「開かれた皇室」を揺るがす数々の騒動で、皇族と国民の距離はますます広がるばかり。本来その溝を埋めて、打開策を講じるべきは宮内庁であることは言うまでもないが、たとえ世間から抗議の声が殺到しようとも、相も変わらず彼らにはどこ吹く風のようで……。
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【最新画像30枚】新たに入手した“眞子さん”と“圭さん”「ラブラブ手つなぎデート」の一部始終「秋篠宮ご夫妻出席を発表 5月の英国王戴冠式――宮内庁」と、メディアが一斉に報じたのは3月13日のことだった。 この日、宮内庁の池田憲治次長は定例会見の場で、5月に英ロンドンのウェストミンスター寺院で執り行われるチャールズ国王の戴冠式に、秋篠宮ご夫妻が参列される方向で準備すると発表した。

秋篠宮ご一家 この決定には、当の宮内庁の中からもため息が聞こえてくる。すでにこの件で、庁内には抗議の電話やメールが殺到。その対応に苦慮しているというのだ。 英国王の戴冠式に秋篠宮ご夫妻が参列なさることは、2月14日発売の「女性自身」が報じたのを皮切りに、新聞・テレビも宮内庁と政府の間で調整が行われている旨を伝えていた。国民から激高の声が「報道後、国民から宮内庁へ寄せられる問い合わせの大半が、戴冠式に関してのものです」 そう明かすのは、さる宮内庁関係者だ。「皆さん問題視されるのが、なぜ秋篠宮ご夫妻が選ばれたのかということです。いわゆる“小室騒動”が起きてから、さまざまな問題が世間で言われてきたので、戴冠式に参列されることになれば“日本の恥だ!”と激高する方もいるようです。“天皇皇后両陛下や愛子さまに参列していただくことはできないのか”といった声もあるそうで……」矢面に立つ宮内庁 ちなみに戴冠式は5月6日の予定だが、5日後には天皇皇后両陛下主催の「春の園遊会」がある。「抗議の中には“宮内庁が園遊会を5月にねじ込み、天皇ご一家を渡英させないようにしているんだろう”などと疑念を呈する方もいます。確かに『春の園遊会』は例年4月に行われていますがね。それは5月8日に新型コロナウイルス感染症の分類が『5類相当』に引き下げとなるのを待った結果、順延されただけ。また天皇ご一家が戴冠式に参列されても、日程的には園遊会へのご出席は可能です。そうしたことを丁寧にお伝えしようとしても、“(宮内庁は)秋篠宮家からカネをもらっているのか”などと言われ、納得していただけないのです」(同)火消しに努めた宮内庁 そうした声を意識してか、先の次長会見では「英国側から元首かその代理の出席を願う通知が来た」ことを踏まえた上で、宮内庁として秋篠宮ご夫妻に戴冠式へ参列していただくに至った理由は以下の二つだとしている。チャールズ皇太子(当時)(1)外国王室の戴冠式には従来から皇太子クラスが参列し、天皇陛下が出席した例はないこと(2)天皇皇后両陛下は生前のエリザベス女王から国賓での招待を受けていたが、コロナ禍で延期となっており、そちらを早期に実現する方向であること さらに池田次長は決定にあたって“天皇皇后両陛下に相談した”と付言することも忘れなかった。寄せられた抗議を意識してか、「天皇ご一家渡英待望論」の火消しに努めたのであった。「天皇陛下が参列されても全く問題はない」「戴冠式の招待状は名指しで届くわけではなく、国家元首またはその代理としてふさわしい者と書かれているくらいなので、各国が独自に参列者を決めています」 と解説するのは、イギリス史が専門で、世界の王室事情にも詳しい関東学院大学教授の君塚直隆氏だ。「戴冠式には国王や女王クラスは参列せず、名代を派遣するという慣例は古くからあります。君主の格は在位年数によって決まりますから、戴冠式の主役となる新国王より来賓の方が格上の待遇を受けることになるので具合が悪い。そこで各国が国王の名代として王子や王女などを立てるようになりました。前回のエリザベス2世の戴冠式では、昭和天皇の名代として今の上皇さまが皇太子の立場で参列されています」 ここ数年の例でみても、皇太子クラスが参列する例が多いのは事実だとして、君塚氏はこう続ける。「2013年のオランダのウィレム=アレクサンダー王の即位式には、日本からは当時皇太子だった天皇陛下と雅子さま、イギリスからもチャールズ新国王が皇太子として参列された。モナコを除き他の諸国からも国王の参列がなかったことに鑑みれば、秋篠宮さまが参列なさるのは自然なことかもしれません。ところが、今回はチャールズ新国王ご自身が、そうした慣例を打ち破ろうとなさっている。むしろ天皇陛下が参列されても全く問題はありません」専門家が明かす“懸念” 注目すべき報道もある。実は先月25日、英紙「デイリーメール」が、これまで皇太子クラスを招待してきた900年の伝統と歴史を英王室が打ち破り、国王クラスを招待する方針だと報じたのだ。 背景にあるのは、チャールズ新国王が74歳という年齢を迎えた今、ご自身が長きにわたって皇太子時代を共に過ごされてきた親交のある王族たちと、戴冠式を盛大にお祝いになりたいとの願いだ。 英王室に詳しいジャーナリストの多賀幹子氏が言う。「英国内では王室外交にはプラスとして、反対意見もなく好意的に受け取られています。チャールズ国王と親しいモナコのアルベール2世大公や中東の友人であるヨルダンのアブドゥッラー2世国王夫妻、オマーンのハイサム国王も参列すると報じられました」 となれば、秋篠宮ご夫妻のお立場は非常に心許ないと、多賀氏はこんな危惧を口にする。「戴冠式がチャールズ国王にとって気心知れた参列者で溢れた場合、非常にお気の毒ではありますが秋篠宮ご夫妻が孤立なさってしまう懸念があります。儀式の席次は英連邦代表やキリスト教国であることが優先されるので、日本は末席となってしまう可能性も捨てきれません。またコロナ禍の影響で秋篠宮ご夫妻は海外訪問の機会が乏しく、チャールズ国王はもとより他国の招待者にも顔を知られていません」王室ファミリーの一員 さらに多賀氏は、英国で観衆から色眼鏡で見られる懸念もあると言う。「小室圭さんと眞子さんの話題も、英国内ではよく報じられています。“第二のヘンリー王子とメーガン妃”だと注目され、秋篠宮さまは眞子さんの父親として頻繁に名前が出てきます」 こうした報道を新国王がご記憶でないことを祈るばかりだが、一方で天皇陛下との日々は鮮明に覚えておられるに違いない。 再び多賀氏に聞くと、「天皇陛下は1983年から85年までオックスフォード大学マートンカレッジに留学され、チャールズ国王と親交を深められています。バッキンガム宮殿に何度も呼ばれ、エリザベス女王とティータイムを共にされたり、王室の避暑地であるスコットランドのバルモラル城に招待され、当時のチャールズ皇太子とご一緒にサケ釣りを楽しまれたりもした。英王室にとって家族と1カ月近くをお過ごしになる特別な場所に、ファミリーの一員として快く迎えられていたのです」ほほ笑ましいエピソード ちなみに秋篠宮さまも88年に学習院大学をご卒業後、お兄さまと同じく2年間の予定でオックスフォード大学大学院動物学科に留学される。だが、89年1月に昭和天皇が崩御したことにより途中帰国。再び渡英なさって研究生活に入られるものの、同年8月に紀子さまとのご婚約を発表され、会見のため再び帰国なさるなど慌ただしい英国生活を送られた。 対照的に2年4カ月にもわたって英国暮らしを満喫された天皇陛下は、93年に「徳仁親王」の名で『テムズとともに―英国の二年間』(学習院教養新書)というエッセイ集を出版。その2年前にはオックスフォード大から名誉法学博士号を授与されていたが、自著の中では初めての洗濯で洗剤の量を間違えて、部屋中を泡だらけにしたなどほほ笑ましいエピソードを披露なさっている。現地では“ヒロ”と呼ばれて多くの人々と交流なさり、何もかもが新鮮だった一人暮らしを振り返られ、〈私が、楽しく――おそらく私の人生にとっても最も楽しい――一時期〉だとつづっておられるのだ。新装復刊「翻訳版が英国でも出版されましたが、チャールズ国王が巻頭に推薦文を寄せられました。わざわざ個人の著書のために筆を執られるのはまれなことで、陛下が英国生活をよき思い出とされたことを、とてもお喜びになったのだと思います」(同) 折も折、この本は来月中旬に学習院創立150年を記念して、紀伊國屋書店から新装復刊される。「英国と天皇陛下の深い親交が広く読まれることになれば、戴冠式の参列者にふさわしいのは誰なのかと再び議論を呼ぶ可能性は否定できません。今後、閣議決定を経て秋篠宮さまの戴冠式ご参列を政府が正式に発表するタイミングと重なれば、宮内庁への抗議が再燃するのでは」(宮内庁担当記者) 再び君塚氏に聞くと、「今の宮内庁は何かといえば、“慣例に従って”“前例に則って”という姿勢で、あまりに形式主義的、官僚主義的になっています。今後の皇室にとって何が重要なのか。皇族方にはどういった経験を積んでいただきたいのかという視点で、考えるべきではないでしょうか」 柔軟な視点で皇室外交を進めるべきで、愛子さまのご出席も一案だと話す。「上皇さまが皇太子時代に英女王戴冠式へ臨まれたのは19歳の時で、愛子さまは現在21歳。若すぎるなんてことはないでしょう。仮に欧州で王室が残るベルギー、オランダ、スペインの国王が参列しないとなれば、それぞれ皇太子が参列されることになります。その3カ国の皇太子は皆が女性で愛子さまと同世代。ゆくゆくは女王になる王族と親睦を深められることは、皇室外交を展開する上での礎となり、日本にとってもプラスに働くのではないでしょうか」(同)「今回は特殊なケースとして捉えるべき」 最後に君塚氏が言うには、「チャールズ国王は、今上陛下や上皇さまの『即位の礼』に参列なさっています。いわば親子2代にわたって即位の儀式においで下さっていたのだから、今回の戴冠式は特殊なケースとして捉えるべきです。お礼の意味も込めて、英国と深く親交を結ばれてきた天皇皇后両陛下が出席なさるのがよいかと思います」 かような指摘を宮内庁はどう受け止めるのか。トップを務める西村泰彦長官を自宅前で直撃すると、黙したままで足早に迎えの車に乗り込んだ。改めて報道室に取材を申し込むと、「(英国内の報道など)事実関係を宮内庁として承知していないため、お答えのしようがありません」 コロナ禍で足踏みしていた皇室外交も再開の兆しが見えつつあるというのに、国民の切なる想いとの乖離は広がる一方なのである。「週刊新潮」2023年3月23日号 掲載
「秋篠宮ご夫妻出席を発表 5月の英国王戴冠式――宮内庁」と、メディアが一斉に報じたのは3月13日のことだった。
この日、宮内庁の池田憲治次長は定例会見の場で、5月に英ロンドンのウェストミンスター寺院で執り行われるチャールズ国王の戴冠式に、秋篠宮ご夫妻が参列される方向で準備すると発表した。
この決定には、当の宮内庁の中からもため息が聞こえてくる。すでにこの件で、庁内には抗議の電話やメールが殺到。その対応に苦慮しているというのだ。
英国王の戴冠式に秋篠宮ご夫妻が参列なさることは、2月14日発売の「女性自身」が報じたのを皮切りに、新聞・テレビも宮内庁と政府の間で調整が行われている旨を伝えていた。
「報道後、国民から宮内庁へ寄せられる問い合わせの大半が、戴冠式に関してのものです」
そう明かすのは、さる宮内庁関係者だ。
「皆さん問題視されるのが、なぜ秋篠宮ご夫妻が選ばれたのかということです。いわゆる“小室騒動”が起きてから、さまざまな問題が世間で言われてきたので、戴冠式に参列されることになれば“日本の恥だ!”と激高する方もいるようです。“天皇皇后両陛下や愛子さまに参列していただくことはできないのか”といった声もあるそうで……」
ちなみに戴冠式は5月6日の予定だが、5日後には天皇皇后両陛下主催の「春の園遊会」がある。
「抗議の中には“宮内庁が園遊会を5月にねじ込み、天皇ご一家を渡英させないようにしているんだろう”などと疑念を呈する方もいます。確かに『春の園遊会』は例年4月に行われていますがね。それは5月8日に新型コロナウイルス感染症の分類が『5類相当』に引き下げとなるのを待った結果、順延されただけ。また天皇ご一家が戴冠式に参列されても、日程的には園遊会へのご出席は可能です。そうしたことを丁寧にお伝えしようとしても、“(宮内庁は)秋篠宮家からカネをもらっているのか”などと言われ、納得していただけないのです」(同)
そうした声を意識してか、先の次長会見では「英国側から元首かその代理の出席を願う通知が来た」ことを踏まえた上で、宮内庁として秋篠宮ご夫妻に戴冠式へ参列していただくに至った理由は以下の二つだとしている。
(1)外国王室の戴冠式には従来から皇太子クラスが参列し、天皇陛下が出席した例はないこと
(2)天皇皇后両陛下は生前のエリザベス女王から国賓での招待を受けていたが、コロナ禍で延期となっており、そちらを早期に実現する方向であること
さらに池田次長は決定にあたって“天皇皇后両陛下に相談した”と付言することも忘れなかった。寄せられた抗議を意識してか、「天皇ご一家渡英待望論」の火消しに努めたのであった。
「戴冠式の招待状は名指しで届くわけではなく、国家元首またはその代理としてふさわしい者と書かれているくらいなので、各国が独自に参列者を決めています」
と解説するのは、イギリス史が専門で、世界の王室事情にも詳しい関東学院大学教授の君塚直隆氏だ。
「戴冠式には国王や女王クラスは参列せず、名代を派遣するという慣例は古くからあります。君主の格は在位年数によって決まりますから、戴冠式の主役となる新国王より来賓の方が格上の待遇を受けることになるので具合が悪い。そこで各国が国王の名代として王子や王女などを立てるようになりました。前回のエリザベス2世の戴冠式では、昭和天皇の名代として今の上皇さまが皇太子の立場で参列されています」
ここ数年の例でみても、皇太子クラスが参列する例が多いのは事実だとして、君塚氏はこう続ける。
「2013年のオランダのウィレム=アレクサンダー王の即位式には、日本からは当時皇太子だった天皇陛下と雅子さま、イギリスからもチャールズ新国王が皇太子として参列された。モナコを除き他の諸国からも国王の参列がなかったことに鑑みれば、秋篠宮さまが参列なさるのは自然なことかもしれません。ところが、今回はチャールズ新国王ご自身が、そうした慣例を打ち破ろうとなさっている。むしろ天皇陛下が参列されても全く問題はありません」
注目すべき報道もある。実は先月25日、英紙「デイリーメール」が、これまで皇太子クラスを招待してきた900年の伝統と歴史を英王室が打ち破り、国王クラスを招待する方針だと報じたのだ。
背景にあるのは、チャールズ新国王が74歳という年齢を迎えた今、ご自身が長きにわたって皇太子時代を共に過ごされてきた親交のある王族たちと、戴冠式を盛大にお祝いになりたいとの願いだ。
英王室に詳しいジャーナリストの多賀幹子氏が言う。
「英国内では王室外交にはプラスとして、反対意見もなく好意的に受け取られています。チャールズ国王と親しいモナコのアルベール2世大公や中東の友人であるヨルダンのアブドゥッラー2世国王夫妻、オマーンのハイサム国王も参列すると報じられました」
となれば、秋篠宮ご夫妻のお立場は非常に心許ないと、多賀氏はこんな危惧を口にする。
「戴冠式がチャールズ国王にとって気心知れた参列者で溢れた場合、非常にお気の毒ではありますが秋篠宮ご夫妻が孤立なさってしまう懸念があります。儀式の席次は英連邦代表やキリスト教国であることが優先されるので、日本は末席となってしまう可能性も捨てきれません。またコロナ禍の影響で秋篠宮ご夫妻は海外訪問の機会が乏しく、チャールズ国王はもとより他国の招待者にも顔を知られていません」
さらに多賀氏は、英国で観衆から色眼鏡で見られる懸念もあると言う。
「小室圭さんと眞子さんの話題も、英国内ではよく報じられています。“第二のヘンリー王子とメーガン妃”だと注目され、秋篠宮さまは眞子さんの父親として頻繁に名前が出てきます」
こうした報道を新国王がご記憶でないことを祈るばかりだが、一方で天皇陛下との日々は鮮明に覚えておられるに違いない。
再び多賀氏に聞くと、
「天皇陛下は1983年から85年までオックスフォード大学マートンカレッジに留学され、チャールズ国王と親交を深められています。バッキンガム宮殿に何度も呼ばれ、エリザベス女王とティータイムを共にされたり、王室の避暑地であるスコットランドのバルモラル城に招待され、当時のチャールズ皇太子とご一緒にサケ釣りを楽しまれたりもした。英王室にとって家族と1カ月近くをお過ごしになる特別な場所に、ファミリーの一員として快く迎えられていたのです」
ちなみに秋篠宮さまも88年に学習院大学をご卒業後、お兄さまと同じく2年間の予定でオックスフォード大学大学院動物学科に留学される。だが、89年1月に昭和天皇が崩御したことにより途中帰国。再び渡英なさって研究生活に入られるものの、同年8月に紀子さまとのご婚約を発表され、会見のため再び帰国なさるなど慌ただしい英国生活を送られた。
対照的に2年4カ月にもわたって英国暮らしを満喫された天皇陛下は、93年に「徳仁親王」の名で『テムズとともに―英国の二年間』(学習院教養新書)というエッセイ集を出版。その2年前にはオックスフォード大から名誉法学博士号を授与されていたが、自著の中では初めての洗濯で洗剤の量を間違えて、部屋中を泡だらけにしたなどほほ笑ましいエピソードを披露なさっている。現地では“ヒロ”と呼ばれて多くの人々と交流なさり、何もかもが新鮮だった一人暮らしを振り返られ、〈私が、楽しく――おそらく私の人生にとっても最も楽しい――一時期〉だとつづっておられるのだ。
「翻訳版が英国でも出版されましたが、チャールズ国王が巻頭に推薦文を寄せられました。わざわざ個人の著書のために筆を執られるのはまれなことで、陛下が英国生活をよき思い出とされたことを、とてもお喜びになったのだと思います」(同)
折も折、この本は来月中旬に学習院創立150年を記念して、紀伊國屋書店から新装復刊される。
「英国と天皇陛下の深い親交が広く読まれることになれば、戴冠式の参列者にふさわしいのは誰なのかと再び議論を呼ぶ可能性は否定できません。今後、閣議決定を経て秋篠宮さまの戴冠式ご参列を政府が正式に発表するタイミングと重なれば、宮内庁への抗議が再燃するのでは」(宮内庁担当記者)
再び君塚氏に聞くと、
「今の宮内庁は何かといえば、“慣例に従って”“前例に則って”という姿勢で、あまりに形式主義的、官僚主義的になっています。今後の皇室にとって何が重要なのか。皇族方にはどういった経験を積んでいただきたいのかという視点で、考えるべきではないでしょうか」
柔軟な視点で皇室外交を進めるべきで、愛子さまのご出席も一案だと話す。
「上皇さまが皇太子時代に英女王戴冠式へ臨まれたのは19歳の時で、愛子さまは現在21歳。若すぎるなんてことはないでしょう。仮に欧州で王室が残るベルギー、オランダ、スペインの国王が参列しないとなれば、それぞれ皇太子が参列されることになります。その3カ国の皇太子は皆が女性で愛子さまと同世代。ゆくゆくは女王になる王族と親睦を深められることは、皇室外交を展開する上での礎となり、日本にとってもプラスに働くのではないでしょうか」(同)
最後に君塚氏が言うには、
「チャールズ国王は、今上陛下や上皇さまの『即位の礼』に参列なさっています。いわば親子2代にわたって即位の儀式においで下さっていたのだから、今回の戴冠式は特殊なケースとして捉えるべきです。お礼の意味も込めて、英国と深く親交を結ばれてきた天皇皇后両陛下が出席なさるのがよいかと思います」
かような指摘を宮内庁はどう受け止めるのか。トップを務める西村泰彦長官を自宅前で直撃すると、黙したままで足早に迎えの車に乗り込んだ。改めて報道室に取材を申し込むと、
「(英国内の報道など)事実関係を宮内庁として承知していないため、お答えのしようがありません」
コロナ禍で足踏みしていた皇室外交も再開の兆しが見えつつあるというのに、国民の切なる想いとの乖離は広がる一方なのである。
「週刊新潮」2023年3月23日号 掲載