軽いけがや病気など緊急性が低いとみられる救急搬送者数が、2021年、全体の4割にあたる1万5307人に上ったことが、山梨県消防保安課の調べでわかった。
同課は「救急車の適正利用に協力してほしい」と呼びかけている。
同課によると、21年の救急車の出動件数は3万7549件(前年比2104件増)で、搬送件数は3万5273件(同1998件増)だった。出動件数のうち、軽傷者の搬送は40・8%(同0・2ポイント増)だった。
救急隊が現場に到着するまでの平均時間は年々延びており、17年の8・7分から、21年は10・2分(前年比0・3分増)となった。同課は「緊急性のない救急要請の増加が背景にある」と分析する。
新型コロナウイルスの感染拡大で、相談窓口がつながらないことから「熱が出た」と119番するケースや、「調理中に指を切って血が出た」「転んで頭を打った。大丈夫そうだが、心配なので救急車を呼んだ」といった事例があった。
同課は、自分で病院に行ける場合は交通機関を利用し、119番するかどうか迷ったときは、症状の緊急度を判定する消防庁のスマホアプリ「Q助」の利用や、救急医療センター(甲府市)や各消防本部に問い合わせるよう求めている。担当者は「一刻も早く治療を受ける必要がある人の命を救うためにも、正しく救急車を利用してほしい」と話した。