伝統と格式を重んじ、前例踏襲が基本の皇室にも、SNSの活用という新たな風が吹こうとしている。コロナ禍の出口が見え、やっと令和皇室が“通常運転”に戻りつつある中で、中心である「天皇と皇嗣」の足並みには微妙なズレが生じていて──。
【写真】雅子さまの横で口を開けて笑顔を浮かべる天皇陛下。他、エルドアン大統領横でスマイルの陛下、雅子さま、ダイヤモンド富士を見る上皇さまも 5月6日にイギリス・ロンドン中心部にあるウエストミンスター寺院で執り行われるチャールズ国王の戴冠式に、秋篠宮ご夫妻が出席される方向で調整が進められている。1953年のエリザベス女王の戴冠式以来、70年ぶりに行われる世界的イベントだけに、秋篠宮ご夫妻にとっては重要なお役目となりそうだ。

「2月末に日本政府に届いた通知は、『国家元首かそれに相当する者、または代理を配偶者とともに招待する』という内容でした。 昨年9月の葬儀には天皇皇后両陛下が出席されたため、“戴冠式にも両陛下を”という声もありましたが、エリザベス女王の戴冠式には当時皇太子だった上皇さまが出席されましたから、前例を踏襲して、皇太子待遇である秋篠宮さまが参列されることになるのでしょう。陛下もすでに了解されていると聞きます」(宮内庁関係者) ヨーロッパ諸国のみならず、世界中の要人が集まる場に国を代表して出向かれることとなった秋篠宮さまと紀子さま。今後、秋篠宮さまは「天皇に次ぐ存在」としてより一層の働きを求められることになるだろう。しかし、あろうことか陛下と秋篠宮さまの足並みが揃わない事態が起きている。 2月23日、陛下は63才の誕生日を迎えられた。同日、皇居・宮殿の東庭で行われた計3回の一般参賀には、事前の抽選に当選した約4800人が足を運んだ。「誕生日に初めてこのように皆さんからお祝いいただくことを、誠にうれしく思います」 陛下がそう述べられていた通り、誕生日を祝う一般参賀は令和の世を迎えて初めての開催だった。だが、参賀者はマスク着用を義務づけられ、発声を控えるよう呼び掛けられていないにもかかわらずほとんどが無言で、旗を振るパタパタという音だけが響いていた。「コロナ禍により令和皇室の活動は始まってまもなく停滞してしまったのが実態です。両陛下の地方公務も昨年ようやく再開されましたが、例年より日程を短縮したり、オンラインで実施したりと対応を迫られました。すぐに元通りとはいかないでしょう」(皇室記者)皇室側の「窓口」は秋篠宮ご夫妻とも そうした状況に、国民の「皇室離れ」を危惧する声は尽きない。皇室と国民との距離を埋めてくれる役割を期待されているのが、「SNSを含めた情報発信」だ。宮内庁はこの4月から「広報室」の新設を予定しており、新たな広報の手法を検討中だ。「国民との交流を重ね、国民と皇室の信頼関係を築く上では、皇室に関する情報を、適切なタイミングで国民の皆さんにわかりやすくお知らせしていくことも大事なことであると考えます」 陛下は今年の誕生日会見で、SNSの活用についてそう言及された。SNSを巡っては、秋篠宮さまも昨年11月の誕生日会見で次のような趣旨のことを述べられた。「皇室の情報発信は、正確な情報をタイムリーに出していくということが必要であるとともに、どこに正確な情報があるのかがわかることも大事だと思っています」 イギリス王室をはじめ、海外王室では王族個人がSNS発信を行っているケースも少なくない。デジタル技術が発展し、情報発信手段が増えたからこそ、日本の皇室も積極的な広報に舵を切ろうとしているのだ。だが、皇室ジャーナリストは陛下と秋篠宮さまの微妙な“お考えの差異”を指摘する。「陛下のお言葉には、SNSをシンプルな発信ツールとして捉えられている印象がありますが、秋篠宮さまは短いお言葉の中で『正確な情報』と繰り返されたように、皇室をめぐる世論や報道を“否定する”“訂正する”ためのものとお考えになっているような印象を抱きます。陛下はSNSを国民のために活用されようとしているのに対し、秋篠宮さまは、“皇族の立場を守るため”という内向きな姿勢を持たれているようにも感じられます」(皇室ジャーナリスト) その背景に、小室真子さんの結婚騒動以来の、秋篠宮家への逆風があることは想像に難くない。「影響が大きい分、自由に発言できないお立場にあることを重々理解されているとはいえ、娘を持つ親としては満たされない思いもあったのでしょう。秋篠宮さまのお気持ちは察するに余りあります」(別の宮内庁関係者) それでも、皇室の中心は当然ながら陛下であり、陛下のお考えとズレがある状況は歓迎されることではないだろう。「もともと、宮内庁のホームページなどを活用した情報発信や、週刊誌報道、インターネット上の書き込みに触れたのは、一昨年の秋篠宮さまの誕生日会見でのことでした。だからなのか、宮内庁のSNS発信に関する皇室側の“窓口”は秋篠宮ご夫妻になるといわれています。そうなると、実際の活用が始まってから、さらに陛下の意図するものから離れていってしまいかねない。 皇族の数が減り、皇室の先細りが叫ばれこれまで以上に一枚岩にならなければならない中で、皇室SNSは陛下と秋篠宮さまの『分断』につながりかねない懸念されるべき事柄なのです」(前出・皇室ジャーナリスト)「控えるところは控えなければ」 なぜ、お考えの差異が生じてしまうのか。前述した秋篠宮家への逆風以外にも理由はありそうだ。「陛下は生まれたときからいずれは天皇になるべくして育てられていますから、自分は常に公の存在だというご自覚があります。一方で、秋篠宮さまは“自分は天皇にはならない”と思われてきた。それゆえ、公私は区別すべきだとお考えなのでしょう」(前出・別の宮内庁関係者) そうした価値観の相違は、家庭観にも見受けられる。「上皇ご夫妻は、子供の成長を国民に知らせることが必要だとたびたび発言されており、その通りにされてきました。陛下はその意味するところを理解され、皇太子時代から、可能な限り国民にとって身近な存在であろうとされてきました。愛子さまの成長も、運動会などのイベントを通じて事細かに発信しようとされてきました。登校拒否や激やせなど心配ごともありましたが、国民は親のような目線で愛子さまの成長を見守ってきました」(前出・別の宮内庁関係者) 一方、将来の天皇である悠仁さまの高校生活の様子は、ほとんど聞こえてこない。「秋篠宮ご夫妻の公務に同行される機会などはありますが、どうしても『私』の部分は見えにくい印象があります。もちろん、“自分たちはあくまで皇嗣家であり、控えるところは控えなければならない”という秋篠宮さまの天皇ご一家への配慮もあるのでしょうが……」(前出・別の宮内庁関係者) SNSの発展は、気軽にコミュニケーションが取れるようになった一方で、人間的なやりとりを希薄にしたという功罪が指摘されている。せめて皇室SNSは、“功”の側面で国民と皇室をつないでくれることを願ってやまない。※女性セブン2023年3月16日号
5月6日にイギリス・ロンドン中心部にあるウエストミンスター寺院で執り行われるチャールズ国王の戴冠式に、秋篠宮ご夫妻が出席される方向で調整が進められている。1953年のエリザベス女王の戴冠式以来、70年ぶりに行われる世界的イベントだけに、秋篠宮ご夫妻にとっては重要なお役目となりそうだ。
「2月末に日本政府に届いた通知は、『国家元首かそれに相当する者、または代理を配偶者とともに招待する』という内容でした。
昨年9月の葬儀には天皇皇后両陛下が出席されたため、“戴冠式にも両陛下を”という声もありましたが、エリザベス女王の戴冠式には当時皇太子だった上皇さまが出席されましたから、前例を踏襲して、皇太子待遇である秋篠宮さまが参列されることになるのでしょう。陛下もすでに了解されていると聞きます」(宮内庁関係者)
ヨーロッパ諸国のみならず、世界中の要人が集まる場に国を代表して出向かれることとなった秋篠宮さまと紀子さま。今後、秋篠宮さまは「天皇に次ぐ存在」としてより一層の働きを求められることになるだろう。しかし、あろうことか陛下と秋篠宮さまの足並みが揃わない事態が起きている。
2月23日、陛下は63才の誕生日を迎えられた。同日、皇居・宮殿の東庭で行われた計3回の一般参賀には、事前の抽選に当選した約4800人が足を運んだ。
「誕生日に初めてこのように皆さんからお祝いいただくことを、誠にうれしく思います」
陛下がそう述べられていた通り、誕生日を祝う一般参賀は令和の世を迎えて初めての開催だった。だが、参賀者はマスク着用を義務づけられ、発声を控えるよう呼び掛けられていないにもかかわらずほとんどが無言で、旗を振るパタパタという音だけが響いていた。
「コロナ禍により令和皇室の活動は始まってまもなく停滞してしまったのが実態です。両陛下の地方公務も昨年ようやく再開されましたが、例年より日程を短縮したり、オンラインで実施したりと対応を迫られました。すぐに元通りとはいかないでしょう」(皇室記者)
そうした状況に、国民の「皇室離れ」を危惧する声は尽きない。皇室と国民との距離を埋めてくれる役割を期待されているのが、「SNSを含めた情報発信」だ。宮内庁はこの4月から「広報室」の新設を予定しており、新たな広報の手法を検討中だ。
「国民との交流を重ね、国民と皇室の信頼関係を築く上では、皇室に関する情報を、適切なタイミングで国民の皆さんにわかりやすくお知らせしていくことも大事なことであると考えます」
陛下は今年の誕生日会見で、SNSの活用についてそう言及された。SNSを巡っては、秋篠宮さまも昨年11月の誕生日会見で次のような趣旨のことを述べられた。
「皇室の情報発信は、正確な情報をタイムリーに出していくということが必要であるとともに、どこに正確な情報があるのかがわかることも大事だと思っています」
イギリス王室をはじめ、海外王室では王族個人がSNS発信を行っているケースも少なくない。デジタル技術が発展し、情報発信手段が増えたからこそ、日本の皇室も積極的な広報に舵を切ろうとしているのだ。だが、皇室ジャーナリストは陛下と秋篠宮さまの微妙な“お考えの差異”を指摘する。
「陛下のお言葉には、SNSをシンプルな発信ツールとして捉えられている印象がありますが、秋篠宮さまは短いお言葉の中で『正確な情報』と繰り返されたように、皇室をめぐる世論や報道を“否定する”“訂正する”ためのものとお考えになっているような印象を抱きます。陛下はSNSを国民のために活用されようとしているのに対し、秋篠宮さまは、“皇族の立場を守るため”という内向きな姿勢を持たれているようにも感じられます」(皇室ジャーナリスト)
その背景に、小室真子さんの結婚騒動以来の、秋篠宮家への逆風があることは想像に難くない。
「影響が大きい分、自由に発言できないお立場にあることを重々理解されているとはいえ、娘を持つ親としては満たされない思いもあったのでしょう。秋篠宮さまのお気持ちは察するに余りあります」(別の宮内庁関係者)
それでも、皇室の中心は当然ながら陛下であり、陛下のお考えとズレがある状況は歓迎されることではないだろう。
「もともと、宮内庁のホームページなどを活用した情報発信や、週刊誌報道、インターネット上の書き込みに触れたのは、一昨年の秋篠宮さまの誕生日会見でのことでした。だからなのか、宮内庁のSNS発信に関する皇室側の“窓口”は秋篠宮ご夫妻になるといわれています。そうなると、実際の活用が始まってから、さらに陛下の意図するものから離れていってしまいかねない。
皇族の数が減り、皇室の先細りが叫ばれこれまで以上に一枚岩にならなければならない中で、皇室SNSは陛下と秋篠宮さまの『分断』につながりかねない懸念されるべき事柄なのです」(前出・皇室ジャーナリスト)
なぜ、お考えの差異が生じてしまうのか。前述した秋篠宮家への逆風以外にも理由はありそうだ。
「陛下は生まれたときからいずれは天皇になるべくして育てられていますから、自分は常に公の存在だというご自覚があります。一方で、秋篠宮さまは“自分は天皇にはならない”と思われてきた。それゆえ、公私は区別すべきだとお考えなのでしょう」(前出・別の宮内庁関係者)
そうした価値観の相違は、家庭観にも見受けられる。
「上皇ご夫妻は、子供の成長を国民に知らせることが必要だとたびたび発言されており、その通りにされてきました。陛下はその意味するところを理解され、皇太子時代から、可能な限り国民にとって身近な存在であろうとされてきました。愛子さまの成長も、運動会などのイベントを通じて事細かに発信しようとされてきました。登校拒否や激やせなど心配ごともありましたが、国民は親のような目線で愛子さまの成長を見守ってきました」(前出・別の宮内庁関係者)
一方、将来の天皇である悠仁さまの高校生活の様子は、ほとんど聞こえてこない。
「秋篠宮ご夫妻の公務に同行される機会などはありますが、どうしても『私』の部分は見えにくい印象があります。もちろん、“自分たちはあくまで皇嗣家であり、控えるところは控えなければならない”という秋篠宮さまの天皇ご一家への配慮もあるのでしょうが……」(前出・別の宮内庁関係者)
SNSの発展は、気軽にコミュニケーションが取れるようになった一方で、人間的なやりとりを希薄にしたという功罪が指摘されている。せめて皇室SNSは、“功”の側面で国民と皇室をつないでくれることを願ってやまない。
※女性セブン2023年3月16日号