「健康診断のお知らせ」と大きく書かれたIT企業の広告がダイレクトメール(DM)で届いて紛らわしかったと、ツイッターに写真が投稿され物議を醸している。
実際は、勤怠管理などのシステムについてPRする内容だった。広告主でクラウド会計ソフトなどを手がける「freee」は、このDMについて「法改正対応にもかかわるため、注目してほしかった」と取材に説明し、「不快との声は真摯に受け止めます」と述べた。
DMの封筒では、「重要なお知らせ」が赤色で強調され、「システムの」に続いて、目立つ大きな字で「健康診断のお知らせ」と案内されている。ドキッとさせるような内容だ。
「問診票が入っています」とも記され、お知らせの上には、「勤怠管理/給与計算/労務手続き/年末調整に関わる労務ご担当者さまへ」とあった。
このDMの写真は、2023年5月8日にツイッターで投稿された。投稿者は、紛らわしい広告だったと不快感を示した。
この投稿は、1000件ほどリツイートされ、まとめサイトも取り上げて拡散している。
DMについて、「ちょっと目に留まるような工夫」だと理解する向きもあったが、「同じの来てイラッとしました」「ユーモアのセンスがズレてる」といった苦言が相次いでいる。
freeeの広報担当者は10日、J-CASTニュースの取材に対し、拡散された写真には写っていなかったが、封筒の表の下部にPRと分かる文を緑色で強調していることを示した。そこでは、「『健康診断』が日々の業務負担の予防につながります。現状にリスクが潜んでいないか、1分診断してみませんか?」と勧め、freeeの人事労務システム研究会の名前があった。
封筒の中には、あいさつ状があり、2つのタイプの人事労務システムを会社の規模や体制に応じて選ぶのが重要だとし、定期検診のようにシステムを見直すことを提案している。そして、システムの「健康診断」をテーマにして、同封のシステム問診票でチェックして1つでも当てはまれば、後日のオンラインセミナーへ参加するよう呼びかけていた。
このDMについて、freeeの広報担当者は、広告に該当するDMで、既存の取り引きがない新規の法人に発送したと取材にメールで説明した。5月2日から各企業の労務担当者に向けて発送し、ゴールデンウィーク明けの8日以降に到着しているはずだという。
「重要なお知らせ」とした理由については、「2024年3月に行われる働き方改革関連法の改正などに伴い、対応を要するお客様については重要な情報になっていると考えたためです」と述べた。
問診票とは、「現在お使いの人事労務業務、およびシステムにおける課題をチェックしていただくチェックシート」だとし、「例えば残業時間の管理体制などが法令上対応を要する事象として質問に書かれており、ご確認いただくことで対応の必要性を認識していただきたいと考えました」とした。
このDMを送った理由については、次のように説明した。
「健康診断のお知らせ」では紛らわしいと批判が出ていることについては、「ご不快の念を表明されている方がいらっしゃるということは、真摯に受け止めて、今後のマーケティング活動の参考にさせていただきたいと思います」と述べた。
(J-CASTニュース編集部 野口博之)