「カネを出せ!」
5人の若者は、路上を歩いていた20代男性Aさんに突然因縁をつけた。反発するAさん。すると5人はAさんを羽交い絞めにし、殴る蹴るの暴行を加え全治約3週間の大ケガを負わせたうえ財布を奪ったーー。
若者による呆れた事件が起きたのは、12月21日朝7時半ごろのことだ。
「場所は、若い人たちが多く集まる東京・渋谷の道玄坂です。被害男性のAさんは、クラブで酒を飲み帰る途中でした。近くの路上では、大学生ら5人が飲酒していた。酔った様子のAさんを見つけ、犯行を思いたったのでしょう。
まず1人がAさんを脅し口論に。別の人間が腕でクビを締めつけ、倒れたところを寄ってたかって5人で殴る蹴るの暴行を加えたんです。Aさんの顔面は、どす黒く腫れあがっていたとか。5人は、Aさんのズボンのポケットから財布を奪って逃走しました」(全国紙社会部記者)
最初に捕まったのは、主犯格で都内の私立大学に通う永沼大吾容疑者(21)。犯行から約1時間半後、現場近くを巡回中だった警察官に強盗致傷の疑いで逮捕されたのだ。19歳の少年と大学生の残り4人は、21日の夜に警視庁渋谷署へ出頭している。
「5人は、渋谷で知り合った遊び仲間だったそうです。警察の調べに対し、永沼容疑者は『何もしてません』と犯行を否認。19歳の少年と大学生の1人は容疑を認め、他の2人は『直接は手を出していない』と一部否認しています」(同前)
面識のない男性を、複数で暴行を加え金品を奪う――。そうとう悪質な犯行だろう。元神奈川県警の刑事で、犯罪ジャーナリストの小川泰平氏が語る。
「若者たちは、オモシロ半分で犯行に及んだのかもしれません。ゲーム感覚だったのかもしれない。しかし凄惨な事件内容をみれば、彼らは犯罪集団と思われて仕方ないでしょう。酒で酔っていたことは、言い訳になりません。
警視庁は、『SSBC(捜査支援分析センター)』というシステムを強化しています。防犯カメラの映像をリレー形式で解析するんです。渋谷のハロウィンで小型トラックを横転させた事件など、このシステムにより犯人が捕まりました。
今回逮捕された5人は、こうした警備体制が強化されていることを知っておくべきだった。一時の遊び心から犯行に及んでも逃げ切ることはほぼ不可能で、自分たちにとって、とんでもない結果を招くのです。5人には、釈放されても就職ができないなど厳しい現実が待っているでしょう。留置所で事の重大さに気づき、青ざめるはずです」
覆水は盆に返らない。事件を起こしてしまっては、もはや取り返しはつかないのだ。