「イット!」が取材したのは、キリスト教系の宗教団体「エホバの証人」の現役信者・中村清人さん(35)。
「エホバの証人」現役信者・中村清人さん(仮名)「(放送されたあと、信者としてはどうなる?)幹部から、わたしのもとに連絡が来て、99.9%除名処分となる。このインタビューがわたしにとって、現役信者としての最後のインタビューとなる」
幼い頃から信者の親に連れられ、布教活動をしていたという中村さん。
活動を少しでも嫌がると親から受けたのが、教団内で「ムチ」と呼ばれる身体的虐待だった。
中村さん(仮名)「お尻を出して、平手打ちでたたくとか。物心つかないころから、毎日毎日、ムチを打たれていました。極端な見聞きした例で言うと、漂白剤を(子どもの)口に含ませて、親がいいと言うまで我慢させる。針で背中に『エホバ』って、神の名前を書くんですよ。その痕、見たことあるんですけど、それが激しければ激しいほど信仰心が厚いとされて、周りの信者から称賛される。ちょっと異常な世界ですね」
親によるムチを推奨する、エホバの証人。
現在、日本におよそ21万人の信者がいるとされている。
中村さんは布教活動を続け、28歳で“会衆”と呼ばれる70人ほどの地方グループの中で、No.2を任されたという。
中村さん(仮名)「“奉仕の僕”という、今は“援助奉仕者”と呼ばれている」
“奉仕の僕”と呼ばれるNo.2の役職を与えられる中で、担っていた役割の1つが、グループ内での信者の監視。
中村さん(仮名)「(“奉仕の僕”の役割は?)聖書の教えに反するような音楽を聴いていたり、趣味をしていたら幹部に報告する。密告」
中村さんはおよそ6年前、全国各地にある教団の集会所「王国会館」で行われた講演を、勉強のために録音していた。
講演の音声「特に親がクリスチャン(信者)の場合には、“主人と奴隷”の関係に例えることができる。だからクリスチャンの親が与える指示というのは、“絶対的な命令である”、そういう意味にとることができる」
教団幹部が聖書の教えとして、親と子を“主人と奴隷”に例え、絶対的な主従関係にあることを強調している。
中村さん(仮名)「当時は何も思っていなかったが、子どもを人間としてではなく、物として扱ってしまう。その教えを幹部自ら行っていることは、大変問題だと思っている」
さらに教団をめぐって問題視されているのが、教団の脱会者と関係を絶つ「忌避」と呼ばれる行為。
現役信者の中村さんは、脱会した元信者を忌避する側だった。
中村さん(仮名)「集まりの最後に、『誰々さんはエホバの証人ではありません』と発表される。その瞬間から無視の対象。その人(元信者)が集会所に来ても、その人を街中で見かけても、無視をするということを徹底してきた」
しかし、活動を続ける中で、教団に対する違和感が積み重なり、中村さんは、うつ病やパニック障害などを患ったという。
教団を告発した現役信者は、忌避されることになるのだろうか。
エホバの証人は「イット!」の取材に、「関係者の方々には、エホバの証人の1人としての自分の経験を表明する権利があります。とはいえ、単に虚偽で根拠のない主張がなされた場合、私どもは、エホバの証人の評判を守るために行動する場合があります」とコメントした。