを採るとしても、その前提をして1階部分の資産(県所有物)を田プラに移転する必要があり、5000万円でケリをつけようとする県が想定するスキームは非現実的であるように思う。「田プラ側」 5月の面会の際は、5000万円という金額だけが提示され、この金が原状回復費用なのか解決金なのかとか、金の性質については具体的な説明を受けたわけではない。しかし、副知事の言い方では、本来的には5000万円は県として支払いの義務はない、法的には無根拠の金であり、後日にオンブズマン等の第三者から不当な支払いであるとの訴えを受ける可能性のある金である。もし県が訴訟で敗訴する場合には、返金をしてもらわなければならない性質の金であるという趣旨の説明であった。「群馬県」 (絶句)「田プラ側」 そんな血まみれの金を渡されても困るし、議会手続きの際に知事以下が火だるまにでもなれば、田プラにも飛び火するだろうし迷惑だという旨はその場で伝えた。撤退に関わる諸費用の件もさることながら、中長期の運営を想定して所要の人員を雇用し、設備投資まで行ってきた。店舗運営等で県に迷惑をかけたというのであればともかく、コロナ禍も乗り越えて売上も向上しつつあり、急な政策変更でアンテナショップが閉店に追い込まれ契約更新に対する期待権が侵害されている。これだけの大事件にもかかわらず県側の回答が遅く、また不誠実な対応を受けていることに対する怒りが根底にあることはご理解頂きたい。「群馬県」 お気持ちは適切に理解。自分も長年に渡って県から相談を受けているが、このような個別案件に関する交渉を委任されるのは初めてのことで驚いている。一連の交渉過程について、田プラ側では副知事のスタンドプレーのように思われているかも知れないが自分の肌感としては、本件は知事まで上がっていると思う。担当部局と副知事との間のコミュニケーションが遅いことに加えて、知事と副知事の間のコミュニケーションの遅延が複雑に絡み合って、解決自体が先延ばしにされているのではないかと想像する。県による業務委託契約の中途解約? これが昨年9月12日に行われた「田プラ」側と群馬県側の代理人とのやり取りである。 しかし、別の交渉の場においてこの代理人からは5000万円の内訳について原状回復工事代金として3600万円、県が撤退した後の3カ月分の家賃の肩代わりとして1400万円という計算が県内部で検討されていたという衝撃の発言も飛び出している。在りし日の「ぐんまちゃん家」(Instagramより) 「田プラ」側の主張は単純なものだ。前知事との間で交わされた10年という約束をなぜ反故にするのか。その約束が守られないのであれば、10年を見据えて投資した資金の回収について、また雇用した社員らの処遇について前向きな話し合いをしたいというだけだ。 「田プラ」は県に誠意ある対応を求めている。事業中止の場合は少なくとも6カ月前に書面で通知する約束になっていた。だが、中止は2021年時点の「県有施設のあり方見直し委員会」へのリスト入りから一方的に決まったと主張する。アンテナショップ閉鎖は、地元紙で大々的に報じられ瞬く間に既成事実になっていったとさえ思っている。 自らが手掛ける事業の行方を、ビジネスパートナーではなく新聞報道で知らされたようなものだ。その不手際を糊塗するかのような副知事の怪しい動き。そして、現在もなお「ぐんまちゃん家」の事業停止、業務委託契約の解除は、書面の形をとって「田プラ」には届いていないという。彰一と「田プラ」の困惑は続くが、群馬県と「田プラ」の業務委託契約は2023年3月いっぱいで切れた。 いうまでもなく円満とはほど遠い契約満了。「田プラ」は、「県側による業務委託契約の一方的な中途解約」であり「著しく信義に悖る」と憤りを隠さない。 あまつさえ、彰一の耳に「山本知事や宇留賀副知事が田プラと訴訟沙汰になっていると吹聴しているが本当か」という俄かに信じがたい話が飛び込んできている。親子2代にわたって地元群馬県のためにという一心で奮闘してきた彰一には、今の状況はとても信じられないことだ。「田プラ」の言い分に、群馬県はどう答えるのか。群馬県庁の観光課の職員2名と、県の代理人弁護士が面会で取材に応じた。――「田プラ」は中途での事業中止ならば事前に書面で通知を行うべきだったと主張しているがどうか。「『田プラ』には面談に先立つ1年前、2021年2月頃に『ぐんまちゃん家』の閉鎖は伝えた。永井社長のお返事は『応じられない』というものだったのは事実。その後、社長から『投資分の補償はできないのか』とご要望もあった。その点でも『田プラ』が『ぐんまちゃん家』閉鎖を寝耳に水のように言うのは事実と異なる。以降の2年あまりにわたる県と『田プラ』の交渉はすべて撤退を前提になされたものだと認識している。 2022年12月を以て営業を終了したのは、『ぐんまちゃん家』が賃貸物件に入居していた施設のために、契約終了となる2023年3月までに原状回復して引き渡さなければならなかったからだ。業者には工事に2カ月半はかかると言われたので、契約満了の期日を逆算して営業を止めたまで。 県の認識としては、『田プラ』側との業務委託契約は契約書に記されたとおりの内容、期間で契約満了であると考えている。契約破棄だとは認識していない。『田プラ』にとって満足いく回答ではなかったかもしれないが、前述のとおり撤退を前提にした交渉を続けてきた。しぶしぶながら原状回復工事にもご理解いただいたものと思っている」――2022年5月、宇留賀副知事が面談の場で「5000万円」という金額を提示したと聞いている。「2022年5月に副知事が『田プラ』を訪れた際には、さまざまなスキームのもとで撤退の道が探れるだろうと申し上げた。その中で、工事費用、家賃等々を含めてざっくり5000万円という数字が出たことはあった。撤退に関しては『田プラ』からは『1億数千万円くらい出せないのか』とも言われていた。『田プラ』側が必然的に負うであろう金銭的負担、たとえば工事費、家賃補償等に関し、共同で事業を営んでいた県としては何かできることはないかと模索はした。だが『ぐんまちゃん家』撤退は契約に違背するものではないので、最終的には補償や解決金といった特別なスキームを用いて金銭を支払っていない」――法的な認識については理解したが、県内企業とこれほどの行き違いが生じたことに関してはどうか。「『田プラ』側が県から『なにもしてもらっていない』と考えていることは十分理解できる。交渉の場で県側から金銭的な補償があり得るかのように思わせてしまったのは軽率だった。お怒りも無理からぬことだと思う。先方から要求、要望があれば誠意をもって対応していきたいと思っている」 これが群馬県のアンテナショップ閉鎖にまつわる双方の認識だ。本来ならば手を取り合って群馬県の発展のために協力していけたはずの両者がかくもこじれた理由はなにか。 山本一太知事と永井彰一の感情的なしこりか。事情を斟酌し軽率にも「5000万円」を口にした宇留賀敬一副知事の無分別か。あるいはその両方か。料理屋「つる」に寄せた自民の大物・元宿の郷土愛 第1回の冒頭に記した「田プラ」が経営する料理屋「つる」に二階派の重鎮や政界の面々がなぜ集まるようになったかの謎解きをせねばならない。まず「田プラ」社長・永井彰一の父である鶴二が川場村村長、県会議員だったとはいえ、福田派のオーナー福田赳夫の寵愛を受け、清和会の人脈がその息子彰一に受け継がれたことを確認しておこう。 そして、冒頭にも記した自民党事務総長で“陰の幹事長”とも言われる大物・元宿が実は川場村出身なのだ。最初に二階を「つる」に連れてきたのは元宿だった。非常に郷土愛が強く、幼い時から鶴二に可愛がられていた元宿は、恩返しのようにこの店に通っている。二階もこの店を気に入った。そして、いつの間にか永田町でも知る人ぞ知る、二階派の“社交場”とも呼ばれる店になっていったのだ。 群馬県知事の山本はかつて激怒し、訴訟にすると息巻いたことがあった。それはブランド総合研究所が発表した「地域ブランド調査2021」に対してだった。地域のブランド力がどれほどあるかという調査で、群馬県は47都道府県の中で44番目にランクされたのだ。この結果に対し、山本は「不当だ」と息巻き、「法的な措置も考える」などと口走った。 群馬県のブランド力、イメージを引き上げたい――知事であれば当然の願いであろう。ならば、地方創生のモデルとして全国に名を轟かせた彰一率いる「田プラ」をこそ大事にするべきだったのではないか。 足下のごたごたひとつ片づけられないようでは、県全体のイメージアップなど程遠かろう。今こそリーダーシップを発揮してはどうか。(児玉 博/Webオリジナル(特集班))
この“宇留賀事件”から数日後、「田プラ」に対して県側は「今後は代理人を通してやりとりしてほしい」と一方的に通告してきたという。「田プラ」側もやむなく代理人弁護士を立て、「ぐんまちゃん家」撤退にかかる諸経費についての協議を求めざるを得なくなった。
2022年9月12日、「田プラ」の幹部2人が群馬県の代理人弁護士を群馬県前橋市に訪ねた。その一部、県側が否定している宇留賀副知事が提示した5000万円の件についてこんなやり取りがあった。
「田プラ」側
既に代理人同士の応酬になっている状況下にもかかわらずに当事者である自分達と面会の機会を設定していただいたことについて感謝申し上げる。まず今回の要望書、回答書に関して、これらの書面に先立つ5月23日に宇留賀副知事が田プラに訪問されて5000万円を支払うという話があったことを先生自身はご存知か?

「群馬県代理人弁護士」(以下、群馬県)
初耳。ただ5000万円というキーワードで思い出したが、賃貸人(筆者注:「県」のこと)に対する原状回復債務を田プラが引き受けた上で、1階部分の原状回復費用見合いとして相応額の全額を支払うというような話題が自分と県庁側との協議の席でなされたことがあった。

「田プラ」側
当時の副知事の発言によれば、田プラへの訪問前に相談した顧問弁護士からも猛反対されたが、話を収めるために訴訟リスク覚悟で金の算段をつけたかのような言いぶりだった。その際の「顧問弁護士」というのは先生ではないのか?

「群馬県」
自分ではない。原状回復債務を田プラに移転して、原状回復代金として5000万円が県から田プラに支払われるスキームを採るとしても、その前提をして1階部分の資産(県所有物)を田プラに移転する必要があり、5000万円でケリをつけようとする県が想定するスキームは非現実的であるように思う。
「田プラ側」
5月の面会の際は、5000万円という金額だけが提示され、この金が原状回復費用なのか解決金なのかとか、金の性質については具体的な説明を受けたわけではない。しかし、副知事の言い方では、本来的には5000万円は県として支払いの義務はない、法的には無根拠の金であり、後日にオンブズマン等の第三者から不当な支払いであるとの訴えを受ける可能性のある金である。もし県が訴訟で敗訴する場合には、返金をしてもらわなければならない性質の金であるという趣旨の説明であった。

「群馬県」
(絶句)

「田プラ側」
そんな血まみれの金を渡されても困るし、議会手続きの際に知事以下が火だるまにでもなれば、田プラにも飛び火するだろうし迷惑だという旨はその場で伝えた。撤退に関わる諸費用の件もさることながら、中長期の運営を想定して所要の人員を雇用し、設備投資まで行ってきた。店舗運営等で県に迷惑をかけたというのであればともかく、コロナ禍も乗り越えて売上も向上しつつあり、急な政策変更でアンテナショップが閉店に追い込まれ契約更新に対する期待権が侵害されている。これだけの大事件にもかかわらず県側の回答が遅く、また不誠実な対応を受けていることに対する怒りが根底にあることはご理解頂きたい。

「群馬県」
お気持ちは適切に理解。自分も長年に渡って県から相談を受けているが、このような個別案件に関する交渉を委任されるのは初めてのことで驚いている。一連の交渉過程について、田プラ側では副知事のスタンドプレーのように思われているかも知れないが自分の肌感としては、本件は知事まで上がっていると思う。担当部局と副知事との間のコミュニケーションが遅いことに加えて、知事と副知事の間のコミュニケーションの遅延が複雑に絡み合って、解決自体が先延ばしにされているのではないかと想像する。
これが昨年9月12日に行われた「田プラ」側と群馬県側の代理人とのやり取りである。
しかし、別の交渉の場においてこの代理人からは5000万円の内訳について原状回復工事代金として3600万円、県が撤退した後の3カ月分の家賃の肩代わりとして1400万円という計算が県内部で検討されていたという衝撃の発言も飛び出している。
在りし日の「ぐんまちゃん家」(Instagramより)
「田プラ」側の主張は単純なものだ。前知事との間で交わされた10年という約束をなぜ反故にするのか。その約束が守られないのであれば、10年を見据えて投資した資金の回収について、また雇用した社員らの処遇について前向きな話し合いをしたいというだけだ。
「田プラ」は県に誠意ある対応を求めている。事業中止の場合は少なくとも6カ月前に書面で通知する約束になっていた。だが、中止は2021年時点の「県有施設のあり方見直し委員会」へのリスト入りから一方的に決まったと主張する。アンテナショップ閉鎖は、地元紙で大々的に報じられ瞬く間に既成事実になっていったとさえ思っている。
自らが手掛ける事業の行方を、ビジネスパートナーではなく新聞報道で知らされたようなものだ。その不手際を糊塗するかのような副知事の怪しい動き。そして、現在もなお「ぐんまちゃん家」の事業停止、業務委託契約の解除は、書面の形をとって「田プラ」には届いていないという。彰一と「田プラ」の困惑は続くが、群馬県と「田プラ」の業務委託契約は2023年3月いっぱいで切れた。
いうまでもなく円満とはほど遠い契約満了。「田プラ」は、「県側による業務委託契約の一方的な中途解約」であり「著しく信義に悖る」と憤りを隠さない。
あまつさえ、彰一の耳に「山本知事や宇留賀副知事が田プラと訴訟沙汰になっていると吹聴しているが本当か」という俄かに信じがたい話が飛び込んできている。親子2代にわたって地元群馬県のためにという一心で奮闘してきた彰一には、今の状況はとても信じられないことだ。
「田プラ」の言い分に、群馬県はどう答えるのか。群馬県庁の観光課の職員2名と、県の代理人弁護士が面会で取材に応じた。
――「田プラ」は中途での事業中止ならば事前に書面で通知を行うべきだったと主張しているがどうか。
「『田プラ』には面談に先立つ1年前、2021年2月頃に『ぐんまちゃん家』の閉鎖は伝えた。永井社長のお返事は『応じられない』というものだったのは事実。その後、社長から『投資分の補償はできないのか』とご要望もあった。その点でも『田プラ』が『ぐんまちゃん家』閉鎖を寝耳に水のように言うのは事実と異なる。以降の2年あまりにわたる県と『田プラ』の交渉はすべて撤退を前提になされたものだと認識している。
2022年12月を以て営業を終了したのは、『ぐんまちゃん家』が賃貸物件に入居していた施設のために、契約終了となる2023年3月までに原状回復して引き渡さなければならなかったからだ。業者には工事に2カ月半はかかると言われたので、契約満了の期日を逆算して営業を止めたまで。
県の認識としては、『田プラ』側との業務委託契約は契約書に記されたとおりの内容、期間で契約満了であると考えている。契約破棄だとは認識していない。『田プラ』にとって満足いく回答ではなかったかもしれないが、前述のとおり撤退を前提にした交渉を続けてきた。しぶしぶながら原状回復工事にもご理解いただいたものと思っている」
――2022年5月、宇留賀副知事が面談の場で「5000万円」という金額を提示したと聞いている。
「2022年5月に副知事が『田プラ』を訪れた際には、さまざまなスキームのもとで撤退の道が探れるだろうと申し上げた。その中で、工事費用、家賃等々を含めてざっくり5000万円という数字が出たことはあった。撤退に関しては『田プラ』からは『1億数千万円くらい出せないのか』とも言われていた。『田プラ』側が必然的に負うであろう金銭的負担、たとえば工事費、家賃補償等に関し、共同で事業を営んでいた県としては何かできることはないかと模索はした。だが『ぐんまちゃん家』撤退は契約に違背するものではないので、最終的には補償や解決金といった特別なスキームを用いて金銭を支払っていない」
――法的な認識については理解したが、県内企業とこれほどの行き違いが生じたことに関してはどうか。
「『田プラ』側が県から『なにもしてもらっていない』と考えていることは十分理解できる。交渉の場で県側から金銭的な補償があり得るかのように思わせてしまったのは軽率だった。お怒りも無理からぬことだと思う。先方から要求、要望があれば誠意をもって対応していきたいと思っている」
これが群馬県のアンテナショップ閉鎖にまつわる双方の認識だ。本来ならば手を取り合って群馬県の発展のために協力していけたはずの両者がかくもこじれた理由はなにか。
山本一太知事と永井彰一の感情的なしこりか。事情を斟酌し軽率にも「5000万円」を口にした宇留賀敬一副知事の無分別か。あるいはその両方か。
第1回の冒頭に記した「田プラ」が経営する料理屋「つる」に二階派の重鎮や政界の面々がなぜ集まるようになったかの謎解きをせねばならない。まず「田プラ」社長・永井彰一の父である鶴二が川場村村長、県会議員だったとはいえ、福田派のオーナー福田赳夫の寵愛を受け、清和会の人脈がその息子彰一に受け継がれたことを確認しておこう。
そして、冒頭にも記した自民党事務総長で“陰の幹事長”とも言われる大物・元宿が実は川場村出身なのだ。最初に二階を「つる」に連れてきたのは元宿だった。非常に郷土愛が強く、幼い時から鶴二に可愛がられていた元宿は、恩返しのようにこの店に通っている。二階もこの店を気に入った。そして、いつの間にか永田町でも知る人ぞ知る、二階派の“社交場”とも呼ばれる店になっていったのだ。
群馬県知事の山本はかつて激怒し、訴訟にすると息巻いたことがあった。それはブランド総合研究所が発表した「地域ブランド調査2021」に対してだった。地域のブランド力がどれほどあるかという調査で、群馬県は47都道府県の中で44番目にランクされたのだ。この結果に対し、山本は「不当だ」と息巻き、「法的な措置も考える」などと口走った。 群馬県のブランド力、イメージを引き上げたい――知事であれば当然の願いであろう。ならば、地方創生のモデルとして全国に名を轟かせた彰一率いる「田プラ」をこそ大事にするべきだったのではないか。 足下のごたごたひとつ片づけられないようでは、県全体のイメージアップなど程遠かろう。今こそリーダーシップを発揮してはどうか。(児玉 博/Webオリジナル(特集班))
群馬県知事の山本はかつて激怒し、訴訟にすると息巻いたことがあった。それはブランド総合研究所が発表した「地域ブランド調査2021」に対してだった。地域のブランド力がどれほどあるかという調査で、群馬県は47都道府県の中で44番目にランクされたのだ。この結果に対し、山本は「不当だ」と息巻き、「法的な措置も考える」などと口走った。
群馬県のブランド力、イメージを引き上げたい――知事であれば当然の願いであろう。ならば、地方創生のモデルとして全国に名を轟かせた彰一率いる「田プラ」をこそ大事にするべきだったのではないか。 足下のごたごたひとつ片づけられないようでは、県全体のイメージアップなど程遠かろう。今こそリーダーシップを発揮してはどうか。(児玉 博/Webオリジナル(特集班))
群馬県のブランド力、イメージを引き上げたい――知事であれば当然の願いであろう。ならば、地方創生のモデルとして全国に名を轟かせた彰一率いる「田プラ」をこそ大事にするべきだったのではないか。
足下のごたごたひとつ片づけられないようでは、県全体のイメージアップなど程遠かろう。今こそリーダーシップを発揮してはどうか。
(児玉 博/Webオリジナル(特集班))