国土交通省によると、2021年末以降、値上げを巡って、都内23区と三鷹市、武蔵野市で営業するタクシー会社(全車両数の7割超)から改定検討に必要な申請があった。それにより、国土交通省が適正な値上げ率を算出。「物価問題に関する関係閣僚会議」で了承され、11月14日に値上げする運びとなった。15年ぶりの値上げが実施されて1ヵ月以上が過ぎたが、利用客やタクシードライバーはこの運賃改定をどう感じているのであろうか。
今回の運賃改定により初乗り料金が420円から500円へと80円値上げされる。さらに233mごとに80円加算されていた運賃が255mで100円ずつ加算されることとなった。
*画像はイメージです/Photo by iStock
値上げを断行した背景には、・コロナ禍による客の減少・原油高による燃料費の高騰・ドライブレコーダー設置・キャッシュレス決済の導入などがあげられる。タクシーの運賃改定は、全国101のブロックごとに事業者が各地方運輸局に申請する。ブロック内の事業者の全体車両数の70%を超える申請があれば審査を始める仕組みだ。閣僚会議で決定する東京都を除き、人口50万人以上の都市を含むブロックは国土交通省と消費者庁の協議で決まる。消費税率が引き上げに伴う運賃改定はこれまで何度か行われてきたが、それ以外による運賃改定は15年振り。前回の2007年は、タクシー規制緩和による新規参入が増加し、タクシー運転手の賃金が低下していることが主な理由として、660円から7%増の710円に値上げをした。今回の値上げも燃料費高騰や円安による物価高騰の背景もあるが、コロナ禍による収入減のタクシードライバーの救済策としての意味合いが強いかもしれない。値上げはタクシー運賃だけではない今回の運賃改定は、運賃だけが改定されるのではない。タクシー手配料いわゆる迎車料金も改定するタクシー会社も多い。迎車料金は、タクシー会社が各社で自由に設定できるが、初乗り運賃額が上限という規制がある。東京23区・武蔵野地区でいえば改定前まで最大420円だったのが、最大500円となったことになる。最大500円までは各タクシー会社は自由に設定できる。しかし、運賃とは逆に迎車料金を値下げをしていることが多い。大手タクシー会社の日本交通をはじめ、帝都交通、東京無線は300円に値下げしている。 ただ、上記の日本交通などが導入している日本最大のタクシーアプリ「GO」は今回の運賃改定に伴い、アプリ手配料100円を利用者から徴収を始めた。つまりアプリで配車した場合、迎車料金300円の他にアプリ手配料100円が加わり、配車アプリを使ってタクシーを呼んだ場合は、迎車料金は400円となる。Photo by iStock今まではタクシー配車アプリ会社は、アプリ導入タクシー事業者の手数料のみに頼ってきた。しかし、十分に採算化できない理由から今回のタクシー運賃改定に伴い、アプリ利用者からも手配料として徴収する運びとなった。アプリ手配料の徴収方法は、タクシー配車アプリ会社によって違っており、「GO」のようにタクシー迎車料金と別に徴収するものや迎車料金に込まれているものもあり、そのことにより迎車料金がまちまちな理由もある。今後の運賃改定には、タクシーの運賃だけではなくタクシーアプリ配車の手配料も伴うかもしれない。たかが80円、されど80円改定前の運賃の時は、ワンメーターなら2人で乗れば都バスの運賃で乗れて、複数の人数で乗れば一人あたまの運賃が都バスよりも安く乗れたと得意げに話していた人がいた。バスの混雑する車内を避けてゆったり出来るタクシーに乗れたが、この80円の値上げにより快適なちょい乗りができなくなったと嘆いた乗客もいた。上記のように233mごとに80円加算されていた運賃が255mで100円ずつ加算される。20円の差はある人にとっては無視できないかもしれない。 そんな中、少しでもタクシーを安く乗る方法はないのか。タクシーをあまり利用しない人は知らないかもしれないが、タクシーは「時間距離併用制」を採用している。時間距離併用制とは、交通混雑などの影響で走行速度が一定限度(10km以下)より遅くなると、時間で運賃が上がるシステムだ。つまり、渋滞や待機など、車両が動いていないときでも運賃が加算されるのである。これも今回の運賃改定により、これまでは1分25秒ごとに80円加算だったが、今回1分35秒ごとに100円となった。首都高や高速道路などの有料道路では、距離のみの運賃算出であり、この時間距離併用制は適用されない。また、深夜帯なら首都高や高速料金が割引されるので、ルートによっては高速料金払っても一般道で信号待ちや渋滞で時間料金が加算されるより、時間料金が適用されない有料道路の方が、早い上に安く済むこともある。他にもタクシーを少しでも安く乗るには、初乗り料金が500円以下のタクシー会社や深夜割り増し料金が掛からないタクシー会社、迎車料金が無料のタクシー会社など、独自のサービスを展開しているタクシー会社を利用するのも手である。ちょっとしたことかもしれないが、積もり積もれば馬鹿にはできないであろう。値上げによりタクシードライバーの給料は変わるのか今回の運賃改定は、タクシードライバーはどう捉えているのか。値上げによる乗り控えを心配していたが、それはなかった。むしろ売上げが増えたというドライバーが多い。その成果もすぐに数字となって表れた。運賃の改定率は、およそ14%。ドライバーの売上げも同じように14%、いやそれ以上に上がったドライバーもいる。コロナ禍により、売上げ数値は、軒並み赤字であったのが、単価が黒字に転じた。これで今まで我慢に我慢を重ねたドライバーの給料に明るい兆しが見えかけたに思えた。これはタクシー業界だけの話ではない。値上げにより売上が増加した分、従業員にしっかりと還元されているのか。11月22日に厚生労働省から最新の『賃金引上げ等の実態に関する調査』が公表された。令和4年中における賃金の改定の実施状況(9~12月予定を含む。)をみると、「1人平均賃金を 引き上げた・引き上げる」企業の割合は85.7%(前年80.7%)、「1人平均賃金を引き下げた・引き 下げる」は0.9%(同1.0%)、「賃金の改定を実施しない」は6.2%(同10.1%)、「未定」は7.3%(同 8.2%)となっている(参照:厚生労働省『賃金の改定の実施状況』)。前の年の同じ月から1.8パーセント増え、10か月連続の上昇となった一方、物価の変動を反映した「実質賃金」は前の年の同じ月から2.6パーセント減り、7か月連続で減少しているという結果が出ている。 この運賃改定によりドライバーの給料はどうかわるのか。タクシー業界は給料体系は歩合によるものが多い。したがって歩合率が大きく左右する。売上げが増えていく中、歩合率が変わらなければ必然的に賃上げにつながる。その歩合率もタクシー会社によってまちまちなのだ。例えば、同じ月80万の売上げでもタクシー会社によって給料が違う。どのタクシー会社に勤めるかだけで収入に差が出てしまう世界なのだ。タクシードライバーは、井戸端会議ならぬ、コンビニ会議などで営業情報や他社の情報を聞いたりする。売上げが上がった分、歩合率の改定の動きをする会社も出てきているという。それも上げるのではなく下げるというのだ。その会社のドライバーの喜びも束の間、せっかく上がっている売上げなのに給料据え置きになると肩を落としていた。運賃改定が始まったばかりなのにあまりにも素早い動き。タクシードライバーの給料を上げるための運賃改定ではなかったのかと首を傾げてしまう対応をするタクシー会社も存在する。このように同じタクシー業界でいながら、同じ売上げでも会社によって収入が違ってくる。利用しているアプリはどこか、歩合率はどうか、今まで以上に会社選びがタクシードライバーが生き残る鍵となる。タクシーの運賃に限らず値上げラッシュが続いている中、モノだけが値上がりするスタグフレーションが起ころうとしている。いや、むしろ起こそうとする会社もある。これが現状なのだ。物価高騰がしっかりと働いている従業員に還元される日は来るのだろうか。今回のタクシー運賃改定は、年末に差し掛かるこの時期とあって需要は然程かわらず、値上げによる乗り控えは感じられない。しかし、忙しない世間が落ち着きを戻す年明けはどうなっているであろうか。
値上げを断行した背景には、
・コロナ禍による客の減少・原油高による燃料費の高騰・ドライブレコーダー設置・キャッシュレス決済の導入
などがあげられる。
タクシーの運賃改定は、全国101のブロックごとに事業者が各地方運輸局に申請する。ブロック内の事業者の全体車両数の70%を超える申請があれば審査を始める仕組みだ。閣僚会議で決定する東京都を除き、人口50万人以上の都市を含むブロックは国土交通省と消費者庁の協議で決まる。
消費税率が引き上げに伴う運賃改定はこれまで何度か行われてきたが、それ以外による運賃改定は15年振り。前回の2007年は、タクシー規制緩和による新規参入が増加し、タクシー運転手の賃金が低下していることが主な理由として、660円から7%増の710円に値上げをした。
今回の値上げも燃料費高騰や円安による物価高騰の背景もあるが、コロナ禍による収入減のタクシードライバーの救済策としての意味合いが強いかもしれない。
今回の運賃改定は、運賃だけが改定されるのではない。タクシー手配料いわゆる迎車料金も改定するタクシー会社も多い。迎車料金は、タクシー会社が各社で自由に設定できるが、初乗り運賃額が上限という規制がある。東京23区・武蔵野地区でいえば改定前まで最大420円だったのが、最大500円となったことになる。
最大500円までは各タクシー会社は自由に設定できる。しかし、運賃とは逆に迎車料金を値下げをしていることが多い。大手タクシー会社の日本交通をはじめ、帝都交通、東京無線は300円に値下げしている。
ただ、上記の日本交通などが導入している日本最大のタクシーアプリ「GO」は今回の運賃改定に伴い、アプリ手配料100円を利用者から徴収を始めた。つまりアプリで配車した場合、迎車料金300円の他にアプリ手配料100円が加わり、配車アプリを使ってタクシーを呼んだ場合は、迎車料金は400円となる。Photo by iStock今まではタクシー配車アプリ会社は、アプリ導入タクシー事業者の手数料のみに頼ってきた。しかし、十分に採算化できない理由から今回のタクシー運賃改定に伴い、アプリ利用者からも手配料として徴収する運びとなった。アプリ手配料の徴収方法は、タクシー配車アプリ会社によって違っており、「GO」のようにタクシー迎車料金と別に徴収するものや迎車料金に込まれているものもあり、そのことにより迎車料金がまちまちな理由もある。今後の運賃改定には、タクシーの運賃だけではなくタクシーアプリ配車の手配料も伴うかもしれない。たかが80円、されど80円改定前の運賃の時は、ワンメーターなら2人で乗れば都バスの運賃で乗れて、複数の人数で乗れば一人あたまの運賃が都バスよりも安く乗れたと得意げに話していた人がいた。バスの混雑する車内を避けてゆったり出来るタクシーに乗れたが、この80円の値上げにより快適なちょい乗りができなくなったと嘆いた乗客もいた。上記のように233mごとに80円加算されていた運賃が255mで100円ずつ加算される。20円の差はある人にとっては無視できないかもしれない。 そんな中、少しでもタクシーを安く乗る方法はないのか。タクシーをあまり利用しない人は知らないかもしれないが、タクシーは「時間距離併用制」を採用している。時間距離併用制とは、交通混雑などの影響で走行速度が一定限度(10km以下)より遅くなると、時間で運賃が上がるシステムだ。つまり、渋滞や待機など、車両が動いていないときでも運賃が加算されるのである。これも今回の運賃改定により、これまでは1分25秒ごとに80円加算だったが、今回1分35秒ごとに100円となった。首都高や高速道路などの有料道路では、距離のみの運賃算出であり、この時間距離併用制は適用されない。また、深夜帯なら首都高や高速料金が割引されるので、ルートによっては高速料金払っても一般道で信号待ちや渋滞で時間料金が加算されるより、時間料金が適用されない有料道路の方が、早い上に安く済むこともある。他にもタクシーを少しでも安く乗るには、初乗り料金が500円以下のタクシー会社や深夜割り増し料金が掛からないタクシー会社、迎車料金が無料のタクシー会社など、独自のサービスを展開しているタクシー会社を利用するのも手である。ちょっとしたことかもしれないが、積もり積もれば馬鹿にはできないであろう。値上げによりタクシードライバーの給料は変わるのか今回の運賃改定は、タクシードライバーはどう捉えているのか。値上げによる乗り控えを心配していたが、それはなかった。むしろ売上げが増えたというドライバーが多い。その成果もすぐに数字となって表れた。運賃の改定率は、およそ14%。ドライバーの売上げも同じように14%、いやそれ以上に上がったドライバーもいる。コロナ禍により、売上げ数値は、軒並み赤字であったのが、単価が黒字に転じた。これで今まで我慢に我慢を重ねたドライバーの給料に明るい兆しが見えかけたに思えた。これはタクシー業界だけの話ではない。値上げにより売上が増加した分、従業員にしっかりと還元されているのか。11月22日に厚生労働省から最新の『賃金引上げ等の実態に関する調査』が公表された。令和4年中における賃金の改定の実施状況(9~12月予定を含む。)をみると、「1人平均賃金を 引き上げた・引き上げる」企業の割合は85.7%(前年80.7%)、「1人平均賃金を引き下げた・引き 下げる」は0.9%(同1.0%)、「賃金の改定を実施しない」は6.2%(同10.1%)、「未定」は7.3%(同 8.2%)となっている(参照:厚生労働省『賃金の改定の実施状況』)。前の年の同じ月から1.8パーセント増え、10か月連続の上昇となった一方、物価の変動を反映した「実質賃金」は前の年の同じ月から2.6パーセント減り、7か月連続で減少しているという結果が出ている。 この運賃改定によりドライバーの給料はどうかわるのか。タクシー業界は給料体系は歩合によるものが多い。したがって歩合率が大きく左右する。売上げが増えていく中、歩合率が変わらなければ必然的に賃上げにつながる。その歩合率もタクシー会社によってまちまちなのだ。例えば、同じ月80万の売上げでもタクシー会社によって給料が違う。どのタクシー会社に勤めるかだけで収入に差が出てしまう世界なのだ。タクシードライバーは、井戸端会議ならぬ、コンビニ会議などで営業情報や他社の情報を聞いたりする。売上げが上がった分、歩合率の改定の動きをする会社も出てきているという。それも上げるのではなく下げるというのだ。その会社のドライバーの喜びも束の間、せっかく上がっている売上げなのに給料据え置きになると肩を落としていた。運賃改定が始まったばかりなのにあまりにも素早い動き。タクシードライバーの給料を上げるための運賃改定ではなかったのかと首を傾げてしまう対応をするタクシー会社も存在する。このように同じタクシー業界でいながら、同じ売上げでも会社によって収入が違ってくる。利用しているアプリはどこか、歩合率はどうか、今まで以上に会社選びがタクシードライバーが生き残る鍵となる。タクシーの運賃に限らず値上げラッシュが続いている中、モノだけが値上がりするスタグフレーションが起ころうとしている。いや、むしろ起こそうとする会社もある。これが現状なのだ。物価高騰がしっかりと働いている従業員に還元される日は来るのだろうか。今回のタクシー運賃改定は、年末に差し掛かるこの時期とあって需要は然程かわらず、値上げによる乗り控えは感じられない。しかし、忙しない世間が落ち着きを戻す年明けはどうなっているであろうか。
ただ、上記の日本交通などが導入している日本最大のタクシーアプリ「GO」は今回の運賃改定に伴い、アプリ手配料100円を利用者から徴収を始めた。つまりアプリで配車した場合、迎車料金300円の他にアプリ手配料100円が加わり、配車アプリを使ってタクシーを呼んだ場合は、迎車料金は400円となる。
Photo by iStock
今まではタクシー配車アプリ会社は、アプリ導入タクシー事業者の手数料のみに頼ってきた。しかし、十分に採算化できない理由から今回のタクシー運賃改定に伴い、アプリ利用者からも手配料として徴収する運びとなった。
アプリ手配料の徴収方法は、タクシー配車アプリ会社によって違っており、「GO」のようにタクシー迎車料金と別に徴収するものや迎車料金に込まれているものもあり、そのことにより迎車料金がまちまちな理由もある。今後の運賃改定には、タクシーの運賃だけではなくタクシーアプリ配車の手配料も伴うかもしれない。
改定前の運賃の時は、ワンメーターなら2人で乗れば都バスの運賃で乗れて、複数の人数で乗れば一人あたまの運賃が都バスよりも安く乗れたと得意げに話していた人がいた。バスの混雑する車内を避けてゆったり出来るタクシーに乗れたが、この80円の値上げにより快適なちょい乗りができなくなったと嘆いた乗客もいた。
上記のように233mごとに80円加算されていた運賃が255mで100円ずつ加算される。20円の差はある人にとっては無視できないかもしれない。
そんな中、少しでもタクシーを安く乗る方法はないのか。タクシーをあまり利用しない人は知らないかもしれないが、タクシーは「時間距離併用制」を採用している。時間距離併用制とは、交通混雑などの影響で走行速度が一定限度(10km以下)より遅くなると、時間で運賃が上がるシステムだ。つまり、渋滞や待機など、車両が動いていないときでも運賃が加算されるのである。これも今回の運賃改定により、これまでは1分25秒ごとに80円加算だったが、今回1分35秒ごとに100円となった。首都高や高速道路などの有料道路では、距離のみの運賃算出であり、この時間距離併用制は適用されない。また、深夜帯なら首都高や高速料金が割引されるので、ルートによっては高速料金払っても一般道で信号待ちや渋滞で時間料金が加算されるより、時間料金が適用されない有料道路の方が、早い上に安く済むこともある。他にもタクシーを少しでも安く乗るには、初乗り料金が500円以下のタクシー会社や深夜割り増し料金が掛からないタクシー会社、迎車料金が無料のタクシー会社など、独自のサービスを展開しているタクシー会社を利用するのも手である。ちょっとしたことかもしれないが、積もり積もれば馬鹿にはできないであろう。値上げによりタクシードライバーの給料は変わるのか今回の運賃改定は、タクシードライバーはどう捉えているのか。値上げによる乗り控えを心配していたが、それはなかった。むしろ売上げが増えたというドライバーが多い。その成果もすぐに数字となって表れた。運賃の改定率は、およそ14%。ドライバーの売上げも同じように14%、いやそれ以上に上がったドライバーもいる。コロナ禍により、売上げ数値は、軒並み赤字であったのが、単価が黒字に転じた。これで今まで我慢に我慢を重ねたドライバーの給料に明るい兆しが見えかけたに思えた。これはタクシー業界だけの話ではない。値上げにより売上が増加した分、従業員にしっかりと還元されているのか。11月22日に厚生労働省から最新の『賃金引上げ等の実態に関する調査』が公表された。令和4年中における賃金の改定の実施状況(9~12月予定を含む。)をみると、「1人平均賃金を 引き上げた・引き上げる」企業の割合は85.7%(前年80.7%)、「1人平均賃金を引き下げた・引き 下げる」は0.9%(同1.0%)、「賃金の改定を実施しない」は6.2%(同10.1%)、「未定」は7.3%(同 8.2%)となっている(参照:厚生労働省『賃金の改定の実施状況』)。前の年の同じ月から1.8パーセント増え、10か月連続の上昇となった一方、物価の変動を反映した「実質賃金」は前の年の同じ月から2.6パーセント減り、7か月連続で減少しているという結果が出ている。 この運賃改定によりドライバーの給料はどうかわるのか。タクシー業界は給料体系は歩合によるものが多い。したがって歩合率が大きく左右する。売上げが増えていく中、歩合率が変わらなければ必然的に賃上げにつながる。その歩合率もタクシー会社によってまちまちなのだ。例えば、同じ月80万の売上げでもタクシー会社によって給料が違う。どのタクシー会社に勤めるかだけで収入に差が出てしまう世界なのだ。タクシードライバーは、井戸端会議ならぬ、コンビニ会議などで営業情報や他社の情報を聞いたりする。売上げが上がった分、歩合率の改定の動きをする会社も出てきているという。それも上げるのではなく下げるというのだ。その会社のドライバーの喜びも束の間、せっかく上がっている売上げなのに給料据え置きになると肩を落としていた。運賃改定が始まったばかりなのにあまりにも素早い動き。タクシードライバーの給料を上げるための運賃改定ではなかったのかと首を傾げてしまう対応をするタクシー会社も存在する。このように同じタクシー業界でいながら、同じ売上げでも会社によって収入が違ってくる。利用しているアプリはどこか、歩合率はどうか、今まで以上に会社選びがタクシードライバーが生き残る鍵となる。タクシーの運賃に限らず値上げラッシュが続いている中、モノだけが値上がりするスタグフレーションが起ころうとしている。いや、むしろ起こそうとする会社もある。これが現状なのだ。物価高騰がしっかりと働いている従業員に還元される日は来るのだろうか。今回のタクシー運賃改定は、年末に差し掛かるこの時期とあって需要は然程かわらず、値上げによる乗り控えは感じられない。しかし、忙しない世間が落ち着きを戻す年明けはどうなっているであろうか。
そんな中、少しでもタクシーを安く乗る方法はないのか。タクシーをあまり利用しない人は知らないかもしれないが、タクシーは「時間距離併用制」を採用している。時間距離併用制とは、交通混雑などの影響で走行速度が一定限度(10km以下)より遅くなると、時間で運賃が上がるシステムだ。
つまり、渋滞や待機など、車両が動いていないときでも運賃が加算されるのである。これも今回の運賃改定により、これまでは1分25秒ごとに80円加算だったが、今回1分35秒ごとに100円となった。
首都高や高速道路などの有料道路では、距離のみの運賃算出であり、この時間距離併用制は適用されない。また、深夜帯なら首都高や高速料金が割引されるので、ルートによっては高速料金払っても一般道で信号待ちや渋滞で時間料金が加算されるより、時間料金が適用されない有料道路の方が、早い上に安く済むこともある。
他にもタクシーを少しでも安く乗るには、初乗り料金が500円以下のタクシー会社や深夜割り増し料金が掛からないタクシー会社、迎車料金が無料のタクシー会社など、独自のサービスを展開しているタクシー会社を利用するのも手である。ちょっとしたことかもしれないが、積もり積もれば馬鹿にはできないであろう。
今回の運賃改定は、タクシードライバーはどう捉えているのか。値上げによる乗り控えを心配していたが、それはなかった。むしろ売上げが増えたというドライバーが多い。
その成果もすぐに数字となって表れた。運賃の改定率は、およそ14%。ドライバーの売上げも同じように14%、いやそれ以上に上がったドライバーもいる。コロナ禍により、売上げ数値は、軒並み赤字であったのが、単価が黒字に転じた。これで今まで我慢に我慢を重ねたドライバーの給料に明るい兆しが見えかけたに思えた。
これはタクシー業界だけの話ではない。値上げにより売上が増加した分、従業員にしっかりと還元されているのか。
11月22日に厚生労働省から最新の『賃金引上げ等の実態に関する調査』が公表された。令和4年中における賃金の改定の実施状況(9~12月予定を含む。)をみると、「1人平均賃金を 引き上げた・引き上げる」企業の割合は85.7%(前年80.7%)、「1人平均賃金を引き下げた・引き 下げる」は0.9%(同1.0%)、「賃金の改定を実施しない」は6.2%(同10.1%)、「未定」は7.3%(同 8.2%)となっている(参照:厚生労働省『賃金の改定の実施状況』)。
前の年の同じ月から1.8パーセント増え、10か月連続の上昇となった一方、物価の変動を反映した「実質賃金」は前の年の同じ月から2.6パーセント減り、7か月連続で減少しているという結果が出ている。
この運賃改定によりドライバーの給料はどうかわるのか。タクシー業界は給料体系は歩合によるものが多い。したがって歩合率が大きく左右する。売上げが増えていく中、歩合率が変わらなければ必然的に賃上げにつながる。その歩合率もタクシー会社によってまちまちなのだ。例えば、同じ月80万の売上げでもタクシー会社によって給料が違う。どのタクシー会社に勤めるかだけで収入に差が出てしまう世界なのだ。タクシードライバーは、井戸端会議ならぬ、コンビニ会議などで営業情報や他社の情報を聞いたりする。売上げが上がった分、歩合率の改定の動きをする会社も出てきているという。それも上げるのではなく下げるというのだ。その会社のドライバーの喜びも束の間、せっかく上がっている売上げなのに給料据え置きになると肩を落としていた。運賃改定が始まったばかりなのにあまりにも素早い動き。タクシードライバーの給料を上げるための運賃改定ではなかったのかと首を傾げてしまう対応をするタクシー会社も存在する。このように同じタクシー業界でいながら、同じ売上げでも会社によって収入が違ってくる。利用しているアプリはどこか、歩合率はどうか、今まで以上に会社選びがタクシードライバーが生き残る鍵となる。タクシーの運賃に限らず値上げラッシュが続いている中、モノだけが値上がりするスタグフレーションが起ころうとしている。いや、むしろ起こそうとする会社もある。これが現状なのだ。物価高騰がしっかりと働いている従業員に還元される日は来るのだろうか。今回のタクシー運賃改定は、年末に差し掛かるこの時期とあって需要は然程かわらず、値上げによる乗り控えは感じられない。しかし、忙しない世間が落ち着きを戻す年明けはどうなっているであろうか。
この運賃改定によりドライバーの給料はどうかわるのか。タクシー業界は給料体系は歩合によるものが多い。したがって歩合率が大きく左右する。売上げが増えていく中、歩合率が変わらなければ必然的に賃上げにつながる。その歩合率もタクシー会社によってまちまちなのだ。例えば、同じ月80万の売上げでもタクシー会社によって給料が違う。どのタクシー会社に勤めるかだけで収入に差が出てしまう世界なのだ。
タクシードライバーは、井戸端会議ならぬ、コンビニ会議などで営業情報や他社の情報を聞いたりする。売上げが上がった分、歩合率の改定の動きをする会社も出てきているという。それも上げるのではなく下げるというのだ。その会社のドライバーの喜びも束の間、せっかく上がっている売上げなのに給料据え置きになると肩を落としていた。
運賃改定が始まったばかりなのにあまりにも素早い動き。タクシードライバーの給料を上げるための運賃改定ではなかったのかと首を傾げてしまう対応をするタクシー会社も存在する。
このように同じタクシー業界でいながら、同じ売上げでも会社によって収入が違ってくる。利用しているアプリはどこか、歩合率はどうか、今まで以上に会社選びがタクシードライバーが生き残る鍵となる。
タクシーの運賃に限らず値上げラッシュが続いている中、モノだけが値上がりするスタグフレーションが起ころうとしている。いや、むしろ起こそうとする会社もある。これが現状なのだ。物価高騰がしっかりと働いている従業員に還元される日は来るのだろうか。今回のタクシー運賃改定は、年末に差し掛かるこの時期とあって需要は然程かわらず、値上げによる乗り控えは感じられない。しかし、忙しない世間が落ち着きを戻す年明けはどうなっているであろうか。