12月17、18日に実施された毎日新聞の世論調査で支持率が遂に25%まで落ち込んだ岸田政権。しかし、永田町では「岸田下ろし」の声は聞かれず、窮地に追い込まれているハズの岸田文雄総理はむしろ、政権運営の自信を深めているという。その訳は――。
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【写真】「岸田文雄」を料理屋に呼びつけた大物政治家の“長男” ロン毛のコンサル社長は高級車でお見送り 岸田総理は12月8日に突如、防衛費増額1兆円分の増税を表明して国民の激しい怒りを買った。これが政権を直撃し、支持率25%、不支持率69%という発足以来最低の世論調査結果となったことは明白だが、意外なことに、岸田総理に動揺は見られないという。

2021年の自民党総裁選の構図「岸田総理は宮沢洋一税調会長と手を握って、増税の実施時期を明記した法案を通常国会に提出しないことで税制改正大綱を決着させました。争いのタネを“先送り”する無責任な妥協案ですが、あれだけ“国債を発行すべきか、増税に踏み切るか”で大騒ぎだった自民党内の議論は急速にしぼみ、岸田総理はご満悦だそうです」(永田町に詳しい政治評論家)公明党もあっさり容認 防衛増税に対して「真意が理解できない」と真っ向から批判していた高市早苗経済安保大臣も、岸田総理が開いた慰労会で酒を振る舞われると、批判の矛を収めてしまった。どれだけ国民の怒りが岸田総理に向けられても、自民党内からは「岸田下ろし」の声が一向に聞こえてこないのだ。「なんといっても直近に国政選挙が予定されていないことが大きく、議員が本気になって岸田総理を引きずり降ろそうという動きが生じないのです。 岸田総理は何だかんだ言って、『国家安全保障戦略』など防衛三文書を改訂し、反撃能力(敵基地攻撃能力)保有を明記させましたが、猛反対すると思われていた公明党もあっさり容認しました。 懸案だった旧統一教会被害者の救済法案も国会最終日ぎりぎりに成立させ、原発建設を認めるGX(グリーン・トランスフォーメーション)方針をまとめるなど、党内では“やることはやっている”と評価する声もあるのです」(同) とはいえ、山際大志郎経済再生担当大臣、葉梨康弘法務大臣、寺田稔総務大臣の「辞任ドミノ」に続いて、秋葉賢也復興担当大臣の「政治とカネ」問題は決着しておらず、辞任を求める声は高まる一方だが――。3大臣を“サンドバッグ”に「旧統一教会問題や『政治とカネ』の不祥事は確かに政権への強い批判になりましたが、大臣の罷免が遅れに遅れ、彼らが批判を一身に集めている間に、気付いたら臨時国会が終わりにさしかかっていました。いったん大臣辞任という決着がつくと野党やメディアの追求は沈静化。岸田総理は実は意外と“したたか”で、辞任ドミノ3大臣を“サンドバッグ”にして、国葬以降迷走する自身への非難をかわそうという狙いがあったのではないかとも言われています」(同) とすると、秋葉大臣も「噛ませ犬」の役割を果たし終えた後、岸田総理にとって都合がいいタイミングで首を切られるということになる。体調不良の谷公一防災対策大臣や、アイヌ差別発言等で物議を醸した杉田水脈総務政務官もあわせて交代させるとなると、近日中に「プチ内閣改造」を実施するという見立てが強まってきている。 22日には政治資金規正法違反で辞職に追い込まれた薗浦健太郎前議員が略式起訴されたが、痛手を被るのは、薗浦氏を側近としていた麻生太郎・党副総裁であり、岸田総理は痛くも痒くもないということか。二階元幹事長の存在「岸田総理に当面の間、追い風が吹くことはありませんが、低空飛行のまま、少なくとも来年5月の広島G7サミットまでは政権を維持するという観測が強くなってきています。麻生副総裁や茂木敏充幹事長が仕掛けた“連立政権入りという毒饅頭”に国民民主党の玉木雄一郎代表が喰い付くなど、野党の分裂状態も継続しています。 しかし、だからと言って岸田総理が安泰という訳ではありません。非主流派の冷や飯を食っている二階俊博元幹事長や菅義偉前総理が、財務官僚よろしく振る舞って悦に入っている岸田総理をいつまでも静観している訳ではありませんので」(同) 二階元幹事長といえば、御年83歳。さすがに体力の衰えは隠せないが、時折見せる「ボケた振り」は完全に芝居で、気力と胆力は一向に衰えていないという。安倍元総理国葬での追悼演説で評価が高まった菅前総理と手を組んで、岸田政権が「新たな不祥事」で躓いた際に、自民党の「ラスボス」二階氏が降臨し、政局を仕掛けることは十分に考えられるというのだ。二階派、菅グループが担ぐなら 今年11月、新型コロナに感染した際に自身の死亡説が流れたことについて、「そういうことを流した者がいるとしたら、たたき殺してやらないといけない」などと、CS番組で吐き捨てる場面もあった二階氏だが、「二階派、菅グループが担ぐとしたら、旧統一教会被害者救済で名を馳せた河野太郎消費者担当大臣でしょう。安部元総理が亡くなった後に跡目を決めることが出来ないでいる安倍派(清和会)の一部と組めば、勝機が見えてきます。そうなれば、政局に滅法強い二階元幹事長は、お公家集団の宏池会(岸田派)がかなう相手ではありません。 2024年秋には自民党総裁の任期が来ますが、その前の2023年中に岸田総理が解散総選挙を仕掛けた場合、その成行き次第で『河野総理』が誕生している可能性は十分にありえます。 それに対して麻生副総理は、河野洋平元総裁の恩に報いるためにも、河野太郎氏を総理にしたいという気持ちは持っているのですが、最近二人は噛み合っていません。麻生氏自身が再登板に色気を見せているという報道もありますが、それはなく、あくまでもキングメーカーとして、事あるごとに麻生さんを立てる茂木幹事長(平成研)を岸田後継に据えようとするのではないでしょうか」(政治部記者)安倍元総理の“遺言” 問題は河野氏の党内での評価だろう。「河野太郎だけは総理にしてはならない」と安倍元総理が言ったという説もある。2021年の総裁選で安部元総理が担いだ候補者は高市早苗大臣だった。党内基盤は脆弱とはいえ、中国に媚びない姿勢に熱狂的な保守支持層がいる高市大臣が、いざという時のダークホースになるという声もある。 来年の事を言えば鬼が笑うというものの、物価高、円安、北朝鮮ミサイル、台湾有事への対応は待ったなしだ。すぐに地位を失うことはないとはいえ、岸田首相の支持率が上がる目は今のところない。 乱世の時代の首相後継、「本命は河野太郎、対抗馬は茂木敏充、大穴で高市早苗」といったところか――。デイリー新潮編集部
岸田総理は12月8日に突如、防衛費増額1兆円分の増税を表明して国民の激しい怒りを買った。これが政権を直撃し、支持率25%、不支持率69%という発足以来最低の世論調査結果となったことは明白だが、意外なことに、岸田総理に動揺は見られないという。
「岸田総理は宮沢洋一税調会長と手を握って、増税の実施時期を明記した法案を通常国会に提出しないことで税制改正大綱を決着させました。争いのタネを“先送り”する無責任な妥協案ですが、あれだけ“国債を発行すべきか、増税に踏み切るか”で大騒ぎだった自民党内の議論は急速にしぼみ、岸田総理はご満悦だそうです」(永田町に詳しい政治評論家)
防衛増税に対して「真意が理解できない」と真っ向から批判していた高市早苗経済安保大臣も、岸田総理が開いた慰労会で酒を振る舞われると、批判の矛を収めてしまった。どれだけ国民の怒りが岸田総理に向けられても、自民党内からは「岸田下ろし」の声が一向に聞こえてこないのだ。
「なんといっても直近に国政選挙が予定されていないことが大きく、議員が本気になって岸田総理を引きずり降ろそうという動きが生じないのです。
岸田総理は何だかんだ言って、『国家安全保障戦略』など防衛三文書を改訂し、反撃能力(敵基地攻撃能力)保有を明記させましたが、猛反対すると思われていた公明党もあっさり容認しました。
懸案だった旧統一教会被害者の救済法案も国会最終日ぎりぎりに成立させ、原発建設を認めるGX(グリーン・トランスフォーメーション)方針をまとめるなど、党内では“やることはやっている”と評価する声もあるのです」(同)
とはいえ、山際大志郎経済再生担当大臣、葉梨康弘法務大臣、寺田稔総務大臣の「辞任ドミノ」に続いて、秋葉賢也復興担当大臣の「政治とカネ」問題は決着しておらず、辞任を求める声は高まる一方だが――。
「旧統一教会問題や『政治とカネ』の不祥事は確かに政権への強い批判になりましたが、大臣の罷免が遅れに遅れ、彼らが批判を一身に集めている間に、気付いたら臨時国会が終わりにさしかかっていました。いったん大臣辞任という決着がつくと野党やメディアの追求は沈静化。岸田総理は実は意外と“したたか”で、辞任ドミノ3大臣を“サンドバッグ”にして、国葬以降迷走する自身への非難をかわそうという狙いがあったのではないかとも言われています」(同)
とすると、秋葉大臣も「噛ませ犬」の役割を果たし終えた後、岸田総理にとって都合がいいタイミングで首を切られるということになる。体調不良の谷公一防災対策大臣や、アイヌ差別発言等で物議を醸した杉田水脈総務政務官もあわせて交代させるとなると、近日中に「プチ内閣改造」を実施するという見立てが強まってきている。
22日には政治資金規正法違反で辞職に追い込まれた薗浦健太郎前議員が略式起訴されたが、痛手を被るのは、薗浦氏を側近としていた麻生太郎・党副総裁であり、岸田総理は痛くも痒くもないということか。
「岸田総理に当面の間、追い風が吹くことはありませんが、低空飛行のまま、少なくとも来年5月の広島G7サミットまでは政権を維持するという観測が強くなってきています。麻生副総裁や茂木敏充幹事長が仕掛けた“連立政権入りという毒饅頭”に国民民主党の玉木雄一郎代表が喰い付くなど、野党の分裂状態も継続しています。
しかし、だからと言って岸田総理が安泰という訳ではありません。非主流派の冷や飯を食っている二階俊博元幹事長や菅義偉前総理が、財務官僚よろしく振る舞って悦に入っている岸田総理をいつまでも静観している訳ではありませんので」(同)
二階元幹事長といえば、御年83歳。さすがに体力の衰えは隠せないが、時折見せる「ボケた振り」は完全に芝居で、気力と胆力は一向に衰えていないという。安倍元総理国葬での追悼演説で評価が高まった菅前総理と手を組んで、岸田政権が「新たな不祥事」で躓いた際に、自民党の「ラスボス」二階氏が降臨し、政局を仕掛けることは十分に考えられるというのだ。
今年11月、新型コロナに感染した際に自身の死亡説が流れたことについて、「そういうことを流した者がいるとしたら、たたき殺してやらないといけない」などと、CS番組で吐き捨てる場面もあった二階氏だが、
「二階派、菅グループが担ぐとしたら、旧統一教会被害者救済で名を馳せた河野太郎消費者担当大臣でしょう。安部元総理が亡くなった後に跡目を決めることが出来ないでいる安倍派(清和会)の一部と組めば、勝機が見えてきます。そうなれば、政局に滅法強い二階元幹事長は、お公家集団の宏池会(岸田派)がかなう相手ではありません。
2024年秋には自民党総裁の任期が来ますが、その前の2023年中に岸田総理が解散総選挙を仕掛けた場合、その成行き次第で『河野総理』が誕生している可能性は十分にありえます。
それに対して麻生副総理は、河野洋平元総裁の恩に報いるためにも、河野太郎氏を総理にしたいという気持ちは持っているのですが、最近二人は噛み合っていません。麻生氏自身が再登板に色気を見せているという報道もありますが、それはなく、あくまでもキングメーカーとして、事あるごとに麻生さんを立てる茂木幹事長(平成研)を岸田後継に据えようとするのではないでしょうか」(政治部記者)
問題は河野氏の党内での評価だろう。
「河野太郎だけは総理にしてはならない」と安倍元総理が言ったという説もある。2021年の総裁選で安部元総理が担いだ候補者は高市早苗大臣だった。党内基盤は脆弱とはいえ、中国に媚びない姿勢に熱狂的な保守支持層がいる高市大臣が、いざという時のダークホースになるという声もある。
来年の事を言えば鬼が笑うというものの、物価高、円安、北朝鮮ミサイル、台湾有事への対応は待ったなしだ。すぐに地位を失うことはないとはいえ、岸田首相の支持率が上がる目は今のところない。
乱世の時代の首相後継、「本命は河野太郎、対抗馬は茂木敏充、大穴で高市早苗」といったところか――。
デイリー新潮編集部