新型コロナ患者の全国の死者数は、過去最多のペースで推移していて、感染状況は第7波を超えているとの指摘もでています。緊迫する訪問看護の現状を取材しました。
訪問看護師「訪問看護です。調子いかがですか」
先月末、訪問看護の看護師が訪れたのは、コロナに感染した一人暮らしの90代の女性の自宅です。息苦しそうな女性の状況を外にいるスタッフに伝えます。
訪問看護師「サチュレーション(血中の酸素濃度)とれないですね。体温も高すぎてエラーが出る」
女性は、血液中の酸素の値が測定出来ない状態にまで悪化。
訪問看護師「ちょっと危ないかも」
救急車を要請しましたが、なかなか搬送先が見つからず、3時間以上も待機が続きました。
訪問看護ステーションブロッサム 西村直之代表取締役「非常に緊迫感ある、命の危険性を感じるような状況でしたので。119番したんですけれども、救急車の到着までどれほど時間かかるかわからないと。一瞬、真っ白になりましたね」
厚労省がきょう発表したコロナ患者の新たな死者数は381人で、“第7波”を上回る水準が続いています。“第8波”が始まった先月以降では、全国であわせて1万人を超える死者が出ています。
訪問看護ステーションの代表は、「“第8波”には、これまでにない感染スピードを感じる」と話します。
訪問看護ステーションブロッサム 西村直之代表取締役「感染力、感染スピードは猛烈に速い。当社113の高齢者施設・福祉施設のお取引をさせていただいているんですが、7波と8波で比べると本当に(感染者が)5倍と言ってもいいぐらいの状況になっている」
感染症の専門家は、“第8波”以降、死者などが増え続けている要因をこう分析します。
国際医療福祉大学 松本哲哉主任教授「感染者数として私達が捉えている数そのものがですね、実際の数よりも、まだだいぶ少なく見積もってるんじゃないかと。感染拡大に医療がなかなか追いついていない、という部分もやっぱり死者が増えてしまう」
きょう、厚労省の専門家組織のメンバーらは、新型コロナが季節性のインフルエンザと同じような感染症になるには、「しばらく時間がかかる」とする見解を公表。
政府が今年の春にも検討しているコロナの「5類」への引き下げについては、医療への負担なども踏まえ、段階的に行うべきだとしています。