止まらない物価の高騰で、大打撃を受けている老後の生活。
80代女性:物価が上がっているから、考えて考えて(お金を)おろさないとね。
年金を受給している人たちは、いくらもらっているのか?街で1カ月の年金額を聞いてみると…。
80代男性:8万円くらいだと思います。
80代女性:15万円ちょっとぐらい。
90代女性:4万円くらい。
もらえる金額は人によってバラバラ。街ゆく人々に、現役時代の仕事や現在の暮らしについて取材した。
「私、すごいおばあちゃんなのよ。びっくりするよ、90歳近いの」と話す80代の女性は一人暮らし。
1カ月の年金額は5万5000円。それでは足りず、自分で始めた割烹料理店で毎日働いている。
80代女性(1人暮らし):一生懸命働いて、ローンで(土地を)買ってるの。だから生き延びているの。家賃だったらとうにつぶれている!
取材班:ローンはもう終わった?
80代女性(1人暮らし):まだ少しあるわよ。だってそんなに高く払えないもん。
もらっている年金よりも高いローンを毎月支払っているそう。店を始めて約60年。仕事一筋の人生だったという。
80代女性(1人暮らし):だって結婚してないんだから1回も。仕事で生きてきたから。父が早く死んじゃったし…もうこれ以上の苦労ないというぐらい苦労してきたから、結婚なんか考えられないわよ!
こちらの80代の女性は、娘と孫の3人暮らし。1カ月の年金額は?
80代女性(娘と孫の3人暮らし):5万円ももらっていないですよ。だからね、働かないと食べていけません!
1カ月にもらっているのは約5万円。現役時代の仕事を聞いてみた。
80代女性(娘と孫の3人暮らし):若い時はね、学校の給食で一生懸命働いたんだけど。
取材班:公務員だった?
80代女性(娘と孫の3人暮らし):ええ、そうです。
46歳の時に公務員に採用され、それから14年間、調理師として小学校で給食を作っていたという。
取材班:元公務員の人は年金が高いイメージがありますが。
80代女性(娘と孫の3人暮らし):たいしたことない…。年金じゃ食べていけません。ちょっとアルバイトしないとね。
清掃のアルバイトをほぼ毎日しているという女性。
取材班:月にお給料はどのくらい?
80代女性(娘と孫の3人暮らし):月ですか…食べられません。私なんか、ほんと旅行にもいけない。どこにもいけない…働くばっかし!
年金の少なさを嘆いていた。
一方、年金を多くもらっていそうな仕事は?と街で聞いてみたところ…。
80代男性:公務員はいいなあ、と思いますけど。
70代女性:政治家さんもそうかもしれないですね。
「多くもらっていそう」という声があがったのは、公務員や政治家。そこで、実際に公務員や政治家だった人はどのくらい年金をもらっているのか、詳しく調べてみる。
まず訪れたのは、元小学校の校長先生の自宅。
元小学校の校長先生 吉田さん(仮名):38年間、つとめました。
北海道で教員生活38年。最後の3年間は校長も務めた88歳の吉田(仮名)さん。
取材班:校長先生を目指した理由は?
元小学校の校長先生 吉田さん(仮名):なんか話しづらいな…。まあ、基本給が変わりますからね。
取材班:退職金ってどのくらいだったんですか?
元小学校の校長先生 吉田さん(仮名):3000万円くらいでした。
そこでこんなお願い…。
取材班:通帳の金額の部分だけ見せていただくことは可能ですか?
元小学校の校長先生 吉田さん(仮名):通帳かい…。
元校長先生の1カ月の年金額は?
元小学校の校長先生 吉田さん(仮名):厚生年金が(2カ月で)15万円、それから共済年金が(2カ月で)33万9000円。
1カ月にもらっている年金は約24万円。
その内訳は、退職後に5年間、民間で働いた厚生年金と国民年金の合計が約7万5000円。公務員独自の共済年金が約17万円だ。
取材班:(共済年金が)少し恵まれている?
元小学校の校長先生 吉田さん(仮名):それはありますね、やっぱりね。共済組合からお金借りているでしょ。
取材班:民間の銀行に比べると利子が低い?
元小学校の校長先生 吉田さん(仮名):低いです。だから借りやすいし、保証人も何もいらない。
元校長先生にも減額の波は来ているようで、その現実を記録したのがこの2枚の紙。
元小学校の校長先生 吉田さん(仮名):(年金の)金額全部ひろったんですよ。
23年分の年金額の記録だ。平成12年にそれまでの最高額、年間354万6902円受給。
それから20年後の金額は…。
元小学校の校長先生 吉田さん(仮名):令和2年で319万3312円。これだけ減額になっているんですよ、35万3590円。
20年前より約35万円も減っていた。
取材班:驚きの事実ですね。
元小学校の校長先生 吉田さん(仮名):ええ、だから今大変ですよ。これからどうなるのかね…。
商店街で話を聞いた70代の男性は、現在も人気の職業である商社に勤務していた。1カ月の年金額は?
70代男性(元商社):10万円。
勤続30年で、1カ月にもらえる年金額は約10万円。商社マンといえば、給料も高く年金額も多そうなイメージを持たれているが…。
70代男性(元商社):私がそんなに、ばんばん働いて、課長だ部長だって出世するようなタイプじゃなかったので。それほど給料があがらなかった。
90代の男性は、元クリエーター。その経歴は華やか!
90代男性(元クリエーター):新聞広告とかポスター(制作)とか、広告大賞は2回とっているかな。
大手百貨店で広告デザイナーとして活躍。現役時代は、広告大賞を2度受賞しているそう。現在の年金額は?
90代男性(元クリエーター):18万円くらい。
大学を出て40年間勤めた元広告デザイナーが、1カ月にもらえる額は約18万円。
そして、今回取材した中で、多くの街の人が知りたがっていたのが…。
70代女性:国会議員とかああいうのでしょ!ふざけてるよね、多すぎるし。
80代女性:議員年金って普通の年金と違いますよね、もらっている額が。
「議員年金」だ。
政治家の年金制度は、2011年までに全て廃止されている(国会議員互助年金は2006年4月に、地方議会議員年金は2011年6月に廃止)。
しかし、廃止より前に保険料を支払っていた人には、今も議員年金が支払われているのだ。
当時の制度では、月10万円ほどの保険料を10年間支払うと、65歳から受け取れる金額は月34万円ほど。
制度が廃止になった今でも、当時保険料を支払っていた元議員の一部には、15%減額された金額が支払われている。
これは、取材班が独自に入手した元国会議員の年金額を示す源泉徴収票。
在職10年余り、この元議員がもらっている年金は年間350万2000円。月額にすると29万1800円。
民間の厚生年金の1カ月平均は14万3761円で、比較すると約2倍の15万円ほども多い額だ。
今年度の議員年金の対象者は、配偶者も含めると638人。総額は17億円を超える。この現実に街の人は…。
30代女性:えー!そんなにもらっているんですね。庶民からしたら、ぜいたくな金額。
60代女性:ありえないですね。10年なんてありえないですね。普通の民間の人で、10年で年金もらえないですから。
議員年金はすでに廃止されているが、当時保険料を支払っていた一部の元国会議員らは、今も一般の受給額よりも多く年金をもらっている。
(「イット!」1月13日放送)