2022年もいよいよ年末が近づき、大手企業の冬ボーナス妥結結果が経団連より発表されました。今年の冬ボーナスは、昨年やこれまでと比べてどのようになったのでしょうか。今回は、民間企業の2022年冬ボーナスの平均支給額をご紹介します。
■2022年冬ボーナス、大手企業はいくら支給された?12月22日、日本経済団体連合会(経団連)は「2022年年末賞与・一時金 大手企業業種別妥結結果(加重平均)」(※1)を発表しました。回答した162社の平均妥結額は、前年比8.92%増の89万4,179円でした。冬のボーナスとしては、3年ぶりの増加です。

前年からの増加率は、現在の集計方法になった1981年以降、今年夏とともに最高でしたが、コロナ禍前の2019年の妥結額95万1,411円は下回りました。なお、製造業の平均は91万5,724円で前年比7.29%増、非製造業の平均は83万2,082円で前年比16.86%増でした。では、業種ごとの妥結額の平均はどうでしょうか。妥結額の高い業種から順に並べてみました(左から、業種、妥結額、前年比の増減率、2021年の妥結額)(※2)。建設:124万7,699円、4.33%増、119万5,955円鉄鋼:101万7,895円、87.23%増、54万3,662円機械金属:98万1,766円、10.59%増、88万7,765円電機:95万4,692円、2.53%増、93万1,151円化学:93万6,864円、11.14%増、84万2,939円食品:92万9,273円、3.28%増、89万9,754円自動車:92万8,620円、3.35%増、89万8,535円商業:90万4,693円、27.18%増、71万1,375円造船:88万9,833円、12.23%増、79万2,833円ゴム:84万4,316円、5.93%増、79万7,029円情報通信:82万5,139円、2.63%増、80万3,969円繊維:82万565円、0.64%増、81万5,354円非鉄・金属:81万8,973円、9.83%増、74万5,657円印刷:76万6,727円、17.51%増、65万2,492円電力:76万615円、0.80%減、76万6,721円セメント:74万4,075円、1.30%増、73万4,537円鉄道:72万7,658円、25.98%増、57万7,620円紙・パルプ:69万6,963円、0.19%減、69万8,305円 集計を行った18業種のうち、16業種で前年の妥結額を上回る結果となりました。行動制限がなくなって業績が回復した非製造業を中心に、妥結額が前年よりも上昇しています。業種別の増加率では、鉄鋼が87.23%増と大幅に伸びました。製鉄所を閉鎖するなどのコスト削減に加え、鋼材需要の回復が追い風となったもようです。そして、百貨店などの商業が27.18%増、鉄道が25.98%増と続いています。コロナの影響が落ち着き、人々の外出が増えたことが支えとなりました。一方、紙・パルプや電力は、燃料や原材料の高騰が業績を圧迫していることで、前年比を下回りました。これらの結果について経団連は、「月例賃金の引き上げも2%を超え、賃上げの勢いは冬のボーナスを見ても継続している」と分析しています。(※1)調査対象は、原則として従業員500人以上、主要21業種大手254社。このうち、21業種192社(75.6%)の回答を集計(平均額不明の30社を除く)(※2)建設、商業、鉄道は従業員平均の数値を含む。ホテルについては、集計社数が2社に満たず数字が伏せられているため、一覧から除外■大手企業の冬ボーナスはどう推移している?次に、大手企業の冬ボーナスは2013年から今年2022年まで、どのように推移しているのか見てみましょう(※3)。2013年 80万6,007円2014年 84万8,405円2015年 88万593円2016年 88万736円2017年 88万793円2018年 93万4,858円2019年 95万1,411円2020年 86万5,621円2021年 82万955円2022年 89万4,179円 2013年から2019年までは、年を追うごとにボーナス額が伸びており、2019年には95万円を超える金額に達しています。しかし、2020年には前年から9万円近く下げており、翌2021年にはさらに金額が下がりました。今年はそこから回復し、前年の冬ボーナスより7万円以上アップしています。また、来年の夏・冬ボーナスも増加することが見込まれていますので、期待したいですね。(※3)いずれも経団連発表の「年末賞与・一時金 大手企業業種別妥結結果(加重平均)」による■中小企業も含めた冬ボーナスの平均支給額はここまで、大手企業の冬ボーナス妥結額をご紹介しましたが、ここからは中小企業も含めた冬ボーナスの平均支給額を見ていきましょう。三菱UFJリサーチ&コンサルティングが11月9日に発表した「2022年冬のボーナス見通し」によると、民間企業(調査産業計・事業所規模5人以上)の冬ボーナスの1人当たり支給額は、前年比2.5%増の39万458円と予想されています。コロナの影響が薄れてきたことで、今年夏と同様、この冬も本格的な回復の兆しが見られます。また、コロナ禍による業績悪化でボーナスの支給を取りやめていた事業所でも支給が再開され始めました。支給労働者割合は前年差+0.9ポイントの83.4%と上昇する見込みで、ボーナスが支給される労働者の数は、コロナ前を上回り過去最大となる公算です。なお、製造業では前年比5.5%増の52万9,704円、非製造業では前年比1.9%増の36万3,900円でした。今年は、コロナ禍からいち早く回復した製造業の順調な増加に加え、コロナ禍で大きな打撃を受けた非製造業も増加に転じ、今年夏に続き冬ボーナスも大きめの増加となったようです。■2022年冬ボーナスは本格的に回復今回は、民間企業の2022年冬ボーナスについて、平均支給額などをご紹介しました。苦しかったコロナの影響を跳ね除け、ボーナスが本格的に回復しています。今後も、順調に伸びてくれることを願いたいですね。 武藤貴子 ファイナンシャル・プランナー(AFP)、ネット起業コンサルタント 会社員時代、お金の知識の必要性を感じ、AFP(日本FP協会認定)資格を取得。二足のわらじでファイナンシャル・プランナーとしてセミナーやマネーコラムの執筆を展開。独立後はネット起業のコンサルティングを行うとともに、執筆や個人マネー相談を中心に活動中 この著者の記事一覧はこちら
■2022年冬ボーナス、大手企業はいくら支給された?
12月22日、日本経済団体連合会(経団連)は「2022年年末賞与・一時金 大手企業業種別妥結結果(加重平均)」(※1)を発表しました。回答した162社の平均妥結額は、前年比8.92%増の89万4,179円でした。冬のボーナスとしては、3年ぶりの増加です。
前年からの増加率は、現在の集計方法になった1981年以降、今年夏とともに最高でしたが、コロナ禍前の2019年の妥結額95万1,411円は下回りました。なお、製造業の平均は91万5,724円で前年比7.29%増、非製造業の平均は83万2,082円で前年比16.86%増でした。
では、業種ごとの妥結額の平均はどうでしょうか。妥結額の高い業種から順に並べてみました(左から、業種、妥結額、前年比の増減率、2021年の妥結額)(※2)。
建設:124万7,699円、4.33%増、119万5,955円
鉄鋼:101万7,895円、87.23%増、54万3,662円
機械金属:98万1,766円、10.59%増、88万7,765円
電機:95万4,692円、2.53%増、93万1,151円
化学:93万6,864円、11.14%増、84万2,939円
食品:92万9,273円、3.28%増、89万9,754円
自動車:92万8,620円、3.35%増、89万8,535円
商業:90万4,693円、27.18%増、71万1,375円
造船:88万9,833円、12.23%増、79万2,833円
ゴム:84万4,316円、5.93%増、79万7,029円
情報通信:82万5,139円、2.63%増、80万3,969円
繊維:82万565円、0.64%増、81万5,354円
非鉄・金属:81万8,973円、9.83%増、74万5,657円
印刷:76万6,727円、17.51%増、65万2,492円
電力:76万615円、0.80%減、76万6,721円
セメント:74万4,075円、1.30%増、73万4,537円
鉄道:72万7,658円、25.98%増、57万7,620円
紙・パルプ:69万6,963円、0.19%減、69万8,305円
集計を行った18業種のうち、16業種で前年の妥結額を上回る結果となりました。行動制限がなくなって業績が回復した非製造業を中心に、妥結額が前年よりも上昇しています。
業種別の増加率では、鉄鋼が87.23%増と大幅に伸びました。製鉄所を閉鎖するなどのコスト削減に加え、鋼材需要の回復が追い風となったもようです。そして、百貨店などの商業が27.18%増、鉄道が25.98%増と続いています。コロナの影響が落ち着き、人々の外出が増えたことが支えとなりました。
一方、紙・パルプや電力は、燃料や原材料の高騰が業績を圧迫していることで、前年比を下回りました。
これらの結果について経団連は、「月例賃金の引き上げも2%を超え、賃上げの勢いは冬のボーナスを見ても継続している」と分析しています。
(※1)調査対象は、原則として従業員500人以上、主要21業種大手254社。このうち、21業種192社(75.6%)の回答を集計(平均額不明の30社を除く)
(※2)建設、商業、鉄道は従業員平均の数値を含む。ホテルについては、集計社数が2社に満たず数字が伏せられているため、一覧から除外
■大手企業の冬ボーナスはどう推移している?
次に、大手企業の冬ボーナスは2013年から今年2022年まで、どのように推移しているのか見てみましょう(※3)。
2013年 80万6,007円
2014年 84万8,405円
2015年 88万593円
2016年 88万736円
2017年 88万793円
2018年 93万4,858円
2019年 95万1,411円
2020年 86万5,621円
2021年 82万955円
2022年 89万4,179円
2013年から2019年までは、年を追うごとにボーナス額が伸びており、2019年には95万円を超える金額に達しています。しかし、2020年には前年から9万円近く下げており、翌2021年にはさらに金額が下がりました。
今年はそこから回復し、前年の冬ボーナスより7万円以上アップしています。また、来年の夏・冬ボーナスも増加することが見込まれていますので、期待したいですね。
(※3)いずれも経団連発表の「年末賞与・一時金 大手企業業種別妥結結果(加重平均)」による
■中小企業も含めた冬ボーナスの平均支給額は
ここまで、大手企業の冬ボーナス妥結額をご紹介しましたが、ここからは中小企業も含めた冬ボーナスの平均支給額を見ていきましょう。
三菱UFJリサーチ&コンサルティングが11月9日に発表した「2022年冬のボーナス見通し」によると、民間企業(調査産業計・事業所規模5人以上)の冬ボーナスの1人当たり支給額は、前年比2.5%増の39万458円と予想されています。
コロナの影響が薄れてきたことで、今年夏と同様、この冬も本格的な回復の兆しが見られます。また、コロナ禍による業績悪化でボーナスの支給を取りやめていた事業所でも支給が再開され始めました。支給労働者割合は前年差+0.9ポイントの83.4%と上昇する見込みで、ボーナスが支給される労働者の数は、コロナ前を上回り過去最大となる公算です。
なお、製造業では前年比5.5%増の52万9,704円、非製造業では前年比1.9%増の36万3,900円でした。今年は、コロナ禍からいち早く回復した製造業の順調な増加に加え、コロナ禍で大きな打撃を受けた非製造業も増加に転じ、今年夏に続き冬ボーナスも大きめの増加となったようです。
■2022年冬ボーナスは本格的に回復
今回は、民間企業の2022年冬ボーナスについて、平均支給額などをご紹介しました。苦しかったコロナの影響を跳ね除け、ボーナスが本格的に回復しています。今後も、順調に伸びてくれることを願いたいですね。