私は介護施設の経営と、市区町村の介護認定審査会委員をしています。そのため、介護に関するお悩み・お金の相談などを受けることがよくあります。今回のテーマは、訪問介護におけるハラスメント被害について。セクハラをはじめ、利用者やその家族によるヘルパーへのハラスメントは、みなさんの想像以上に深刻化しています。本稿では、どんな利用者がヘルパーから避けられるのかなど、現場のリアルな声をお伝えするとともに、この問題をどう解決していけばよいか、考えてみたいと思います。高齢者でもハラスメントは犯罪行為ヘルパーなどの介護従事者が受ける「ハラスメント」には、以下の種類があります。

訪問先でハラスメントを受けたり、ハラスメントが原因でけがや病気をしてしまったヘルパーは、「この仕事は好きだけど、セクハラが辛いから辞めたい」と思うことも少なからずあるようです。皆さまは、どう思われますか?Photo by iStock ハラスメントは以下の3つに大別されます。(1) 身体的暴力身体的な力を使って危害を及ぼす行為(例:コップを投げつける、蹴る、唾を吐くなど)(2) 精神的暴力個人の尊厳や人格を言葉や態度によって傷つけたり、おとしめたりする行為(例:大声を発する、怒鳴る、特定の職員にいやがらせをする、「この程度できて当然」と理不尽なサービスを要求するなど)(3) セクシュアルハラスメント意に沿わない性的誘いかけ、好意的態度の要求など、性的ないやがらせ行為(例:必要もなく手や腕を触る、抱きしめる、入浴介助中にあからさまに性的な話をするなど)ただし、BPSDなどによって現われた言動は、「ハラスメント」ではないとされています。BPSDとは、認知症の行動症状(暴力、暴言、徘徊、拒絶、不潔行為など)および、心理症状(抑うつ、不安、幻覚、妄想、睡眠障害など)を指します。さて、高齢者や家族から見て「悪い施設」「担当してほしくないスタッフ」というジャッジはよくありますね。しかし、ヘルパーや介護事業者から見た「悪いお宅」「行きたくない利用者」というのもあります。具体的には、どんなケースがあるのか見ていきましょう。こんな利用者は担当したくない(1) セクハラ歴がある利用者利用者の自宅は密室です。そこで身体介護などを行うこと自体、セクハラが起きやすい状況といえます。しかし、利用者から一度でもセクハラを受けたことがあるお宅には、プロとはいえ「サービスに入りたくない」と思うのも当たり前です。高齢者とはいえ、頻繁にセクハラを繰り返すと近隣の介護事業所に噂が広がり「サービス拒否」にあうこともあります。Photo by iStock そうなれば利用者の生活は成り立たず、結果として代わりにご家族が介護しなくてはならなくなり離職につながります。ただし、その利用者がほぼ寝たきりになったとか、身体介護ではなく掃除や買い物などの生活支援を行う場合は、セクハラが起きやすいとは言い切れないでしょう。どちらにしても、セクハラには早急な予防策が必要です。(2) 身近においてあるものがヤバい!サービスを行う際、ヘルパーの目につくところにわざわざ「アダルトビデオやアダルトな雑誌」を置いてあるケースは、ほぼセクハラ確信犯です。自覚がない方もいますが、多くの場合セクハラの前にはなんらかの予兆があります。こうしたものが目につくところにあった場合、ヘルパーは事業所の管理者やケアマネジャーへ報告を行い、要経過観察あるいは直接利用者へ注意をしてもらうなどの対応をとります。(3) ペットの放し飼いこれは、意外とあるのではないでしょうか? 訪問先に行くと、猫がいたり室内犬がいたりするケースがあります。それ自体に問題はないのですが、サービス提供中はスタッフの安全確保のためケージに入れる・首輪をつけるなどの配慮が必要です。「うちの子は大人しいから大丈夫よ、絶対噛まないから」と言って、なんの対応もしてくれない利用者もいますが、噛まない・ケガをしない保証はどこにもありません。また、犬や猫にアレルギーを持つスタッフもいますし、そもそも動物が苦手なスタッフもいるのです。ヘルパーが介護サービス提供に集中できるよう、利用者側も環境を整える配慮が必要です。「ゴミ屋敷」も一種のハラスメント?(4) ゴミ屋敷セクハラだけではありません。リアルな介護現場では、必ずしも環境が整っているお宅ばかりではありません。その一つが、「汚部屋」「ゴミ屋敷」。実際のケースを紹介します。ケアマネジャーのSOSにより、あるゴミ屋敷に住んでいる80代女性宅へ行くことになった訪問介護事業者がありました。Photo by iStock 掃除や身体介護のため、40代の女性ヘルパーが入りました。利用者は認知症があり、要介護4でほぼ寝たきり。物が捨てられないようで、訪問するといつも部屋にあらゆる物が散乱している状況でした。寝室を兼ねた居間は、汚れた服なのか、洗濯してある服なのかも分からない衣類やタオル類、使用後の紙おむつやパッド、大量のレトルト食品の包装袋(ゴミ)やペットボトルの山でいっぱい。廊下や玄関回りは、もう何年も捨てていないであろう新聞紙や雑誌が大量に積まれ、どこを歩いていいのか分からない状態でした。ヘルパーが玄関に入った途端、強烈な尿臭や悪臭がしました。ハエやゴキブリがそこらじゅうにいる、床が湿っていて靴下にまでしみる不衛生な現場(いわゆる汚部屋・ゴミ屋敷)でも、ヘルパーは、利用者や家族から要請があればサービスに入らなければなりません。しかも、「間違いなくゴミだ」と思うものでも、ヘルパーは利用者(高齢者)やその家族の了承なしに、勝手に物を捨てることはできません。悪臭が漂う劣悪な環境で、介護サービスを行わなければならない辛いケースもあります。(5) 過去に違法行為がある過去に違法行為や暴力行為がある、攻撃的な言動がある、家族関係や人間関係でトラブルを抱えている、訪問時にお酒に酔っていることがあるといった方は、スタッフの身の安全のためにサービスをお断りすることがあります。(6) サービスに過剰な期待をしている老々介護や仕事との両立による介護の負担が大きく、相談相手としてヘルパーに依存しすぎるケース。業務時間外、夜中でも泣きながら電話をしてきたり、「介護保険サービスの提供範囲」を正しく理解していないことから、介護サービスに過剰な期待・要求をするケースもあります。契約解除につながる「2大NG」とは介護事業所は、正当な理由なしにサービス提供を拒否することはできません、しかし、スタッフの安全を確保できないと判断されたお宅には、身の危険を冒してまで行く必要はありません。そのため、次に示すことがあった場合は契約を解除することがあります。ご参考までにご覧ください。Photo by iStock (1) 暴力、または乱暴な言動・物を投げつける・刃物を向ける・服を引きちぎる・手を払いのける・怒鳴る、奇声、大声を発する など(2) セクシュアルハラスメント・訪問介護従事者の体を触る、手を握る・腕を引っ張り抱きしめる・女性のヌード写真を見せる・訪問介護従事者の自宅の住所や、電話番号を何度も聞く・ストーカー行為 など ハラスメントを行っている利用者・家族などの中には、「自分が迷惑行為を行っている」と認識していない人がいます。また、その引き金となる疾患、障害、生活困難などを抱えていて、心身が不安定な方も一定数います。しかし、ハラスメントは、介護職を選択し、懸命に従事してくれる職員を傷つける行為。利用者や家族などがハラスメントを行った場合、介護サービスの提供の中断や中止につながる可能性があるということを心得ておきましょう。
私は介護施設の経営と、市区町村の介護認定審査会委員をしています。そのため、介護に関するお悩み・お金の相談などを受けることがよくあります。
本稿では、どんな利用者がヘルパーから避けられるのかなど、現場のリアルな声をお伝えするとともに、この問題をどう解決していけばよいか、考えてみたいと思います。
ヘルパーなどの介護従事者が受ける「ハラスメント」には、以下の種類があります。
訪問先でハラスメントを受けたり、ハラスメントが原因でけがや病気をしてしまったヘルパーは、「この仕事は好きだけど、セクハラが辛いから辞めたい」と思うことも少なからずあるようです。皆さまは、どう思われますか?
Photo by iStock
ハラスメントは以下の3つに大別されます。(1) 身体的暴力身体的な力を使って危害を及ぼす行為(例:コップを投げつける、蹴る、唾を吐くなど)(2) 精神的暴力個人の尊厳や人格を言葉や態度によって傷つけたり、おとしめたりする行為(例:大声を発する、怒鳴る、特定の職員にいやがらせをする、「この程度できて当然」と理不尽なサービスを要求するなど)(3) セクシュアルハラスメント意に沿わない性的誘いかけ、好意的態度の要求など、性的ないやがらせ行為(例:必要もなく手や腕を触る、抱きしめる、入浴介助中にあからさまに性的な話をするなど)ただし、BPSDなどによって現われた言動は、「ハラスメント」ではないとされています。BPSDとは、認知症の行動症状(暴力、暴言、徘徊、拒絶、不潔行為など)および、心理症状(抑うつ、不安、幻覚、妄想、睡眠障害など)を指します。さて、高齢者や家族から見て「悪い施設」「担当してほしくないスタッフ」というジャッジはよくありますね。しかし、ヘルパーや介護事業者から見た「悪いお宅」「行きたくない利用者」というのもあります。具体的には、どんなケースがあるのか見ていきましょう。こんな利用者は担当したくない(1) セクハラ歴がある利用者利用者の自宅は密室です。そこで身体介護などを行うこと自体、セクハラが起きやすい状況といえます。しかし、利用者から一度でもセクハラを受けたことがあるお宅には、プロとはいえ「サービスに入りたくない」と思うのも当たり前です。高齢者とはいえ、頻繁にセクハラを繰り返すと近隣の介護事業所に噂が広がり「サービス拒否」にあうこともあります。Photo by iStock そうなれば利用者の生活は成り立たず、結果として代わりにご家族が介護しなくてはならなくなり離職につながります。ただし、その利用者がほぼ寝たきりになったとか、身体介護ではなく掃除や買い物などの生活支援を行う場合は、セクハラが起きやすいとは言い切れないでしょう。どちらにしても、セクハラには早急な予防策が必要です。(2) 身近においてあるものがヤバい!サービスを行う際、ヘルパーの目につくところにわざわざ「アダルトビデオやアダルトな雑誌」を置いてあるケースは、ほぼセクハラ確信犯です。自覚がない方もいますが、多くの場合セクハラの前にはなんらかの予兆があります。こうしたものが目につくところにあった場合、ヘルパーは事業所の管理者やケアマネジャーへ報告を行い、要経過観察あるいは直接利用者へ注意をしてもらうなどの対応をとります。(3) ペットの放し飼いこれは、意外とあるのではないでしょうか? 訪問先に行くと、猫がいたり室内犬がいたりするケースがあります。それ自体に問題はないのですが、サービス提供中はスタッフの安全確保のためケージに入れる・首輪をつけるなどの配慮が必要です。「うちの子は大人しいから大丈夫よ、絶対噛まないから」と言って、なんの対応もしてくれない利用者もいますが、噛まない・ケガをしない保証はどこにもありません。また、犬や猫にアレルギーを持つスタッフもいますし、そもそも動物が苦手なスタッフもいるのです。ヘルパーが介護サービス提供に集中できるよう、利用者側も環境を整える配慮が必要です。「ゴミ屋敷」も一種のハラスメント?(4) ゴミ屋敷セクハラだけではありません。リアルな介護現場では、必ずしも環境が整っているお宅ばかりではありません。その一つが、「汚部屋」「ゴミ屋敷」。実際のケースを紹介します。ケアマネジャーのSOSにより、あるゴミ屋敷に住んでいる80代女性宅へ行くことになった訪問介護事業者がありました。Photo by iStock 掃除や身体介護のため、40代の女性ヘルパーが入りました。利用者は認知症があり、要介護4でほぼ寝たきり。物が捨てられないようで、訪問するといつも部屋にあらゆる物が散乱している状況でした。寝室を兼ねた居間は、汚れた服なのか、洗濯してある服なのかも分からない衣類やタオル類、使用後の紙おむつやパッド、大量のレトルト食品の包装袋(ゴミ)やペットボトルの山でいっぱい。廊下や玄関回りは、もう何年も捨てていないであろう新聞紙や雑誌が大量に積まれ、どこを歩いていいのか分からない状態でした。ヘルパーが玄関に入った途端、強烈な尿臭や悪臭がしました。ハエやゴキブリがそこらじゅうにいる、床が湿っていて靴下にまでしみる不衛生な現場(いわゆる汚部屋・ゴミ屋敷)でも、ヘルパーは、利用者や家族から要請があればサービスに入らなければなりません。しかも、「間違いなくゴミだ」と思うものでも、ヘルパーは利用者(高齢者)やその家族の了承なしに、勝手に物を捨てることはできません。悪臭が漂う劣悪な環境で、介護サービスを行わなければならない辛いケースもあります。(5) 過去に違法行為がある過去に違法行為や暴力行為がある、攻撃的な言動がある、家族関係や人間関係でトラブルを抱えている、訪問時にお酒に酔っていることがあるといった方は、スタッフの身の安全のためにサービスをお断りすることがあります。(6) サービスに過剰な期待をしている老々介護や仕事との両立による介護の負担が大きく、相談相手としてヘルパーに依存しすぎるケース。業務時間外、夜中でも泣きながら電話をしてきたり、「介護保険サービスの提供範囲」を正しく理解していないことから、介護サービスに過剰な期待・要求をするケースもあります。契約解除につながる「2大NG」とは介護事業所は、正当な理由なしにサービス提供を拒否することはできません、しかし、スタッフの安全を確保できないと判断されたお宅には、身の危険を冒してまで行く必要はありません。そのため、次に示すことがあった場合は契約を解除することがあります。ご参考までにご覧ください。Photo by iStock (1) 暴力、または乱暴な言動・物を投げつける・刃物を向ける・服を引きちぎる・手を払いのける・怒鳴る、奇声、大声を発する など(2) セクシュアルハラスメント・訪問介護従事者の体を触る、手を握る・腕を引っ張り抱きしめる・女性のヌード写真を見せる・訪問介護従事者の自宅の住所や、電話番号を何度も聞く・ストーカー行為 など ハラスメントを行っている利用者・家族などの中には、「自分が迷惑行為を行っている」と認識していない人がいます。また、その引き金となる疾患、障害、生活困難などを抱えていて、心身が不安定な方も一定数います。しかし、ハラスメントは、介護職を選択し、懸命に従事してくれる職員を傷つける行為。利用者や家族などがハラスメントを行った場合、介護サービスの提供の中断や中止につながる可能性があるということを心得ておきましょう。
ハラスメントは以下の3つに大別されます。
(1) 身体的暴力
身体的な力を使って危害を及ぼす行為(例:コップを投げつける、蹴る、唾を吐くなど)
(2) 精神的暴力
個人の尊厳や人格を言葉や態度によって傷つけたり、おとしめたりする行為(例:大声を発する、怒鳴る、特定の職員にいやがらせをする、「この程度できて当然」と理不尽なサービスを要求するなど)
(3) セクシュアルハラスメント
意に沿わない性的誘いかけ、好意的態度の要求など、性的ないやがらせ行為(例:必要もなく手や腕を触る、抱きしめる、入浴介助中にあからさまに性的な話をするなど)
ただし、BPSDなどによって現われた言動は、「ハラスメント」ではないとされています。BPSDとは、認知症の行動症状(暴力、暴言、徘徊、拒絶、不潔行為など)および、心理症状(抑うつ、不安、幻覚、妄想、睡眠障害など)を指します。
さて、高齢者や家族から見て「悪い施設」「担当してほしくないスタッフ」というジャッジはよくありますね。しかし、ヘルパーや介護事業者から見た「悪いお宅」「行きたくない利用者」というのもあります。具体的には、どんなケースがあるのか見ていきましょう。
(1) セクハラ歴がある利用者
利用者の自宅は密室です。そこで身体介護などを行うこと自体、セクハラが起きやすい状況といえます。しかし、利用者から一度でもセクハラを受けたことがあるお宅には、プロとはいえ「サービスに入りたくない」と思うのも当たり前です。
高齢者とはいえ、頻繁にセクハラを繰り返すと近隣の介護事業所に噂が広がり「サービス拒否」にあうこともあります。
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そうなれば利用者の生活は成り立たず、結果として代わりにご家族が介護しなくてはならなくなり離職につながります。ただし、その利用者がほぼ寝たきりになったとか、身体介護ではなく掃除や買い物などの生活支援を行う場合は、セクハラが起きやすいとは言い切れないでしょう。どちらにしても、セクハラには早急な予防策が必要です。(2) 身近においてあるものがヤバい!サービスを行う際、ヘルパーの目につくところにわざわざ「アダルトビデオやアダルトな雑誌」を置いてあるケースは、ほぼセクハラ確信犯です。自覚がない方もいますが、多くの場合セクハラの前にはなんらかの予兆があります。こうしたものが目につくところにあった場合、ヘルパーは事業所の管理者やケアマネジャーへ報告を行い、要経過観察あるいは直接利用者へ注意をしてもらうなどの対応をとります。(3) ペットの放し飼いこれは、意外とあるのではないでしょうか? 訪問先に行くと、猫がいたり室内犬がいたりするケースがあります。それ自体に問題はないのですが、サービス提供中はスタッフの安全確保のためケージに入れる・首輪をつけるなどの配慮が必要です。「うちの子は大人しいから大丈夫よ、絶対噛まないから」と言って、なんの対応もしてくれない利用者もいますが、噛まない・ケガをしない保証はどこにもありません。また、犬や猫にアレルギーを持つスタッフもいますし、そもそも動物が苦手なスタッフもいるのです。ヘルパーが介護サービス提供に集中できるよう、利用者側も環境を整える配慮が必要です。「ゴミ屋敷」も一種のハラスメント?(4) ゴミ屋敷セクハラだけではありません。リアルな介護現場では、必ずしも環境が整っているお宅ばかりではありません。その一つが、「汚部屋」「ゴミ屋敷」。実際のケースを紹介します。ケアマネジャーのSOSにより、あるゴミ屋敷に住んでいる80代女性宅へ行くことになった訪問介護事業者がありました。Photo by iStock 掃除や身体介護のため、40代の女性ヘルパーが入りました。利用者は認知症があり、要介護4でほぼ寝たきり。物が捨てられないようで、訪問するといつも部屋にあらゆる物が散乱している状況でした。寝室を兼ねた居間は、汚れた服なのか、洗濯してある服なのかも分からない衣類やタオル類、使用後の紙おむつやパッド、大量のレトルト食品の包装袋(ゴミ)やペットボトルの山でいっぱい。廊下や玄関回りは、もう何年も捨てていないであろう新聞紙や雑誌が大量に積まれ、どこを歩いていいのか分からない状態でした。ヘルパーが玄関に入った途端、強烈な尿臭や悪臭がしました。ハエやゴキブリがそこらじゅうにいる、床が湿っていて靴下にまでしみる不衛生な現場(いわゆる汚部屋・ゴミ屋敷)でも、ヘルパーは、利用者や家族から要請があればサービスに入らなければなりません。しかも、「間違いなくゴミだ」と思うものでも、ヘルパーは利用者(高齢者)やその家族の了承なしに、勝手に物を捨てることはできません。悪臭が漂う劣悪な環境で、介護サービスを行わなければならない辛いケースもあります。(5) 過去に違法行為がある過去に違法行為や暴力行為がある、攻撃的な言動がある、家族関係や人間関係でトラブルを抱えている、訪問時にお酒に酔っていることがあるといった方は、スタッフの身の安全のためにサービスをお断りすることがあります。(6) サービスに過剰な期待をしている老々介護や仕事との両立による介護の負担が大きく、相談相手としてヘルパーに依存しすぎるケース。業務時間外、夜中でも泣きながら電話をしてきたり、「介護保険サービスの提供範囲」を正しく理解していないことから、介護サービスに過剰な期待・要求をするケースもあります。契約解除につながる「2大NG」とは介護事業所は、正当な理由なしにサービス提供を拒否することはできません、しかし、スタッフの安全を確保できないと判断されたお宅には、身の危険を冒してまで行く必要はありません。そのため、次に示すことがあった場合は契約を解除することがあります。ご参考までにご覧ください。Photo by iStock (1) 暴力、または乱暴な言動・物を投げつける・刃物を向ける・服を引きちぎる・手を払いのける・怒鳴る、奇声、大声を発する など(2) セクシュアルハラスメント・訪問介護従事者の体を触る、手を握る・腕を引っ張り抱きしめる・女性のヌード写真を見せる・訪問介護従事者の自宅の住所や、電話番号を何度も聞く・ストーカー行為 など ハラスメントを行っている利用者・家族などの中には、「自分が迷惑行為を行っている」と認識していない人がいます。また、その引き金となる疾患、障害、生活困難などを抱えていて、心身が不安定な方も一定数います。しかし、ハラスメントは、介護職を選択し、懸命に従事してくれる職員を傷つける行為。利用者や家族などがハラスメントを行った場合、介護サービスの提供の中断や中止につながる可能性があるということを心得ておきましょう。
そうなれば利用者の生活は成り立たず、結果として代わりにご家族が介護しなくてはならなくなり離職につながります。
ただし、その利用者がほぼ寝たきりになったとか、身体介護ではなく掃除や買い物などの生活支援を行う場合は、セクハラが起きやすいとは言い切れないでしょう。
どちらにしても、セクハラには早急な予防策が必要です。
(2) 身近においてあるものがヤバい!
サービスを行う際、ヘルパーの目につくところにわざわざ「アダルトビデオやアダルトな雑誌」を置いてあるケースは、ほぼセクハラ確信犯です。自覚がない方もいますが、多くの場合セクハラの前にはなんらかの予兆があります。
こうしたものが目につくところにあった場合、ヘルパーは事業所の管理者やケアマネジャーへ報告を行い、要経過観察あるいは直接利用者へ注意をしてもらうなどの対応をとります。
(3) ペットの放し飼い
これは、意外とあるのではないでしょうか? 訪問先に行くと、猫がいたり室内犬がいたりするケースがあります。それ自体に問題はないのですが、サービス提供中はスタッフの安全確保のためケージに入れる・首輪をつけるなどの配慮が必要です。
「うちの子は大人しいから大丈夫よ、絶対噛まないから」と言って、なんの対応もしてくれない利用者もいますが、噛まない・ケガをしない保証はどこにもありません。
また、犬や猫にアレルギーを持つスタッフもいますし、そもそも動物が苦手なスタッフもいるのです。ヘルパーが介護サービス提供に集中できるよう、利用者側も環境を整える配慮が必要です。
(4) ゴミ屋敷
セクハラだけではありません。リアルな介護現場では、必ずしも環境が整っているお宅ばかりではありません。その一つが、「汚部屋」「ゴミ屋敷」。
実際のケースを紹介します。ケアマネジャーのSOSにより、あるゴミ屋敷に住んでいる80代女性宅へ行くことになった訪問介護事業者がありました。
Photo by iStock
掃除や身体介護のため、40代の女性ヘルパーが入りました。利用者は認知症があり、要介護4でほぼ寝たきり。物が捨てられないようで、訪問するといつも部屋にあらゆる物が散乱している状況でした。寝室を兼ねた居間は、汚れた服なのか、洗濯してある服なのかも分からない衣類やタオル類、使用後の紙おむつやパッド、大量のレトルト食品の包装袋(ゴミ)やペットボトルの山でいっぱい。廊下や玄関回りは、もう何年も捨てていないであろう新聞紙や雑誌が大量に積まれ、どこを歩いていいのか分からない状態でした。ヘルパーが玄関に入った途端、強烈な尿臭や悪臭がしました。ハエやゴキブリがそこらじゅうにいる、床が湿っていて靴下にまでしみる不衛生な現場(いわゆる汚部屋・ゴミ屋敷)でも、ヘルパーは、利用者や家族から要請があればサービスに入らなければなりません。しかも、「間違いなくゴミだ」と思うものでも、ヘルパーは利用者(高齢者)やその家族の了承なしに、勝手に物を捨てることはできません。悪臭が漂う劣悪な環境で、介護サービスを行わなければならない辛いケースもあります。(5) 過去に違法行為がある過去に違法行為や暴力行為がある、攻撃的な言動がある、家族関係や人間関係でトラブルを抱えている、訪問時にお酒に酔っていることがあるといった方は、スタッフの身の安全のためにサービスをお断りすることがあります。(6) サービスに過剰な期待をしている老々介護や仕事との両立による介護の負担が大きく、相談相手としてヘルパーに依存しすぎるケース。業務時間外、夜中でも泣きながら電話をしてきたり、「介護保険サービスの提供範囲」を正しく理解していないことから、介護サービスに過剰な期待・要求をするケースもあります。契約解除につながる「2大NG」とは介護事業所は、正当な理由なしにサービス提供を拒否することはできません、しかし、スタッフの安全を確保できないと判断されたお宅には、身の危険を冒してまで行く必要はありません。そのため、次に示すことがあった場合は契約を解除することがあります。ご参考までにご覧ください。Photo by iStock (1) 暴力、または乱暴な言動・物を投げつける・刃物を向ける・服を引きちぎる・手を払いのける・怒鳴る、奇声、大声を発する など(2) セクシュアルハラスメント・訪問介護従事者の体を触る、手を握る・腕を引っ張り抱きしめる・女性のヌード写真を見せる・訪問介護従事者の自宅の住所や、電話番号を何度も聞く・ストーカー行為 など ハラスメントを行っている利用者・家族などの中には、「自分が迷惑行為を行っている」と認識していない人がいます。また、その引き金となる疾患、障害、生活困難などを抱えていて、心身が不安定な方も一定数います。しかし、ハラスメントは、介護職を選択し、懸命に従事してくれる職員を傷つける行為。利用者や家族などがハラスメントを行った場合、介護サービスの提供の中断や中止につながる可能性があるということを心得ておきましょう。
掃除や身体介護のため、40代の女性ヘルパーが入りました。
利用者は認知症があり、要介護4でほぼ寝たきり。物が捨てられないようで、訪問するといつも部屋にあらゆる物が散乱している状況でした。
寝室を兼ねた居間は、汚れた服なのか、洗濯してある服なのかも分からない衣類やタオル類、使用後の紙おむつやパッド、大量のレトルト食品の包装袋(ゴミ)やペットボトルの山でいっぱい。
廊下や玄関回りは、もう何年も捨てていないであろう新聞紙や雑誌が大量に積まれ、どこを歩いていいのか分からない状態でした。ヘルパーが玄関に入った途端、強烈な尿臭や悪臭がしました。
ハエやゴキブリがそこらじゅうにいる、床が湿っていて靴下にまでしみる不衛生な現場(いわゆる汚部屋・ゴミ屋敷)でも、ヘルパーは、利用者や家族から要請があればサービスに入らなければなりません。
しかも、「間違いなくゴミだ」と思うものでも、ヘルパーは利用者(高齢者)やその家族の了承なしに、勝手に物を捨てることはできません。悪臭が漂う劣悪な環境で、介護サービスを行わなければならない辛いケースもあります。
(5) 過去に違法行為がある
過去に違法行為や暴力行為がある、攻撃的な言動がある、家族関係や人間関係でトラブルを抱えている、訪問時にお酒に酔っていることがあるといった方は、スタッフの身の安全のためにサービスをお断りすることがあります。
(6) サービスに過剰な期待をしている
老々介護や仕事との両立による介護の負担が大きく、相談相手としてヘルパーに依存しすぎるケース。業務時間外、夜中でも泣きながら電話をしてきたり、「介護保険サービスの提供範囲」を正しく理解していないことから、介護サービスに過剰な期待・要求をするケースもあります。
介護事業所は、正当な理由なしにサービス提供を拒否することはできません、しかし、スタッフの安全を確保できないと判断されたお宅には、身の危険を冒してまで行く必要はありません。
そのため、次に示すことがあった場合は契約を解除することがあります。ご参考までにご覧ください。
Photo by iStock
(1) 暴力、または乱暴な言動・物を投げつける・刃物を向ける・服を引きちぎる・手を払いのける・怒鳴る、奇声、大声を発する など(2) セクシュアルハラスメント・訪問介護従事者の体を触る、手を握る・腕を引っ張り抱きしめる・女性のヌード写真を見せる・訪問介護従事者の自宅の住所や、電話番号を何度も聞く・ストーカー行為 など ハラスメントを行っている利用者・家族などの中には、「自分が迷惑行為を行っている」と認識していない人がいます。また、その引き金となる疾患、障害、生活困難などを抱えていて、心身が不安定な方も一定数います。しかし、ハラスメントは、介護職を選択し、懸命に従事してくれる職員を傷つける行為。利用者や家族などがハラスメントを行った場合、介護サービスの提供の中断や中止につながる可能性があるということを心得ておきましょう。
(1) 暴力、または乱暴な言動
・物を投げつける
・刃物を向ける
・服を引きちぎる
・手を払いのける
・怒鳴る、奇声、大声を発する など
(2) セクシュアルハラスメント
・訪問介護従事者の体を触る、手を握る
・腕を引っ張り抱きしめる
・女性のヌード写真を見せる
・訪問介護従事者の自宅の住所や、電話番号を何度も聞く
・ストーカー行為 など
ハラスメントを行っている利用者・家族などの中には、「自分が迷惑行為を行っている」と認識していない人がいます。また、その引き金となる疾患、障害、生活困難などを抱えていて、心身が不安定な方も一定数います。しかし、ハラスメントは、介護職を選択し、懸命に従事してくれる職員を傷つける行為。利用者や家族などがハラスメントを行った場合、介護サービスの提供の中断や中止につながる可能性があるということを心得ておきましょう。
ハラスメントを行っている利用者・家族などの中には、「自分が迷惑行為を行っている」と認識していない人がいます。また、その引き金となる疾患、障害、生活困難などを抱えていて、心身が不安定な方も一定数います。
しかし、ハラスメントは、介護職を選択し、懸命に従事してくれる職員を傷つける行為。利用者や家族などがハラスメントを行った場合、介護サービスの提供の中断や中止につながる可能性があるということを心得ておきましょう。