50代ともなると自分なりのルーティンができて新しいことが苦手になったり、狭い人間関係の中にこもって満足しがち。でもそんな50代こそ、これまでの自分を変えてみませんか。「これまでの自分とは違った選択をすることで、50歳での新発見を楽しんでいます」と教えてくれたのは、カウンセラー・エッセイストの若松美穂さんです。詳しく教えていただきました。
50代になり、体や暮らしの変化と共に、私が取り入れていることがあります。それが、「これまでの自分とは異なる選択をすること」です。
慣れないことをするのですから、心地がいいことばかりではないのですが、結果として予想外の結果が訪れたり、「これでもいいんだ!」と気づくことがあり、50歳での新発見を楽しんでいます。その体験をお伝えしたいと思います。
だれかに誘われたら、知り合いがいなくても、もともと興味がなくても、出かけてみることにしています。もちろん仕事や体力と相談して、余裕のあるときに…。
今つき合っている友達を大切に。加えて50代からは、「そのときだけ」の気楽なおつき合いも悪くないと思っています。
新しい場所は、多少気も使いますし、疲れないことはない。でも刺激が多く、頭も体も働いて、心地いい疲れでぐっすり眠ることができます。
なによりいつもの友達と会ったときに、話すことのできるネタが増えます。実際行ってみると、いつもの仲間では聴くことのなかった話を聴くことができたり、知らないこと・場所・ものに出合うことができて、興味のあることの幅が広がっていることを感じます。
今は検索すればなんでも出てきます。でも目の前にいる人の気持ちは、検索しても出てこない。体調不良や仕事で大きなストレスを抱えているなど、それぞれ事情はあると思いますが、毎日見ている家族でもすべてを察することはできなくて…。
もちろん、聞くタイミングや聞き方は大切ですから、選ぶことが必要でしょう。
先日、珍しく夫が怒っていました。私はイマイチなにに怒っているのかわからない。時間をおいて聞いてみると、こちらは「迷惑をかけないよ」と気遣いで言ったつもりが、夫にしてみると「あなたには関係ないこと」と言われたように感じた様子。ズレが生じていました。
彼の言い分を聞いて「なるほど」と思うところがあればそうでないところもあり、夫も同様です。お互い、歩み寄れるところと歩み寄れないところはありますが、「まぁいいか」ですませてしまうと、そのときにはラクでも、結果また似たようなことで嫌な気分にさせてしまうことも。
一方で相手の気持ちをきちんと聞くと理解できることがありますし、お互い対応を変えることができます。「嫌なこと」を掘り下げるのは勇気がいることでもありますが、これからの良好な関係のために“あえて”聞くこともあります。
これまでならパッと考えて、「すぐに」答えを出していたようなことは、いったん受け取って「考える時間」を持つように変えているところ。とくに人との関わりに関することは時間をかけます。
さきほどの夫との話も、すぐに「なぜ?」とは聞きませんでした。心の中では、早く決めたい、スッキリしたいと思うのですが、その焦りがミスと後悔と争いを呼ぶ。耐える・待つ・考える時間をつくるのも、今になってできるようになってきたことのひとつです。
自分自身の「すぐに」「早く」の気持ちをなだめて、あえて答えを先延ばしにします。
その間に、知識が必要なことは周囲に相談して選択肢を増やしたり、相手とのコミュニケーションの取り方を吟味することもできる。おかげで「ああすればよかった」「こうしなければよかった」という後悔が減ったように思います。
逆に自分自身のこと、一人で決めても私以外が困らないことは、周囲に相談しすぎないようにしています。聞かれても、ほかの人にとっては返答に困ること、どうでもいいことも多いですから。
申し込みがあるものならば、サッと申し込む。説得されても、自分が嫌だと感じたらやめる。できないことは断る。行きたいところには行く・する・楽しむ。いつまでも自分時間があるわけではないで、自分の気持ちに素直に従うようにしています。
物事がうまくいっているときには今のままでもいいのでしょうけれど、「なんだかうまくいかない」「困った」「この先どうしよう?」と思うときには、あえて、これまでとは真逆を選んでみることも悪くはないと感じます。
試してみてわかることもありますし、ダメなら元に戻すことも可能です。今までとは異なる事の成り行きやご自身が見つかるかもしれません。