警視庁から名誉毀損や暴力行為等処罰法違反(常習的脅迫)などの疑いで逮捕状が出ている元参院議員のガーシー(東谷義和)容疑者(51)が自身を刑事告訴した俳優の綾野剛(41)やドワンゴ顧問の川上量生氏(54)、ジュエリーデザイナーの男性(47)に反撃に出ている。24日に実家の家宅捜索が行われ、23日には外務省から旅券返納命令を出されたが、自身の行為の正当性を主張していく構えだ。その姿に周囲からは告訴の取り下げを働きかける動きも出てきた。
警視庁は24日、兵庫県伊丹市にあるガーシー容疑者の実家を家宅捜索。当のガーシー容疑者は議員除名後、滞在先のUAE(アラブ首長国連邦)からネット配信を再開している。既に綾野に対しては虚偽告訴に当たるとして、民事で提訴しているのに続き、新たにこれまでのやりとりを公開すると予告した。
俳優の三浦翔平の取り巻きの一人として、暴露していたジュエリーデザイナーの男性に対しては内情を知る証言者を交えて、「真実を伝えているのに脅迫ちゃうでしょ。彼の言うことだけを聞いていたらすべてがめくられていきますよ」と反論している。
ガーシー容疑者を刑事告訴していたことが判明した川上氏は、同容疑者の暴露行為を放任している政治家女子48党の立花孝志事務局長に道義的責任があると昨年から公開質問を投げかけていた。すると21日についにネット上で対談が実現した。互いの主張は食い違い、かみ合わないまま終了となったが、立花氏から罵倒され、してやられた格好となった川上氏はツイッターで「あなたは弱者の気持ちがわからないと、言われたことは刺さりました。今の僕はそうなってしまったのでしょう。反省し、精進します」と素直に完敗を認める異例の事態となった。
川上氏から刑事告訴された理由が分からないとしていたガーシー容疑者はこの対談動画の拡散を呼びかけたうえで「お金があれば、権力があれば、警察すら動かせるのか? この川上さんとの対談は日本の闇を自ら露呈してくれてる」と川上氏をけん制してみせた。
刑事告訴してきた3人を再び攻撃すれば、処罰感情に火をつけるだけでしかない。それでも「日本に一生帰国しない覚悟ができた」と逃亡生活の道を選んだガーシー容疑者としては「本当のことを話しただけ」との思いが強いようで、一方的に悪者扱いされることには我慢がならないようだ。
外務省は23日、ガーシー容疑者に旅券返納命令を出し、従わない場合は失効の措置を取る。同容疑者はUAEのゴールデンビザ(特定の職業などの人に与えられる長期滞在ビザ)を取得するなど対策を取っているとみられるが、身柄拘束され、強制送還となる可能性がゼロなワケではない。
海外で一生、お尋ね者でいるのは忍びないとして、立花氏は「なんとか(3人が告訴を)取り下げてくれないかな。結局、大した罪じゃない。帰れる方法はないか」と被害者側と示談成立や告訴取り下げなどで罪を軽くできないものかと知恵を絞り始めた。周辺でも川上氏とガーシー容疑者の直接対話が実現できないかを模索する動きも出ている。
国会での除名に反対したことで、ガーシー容疑者も一目を置いている弁護士の橋下徹氏はツイッターで「容疑が事実なら早く罰を受けた方が再起が早くなる。これからの人生はまだまだ長い」と“投降”を促している。今は徹底抗戦しているガーシー容疑者だが、取り巻く状況が変われば変節し、帰国を選択する日が訪れるかもしれない。