岸田総理は、『政治とカネ』の問題を抱える秋葉復興大臣と、過去の差別的発言で非難を浴びている杉田総務政務官を、事実上、更迭しました。
秋葉氏は27日午後、岸田総理に辞表を提出しました。自らの秘書に選挙運動の報酬を支払って買収した疑惑、自身の政治団体が母親や妻に事務所の家賃を払っていた問題などが追及の的となっていました。
秋葉賢也前復興大臣:「私自身に関しては、違法性は何一つなかった。ただ、そういうなかで、来年の当初予算の審議や、法案の審議を停滞させてはならないことを第一に考え、重い決断の下ですが、ただいま総理に辞表を提出しました」
閣僚の辞任は、この2カ月余りで4人目です。
岸田総理:「大臣が辞任したことについては、私自身の任命責任について重く受け止めております」
秋葉氏の後任として起用されたのは、安倍内閣で復興大臣の経験がある渡辺博道氏です。
そして、雑誌でLGBTについて「生産性がない」と書き、ブログでチマチョゴリやアイヌの民族衣装を揶揄した杉田氏も辞表を提出しました。
杉田水脈前総務政務官:「信念を持ってやってきたので、信念を貫きたいと思う一方で、内閣の一員として迷惑をかけるわけにはいかないという思いも色々あり、補正予算も成立しましたし、年末の節目ということで、このタイミングで辞表を提出しました」
岸田政権の辞任ドミノに、野党からは批判の声が上がっています。
立憲民主党・泉健太代表:「岸田政権は“崩壊状態”と言っていい。岸田総理が繰り返し、任命責任と言っていますけど、『岸田総理の任命責任』とは何なのか。そろそろ責任が問われなければいけない」
◆政治部・官邸キャップの山本志門記者に聞きます。
(Q.『聞く力』とというキャッチフレーズで総理に上り詰めた岸田総理。最近の批判は耳に入っていないようにも見えるが、どうでしょうか)
その印象を受けます。政府内からは「4人も閣僚が辞めたら、本来なら内閣総辞職ものだ」と冷ややかな受け止めも出ていますが、そこまでの危機感は岸田総理からは感じられません。やはり、国政選挙が当面ないとみられるなかで、政権に批判的な、大きな動き、“うねり”になっていないことも、背景にあると思います。
(Q.支持率が低下するなか、国民の意識とのズレがあるのではないかと思いますが、どうでしょうか)
ズレは生じていると思います。岸田総理は「初心にかえって国民の信頼を取り戻す」と強調しています。まさに、国民の感覚とのズレが目立ち始めるなかで、支持率の低下に直結してきたことを、総理自身が感じているからこそ、出てきている言葉だと思います。とはいいましても、7月の参院選で勝利してからは、“聞く力”の対象が、国民から、どうも自民党幹部の方に軸足が移っていった印象を受けます。背景にあるのは、「自民党総裁選で次に勝つためには、党内基盤を固める必要がある。全方位外交だ」と、当時、官邸関係者が語っていた言葉が思い出されます。岸田総理は、27日夜、民放のBS番組で「話を聞いたうえで、決めた以上は頑固に。聞かない力を発揮する」と語っていたことが象徴的だと思います。
(Q.本人の政権を担っていく意欲は衰えていないのでしょうか)