埼玉県飯能市美杉台の住宅で住人の夫婦と帰省中だった娘の計3人が殺害された事件で、県警は27日、殺人未遂容疑で逮捕した斎藤淳容疑者(40)が、昨夏以降に夫婦宅の車を複数回傷つけたとして、今年1~2月に3回逮捕していたことを明らかにした。
夫婦は当時、「(被害に遭う理由に)心当たりがない」と話していたが、県警は斎藤容疑者が以前から執拗(しつよう)に夫婦側を狙っていた可能性があるとみて調べている。
発表によると、殺害されたのは、米国籍のビショップ・ウィリアム・ロス・ジュニアさん(69)と妻の森田泉さん(68)、長女の森田・ソフィアナ・恵さん(32)の3人。
県警は27日、解剖の結果、泉さんは前頸(けい)部損傷による出血性ショック死、恵さんは左側頸部損傷による失血死だったと発表した。ビショップさんの死因は頸髄損傷で、3人とも鈍器のようなもので頭や首を強く殴打されたとみられる。
県警幹部によると、夫婦宅では昨年8~12月に車や門扉に傷をつけられる被害が6件あり、県警は捜査線上に浮かんだ斎藤容疑者の自宅を器物損壊容疑で12月に捜索した。その際は証拠が不十分だったが、今年1月、夫婦宅に向けて石を投げる斎藤容疑者を警戒中の捜査員が目撃し、器物損壊容疑で現行犯逮捕した。
その後、県警は昨年の被害2件も斎藤容疑者の行為と判断し、2月までに同容疑で2回再逮捕したが、斎藤容疑者は当時の調べに供述を拒み、いずれも不起訴とされた。
今回の事件についても、斎藤容疑者は「言いたくありません」と供述を拒んでいるという。
斎藤容疑者は、夫婦宅から約60メートル離れた戸建て住宅に一人で暮らしている。最近、姿を見かけたという女性は「家からあまり出ていない印象で、庭の草も長く伸びていた」と話している。
県警は27日、斎藤容疑者の容疑をビショップさんに対する殺人未遂から殺人に切り替え、さいたま地検に送検した。