札幌の地下通路で一升瓶の酒を飲み、なたを振り回しながら、「マジで、テメェぶっ殺してやるから! 分かったか! テメーよー」と奇声を上げた男は“札幌版トー横キッズ”だったのか。札幌・中央署は24日、札幌市中央区の地下通路で刃体の長さ6センチ超のなた1本を所持したとして、銃刀法違反容疑で自称無職の石川莉世(りぜ)容疑者(26)を現行犯逮捕。一体どうしたというのか。
現場は札幌市中心部の市営地下鉄大通駅コンコースで、通路にテーブルやベンチが設置された休憩スペースで暴れていた。けが人はいなかった。
いわくつきの場所のようだ。札幌在住者は「ずっと待ち合わせに使われる広場でした。しかし、昨年秋ぐらいから中年が集まり、昼から酒盛りするようになりました。そこに若者も集まるようになって、複数のグループができました。年末ぐらいからは毎日、若者グループが酒を飲んで、グループ間でのけんかが絶えなくなって、危険な場所になったので、今月4日から閉鎖されたんです。石川容疑者もそこに出入りしていたようで、事件時は石川容疑者と敵対グループの男がいたらしいです」と語る。
家出した若者が集まって酒盛りなどして、暴れる場所といえば、東京・新宿の歌舞伎町には「トー横」、大阪には「グリ下」、名古屋には「ドン横」、福岡には「警固(けご)界隈」があった。
歌舞伎町関係者は「トー横キッズはグループ同士でけんかが絶えないため、そして売春相手から身を守るため、ほぼ全員がナイフを所持していました。似た理由で各地のキッズも凶器を持っていたのでしょうね。キッズ同士のケンカはもとより、ナイフで一般人に迷惑をかけることが最も心配されていました」と明かした。
また、「今月、歌舞伎町タワーが開業しましたが、その前から制服警官が常にパトロールし、私服警官が若者に声を掛けまくってたので、散り散りバラバラになりましたね」(同)とトー横キッズ事情を指摘。ほかの地域も警察の見回りなどによって、ほぼ解散しているとみられる。
前出の札幌在住者は「札幌の若者グループは規模も小さく、なんとかキッズという呼称はついてなかったです。暖かい時期は、札幌駅南口駅前の広場、すすきの、創成川公園などにいます。氷点下になる寒い時期は“解散”するんですが、昨年、中年が地下街の休憩スペースで酒盛りするようになって、若者もそこに行くようになったようです」と話した。
その地下コンコースの休憩スペースも迷惑行為が続いたため、テーブルとイスにネットをかけ、一部を期限なしで閉鎖した。迷惑行為が続くようなら、閉鎖エリアの拡大も検討されていた。
石川容疑者は1か月前にユーチューブチャンネルを開設し、計5本の動画をアップしていた。真相は不明だが、小学生の時に友人に暴行を受けていたこと、高校時代にいじめられていたことを冷静に淡々と語る動画だった。
そして、自らを「陰キャ」と暗いキャラだとしていた。動画の再生回数が伸びなかったためか、「ニート、肉を焼く」という料理系動画を上げたり、「岸田総理が爆発した件について解説します」という時事ネタ解説系動画をアップしたりしたが、注目されなかった。
そんな中、逮捕直前の24日、一升瓶を片手に「俺は酒の悪魔だ~。酒でお前らをぶっ殺してやる。あ~、オラ~」と叫ぶショート動画を公開。犯行予告だったのか、7万回を超える再生回数となっている。酒に飲まれてしまったのか。