治安を維持している警察官が所持した拳銃で自らの命を絶つという痛ましい事件が続いている。いったい警察組織で何が起きているのだろうか――。
連休後半の5月5日、早朝。東京・永田町にある首相官邸の守衛所トイレで男性機動隊員が血を流して倒れているのが見つかった。男性は25歳、警視庁機動隊に所属していた。現場の状況から拳銃で自殺を図ったとみられている。
「パンっという発砲音が聞こえ、同僚が個室の中を確認したところ男性機動隊員が倒れていたそうです。近くには貸与された拳銃が一丁落ちていました。

拳銃が自殺に使われるというのもショッキングですが、警察官がなんらかの思想を持っていた場合、その銃口を要人に向けるのではないかとの恐れも浮かんできます。不審者を入れないために警備をしているはずの警察官が、内部から要人の命を狙う可能性も十分にあり得ることだということです」(全国紙政治部記者)政府関係者にも動揺を与えた(写真はイメージ)不気味なのは、警官による「拳銃自殺」が相次いでいることだ。今年1月には自民党本部の隣のビルでも拳銃自殺を図った機動隊員がいた。今年3月、4月には福島県警の警察官が拳銃を使って自ら命を絶った。この3ヵ月で3人が拳銃で自殺するという異常事態が起きているのだ。警察官は相次いで拳銃で命を絶つ――そこまで追い詰められてしまう背景には「特殊な組織の事情」が関係しているとされる。『警察組織』の特殊な環境「拳銃は警察官にとっては手近なもの。それを自死の手段に選ぶ、特殊な環境に慣れていない若い警察官が目立ちます」こう語るのは元警視庁刑事の吉川祐二氏だ。今回の自殺の直接の原因は明らかにされていないが、一部では「組織のなかでなじめなかったことが原因ではないか」(警察関係者)との情報も聞こえてくる。吉川氏は「一般論として、若い警官が自殺にまで追い込まれる背景には、組織特有の厳しすぎる上下関係、組織内の人間関係が影響しているのではないか」と指摘し、こう続ける。「金銭問題や異性関係、家族の問題、職場の人間関係……一般的な要因ももちろんありますが、それ以上に警察組織内の階級、先輩後輩、上司と部下をはじめとした、『上から下への指導』は普通の組織以上に厳しいものがあるんです」 この「指導」が当事者らにとっては強いストレスになっていた可能性が考えられるという。「いくら『指導』とはいえ、上から厳しく言われたことが強く心に残ってしまうことがあります。そうしたことも心の不調となった一因として考えられるのです」しかし、この「指導」は厳しく過酷な警察業務を遂行していく上では避けては通れないことなのだという。過酷な警察業務を遂行するための厳しい「指導」に苦悩する若い警察官たち。後半記事『相次ぐ「警察官の拳銃自殺」――過酷な現場と対峙する若手警官が抱える「使命感とストレス」という解決困難な難問』ではその現状について伝える。
「パンっという発砲音が聞こえ、同僚が個室の中を確認したところ男性機動隊員が倒れていたそうです。近くには貸与された拳銃が一丁落ちていました。
拳銃が自殺に使われるというのもショッキングですが、警察官がなんらかの思想を持っていた場合、その銃口を要人に向けるのではないかとの恐れも浮かんできます。不審者を入れないために警備をしているはずの警察官が、内部から要人の命を狙う可能性も十分にあり得ることだということです」(全国紙政治部記者)
政府関係者にも動揺を与えた(写真はイメージ)
不気味なのは、警官による「拳銃自殺」が相次いでいることだ。今年1月には自民党本部の隣のビルでも拳銃自殺を図った機動隊員がいた。今年3月、4月には福島県警の警察官が拳銃を使って自ら命を絶った。この3ヵ月で3人が拳銃で自殺するという異常事態が起きているのだ。
警察官は相次いで拳銃で命を絶つ――そこまで追い詰められてしまう背景には「特殊な組織の事情」が関係しているとされる。
「拳銃は警察官にとっては手近なもの。それを自死の手段に選ぶ、特殊な環境に慣れていない若い警察官が目立ちます」
こう語るのは元警視庁刑事の吉川祐二氏だ。今回の自殺の直接の原因は明らかにされていないが、一部では「組織のなかでなじめなかったことが原因ではないか」(警察関係者)との情報も聞こえてくる。吉川氏は「一般論として、若い警官が自殺にまで追い込まれる背景には、組織特有の厳しすぎる上下関係、組織内の人間関係が影響しているのではないか」と指摘し、こう続ける。
「金銭問題や異性関係、家族の問題、職場の人間関係……一般的な要因ももちろんありますが、それ以上に警察組織内の階級、先輩後輩、上司と部下をはじめとした、『上から下への指導』は普通の組織以上に厳しいものがあるんです」
この「指導」が当事者らにとっては強いストレスになっていた可能性が考えられるという。「いくら『指導』とはいえ、上から厳しく言われたことが強く心に残ってしまうことがあります。そうしたことも心の不調となった一因として考えられるのです」しかし、この「指導」は厳しく過酷な警察業務を遂行していく上では避けては通れないことなのだという。過酷な警察業務を遂行するための厳しい「指導」に苦悩する若い警察官たち。後半記事『相次ぐ「警察官の拳銃自殺」――過酷な現場と対峙する若手警官が抱える「使命感とストレス」という解決困難な難問』ではその現状について伝える。
この「指導」が当事者らにとっては強いストレスになっていた可能性が考えられるという。
「いくら『指導』とはいえ、上から厳しく言われたことが強く心に残ってしまうことがあります。そうしたことも心の不調となった一因として考えられるのです」
しかし、この「指導」は厳しく過酷な警察業務を遂行していく上では避けては通れないことなのだという。
過酷な警察業務を遂行するための厳しい「指導」に苦悩する若い警察官たち。後半記事『相次ぐ「警察官の拳銃自殺」――過酷な現場と対峙する若手警官が抱える「使命感とストレス」という解決困難な難問』ではその現状について伝える。