テールラーメン店主と6代目山口組3次団体トップを兼ねていた余嶋学・湊興業組長が射殺された事件をめぐって、当初なかなか判然としなかった犯人グループの姿がほんのおぼろげながら見えてきたようだ。
【写真を見る】亡くなった6代目山口組・3代目弘道会・湊興業の余嶋学組長との最後の別れ 余嶋学組長が射殺されたのは4月22日のこと。それから10日ほどが経過した5月2日、事件解明に向けた動きが少し見られた。「4代目山健組傘下の初代妹尾組(本部・岡山県)の元若頭補佐が、兵庫県警に逮捕されました。元若頭補佐が余嶋組長を射殺したヒットマンの乗ったクルマを解体業者のところへ出し、解体寸前の状況だったということです。この解体業者も同時に逮捕されています」

射殺された余嶋学・湊興業組長 と語るのは、元山口組系義竜会会長の竹垣悟氏(現・NPO法人「五仁會」主宰)。 今回、逮捕された解体業者は詳しい事情は知らないと見られているようだ。つまり警察のターゲットは初代妹尾組の元若頭補佐ということになる。クルマを貸した人物 犯人が使ったとされるクルマが岡山県内で発見されたのは既報の通り。当初からクルマを貸した人物が注目されてきた。その人物こそ、今回逮捕された元若頭補佐だという。 ここで妹尾組について簡単に触れておこう。 初代妹尾組の組長は、6代目山口組傘下の4代目山健組(井上邦雄組長)で若頭を務めていた。3代目が組織を継承したのは2011年のこと。2015年に井上組長が神戸山口組を旗上げするのに従って6代目山口組を脱退。2018年に山健組が5代目に代替わりし、3代目妹尾組組長は若頭となるが、2020年に5代目山健組が神戸を脱退して翌年に6代目側に復帰したことで、6代目山口組の3次団体となっている。 話を逮捕された元若頭補佐に戻そう。彼は15年ほど前にある事件で懲役へ行くことになり、その前にカタギになったとされる。しかし、最近、別の事件でもこの人物の存在に注目が集まったことがあった。「去年10月、同じ岡山を本拠とし、神戸山口組と連合を組む池田組の池田孝志組長を床屋で襲撃したのが3代目妹尾組の吉永淳若頭でした。その吉永若頭の借りているマンションの名義人がこの元若頭補佐だという話が出たのです。実際、そのようですね」(同)野球賭博に関係 前述の通り、5代目山健組は6代目側に復帰したばかり。床屋襲撃事件は、存在感を際立たせるため、それなりの戦果が傘下組織に求められていた中で発生した抗争事件との見方がもっぱらだった。「床屋での襲撃に関しては襲撃犯に部屋を借りてやっている程度で、捜査当局もそれ以上は踏み込めなかったのかもしれません。が、今回の射殺事件については、自身が貸したクルマを処分して証拠を隠滅しようと目論んでいた疑いがもたれており、事件のキーマンと言えるでしょう」(同) この元若頭補佐は現在、表向きにはごみ収集運搬業に携わっているという。「現役時代から野球賭博に関係していたという話があります。余嶋組長も野球賭博の胴元をやっていて、負債がそれなりに嵩んでいたとのことで、その辺りが両者の接点の可能性があると言えるでしょう」(同) 加えて、こんな情報も。「火器銃器の取り扱いに精通しているとの噂があり、当局もこれに注目しているという話が流れてきています」(同)カタギになりたい説「2019年に2代目古川組の古川恵一組長がマシンガンで射殺される事件が起こっています。この時、マシンガンを用立てたのが、この元若頭補佐だと噂されていますね」(同) もっとも、この時のヒットマンは背景について口を割らないまま無期懲役が確定しており、実態が明らかになる可能性はほとんどなさそうだという。「カタギ」になったはずの元若頭と、ラーメン店主の顔を持つ組長との関係について、今後は捜査が進むことになるだろう。「被害者の余嶋組長がカタギになりたいとこぼしていたという話が出回っていますが、私の聞く限り、それは事実ではないように感じます。本当にカタギになりたいなら何も言わずにそうしているはずですよ。かなり早い段階で弘道会の直参になり、スーパー激戦区の神戸でサバイブしてきた組長がそう簡単に泣き言を吐くとは思えないのです」(同)デイリー新潮編集部
余嶋学組長が射殺されたのは4月22日のこと。それから10日ほどが経過した5月2日、事件解明に向けた動きが少し見られた。
「4代目山健組傘下の初代妹尾組(本部・岡山県)の元若頭補佐が、兵庫県警に逮捕されました。元若頭補佐が余嶋組長を射殺したヒットマンの乗ったクルマを解体業者のところへ出し、解体寸前の状況だったということです。この解体業者も同時に逮捕されています」
と語るのは、元山口組系義竜会会長の竹垣悟氏(現・NPO法人「五仁會」主宰)。 今回、逮捕された解体業者は詳しい事情は知らないと見られているようだ。つまり警察のターゲットは初代妹尾組の元若頭補佐ということになる。
犯人が使ったとされるクルマが岡山県内で発見されたのは既報の通り。当初からクルマを貸した人物が注目されてきた。その人物こそ、今回逮捕された元若頭補佐だという。
ここで妹尾組について簡単に触れておこう。
初代妹尾組の組長は、6代目山口組傘下の4代目山健組(井上邦雄組長)で若頭を務めていた。3代目が組織を継承したのは2011年のこと。2015年に井上組長が神戸山口組を旗上げするのに従って6代目山口組を脱退。2018年に山健組が5代目に代替わりし、3代目妹尾組組長は若頭となるが、2020年に5代目山健組が神戸を脱退して翌年に6代目側に復帰したことで、6代目山口組の3次団体となっている。
話を逮捕された元若頭補佐に戻そう。彼は15年ほど前にある事件で懲役へ行くことになり、その前にカタギになったとされる。しかし、最近、別の事件でもこの人物の存在に注目が集まったことがあった。
「去年10月、同じ岡山を本拠とし、神戸山口組と連合を組む池田組の池田孝志組長を床屋で襲撃したのが3代目妹尾組の吉永淳若頭でした。その吉永若頭の借りているマンションの名義人がこの元若頭補佐だという話が出たのです。実際、そのようですね」(同)
前述の通り、5代目山健組は6代目側に復帰したばかり。床屋襲撃事件は、存在感を際立たせるため、それなりの戦果が傘下組織に求められていた中で発生した抗争事件との見方がもっぱらだった。
「床屋での襲撃に関しては襲撃犯に部屋を借りてやっている程度で、捜査当局もそれ以上は踏み込めなかったのかもしれません。が、今回の射殺事件については、自身が貸したクルマを処分して証拠を隠滅しようと目論んでいた疑いがもたれており、事件のキーマンと言えるでしょう」(同)
この元若頭補佐は現在、表向きにはごみ収集運搬業に携わっているという。
「現役時代から野球賭博に関係していたという話があります。余嶋組長も野球賭博の胴元をやっていて、負債がそれなりに嵩んでいたとのことで、その辺りが両者の接点の可能性があると言えるでしょう」(同)
加えて、こんな情報も。
「火器銃器の取り扱いに精通しているとの噂があり、当局もこれに注目しているという話が流れてきています」(同)
「2019年に2代目古川組の古川恵一組長がマシンガンで射殺される事件が起こっています。この時、マシンガンを用立てたのが、この元若頭補佐だと噂されていますね」(同)
もっとも、この時のヒットマンは背景について口を割らないまま無期懲役が確定しており、実態が明らかになる可能性はほとんどなさそうだという。「カタギ」になったはずの元若頭と、ラーメン店主の顔を持つ組長との関係について、今後は捜査が進むことになるだろう。
「被害者の余嶋組長がカタギになりたいとこぼしていたという話が出回っていますが、私の聞く限り、それは事実ではないように感じます。本当にカタギになりたいなら何も言わずにそうしているはずですよ。かなり早い段階で弘道会の直参になり、スーパー激戦区の神戸でサバイブしてきた組長がそう簡単に泣き言を吐くとは思えないのです」(同)
デイリー新潮編集部