「道を歩いているだけで“気持ち悪い”と言われるんです」――かつて140kgだった男性は当時、周囲から受けていた扱いをそう振り返る。28歳で一念発起、ダイエット動画の配信を始め、1年間で約70kgの大減量に成功。今では“かっこいい”と言われることもあるという。長く“見た目差別”に苦しんだ。それでも「ルッキズムのすべてを否定はできない」と話す。ルッキズムの表と裏を見たYouTuberルイボス(32)が明かす「見た目」の価値と意味とは。
■暴言を浴び続けた過去、あの頃の自分には“人ひとりの価値もない”と思っていた
――かつての写真と見比べると変貌ぶりに驚きます。
【ルイボス】 道で同級生にあっても気が付かれないんですよ(笑)。自分としては“顔”はそんなに変わったと思ってなくて、体型も体重が半分になった頃、はじめて「痩せたな」と実感できたくらいで。
【写真】140キロ→マッチョ系イケメンに、驚愕の70キロ減量の変貌過程――周囲からしたら、もう別人です…。人生観なども変わったのでは。【ルイボス】 そうですね…例えるなら、めちゃくちゃハードなゲームをしていたはずが、いきなりイージーモードになった感じ。言い方は適切じゃないかもしれないけど、すべてが楽になった気がするんです。痩せてから「この世はなんて優しく生きやすいんだろう」と実感しています。――太っていた当時は「生きにくかった」?【ルイボス】 生きにくいというか、あのころ自分に向けられる他人の視線はほとんど好意的なものじゃなかったと思います。第三者からしたら、「気にしすぎ」「勘違い」だって言われるかもしれないけど、自分に向けられる“蔑みの目”っていうのは、意外とわかるものなんです。小さい頃から肥満体質で20代後半には、身長170cmで(体重が)140kgになっていました。確かに大きかったんですが、道を歩いているだけで、知らない人から「気持ち悪い」と言われるんです。僕の場合は、同性よりも異性。とくに複数でいる異性からそういった言葉を言われることが多かったので、女性に対してちょっと怖いなっていうイメージがありましたね。コンビニでも、店員さんが釣り銭を投げつけるように渡してきたり、「感じ悪いな」と思うような対応をされることも珍しくありませんでした。でも、当時は“世の中ってそういうものなんだ”と思って生きてましたね。――周囲からのそうした扱いは、メンタルにもかなり影響したのでは。【ルイボス】 とにかく暗くて消極的でした。そりゃそうですよね。外に出るたび、「気持ち悪い」と言われてたら、明るく前向きになんかなれるわけがない。長く、“自分は人ひとりの価値もない人間だ”と感じていました。将来に対する夢も希望もないまま人生終了なんだって思っていましたね。■見た目が重視される世の中だからこそ、生まれる努力がある――そんな中、睡眠時無呼吸症候群を発症したことがきっかけで、ダイエットを始められて。1年間で約70kgの大減量を成功された後の周囲の反響、反応はいかがですか。【ルイボス】 100kgを切ったくらいから、以前のように知らない人から暴言を浴びることがなくなり、今では、たまにですけど「かっこいい」と言ってくれる人も現れて。コンビニ店員の態度も180度違うんです。全然悪意を感じない。 ただ幸いにも太っていた当時は周囲から冷遇されるのが当たり前だったので、特別に「辛い」とも感じていなかったんです。痩せてから初めて「あの当時は暗黒だった」と分かりました。――痩せる前と後で周囲の人の扱いが違うことについてはどう感じますか。【ルイボス】 不思議な感じはしますけど、僕の場合は、自分の頑張りがみんなに認められて嬉しいっていう気持ちが一番大きいですね。太っていたころ「お前はなんにもできない」みたいに言って人たちが「お前も頑張ればできるんだな」と言ってくれたり。でも、僕のように周りの対応の変化をすんなり受け入れている人は少数派なのかもしれません。ダイエット仲間の話を聞いていると、周りの反応が変わりすぎて人間不信になったと言ってる人も、けっこうたくさんいるんですよ。とくに女性は、異性からあからさまに態度を変えられることに対して、不信感を抱く人は多いみたいですね。――昨今、外見で人を判断し、ときには差別や不当な扱いにつながる「ルッキズム(外見重視主義)」が問題視されています。ルイボスさんはまさにルッキズムを体験された当事者と言えますが、この「見た目問題」をどう捉えていますか。【ルイボス】 外見を理由に差別的な扱いをするのはもちろんあってはならないことだと思います。高校時代、好意を持っていた女友達と食事に行ったことがあったんですが、食事中、隣の席から「よくあんな太っている人と一緒にご飯食べられるよね」という声が聞こえて。2人連れの女性だったんですが、彼女にもしっかり聞こえていたので、本当に申し訳なく、すごく辛い気持ちになったことは今でも忘れられません。ただ、一方で、やはり見た目は重要ではないか、とも思うんですよね。見た目で相手に与える印象が変わる世の中だからこそ、身なりを整えたり、少しでも美しくなろうと努力すると思うんです。人が成長するためにも、「理想に向かう努力」は必要かな、と。――「見た目」による差別に苦しんだ過去があっても、「見た目重視」の世の中はアリ、と?【ルイボス】 難しいんですが、ルッキズムを否定しすぎると「どんな外見でもいいのか」という問題にもなるような気がして。僕も太っていた頃は「外見なんて関係ない」と本気で思っていて、髭も生やしっぱなしで髪型も適当でした。見た目に関してとにかく無頓着。そのうえ、ひねくれた性格が表情にも出ていて、笑顔どころか、人と視線を合わせることすら難しかった。 でもそれは今思うと努力をしていなかっただけで、ちょっとでも改善しようとしていたら「気持ち悪い」とまで言われることはなかったかもしれないなって思うんです。■前向きな気持ちになれるなら“整形”も否定しない――ルッキズムが問題視される背景には「外見重視」の考え方が過度なダイエットや整形依存につながることなども挙げられます。【ルイボス】 健康被害につながることはもちろん問題だと思います。ただ整形で理想の外見を手に入れることについては否定しません。整形でキレイになる=努力してないって思う人もいるみたいですが、むしろ僕は頑張ってるな、努力してるなって捉えてしまうかもしれません。顔にメスを入れるなんてめちゃめちゃ怖いと思うし、失敗して今よりマイナスになるリスクだってゼロじゃないはず。それでも決意するってすごく勇気が必要だし、費用を用意するのだってそれなりに大変だと思うし。自分で(整形すると)決めて、前向きな気持ちになれるんだったら僕は決して否定しませんね。――最後に、ルイボスさんにとって理想の見た目を教えてください。【ルイボス】 アーノルド・シュワルツェネッガーやラオウ(漫画『北斗の拳』)みたいな、マッチョで力強い体は、男から見てもやっぱりかっこいいなと思うので、もっともっと筋肉をつけたいですね。今は“ボディビルダー”という新たな目標ができて、トレーニングに励んでいるところです。
――周囲からしたら、もう別人です…。人生観なども変わったのでは。
【ルイボス】 そうですね…例えるなら、めちゃくちゃハードなゲームをしていたはずが、いきなりイージーモードになった感じ。言い方は適切じゃないかもしれないけど、すべてが楽になった気がするんです。痩せてから「この世はなんて優しく生きやすいんだろう」と実感しています。
――太っていた当時は「生きにくかった」?
【ルイボス】 生きにくいというか、あのころ自分に向けられる他人の視線はほとんど好意的なものじゃなかったと思います。第三者からしたら、「気にしすぎ」「勘違い」だって言われるかもしれないけど、自分に向けられる“蔑みの目”っていうのは、意外とわかるものなんです。
小さい頃から肥満体質で20代後半には、身長170cmで(体重が)140kgになっていました。確かに大きかったんですが、道を歩いているだけで、知らない人から「気持ち悪い」と言われるんです。僕の場合は、同性よりも異性。とくに複数でいる異性からそういった言葉を言われることが多かったので、女性に対してちょっと怖いなっていうイメージがありましたね。
コンビニでも、店員さんが釣り銭を投げつけるように渡してきたり、「感じ悪いな」と思うような対応をされることも珍しくありませんでした。でも、当時は“世の中ってそういうものなんだ”と思って生きてましたね。
――周囲からのそうした扱いは、メンタルにもかなり影響したのでは。
【ルイボス】 とにかく暗くて消極的でした。そりゃそうですよね。外に出るたび、「気持ち悪い」と言われてたら、明るく前向きになんかなれるわけがない。長く、“自分は人ひとりの価値もない人間だ”と感じていました。将来に対する夢も希望もないまま人生終了なんだって思っていましたね。
■見た目が重視される世の中だからこそ、生まれる努力がある
――そんな中、睡眠時無呼吸症候群を発症したことがきっかけで、ダイエットを始められて。1年間で約70kgの大減量を成功された後の周囲の反響、反応はいかがですか。
【ルイボス】 100kgを切ったくらいから、以前のように知らない人から暴言を浴びることがなくなり、今では、たまにですけど「かっこいい」と言ってくれる人も現れて。コンビニ店員の態度も180度違うんです。全然悪意を感じない。
ただ幸いにも太っていた当時は周囲から冷遇されるのが当たり前だったので、特別に「辛い」とも感じていなかったんです。痩せてから初めて「あの当時は暗黒だった」と分かりました。
――痩せる前と後で周囲の人の扱いが違うことについてはどう感じますか。
【ルイボス】 不思議な感じはしますけど、僕の場合は、自分の頑張りがみんなに認められて嬉しいっていう気持ちが一番大きいですね。太っていたころ「お前はなんにもできない」みたいに言って人たちが「お前も頑張ればできるんだな」と言ってくれたり。
でも、僕のように周りの対応の変化をすんなり受け入れている人は少数派なのかもしれません。ダイエット仲間の話を聞いていると、周りの反応が変わりすぎて人間不信になったと言ってる人も、けっこうたくさんいるんですよ。とくに女性は、異性からあからさまに態度を変えられることに対して、不信感を抱く人は多いみたいですね。
――昨今、外見で人を判断し、ときには差別や不当な扱いにつながる「ルッキズム(外見重視主義)」が問題視されています。ルイボスさんはまさにルッキズムを体験された当事者と言えますが、この「見た目問題」をどう捉えていますか。
【ルイボス】 外見を理由に差別的な扱いをするのはもちろんあってはならないことだと思います。高校時代、好意を持っていた女友達と食事に行ったことがあったんですが、食事中、隣の席から「よくあんな太っている人と一緒にご飯食べられるよね」という声が聞こえて。2人連れの女性だったんですが、彼女にもしっかり聞こえていたので、本当に申し訳なく、すごく辛い気持ちになったことは今でも忘れられません。
ただ、一方で、やはり見た目は重要ではないか、とも思うんですよね。見た目で相手に与える印象が変わる世の中だからこそ、身なりを整えたり、少しでも美しくなろうと努力すると思うんです。人が成長するためにも、「理想に向かう努力」は必要かな、と。
――「見た目」による差別に苦しんだ過去があっても、「見た目重視」の世の中はアリ、と?
【ルイボス】 難しいんですが、ルッキズムを否定しすぎると「どんな外見でもいいのか」という問題にもなるような気がして。僕も太っていた頃は「外見なんて関係ない」と本気で思っていて、髭も生やしっぱなしで髪型も適当でした。見た目に関してとにかく無頓着。そのうえ、ひねくれた性格が表情にも出ていて、笑顔どころか、人と視線を合わせることすら難しかった。
でもそれは今思うと努力をしていなかっただけで、ちょっとでも改善しようとしていたら「気持ち悪い」とまで言われることはなかったかもしれないなって思うんです。
■前向きな気持ちになれるなら“整形”も否定しない
――ルッキズムが問題視される背景には「外見重視」の考え方が過度なダイエットや整形依存につながることなども挙げられます。
【ルイボス】 健康被害につながることはもちろん問題だと思います。ただ整形で理想の外見を手に入れることについては否定しません。整形でキレイになる=努力してないって思う人もいるみたいですが、むしろ僕は頑張ってるな、努力してるなって捉えてしまうかもしれません。
顔にメスを入れるなんてめちゃめちゃ怖いと思うし、失敗して今よりマイナスになるリスクだってゼロじゃないはず。それでも決意するってすごく勇気が必要だし、費用を用意するのだってそれなりに大変だと思うし。自分で(整形すると)決めて、前向きな気持ちになれるんだったら僕は決して否定しませんね。
――最後に、ルイボスさんにとって理想の見た目を教えてください。
【ルイボス】 アーノルド・シュワルツェネッガーやラオウ(漫画『北斗の拳』)みたいな、マッチョで力強い体は、男から見てもやっぱりかっこいいなと思うので、もっともっと筋肉をつけたいですね。今は“ボディビルダー”という新たな目標ができて、トレーニングに励んでいるところです。