長引くコロナ禍による「家飲み」など巣ごもり需要の広がりを背景に、ビールや高級ウイスキーの無免許でのネット転売が横行している。
大阪国税局は2021年度、プロジェクトチーム(PT)を作って監視を強化。主婦や会社員らを対象に、酒税法違反で11件の行政処分を行った。
酒税法では、酒類の販売には免許が必要で、無免許の場合、1年以下の懲役または50万円以下の罰金が科される。売り上げの申告がなければ追徴課税される。
大阪国税局などによると、20年度の行政処分は3件だったが、ネット上で個人転売が目立つようになり、21年4月、局内の9部署計31人で「無免許販売者撲滅PT」を結成。サイト運営者や金融機関から、出品者に関する情報提供を受け、調査を進めていた。
関係者によると、21年度に処分されたのは、大阪府内の会社員や京都府内の主婦らで、法人もあった。販売総量は計約7万4000リットルで、大阪国税局は違反者に酒税法の罰金相当額にあたる計約188万円の納付通告を出した。大半が利ざやでもうけるのを目的とした、フリーマーケットアプリやインターネットオークションでの転売だった。
ネットでの酒類の転売は急速に拡大しており、21年9月には、アサヒビールが「商品供給が追いつかない」として、発売直後に一時販売休止した「アサヒ生ビール」(通称マルエフ)が、相次いでネット上で高額出品された。その後、同社はフリマアプリ大手メルカリと、特定の商品が高値で転売されることを防ぐための連携協定を結んでいる。
大阪国税局の担当者は「法律の不知による無免許販売が多い。悪質な行為には今後も厳しく対処していく」としている。