野球の「ワールド・ベースボール・クラシック」(WBC)で21日、劇的なサヨナラ勝利で決勝進出を決めた日本代表「侍ジャパン」。
3大会ぶりの優勝に向けて国内でも応援が盛り上がる中、大阪市内のコンサルティング会社が22日の決勝戦についてテレビ観戦のため午前中を「特別休暇」として認めることにした。WBCのようなスポーツイベントを通じて、社内のコミュニケーションの活発化や、仕事に対する活力の向上などを狙っているようだ。
サッカーW杯でも同様の制度を導入
大阪市内で企業のブランディングなどを手掛けるコンサルティング会社「トゥモローゲート」(本社・大阪市)では、WBCで日本代表が決勝進出を果たしたことを受け、社内でパブリックビューイング(PV)での観戦を実施するとともに、午前中の時間帯を休暇にすることを正式に決定した。
同社では、昨年のサッカーW杯の際にも同様の制度を導入。約7割の社員が休暇を取得したという。同社で最高経営責任者(CEO)を務める西崎康平代表取締役は「この制度を実施したことで、社員同士の関係性の構築やコミュニケーションの活性化、仕事への活力の向上などに繋げることができると実感した」とした上で、今回のWBCにおいても導入することを決めたという。西崎氏は決勝戦に先立ち、自身のツイッターで13日に「WBC休暇」の導入を予告していた。
WBCが開幕して以降、同社では平日に開催された日本代表の試合について社内でPVでの観戦を実施。参加した社員には、会社から軽食やソフトドリンクなどを提供した。「元々野球が好きだった社員はもちろん、これまで観戦の機会がなかった者も(野球に)興味を持ち、一緒に応援をしている」(西崎氏)という。
「長期的な視点でも会社に利益」
昨年行われたサッカーのワールドカップ(W杯)カタール大会をめぐっては、時差の関係で日本時間では深夜や早朝に行われるケースが大半。中継を観戦する社員に配慮し、午前中を休暇にする特別休暇や時差出勤など、柔軟な働き方を導入する企業が相次いだ。
日本時間の22日に行われるWBCの決勝戦は準決勝と同様、午前8時(日本時間)に試合開始が予定されている。同社によると、現時点で全社員(46人)の約8割が休暇を取得する予定だという。
西崎氏は「社員のモチベーションや生産性の向上はもちろん、長期的な視点でも会社に利益をもたらす取り組みになると考えている。今後も積極的に(今回のような)取り組みを行っていきたい」としている。(浅野英介)