埼玉県戸田市の市立中学校に高校生の少年(17)が刃物を持って侵入し、男性教員を切り付けた事件から8日で1週間。
県警に殺人未遂容疑で逮捕された少年は、先月猫の死骸が相次いで見つかった事件への関与をほのめかしているほか、残虐な内容の動画を見ているうちにエスカレートしたとの趣旨の供述をしている。インターネット上では、動物虐待などの残虐な動画が後を絶たず、規制を求める声も上がっている。
動物虐待動画規制法の制定に向けてクラウドファンディングなどに取り組む井上貴弘さん(56)は、猫13匹を虐待して動画共有サイトに投稿していた税理士の男が逮捕された事件をきっかけに活動を始めた。「たかが動物虐待の動画だと考えられているが、社会に与える影響は大きい」と指摘する。
井上さんによると、悪意を持った人がSNSに投稿した虐待動画を意図せず見てしまい、心的外傷後ストレス障害(PTSD)などになる人もいるという。「動画を規制する法律を作ることが、動物のみならず社会のためにもなる」と訴える。
東洋大の桐生正幸教授(犯罪心理学)は、動物への攻撃性が人間に向いてしまうケースはまれだとしつつ、「そうした人は幼少期に虐待を受けるなど精神的な苦痛を抱えており、ストレスを解消するために動物の虐待などゆがんだ方法を選択してしまう。そうした衝動が激しくなり、抑えきれなくなった結果、対象が人間に向かうのだろう」と分析する。
その上で、子どもが残虐な動画などに触れないよう、親が子どもに声を掛けてフォローする必要があると指摘。教職員や保護者による見回り活動などを通じて地域の防犯意識を高め、学校そのものの防犯対策も見直すべきだと話した。