高齢者の場合、新型コロナウイルスワクチン接種後、免疫の司令塔である「ヘルパーT細胞」が働き出すのが若年層よりも遅く、収束も早い傾向にあると、京都大iPS細胞研究所などの研究チームが発表した。研究結果は、科学誌「ネイチャー・エージング」に掲載された。
全国のコロナ死者、最多 感染研所長「後押しする形の死亡増」 同研究所の浜崎洋子教授は「今回の研究成果は、免疫機能が低下している人に対しても有効性が高いワクチンの開発や、個人の免疫状態に適した接種スケジュールの検討につながる」と話す。

ヘルパーT細胞は、細菌・ウイルス感染に反応し、抗体を生み出すのを促したり、他の免疫細胞を活性化したりする。年を取ると免疫機能が低下することが知られているが、加齢が免疫応答に及ぼす影響については、不明な点が多い。 チームは、20~64歳107人と、65~82歳の高齢者109人について、ヘルパーT細胞の状態を調べた。接種後の比較では、64歳以下はすぐにヘルパーT細胞が働き出し、活性化状態が長く維持される傾向にあった。高齢者は、ヘルパーT細胞が十分に働き出すまでに時間がかかり、活性化してもすぐに収まる人が多かった。 高齢者のヘルパーT細胞を詳しく調べたところ、免疫にブレーキをかけるたんぱく質「PD-1」が、64歳以下に比べ2倍程度多く生じていた。 高齢者の中にもヘルパーT細胞がすぐに働き出す人もおり、浜崎教授は「個人差などについて今後さらに解析を進める必要がある」と話している。【菅沼舞】
同研究所の浜崎洋子教授は「今回の研究成果は、免疫機能が低下している人に対しても有効性が高いワクチンの開発や、個人の免疫状態に適した接種スケジュールの検討につながる」と話す。
ヘルパーT細胞は、細菌・ウイルス感染に反応し、抗体を生み出すのを促したり、他の免疫細胞を活性化したりする。年を取ると免疫機能が低下することが知られているが、加齢が免疫応答に及ぼす影響については、不明な点が多い。
チームは、20~64歳107人と、65~82歳の高齢者109人について、ヘルパーT細胞の状態を調べた。接種後の比較では、64歳以下はすぐにヘルパーT細胞が働き出し、活性化状態が長く維持される傾向にあった。高齢者は、ヘルパーT細胞が十分に働き出すまでに時間がかかり、活性化してもすぐに収まる人が多かった。
高齢者のヘルパーT細胞を詳しく調べたところ、免疫にブレーキをかけるたんぱく質「PD-1」が、64歳以下に比べ2倍程度多く生じていた。
高齢者の中にもヘルパーT細胞がすぐに働き出す人もおり、浜崎教授は「個人差などについて今後さらに解析を進める必要がある」と話している。【菅沼舞】