東京都立大南大沢キャンパス(東京都八王子市)で昨年11月、教授で社会学者の宮台真司さん(64)が襲撃された事件で、警視庁捜査1課は9日、殺人未遂容疑で、相模原市南区、無職、倉光実容疑者(41)を、容疑者死亡のまま書類送検した。
倉光容疑者は事件後に自殺しているのが見つかり、捜査1課がDNA型鑑定などの捜査で容疑者本人と特定。一連の事件捜査は終結した。
捜査1課によると、実家の物置から倉光容疑者が平成20年ごろにつづったとみられるメモ帳3冊を発見。「大学教師は人に偉そうに説教することを目的にしてはいけない」「学者は一番上にいてはいけない人種」など知識人や大学、マスコミに対する不満が記されていたが、宮台さんをはじめ特定の人物を指した記述は確認されなかったという。
事件後に自身のノートパソコンやメモ帳を処分していたほか、以前使用していたパソコンにも事件に結び付く情報はなく、動機の解明には至らなかった。
今年1月末に倉光容疑者の関与が浮上したが、昨年12月17日に両親と暮らす自宅近くの別宅で自殺していたことが判明。自殺は16日午後とみられる。逃走中に捨てたペットボトルから検出されたDNA型と別宅にあったバリカンのものが一致、容疑者と特定された。
書類送検容疑は昨年11月29日夕、都立大南大沢キャンパス内の路上で、宮台さんの首を刃物で切りつけるなどして重傷を負わせ、殺害しようとしたとしている。倉光容疑者は現場から逃走し、捜査1課が防犯カメラの映像を公開するなど、行方を追っていた。