島根県の海で、「幻の深海魚」といわれる珍しい魚の姿がとらえられた。
夜の海を漂う、細長く大きな魚。頭の上に、赤い糸のようなものが見える。
その特徴から、深海魚のリュウグウノツカイとみられる。
釣りに来ていた男性が、たまたま見つけ撮影したという。
目撃した男性「海面にライトを照らした時に、反射している銀色の物がゆらゆらと動いていたので、何かいるなと思ったら、リュウグウノツカイだった。びっくりした」
場所は島根・浜田市の浜田漁港。7日午後8時半ごろのことだったという。
リュウグウノツカイは本来、水深数百メートルの深海に生息しているとされる魚で、海面付近で目撃されるのは、珍しいとされている。
定置網にかかったリュウグウノツカイの標本を展示している神奈川・藤沢市の水族館で話を聞いた。
新江ノ島水族館・杉村誠さん「会いたくても会えない生き物。探したくても探せない。どこにいるのかすらわからない。偶然網にかかったり、あがってきたものを見たことしかない。その場で(泳いでいるのを)見ることは、ほぼできない」
くわしい生態はわかっておらず、生きた状態の姿が見られるのは珍しいという。
ただ、2022年11月には、富山市で体長4メートルほどのリュウグウノツカイが定置網にかかり、生きたまま、あがったこともあった。
今回はなぜ、海面すれすれの場所をリュウグウノツカイが泳いでいたのだろうか。
新江ノ島水族館・杉村誠さん「水温が低い時期になると、深海から表層の間の水温の壁がだんだん薄まってくるので、(リュウグウノツカイ)の行動範囲が広がってくる。食料の生き物を一緒に追いかけて浅場に上がってくるのは、この時期になるとある」
今回、目撃されたリュウグウノツカイも、餌を追いかけて浅場まで来たのだろうか。
撮影した男性によると、リュウグウノツカイはその後、海中に潜って見えなくなったという。