多くの企業が業績悪化に苦しむなか、日本の「中流」と呼ばれた人たちの年収は未曽有のペースで減り続けている。さらにウクライナ問題や円安による物価高も重なり、生活を圧迫された人も少なくない。
いまや全国民に襲いかかる年収100万円減の現実。多くの“沈みゆく中流”が直面する生活破綻のリアルを当事者たちの声とともに追った!
◆月収12万減のシングルマザー「先のことは考えられない」
●坂田久美さん(仮名・38歳)職種/コールセンター勤務 役職/派遣社員年収200万円減(500万円300万円)
働き手を増やしようがないひとり親世帯では、収入減&出費増の影響がより色濃く出てしまう。2021年末に離婚し、6歳の息子と2人で暮らす坂田久美さん(仮名・38歳)は「今は値引きシールのついたお惣菜しか買えない」と生活の激変ぶりを吐露する。
「離婚の原因は夫のDV。慰謝料はなく、家族で所有していた車を一台もらっただけ。ですが、その頃は映画宣伝会社で契約社員として働いていたので、手取りが28万円あったんです。
ボーナスを加えた年収は500万円。元夫から振り込まれる月8万円の養育費もあり、週に1~2度は2人で外食するなど、金銭的に苦労することなく息子を育てられていました」
◆業績が落ちた勤め先から突然の契約解除
「しかし2022年7月、業績が落ちた勤め先から突然の契約解除。すぐに次の職場を探し始めましたが、子供の世話で長時間勤務が難しい点がネックとなり、見つかったのは時給制のコールセンターの仕事のみ。
現在は週5日6時間勤務で手取り16万円。その時期から8万円の養育費の振り込みも滞り始めてしまって……」
◆元夫からの養育費も滞り「もう冬が越せない」
両親とは死別しており、頼れる身内はほぼいない。現在は家賃8万円の1LDK木造アパートに住んでいるが、「去年トータルで4万円かかった灯油代も値上がりし、今年は冬が越せないのでは」と嘆く。
「化粧品は買わなくなったし、美容院も半年行ってない。クリスマスプレゼントは、貯まったTポイント3000円分で準備しました。日々の暮らしで精いっぱいなので先のことを考える余裕はまったくありません」
スーパーでの買い物は決まって21時すぎ、値引きされたお惣菜を購入。
「深夜なら半額もあるけど、子供がお腹を空かせているので20%引きで我慢」
母と子に福祉の手が届くことを祈るばかりだ……。
取材・文/週刊SPA!編集部