岸田文雄首相は1日の衆院予算委員会で、年収が一定額を超えると配偶者控除の対象外となり、社会保険料の負担が生じる「年収の壁」問題をめぐり、制度を見直す考えを示した。
「パートタイムや非正規雇用の労働者が希望に応じて収入を増やしていけることが重要だ。幅広い対応策を検討する」と強調した。
年収の壁は女性の就労抑制につながっていると指摘され、「106万円の壁」、「130万円の壁」などと呼ばれる。首相は「(女性の就労を妨げているという)問題意識を共有する」などと語った。
また、少子化対策に関連し、教育無償化の範囲拡大に関しては「教育も大変重要な視点だ。内容の具体化を進めている」と述べた。
一方、首相は防衛力強化に伴う増税方針について「税制措置ありきでスキームをつくったわけではない。最大限の歳出改革や決算剰余金の活用、(税外収入を活用する)防衛力強化資金創設など自らの努力を最大限行った上で、足りない部分は国民に力添えを願いしなければならない」と重ねて理解を求めた。
増税前に衆院解散・総選挙に踏み切る考えを問われると、「わが国は防衛力だけではなく、エネルギーや子供・子育て政策などの大きな課題を抱えている。その議論をする中でいつ国民の信を問う判断をするかは、首相の専権事項だ」と述べるにとどめた。
自民党所属の地方議員と世界平和統一家庭連合(旧統一教会)との関係については、「大事なことは未来に向かって関係を断つことだ。党の方針を徹底するため、都道府県連に通知し、徹底を図っている」と述べた上で、4月の統一地方選前に具体的な対応をとる考えを示した。