東京都狛江市の住宅で19日、住人の大塩衣与さん(90)が殺害された強盗殺人事件で、都内で起きた別の強盗致傷事件の捜査で押収されたスマートフォンからも、狛江市の事件に関する情報が見つかったことが捜査関係者への取材でわかった。
千葉県内の事件で逮捕された自衛官のスマホにも同様の情報が残されており、警視庁は強盗グループ内で情報が共有されていたとみている。
捜査関係者によると、東京都中野区上高田で昨年12月5日、複数の男が民家に押し入り、住人の40歳代男性に暴行を加え、現金約3000万円を奪って逃走する事件があった。
この事件で警視庁は21日、金沢市末町の職業不詳永田陸人容疑者(21)を強盗致傷容疑で逮捕。永田容疑者が乗っていたレンタカーから押収したスマホを解析したところ、大塩さんが殺害される前日の18日、SNSのメッセージで「狛江市」という地名や時間などがやり取りされていた。
狛江市の事件については千葉県大網白里市で12日に起きた強盗致傷事件で逮捕された自衛官の男(23)のスマホからも、強盗の計画などを記載したデータが見つかっていた。
大網白里市の事件を含め関東5県では今月9~14日、住宅や店舗を狙った強盗や窃盗が7件相次いでいた。手口の共通点や現場の状況などから、警視庁は同一グループがSNSで実行役を募り、各地で強盗などを繰り返したとみている。
一方、狛江市の事件前日と当日、同じレンタカーが現場周辺を走行していたことも新たに判明した。レンタカーは事件後、住宅の数百メートル先のコインパーキングに乗り捨てられていた。警視庁は強盗グループが前日に下見をした上で住宅に押し入り、別の車に乗り換えて逃げたとみている。
司法解剖の結果、大塩さんの死亡推定時刻は19日正午頃だった。死因は全身を殴打されたことによる多発外傷とみられている。室内に複数の土足痕があり、家中が物色されていた。警視庁は奪われた金品の有無を調べている。