note作家の猫山課長と申します。金融機関で課長をしながら、ネットでは働き方やキャリアに関する執筆活動を行い、ありがたいことにSNSなどで多くの反響をいただいています。
◆「コスパ」「タイパ」は本当に重要? 最近、「タイパ」という言葉を耳にするようになりました。どうやら「タイムパフォーマンス」の略で、時間当たりの効果を指すようです。YouTubeを倍速で見たりして、限りある時間を有効に使おうという姿勢なのでしょう。
加えて、以前からある言葉で「コスパ」があります。説明するまでもなく費用あたりの効果を意味しており、購入行動の際の基準として用いられます。
しかし、コスパやタイパという概念は本当に重要なのでしょうか? 私には疑問です。コスパを安直に求めると、人生が大きく損なわれることになると考えるからです。
◆コスパ重視は「やらないほうがいい」と結論付けがちになる
例えば、資格への挑戦など新たな行動を起こす時は、それなりの費用や時間が必要になります。かけた費用と時間に対して得られるリターンは釣り合うのか? そう検証するのは間違ってはいません。お金も時間も有限ですから、慎重になるのも当然です。
しかし、たいていの場合、考えれば考えるほど答えは「やらないほうがいい」に近づきます。そして結局何も行動を起こさないまま終わります。そんな経験は誰しもあるでしょう。
これは無理もないことです。なぜなら、アクションを起こす前の自分では、アクションを起こした後の自分を想像できないからです。成長前、つまりアクションを起こす前の自分がどれだけ考えても、コストを投下して得られるパフォーマンスを正しく理解し計算することができないのです。
◆大人になってから「もっと勉強しておけばよかった…」と後悔する理由
わかりやすい例で言えば、学校教育がそれに該当します。学校で学ぶことの価値は学校に通っているうちはわかりません。学んだことの価値がわかるのは、学校での学びを修めた後になります。だからみんな、「もっと勉強しておけばよかった……」と大人になってから後悔するのです。
コスパが計算できない。よってこれは費用と時間を投下すべきことではない。コスパに囚われるとそんな理路に染まっていきます。
そうなるといつまで経っても自分に投資することができず、成長することができません。そんな人物は、等価交換である「消費」しかできなくなります。消費しているだけでは一生ただの消費者のままであり、価値を増大させて収入を増やすことなどできず、格差の下層に固定されるかもしれません。
◆コスパより重要な「ダイブする行動力」
コスパは消費行動の範囲内に収めるべきで、自分の将来価値を左右する行動にまで適用するのは間違いです。必要なのは、計算しきれない未来に対してダイブする行動力なのです。
行動すればすべてがプラスのリターンになるとは限りませんが、コスパの呪いに囚われて動かない場合と比べたら、ずっと多くのリターンを得られます。新たな体験や学びは、あなたを非日常へ運んでいき、間違いなく新しい刺激や気づきをもたらすでしょう。
それによってこれまでとは違うあなたへ少しずつ変化していき、徐々に行動することの価値が理解できるようになります。
◆どれだけのリターンがあるかは、やってみないとわからない
一回理解してしまえば、次の行動への躊躇もなくなっていきます。そのようにして、あなたの周りの豊かな人はどんどん豊かになっているのです。経営者や社会的ステータスの高いビジネスマンがいくつになっても精力的に活動し、学ぶのには理由があります。
どれだけのリターンがあるかなんて、やってみないとわかりません。やる前からリターンがわかるものに超過利潤はあり得ません。どこまでいっても「1:1」の結果しかもたらさないのです。
少しでもピンときたらダイブしてみましょう。行動なくして現実が変わることはありません。コスパばかり気にして動かない人には、「今日の劣化コピーの明日」しか来ないのですから。