夜中、記者が頼んだウーバーイーツで…2月中旬、当時愛知県警担当の記者だった私は、この日、いつものように名古屋市内で、警察関係者に話を聞く”夜回り”と呼ばれる1日の最後の仕事を終え帰宅した。【写真を見る】15秒に1回 勝手に声が出る“悪魔の病気”と闘う27歳ウーバー配達員 深夜の“メッセージ”が気になって25歳記者が話を聞いた トゥレット症・チック症とは2月は大きな仕事も多く、疲れ切っていた私は、いつの間にか眠りに落ちていた。目が覚めたのは日付が変わる少し前。食事を取るのを忘れていた私は、ウーバーイーツを頼むことにした。選んだのは、沖縄料理。アプリで決済すると、しばらくして通知が鳴った。どうやら配達員からのメッセージだ。“彼”との出会いはここから始まった。

配達員から届いた“メッセージ”が気になって…(記者のスマホに届いたメッセージ)『ご注文ありがとうございます。この配達はわたくしREONが運ばせていただきます。チックという病気があり、身体の動きや声が出てしまう事がありますが、許して頂けると幸いです』レオンを名乗る配達員から届いた突然のメッセージ。普段、配達員からメッセージをもらうことはまずない。恥ずかしながら病気のことも全く知らなかった。気になった私は、注文がくるまでの間、症状についてネットで“ググって”みた。“自分の意思に反して声や体の動きが出る”どんな人が来るんだ? 客にこんなことを知らせる理由があるのか?なぜ配達員をしているのか?疑問が頭の中を駆け巡る。「ピンポーン」注文から約30分後、インターホンが鳴った。モニターに映るその彼は、自分と同じくらいの年齢だ。「あいよ!」「あいよ!」彼の大きな声がマンションの廊下に響き渡る。配達員の彼が部屋に近づいてくるのはすぐにわかった。なるほど。メッセージに書かれていたのはこういうことか…。CBCテレビの記者であることを明かし、連絡先を交換した私は後日、取材を申し入れた。「取材は…ちょっと考えさせてほしい」(ウーバー配達員・松怜音(あべまつ・れおん)さん・27歳)「取材はちょっと待ってください。病気のことを多くの人に知ってもらえるのは嬉しいことですが、僕は今、ネットの掲示板にたくさんの悪口を書かれています。周りの目もあるので、考える時間がほしいです」掲示板には「奇声を発する配達員」などと書かれて悩んだ時期もあったという。この返事を聞いた時、正直取材は難しいと思ったが、連絡を取り合い、直接会ってもらう機会を持つことができた。そしてことし8月、ついに取材を許可してくれた。取材初日、カメラに向かって怜音さんはこう言った。(怜音さん)「僕はチック症、トゥレット症という病気なんですけど、声が出ちゃうタイプの人と、体が動くタイプ。つまり、運動チックと音声チックの2種類があり、僕は今、音声チックがメインのチック症患者になります。ごめんなさい。色々“迷惑”かけちゃうかもしれないですけど」チックは無意識に声や身体の動きが出てしまう症状で、症状が長期間にわたり生活に支障をきたすほどになると「トゥレット症」という神経の難病に分類される。脳の神経伝達の異常が原因と考えられているが、根本的な治療法は見つかっていない。15秒に1回、勝手に声が…自分の中に潜む“悪魔”と闘う怜音さんもトゥレット症と診断され、およそ15秒に1回、突然声が出たり、目や首が動いてしまう症状が出てしまうという。(怜音さん)「意思に反して言葉が出たり動きがでるので“悪魔の病気”という人もいる」ウーバーイーツの配達の仕事を選んだ理由について聞いてみた。(怜音さん)「(人と接するのが)短い時間で、チックで不快感を与えることがこの仕事は少ないと思う」圧迫感で症状がひどく出るため、マスクを付ける事が出来ないという悩みも抱えている。1万回を超えた配達 “怖がらないでください” と伝えるために…正午すぎ、配達依頼が入ってきた。「ブラジル料理店に取りに行きます」商品を受け取り、配達先に向かう前に必ず送るのが、私に送ってくれたのと同じあのメッセージだ。(怜音さん)『チックという病気があり、声が出てしまうことがあります。許していただけると幸いです』「これは”怖がらないでください”と伝えるメッセージ」1日の配達は20件ほど。3年間で配達した回数は1万回を超える。バッグには外見でわからなくても障害や病気があることを知らせる”ヘルプマーク”をつけている。(怜音さん)「(配達先に向かう)エレベーターの中でチックは出し切るようにしている」怜音さんは何とかお客さんの前では声が出ないよういつも努めているが…どうしても少しは出てしまう。(注文客)「チック…?すごい丁寧で優しい方だなと思った」配達員仲間から親しみを込めて、あるニックネームで呼ばれている。(配達員仲間)「今、彼は魚屋さんという名前で配達しているんですよ。(意思とは関係なく出てしまう)『あいよ!』という声が、配達員からは八百屋さんがいた!魚屋さんのあいつがいた!と」(配達員仲間)「あいよ!あいよ!と言いながら自転車を漕いでいるので、知り合いが沢山いる人なのかと思った。挨拶をして回っている人かと」本人も、話のきっかけになると気に入っているが、時には勤め先や配達先で、悪口を言われる事もあったという。(怜音さん)「治す気がないから治らない。心の病だとか。消えてしまえと。その言葉はものすごくつらいですね」学校の先生に「風邪だろ!どっか行け」と言われたことも…怜音さんが生まれ育ったのは鹿児島県。小学3年生の時。父親の言葉がきっかけでチックだとわかった。(怜音さん)「僕は当時『ん、ん、ん』と鼻や喉を鳴らす癖があって、お父さんに注意されたとき、お前その変な癖やめろと言われて、自分ではなぜこれをしてしまうかわからない。止めることもできなくて、病院へ行くと、先生に『チックですね』と告げられた」学校で病気のことをからかわれることも多かったという。(怜音さん)「目立つ病気なので真似されることはしょっちゅうです。チックの症状が練習中に出て、先生に『風邪だろ!どっか行け、練習から外れろ』と言われたのを覚えています」家族に迷惑をかけず自立したいと愛知へ移り住み、いまは一人暮らしだ。常にイヤホンをつけている理由を聞いてみた…取材中、私はあることが気になった。怜音さんは常にイヤホンをつけているのだ。インタビュー中も、こちらが言わない限り取ろうとしない。何か理由があるのか?尋ねてみた。(怜音さん)「周りの人の悪口がたまに聞こえてくるんですよ。それが聞こえてこないようにイヤホンでふたをしています。本当は良くないんですけどね。これが僕の中でストレスをためない秘訣になっている」普段の生活でも様々な悩みがある。彼がスーパーに入ると、周りのお客さんが声に驚いて一斉に振り返る。(怜音さん)「すみません…」買い物は、家族連れが多い時間帯を避けるという。声で子どもを”怖がらせない”ためだ。(怜音さん)「声を出しちゃうと響くので、まわりの視線を集めることも多くて、慣れてはいるが、たまにしんどい時もある」怜音さんは、“自分の声で他人に迷惑をかけたくないから” と静かな空間を避けるようにしている。例えば、映画館や図書館、飛行機の中…。(怜音さん)「映画を見るときはスマートフォンです。本当は僕だって臨場感のある映画館で最新の作品を観たいですよ」調理師免許も持ち…夢は“敷居の低い店”を作ること怜音さんには一つの夢がある。(怜音さん)「すごく好きなんですよ、料理が。誰にも邪魔されないし」調理の専門学校にも通い、調理師免許も持っている。(怜音さん)「出来上がりです。きょうのテーマは…男のクリームパスタ」そのお味は…(怜音さん)「いただきます。おいしい。普通にお店で食べても違和感ない」飲食店で働いたこともあるが、チックが原因で長続きしなかったという。夢はいつか、自分の店を出すことだ。(怜音さん)「僕と同じチックの病気を持つ人は普通の店に行くのがしづらい人も多いので、そういう人も足を運べるような”敷居の低い店”が作れたら良いなと考えています。今は自分自身準備期間でお金も必要な分そろっていないので、それを作るために頑張りたいと思います」病気と付き合いながらいつかは夢を叶えるため、怜音さんはきょうも名古屋の街を走る。普段は物静かな編集マンが…このVTRの編集も終わりに近づくころ、普段は物静かな編集マンが突然、私にこう打ち明けた。「僕の息子も、もしかしたら“チック”なのかもしれない」小さい頃から息子は、鼻を鳴らしたり首を動かしたり癖が治らず、父親として叱ったことも少なくないという。「もっと早くこの病気のことを知っていれば、別の対処ができたかも知れない」完成したVTRを見て編集マンはこう呟いた。「チックで悩む人が、怜音さんを見て希望を持ってくれるといいね」取材:CBCテレビ報道部 瀬 晴貴(25)福岡県出身 2019年 法政大学経営学部卒業。CBCテレビに入社し、報道部で記者4年目。愛知県警担当や遊軍の記者として、殺人事件や不正車検の実態、ドン横キッズ問題などを追う。大学時代は劇団の立ち上げやマリンスポーツなど様々なことにチャレンジ。趣味・特技はハリコミ。週2回はウーバーイーツを注文。
2月中旬、当時愛知県警担当の記者だった私は、この日、いつものように名古屋市内で、警察関係者に話を聞く”夜回り”と呼ばれる1日の最後の仕事を終え帰宅した。
【写真を見る】15秒に1回 勝手に声が出る“悪魔の病気”と闘う27歳ウーバー配達員 深夜の“メッセージ”が気になって25歳記者が話を聞いた トゥレット症・チック症とは2月は大きな仕事も多く、疲れ切っていた私は、いつの間にか眠りに落ちていた。目が覚めたのは日付が変わる少し前。食事を取るのを忘れていた私は、ウーバーイーツを頼むことにした。選んだのは、沖縄料理。アプリで決済すると、しばらくして通知が鳴った。どうやら配達員からのメッセージだ。“彼”との出会いはここから始まった。

配達員から届いた“メッセージ”が気になって…(記者のスマホに届いたメッセージ)『ご注文ありがとうございます。この配達はわたくしREONが運ばせていただきます。チックという病気があり、身体の動きや声が出てしまう事がありますが、許して頂けると幸いです』レオンを名乗る配達員から届いた突然のメッセージ。普段、配達員からメッセージをもらうことはまずない。恥ずかしながら病気のことも全く知らなかった。気になった私は、注文がくるまでの間、症状についてネットで“ググって”みた。“自分の意思に反して声や体の動きが出る”どんな人が来るんだ? 客にこんなことを知らせる理由があるのか?なぜ配達員をしているのか?疑問が頭の中を駆け巡る。「ピンポーン」注文から約30分後、インターホンが鳴った。モニターに映るその彼は、自分と同じくらいの年齢だ。「あいよ!」「あいよ!」彼の大きな声がマンションの廊下に響き渡る。配達員の彼が部屋に近づいてくるのはすぐにわかった。なるほど。メッセージに書かれていたのはこういうことか…。CBCテレビの記者であることを明かし、連絡先を交換した私は後日、取材を申し入れた。「取材は…ちょっと考えさせてほしい」(ウーバー配達員・松怜音(あべまつ・れおん)さん・27歳)「取材はちょっと待ってください。病気のことを多くの人に知ってもらえるのは嬉しいことですが、僕は今、ネットの掲示板にたくさんの悪口を書かれています。周りの目もあるので、考える時間がほしいです」掲示板には「奇声を発する配達員」などと書かれて悩んだ時期もあったという。この返事を聞いた時、正直取材は難しいと思ったが、連絡を取り合い、直接会ってもらう機会を持つことができた。そしてことし8月、ついに取材を許可してくれた。取材初日、カメラに向かって怜音さんはこう言った。(怜音さん)「僕はチック症、トゥレット症という病気なんですけど、声が出ちゃうタイプの人と、体が動くタイプ。つまり、運動チックと音声チックの2種類があり、僕は今、音声チックがメインのチック症患者になります。ごめんなさい。色々“迷惑”かけちゃうかもしれないですけど」チックは無意識に声や身体の動きが出てしまう症状で、症状が長期間にわたり生活に支障をきたすほどになると「トゥレット症」という神経の難病に分類される。脳の神経伝達の異常が原因と考えられているが、根本的な治療法は見つかっていない。15秒に1回、勝手に声が…自分の中に潜む“悪魔”と闘う怜音さんもトゥレット症と診断され、およそ15秒に1回、突然声が出たり、目や首が動いてしまう症状が出てしまうという。(怜音さん)「意思に反して言葉が出たり動きがでるので“悪魔の病気”という人もいる」ウーバーイーツの配達の仕事を選んだ理由について聞いてみた。(怜音さん)「(人と接するのが)短い時間で、チックで不快感を与えることがこの仕事は少ないと思う」圧迫感で症状がひどく出るため、マスクを付ける事が出来ないという悩みも抱えている。1万回を超えた配達 “怖がらないでください” と伝えるために…正午すぎ、配達依頼が入ってきた。「ブラジル料理店に取りに行きます」商品を受け取り、配達先に向かう前に必ず送るのが、私に送ってくれたのと同じあのメッセージだ。(怜音さん)『チックという病気があり、声が出てしまうことがあります。許していただけると幸いです』「これは”怖がらないでください”と伝えるメッセージ」1日の配達は20件ほど。3年間で配達した回数は1万回を超える。バッグには外見でわからなくても障害や病気があることを知らせる”ヘルプマーク”をつけている。(怜音さん)「(配達先に向かう)エレベーターの中でチックは出し切るようにしている」怜音さんは何とかお客さんの前では声が出ないよういつも努めているが…どうしても少しは出てしまう。(注文客)「チック…?すごい丁寧で優しい方だなと思った」配達員仲間から親しみを込めて、あるニックネームで呼ばれている。(配達員仲間)「今、彼は魚屋さんという名前で配達しているんですよ。(意思とは関係なく出てしまう)『あいよ!』という声が、配達員からは八百屋さんがいた!魚屋さんのあいつがいた!と」(配達員仲間)「あいよ!あいよ!と言いながら自転車を漕いでいるので、知り合いが沢山いる人なのかと思った。挨拶をして回っている人かと」本人も、話のきっかけになると気に入っているが、時には勤め先や配達先で、悪口を言われる事もあったという。(怜音さん)「治す気がないから治らない。心の病だとか。消えてしまえと。その言葉はものすごくつらいですね」学校の先生に「風邪だろ!どっか行け」と言われたことも…怜音さんが生まれ育ったのは鹿児島県。小学3年生の時。父親の言葉がきっかけでチックだとわかった。(怜音さん)「僕は当時『ん、ん、ん』と鼻や喉を鳴らす癖があって、お父さんに注意されたとき、お前その変な癖やめろと言われて、自分ではなぜこれをしてしまうかわからない。止めることもできなくて、病院へ行くと、先生に『チックですね』と告げられた」学校で病気のことをからかわれることも多かったという。(怜音さん)「目立つ病気なので真似されることはしょっちゅうです。チックの症状が練習中に出て、先生に『風邪だろ!どっか行け、練習から外れろ』と言われたのを覚えています」家族に迷惑をかけず自立したいと愛知へ移り住み、いまは一人暮らしだ。常にイヤホンをつけている理由を聞いてみた…取材中、私はあることが気になった。怜音さんは常にイヤホンをつけているのだ。インタビュー中も、こちらが言わない限り取ろうとしない。何か理由があるのか?尋ねてみた。(怜音さん)「周りの人の悪口がたまに聞こえてくるんですよ。それが聞こえてこないようにイヤホンでふたをしています。本当は良くないんですけどね。これが僕の中でストレスをためない秘訣になっている」普段の生活でも様々な悩みがある。彼がスーパーに入ると、周りのお客さんが声に驚いて一斉に振り返る。(怜音さん)「すみません…」買い物は、家族連れが多い時間帯を避けるという。声で子どもを”怖がらせない”ためだ。(怜音さん)「声を出しちゃうと響くので、まわりの視線を集めることも多くて、慣れてはいるが、たまにしんどい時もある」怜音さんは、“自分の声で他人に迷惑をかけたくないから” と静かな空間を避けるようにしている。例えば、映画館や図書館、飛行機の中…。(怜音さん)「映画を見るときはスマートフォンです。本当は僕だって臨場感のある映画館で最新の作品を観たいですよ」調理師免許も持ち…夢は“敷居の低い店”を作ること怜音さんには一つの夢がある。(怜音さん)「すごく好きなんですよ、料理が。誰にも邪魔されないし」調理の専門学校にも通い、調理師免許も持っている。(怜音さん)「出来上がりです。きょうのテーマは…男のクリームパスタ」そのお味は…(怜音さん)「いただきます。おいしい。普通にお店で食べても違和感ない」飲食店で働いたこともあるが、チックが原因で長続きしなかったという。夢はいつか、自分の店を出すことだ。(怜音さん)「僕と同じチックの病気を持つ人は普通の店に行くのがしづらい人も多いので、そういう人も足を運べるような”敷居の低い店”が作れたら良いなと考えています。今は自分自身準備期間でお金も必要な分そろっていないので、それを作るために頑張りたいと思います」病気と付き合いながらいつかは夢を叶えるため、怜音さんはきょうも名古屋の街を走る。普段は物静かな編集マンが…このVTRの編集も終わりに近づくころ、普段は物静かな編集マンが突然、私にこう打ち明けた。「僕の息子も、もしかしたら“チック”なのかもしれない」小さい頃から息子は、鼻を鳴らしたり首を動かしたり癖が治らず、父親として叱ったことも少なくないという。「もっと早くこの病気のことを知っていれば、別の対処ができたかも知れない」完成したVTRを見て編集マンはこう呟いた。「チックで悩む人が、怜音さんを見て希望を持ってくれるといいね」取材:CBCテレビ報道部 瀬 晴貴(25)福岡県出身 2019年 法政大学経営学部卒業。CBCテレビに入社し、報道部で記者4年目。愛知県警担当や遊軍の記者として、殺人事件や不正車検の実態、ドン横キッズ問題などを追う。大学時代は劇団の立ち上げやマリンスポーツなど様々なことにチャレンジ。趣味・特技はハリコミ。週2回はウーバーイーツを注文。
2月は大きな仕事も多く、疲れ切っていた私は、いつの間にか眠りに落ちていた。目が覚めたのは日付が変わる少し前。食事を取るのを忘れていた私は、ウーバーイーツを頼むことにした。
選んだのは、沖縄料理。アプリで決済すると、しばらくして通知が鳴った。どうやら配達員からのメッセージだ。“彼”との出会いはここから始まった。
(記者のスマホに届いたメッセージ)『ご注文ありがとうございます。この配達はわたくしREONが運ばせていただきます。チックという病気があり、身体の動きや声が出てしまう事がありますが、許して頂けると幸いです』
レオンを名乗る配達員から届いた突然のメッセージ。普段、配達員からメッセージをもらうことはまずない。恥ずかしながら病気のことも全く知らなかった。気になった私は、注文がくるまでの間、症状についてネットで“ググって”みた。
“自分の意思に反して声や体の動きが出る”
どんな人が来るんだ? 客にこんなことを知らせる理由があるのか?なぜ配達員をしているのか?疑問が頭の中を駆け巡る。
「ピンポーン」
注文から約30分後、インターホンが鳴った。モニターに映るその彼は、自分と同じくらいの年齢だ。
「あいよ!」「あいよ!」
彼の大きな声がマンションの廊下に響き渡る。配達員の彼が部屋に近づいてくるのはすぐにわかった。なるほど。メッセージに書かれていたのはこういうことか…。
CBCテレビの記者であることを明かし、連絡先を交換した私は後日、取材を申し入れた。
(ウーバー配達員・松怜音(あべまつ・れおん)さん・27歳)「取材はちょっと待ってください。病気のことを多くの人に知ってもらえるのは嬉しいことですが、僕は今、ネットの掲示板にたくさんの悪口を書かれています。周りの目もあるので、考える時間がほしいです」
掲示板には「奇声を発する配達員」などと書かれて悩んだ時期もあったという。
この返事を聞いた時、正直取材は難しいと思ったが、連絡を取り合い、直接会ってもらう機会を持つことができた。そしてことし8月、ついに取材を許可してくれた。
取材初日、カメラに向かって怜音さんはこう言った。
(怜音さん)「僕はチック症、トゥレット症という病気なんですけど、声が出ちゃうタイプの人と、体が動くタイプ。つまり、運動チックと音声チックの2種類があり、僕は今、音声チックがメインのチック症患者になります。ごめんなさい。色々“迷惑”かけちゃうかもしれないですけど」
チックは無意識に声や身体の動きが出てしまう症状で、症状が長期間にわたり生活に支障をきたすほどになると「トゥレット症」という神経の難病に分類される。
脳の神経伝達の異常が原因と考えられているが、根本的な治療法は見つかっていない。
怜音さんもトゥレット症と診断され、およそ15秒に1回、突然声が出たり、目や首が動いてしまう症状が出てしまうという。
(怜音さん)「意思に反して言葉が出たり動きがでるので“悪魔の病気”という人もいる」
ウーバーイーツの配達の仕事を選んだ理由について聞いてみた。
(怜音さん)「(人と接するのが)短い時間で、チックで不快感を与えることがこの仕事は少ないと思う」
圧迫感で症状がひどく出るため、マスクを付ける事が出来ないという悩みも抱えている。
正午すぎ、配達依頼が入ってきた。「ブラジル料理店に取りに行きます」
商品を受け取り、配達先に向かう前に必ず送るのが、私に送ってくれたのと同じあのメッセージだ。
(怜音さん)『チックという病気があり、声が出てしまうことがあります。許していただけると幸いです』「これは”怖がらないでください”と伝えるメッセージ」
1日の配達は20件ほど。3年間で配達した回数は1万回を超える。
バッグには外見でわからなくても障害や病気があることを知らせる”ヘルプマーク”をつけている。
(怜音さん)「(配達先に向かう)エレベーターの中でチックは出し切るようにしている」怜音さんは何とかお客さんの前では声が出ないよういつも努めているが…どうしても少しは出てしまう。(注文客)「チック…?すごい丁寧で優しい方だなと思った」配達員仲間から親しみを込めて、あるニックネームで呼ばれている。(配達員仲間)「今、彼は魚屋さんという名前で配達しているんですよ。(意思とは関係なく出てしまう)『あいよ!』という声が、配達員からは八百屋さんがいた!魚屋さんのあいつがいた!と」(配達員仲間)「あいよ!あいよ!と言いながら自転車を漕いでいるので、知り合いが沢山いる人なのかと思った。挨拶をして回っている人かと」本人も、話のきっかけになると気に入っているが、時には勤め先や配達先で、悪口を言われる事もあったという。(怜音さん)「治す気がないから治らない。心の病だとか。消えてしまえと。その言葉はものすごくつらいですね」学校の先生に「風邪だろ!どっか行け」と言われたことも…怜音さんが生まれ育ったのは鹿児島県。小学3年生の時。父親の言葉がきっかけでチックだとわかった。(怜音さん)「僕は当時『ん、ん、ん』と鼻や喉を鳴らす癖があって、お父さんに注意されたとき、お前その変な癖やめろと言われて、自分ではなぜこれをしてしまうかわからない。止めることもできなくて、病院へ行くと、先生に『チックですね』と告げられた」学校で病気のことをからかわれることも多かったという。(怜音さん)「目立つ病気なので真似されることはしょっちゅうです。チックの症状が練習中に出て、先生に『風邪だろ!どっか行け、練習から外れろ』と言われたのを覚えています」家族に迷惑をかけず自立したいと愛知へ移り住み、いまは一人暮らしだ。常にイヤホンをつけている理由を聞いてみた…取材中、私はあることが気になった。怜音さんは常にイヤホンをつけているのだ。インタビュー中も、こちらが言わない限り取ろうとしない。何か理由があるのか?尋ねてみた。(怜音さん)「周りの人の悪口がたまに聞こえてくるんですよ。それが聞こえてこないようにイヤホンでふたをしています。本当は良くないんですけどね。これが僕の中でストレスをためない秘訣になっている」普段の生活でも様々な悩みがある。彼がスーパーに入ると、周りのお客さんが声に驚いて一斉に振り返る。(怜音さん)「すみません…」買い物は、家族連れが多い時間帯を避けるという。声で子どもを”怖がらせない”ためだ。(怜音さん)「声を出しちゃうと響くので、まわりの視線を集めることも多くて、慣れてはいるが、たまにしんどい時もある」怜音さんは、“自分の声で他人に迷惑をかけたくないから” と静かな空間を避けるようにしている。例えば、映画館や図書館、飛行機の中…。(怜音さん)「映画を見るときはスマートフォンです。本当は僕だって臨場感のある映画館で最新の作品を観たいですよ」調理師免許も持ち…夢は“敷居の低い店”を作ること怜音さんには一つの夢がある。(怜音さん)「すごく好きなんですよ、料理が。誰にも邪魔されないし」調理の専門学校にも通い、調理師免許も持っている。(怜音さん)「出来上がりです。きょうのテーマは…男のクリームパスタ」そのお味は…(怜音さん)「いただきます。おいしい。普通にお店で食べても違和感ない」飲食店で働いたこともあるが、チックが原因で長続きしなかったという。夢はいつか、自分の店を出すことだ。(怜音さん)「僕と同じチックの病気を持つ人は普通の店に行くのがしづらい人も多いので、そういう人も足を運べるような”敷居の低い店”が作れたら良いなと考えています。今は自分自身準備期間でお金も必要な分そろっていないので、それを作るために頑張りたいと思います」病気と付き合いながらいつかは夢を叶えるため、怜音さんはきょうも名古屋の街を走る。普段は物静かな編集マンが…このVTRの編集も終わりに近づくころ、普段は物静かな編集マンが突然、私にこう打ち明けた。「僕の息子も、もしかしたら“チック”なのかもしれない」小さい頃から息子は、鼻を鳴らしたり首を動かしたり癖が治らず、父親として叱ったことも少なくないという。「もっと早くこの病気のことを知っていれば、別の対処ができたかも知れない」完成したVTRを見て編集マンはこう呟いた。「チックで悩む人が、怜音さんを見て希望を持ってくれるといいね」取材:CBCテレビ報道部 瀬 晴貴(25)福岡県出身 2019年 法政大学経営学部卒業。CBCテレビに入社し、報道部で記者4年目。愛知県警担当や遊軍の記者として、殺人事件や不正車検の実態、ドン横キッズ問題などを追う。大学時代は劇団の立ち上げやマリンスポーツなど様々なことにチャレンジ。趣味・特技はハリコミ。週2回はウーバーイーツを注文。
(怜音さん)「(配達先に向かう)エレベーターの中でチックは出し切るようにしている」
怜音さんは何とかお客さんの前では声が出ないよういつも努めているが…どうしても少しは出てしまう。
(注文客)「チック…?すごい丁寧で優しい方だなと思った」
配達員仲間から親しみを込めて、あるニックネームで呼ばれている。
(配達員仲間)「今、彼は魚屋さんという名前で配達しているんですよ。(意思とは関係なく出てしまう)『あいよ!』という声が、配達員からは八百屋さんがいた!魚屋さんのあいつがいた!と」
(配達員仲間)「あいよ!あいよ!と言いながら自転車を漕いでいるので、知り合いが沢山いる人なのかと思った。挨拶をして回っている人かと」
本人も、話のきっかけになると気に入っているが、時には勤め先や配達先で、悪口を言われる事もあったという。(怜音さん)「治す気がないから治らない。心の病だとか。消えてしまえと。その言葉はものすごくつらいですね」学校の先生に「風邪だろ!どっか行け」と言われたことも…怜音さんが生まれ育ったのは鹿児島県。小学3年生の時。父親の言葉がきっかけでチックだとわかった。(怜音さん)「僕は当時『ん、ん、ん』と鼻や喉を鳴らす癖があって、お父さんに注意されたとき、お前その変な癖やめろと言われて、自分ではなぜこれをしてしまうかわからない。止めることもできなくて、病院へ行くと、先生に『チックですね』と告げられた」学校で病気のことをからかわれることも多かったという。(怜音さん)「目立つ病気なので真似されることはしょっちゅうです。チックの症状が練習中に出て、先生に『風邪だろ!どっか行け、練習から外れろ』と言われたのを覚えています」家族に迷惑をかけず自立したいと愛知へ移り住み、いまは一人暮らしだ。常にイヤホンをつけている理由を聞いてみた…取材中、私はあることが気になった。怜音さんは常にイヤホンをつけているのだ。インタビュー中も、こちらが言わない限り取ろうとしない。何か理由があるのか?尋ねてみた。(怜音さん)「周りの人の悪口がたまに聞こえてくるんですよ。それが聞こえてこないようにイヤホンでふたをしています。本当は良くないんですけどね。これが僕の中でストレスをためない秘訣になっている」普段の生活でも様々な悩みがある。彼がスーパーに入ると、周りのお客さんが声に驚いて一斉に振り返る。(怜音さん)「すみません…」買い物は、家族連れが多い時間帯を避けるという。声で子どもを”怖がらせない”ためだ。(怜音さん)「声を出しちゃうと響くので、まわりの視線を集めることも多くて、慣れてはいるが、たまにしんどい時もある」怜音さんは、“自分の声で他人に迷惑をかけたくないから” と静かな空間を避けるようにしている。例えば、映画館や図書館、飛行機の中…。(怜音さん)「映画を見るときはスマートフォンです。本当は僕だって臨場感のある映画館で最新の作品を観たいですよ」調理師免許も持ち…夢は“敷居の低い店”を作ること怜音さんには一つの夢がある。(怜音さん)「すごく好きなんですよ、料理が。誰にも邪魔されないし」調理の専門学校にも通い、調理師免許も持っている。(怜音さん)「出来上がりです。きょうのテーマは…男のクリームパスタ」そのお味は…(怜音さん)「いただきます。おいしい。普通にお店で食べても違和感ない」飲食店で働いたこともあるが、チックが原因で長続きしなかったという。夢はいつか、自分の店を出すことだ。(怜音さん)「僕と同じチックの病気を持つ人は普通の店に行くのがしづらい人も多いので、そういう人も足を運べるような”敷居の低い店”が作れたら良いなと考えています。今は自分自身準備期間でお金も必要な分そろっていないので、それを作るために頑張りたいと思います」病気と付き合いながらいつかは夢を叶えるため、怜音さんはきょうも名古屋の街を走る。普段は物静かな編集マンが…このVTRの編集も終わりに近づくころ、普段は物静かな編集マンが突然、私にこう打ち明けた。「僕の息子も、もしかしたら“チック”なのかもしれない」小さい頃から息子は、鼻を鳴らしたり首を動かしたり癖が治らず、父親として叱ったことも少なくないという。「もっと早くこの病気のことを知っていれば、別の対処ができたかも知れない」完成したVTRを見て編集マンはこう呟いた。「チックで悩む人が、怜音さんを見て希望を持ってくれるといいね」取材:CBCテレビ報道部 瀬 晴貴(25)福岡県出身 2019年 法政大学経営学部卒業。CBCテレビに入社し、報道部で記者4年目。愛知県警担当や遊軍の記者として、殺人事件や不正車検の実態、ドン横キッズ問題などを追う。大学時代は劇団の立ち上げやマリンスポーツなど様々なことにチャレンジ。趣味・特技はハリコミ。週2回はウーバーイーツを注文。
本人も、話のきっかけになると気に入っているが、時には勤め先や配達先で、悪口を言われる事もあったという。
(怜音さん)「治す気がないから治らない。心の病だとか。消えてしまえと。その言葉はものすごくつらいですね」
怜音さんが生まれ育ったのは鹿児島県。小学3年生の時。父親の言葉がきっかけでチックだとわかった。
(怜音さん)「僕は当時『ん、ん、ん』と鼻や喉を鳴らす癖があって、お父さんに注意されたとき、お前その変な癖やめろと言われて、自分ではなぜこれをしてしまうかわからない。止めることもできなくて、病院へ行くと、先生に『チックですね』と告げられた」学校で病気のことをからかわれることも多かったという。(怜音さん)「目立つ病気なので真似されることはしょっちゅうです。チックの症状が練習中に出て、先生に『風邪だろ!どっか行け、練習から外れろ』と言われたのを覚えています」家族に迷惑をかけず自立したいと愛知へ移り住み、いまは一人暮らしだ。常にイヤホンをつけている理由を聞いてみた…取材中、私はあることが気になった。怜音さんは常にイヤホンをつけているのだ。インタビュー中も、こちらが言わない限り取ろうとしない。何か理由があるのか?尋ねてみた。(怜音さん)「周りの人の悪口がたまに聞こえてくるんですよ。それが聞こえてこないようにイヤホンでふたをしています。本当は良くないんですけどね。これが僕の中でストレスをためない秘訣になっている」普段の生活でも様々な悩みがある。彼がスーパーに入ると、周りのお客さんが声に驚いて一斉に振り返る。(怜音さん)「すみません…」買い物は、家族連れが多い時間帯を避けるという。声で子どもを”怖がらせない”ためだ。(怜音さん)「声を出しちゃうと響くので、まわりの視線を集めることも多くて、慣れてはいるが、たまにしんどい時もある」怜音さんは、“自分の声で他人に迷惑をかけたくないから” と静かな空間を避けるようにしている。例えば、映画館や図書館、飛行機の中…。(怜音さん)「映画を見るときはスマートフォンです。本当は僕だって臨場感のある映画館で最新の作品を観たいですよ」調理師免許も持ち…夢は“敷居の低い店”を作ること怜音さんには一つの夢がある。(怜音さん)「すごく好きなんですよ、料理が。誰にも邪魔されないし」調理の専門学校にも通い、調理師免許も持っている。(怜音さん)「出来上がりです。きょうのテーマは…男のクリームパスタ」そのお味は…(怜音さん)「いただきます。おいしい。普通にお店で食べても違和感ない」飲食店で働いたこともあるが、チックが原因で長続きしなかったという。夢はいつか、自分の店を出すことだ。(怜音さん)「僕と同じチックの病気を持つ人は普通の店に行くのがしづらい人も多いので、そういう人も足を運べるような”敷居の低い店”が作れたら良いなと考えています。今は自分自身準備期間でお金も必要な分そろっていないので、それを作るために頑張りたいと思います」病気と付き合いながらいつかは夢を叶えるため、怜音さんはきょうも名古屋の街を走る。普段は物静かな編集マンが…このVTRの編集も終わりに近づくころ、普段は物静かな編集マンが突然、私にこう打ち明けた。「僕の息子も、もしかしたら“チック”なのかもしれない」小さい頃から息子は、鼻を鳴らしたり首を動かしたり癖が治らず、父親として叱ったことも少なくないという。「もっと早くこの病気のことを知っていれば、別の対処ができたかも知れない」完成したVTRを見て編集マンはこう呟いた。「チックで悩む人が、怜音さんを見て希望を持ってくれるといいね」取材:CBCテレビ報道部 瀬 晴貴(25)福岡県出身 2019年 法政大学経営学部卒業。CBCテレビに入社し、報道部で記者4年目。愛知県警担当や遊軍の記者として、殺人事件や不正車検の実態、ドン横キッズ問題などを追う。大学時代は劇団の立ち上げやマリンスポーツなど様々なことにチャレンジ。趣味・特技はハリコミ。週2回はウーバーイーツを注文。
(怜音さん)「僕は当時『ん、ん、ん』と鼻や喉を鳴らす癖があって、お父さんに注意されたとき、お前その変な癖やめろと言われて、自分ではなぜこれをしてしまうかわからない。止めることもできなくて、病院へ行くと、先生に『チックですね』と告げられた」
学校で病気のことをからかわれることも多かったという。
(怜音さん)「目立つ病気なので真似されることはしょっちゅうです。チックの症状が練習中に出て、先生に『風邪だろ!どっか行け、練習から外れろ』と言われたのを覚えています」
家族に迷惑をかけず自立したいと愛知へ移り住み、いまは一人暮らしだ。
取材中、私はあることが気になった。怜音さんは常にイヤホンをつけているのだ。インタビュー中も、こちらが言わない限り取ろうとしない。何か理由があるのか?尋ねてみた。
(怜音さん)「周りの人の悪口がたまに聞こえてくるんですよ。それが聞こえてこないようにイヤホンでふたをしています。本当は良くないんですけどね。これが僕の中でストレスをためない秘訣になっている」
普段の生活でも様々な悩みがある。彼がスーパーに入ると、周りのお客さんが声に驚いて一斉に振り返る。
(怜音さん)「すみません…」
買い物は、家族連れが多い時間帯を避けるという。声で子どもを”怖がらせない”ためだ。
(怜音さん)「声を出しちゃうと響くので、まわりの視線を集めることも多くて、慣れてはいるが、たまにしんどい時もある」
怜音さんは、“自分の声で他人に迷惑をかけたくないから” と静かな空間を避けるようにしている。例えば、映画館や図書館、飛行機の中…。
(怜音さん)「映画を見るときはスマートフォンです。本当は僕だって臨場感のある映画館で最新の作品を観たいですよ」
調理師免許も持ち…夢は“敷居の低い店”を作ること怜音さんには一つの夢がある。(怜音さん)「すごく好きなんですよ、料理が。誰にも邪魔されないし」調理の専門学校にも通い、調理師免許も持っている。(怜音さん)「出来上がりです。きょうのテーマは…男のクリームパスタ」そのお味は…(怜音さん)「いただきます。おいしい。普通にお店で食べても違和感ない」飲食店で働いたこともあるが、チックが原因で長続きしなかったという。夢はいつか、自分の店を出すことだ。(怜音さん)「僕と同じチックの病気を持つ人は普通の店に行くのがしづらい人も多いので、そういう人も足を運べるような”敷居の低い店”が作れたら良いなと考えています。今は自分自身準備期間でお金も必要な分そろっていないので、それを作るために頑張りたいと思います」病気と付き合いながらいつかは夢を叶えるため、怜音さんはきょうも名古屋の街を走る。普段は物静かな編集マンが…このVTRの編集も終わりに近づくころ、普段は物静かな編集マンが突然、私にこう打ち明けた。「僕の息子も、もしかしたら“チック”なのかもしれない」小さい頃から息子は、鼻を鳴らしたり首を動かしたり癖が治らず、父親として叱ったことも少なくないという。「もっと早くこの病気のことを知っていれば、別の対処ができたかも知れない」完成したVTRを見て編集マンはこう呟いた。「チックで悩む人が、怜音さんを見て希望を持ってくれるといいね」取材:CBCテレビ報道部 瀬 晴貴(25)福岡県出身 2019年 法政大学経営学部卒業。CBCテレビに入社し、報道部で記者4年目。愛知県警担当や遊軍の記者として、殺人事件や不正車検の実態、ドン横キッズ問題などを追う。大学時代は劇団の立ち上げやマリンスポーツなど様々なことにチャレンジ。趣味・特技はハリコミ。週2回はウーバーイーツを注文。
怜音さんには一つの夢がある。
(怜音さん)「すごく好きなんですよ、料理が。誰にも邪魔されないし」
調理の専門学校にも通い、調理師免許も持っている。
(怜音さん)「出来上がりです。きょうのテーマは…男のクリームパスタ」
そのお味は…
(怜音さん)「いただきます。おいしい。普通にお店で食べても違和感ない」
飲食店で働いたこともあるが、チックが原因で長続きしなかったという。
夢はいつか、自分の店を出すことだ。
(怜音さん)「僕と同じチックの病気を持つ人は普通の店に行くのがしづらい人も多いので、そういう人も足を運べるような”敷居の低い店”が作れたら良いなと考えています。今は自分自身準備期間でお金も必要な分そろっていないので、それを作るために頑張りたいと思います」
病気と付き合いながらいつかは夢を叶えるため、怜音さんはきょうも名古屋の街を走る。
このVTRの編集も終わりに近づくころ、普段は物静かな編集マンが突然、私にこう打ち明けた。
「僕の息子も、もしかしたら“チック”なのかもしれない」
小さい頃から息子は、鼻を鳴らしたり首を動かしたり癖が治らず、父親として叱ったことも少なくないという。
「もっと早くこの病気のことを知っていれば、別の対処ができたかも知れない」
完成したVTRを見て編集マンはこう呟いた。
取材:CBCテレビ報道部 瀬 晴貴(25)福岡県出身 2019年 法政大学経営学部卒業。CBCテレビに入社し、報道部で記者4年目。愛知県警担当や遊軍の記者として、殺人事件や不正車検の実態、ドン横キッズ問題などを追う。大学時代は劇団の立ち上げやマリンスポーツなど様々なことにチャレンジ。趣味・特技はハリコミ。週2回はウーバーイーツを注文。