ミシュランで星を取った高級店で食事をして、その店の店主から店内で性暴力を受けるなんてことを考える客は、まずいないだろう。そんな信じられない事件が大阪府の超人気店で起きた。犯行に使われたのは、酒と睡眠薬だった――。
グルメサイトに掲載された榎本容疑者。当該の項目はすでに削除されている(グルメサイトホームページより)
「日本料理店『榎本』(大阪府)は、半年先まで予約を待たなければならない超人気店。ミシュランガイドで”一つ星”も取っており、著名人やインフルエンサーも数多く訪れていた店だったんです」(飲食業関係者)

そんな”超人気店”の店主が、前代未聞の事件を起こした。「捜査関係者によると『榎本』の店主で、料理人の榎本正哉容疑者(46)が準強制性交等の疑いで大阪府警が逮捕され、すでに起訴されていることがわかりました。彼は客の女性に睡眠薬を入れた酒などを飲ませ、意識を朦朧とさせて抵抗できない状態を作ったうえで、店内で性暴力を働いていたそうです」(全国紙社会部記者)しかも、被害女性は2人いた。犯行は昨年12月下旬と今年2月下旬に、それぞれ同様の手口で行われたとされている。被害女性らが被害届を提出、警察が捜査を続けたことで榎本容疑者の犯行が明らかになり、今年6月、8月にそれぞれ逮捕された。飲食物に睡眠薬などの薬物を混ぜ、被害者を抵抗できない状態にしてから性暴力を働く「レイプ・ドラッグ」事件が後を絶たない。警察庁によると、レイプ・ドラッグによる摘発は2017年の85件をピークに、年間30~40件ほどで推移。2020年には60件の摘発があったが、これは「氷山の一角」に過ぎない。実数ははるかに多いとみられている。「薬を混入されたことや、被害を受けたことにも気づかないケースも。被害者の記憶があいまいなため、警察に被害が届けられないこともあるのです。また、防犯カメラで確認した際、その時は意識が朦朧としていた酩酊状態でも、自分の足で歩いてホテルに入っていたり、男性と談笑している状況などが映し出されていれば、それが『合意』とみなされてしまい、被害を訴えるハードルはさらにあがってしまう。泣き寝入りをしている女性は非常に多いと思います」(前出・全国紙社会部記者)かねてから泥酔客が指摘されていたそんな卑劣な犯行が、高級日本料理店内で起きた。「『榎本』は厳選された食材を使ったコースを軸に、お酒のアテ的な料理などお客さんがストップをかけるまでちょこちょこ出してくれるシステム。希少な日本酒も大盤振る舞いで、たらふく食べて飲んで単価は一人当たり3万~4万ほど。ただ、そのお酒の提供方法について、真偽不明な噂が流れていたんです」(前出の飲食店関係者)会計をする頃には泥酔状態に陥り、記憶を飛ばしてしまう客が相次いでいたというのだ。「最初のほうはカウンターから酒を注いでくれるのですが、飲まされて過ぎて客が酔っ払うころには、調理場の方から運んできた酒を出してくる。それを飲むといつも以上に酔っ払う、という話でした。確かに飲みすぎる人はいますし、居酒屋などではあるまいし、と思っていましたが、事件のことを聞いてぞっとしました。被害者はほかにもいるかもしれません」(同)さらには常連客やお気に入りの客を終電ギリギリまで引き止めたり、「泊っていきなよ」などと頻繁に声をかけていたとも。「榎本さんは話がうまい。それにサービス精神も旺盛。客がおなか一杯になるころには、彼もお酒が好きだから一緒に呑みだして、さらに話に花が咲く。だからついつい長居をしてしまう客もいました。これまでは彼の人柄や世話焼きな一面だと思っていましたが、それらの会話や行動を犯行につなげていたと考えると……」(同) ペッパーランチ事件を思い出す人々これまでにも飲食店内で、店主や従業員による性暴力事件がたびたび起きてきた。多くの人の記憶に残るのは、2007年にステーキ店『ペッパーランチ』大阪・心斎橋店(現在は閉店)で起きた、性暴力事件ではないだろうか。加害者は店長と従業員だった。閉店作業を装って店のシャッターを閉め、店内にいた20代の女性客をスタンガンで脅し、拉致・監禁。睡眠薬を大量に飲ませ、意識を混濁させたうえで性暴力を働いた。なんとか被害女性が自力で逃げたことで事件が発覚。その卑劣さもさることながら、飲食店の安全性や倫理観までをも揺るがす大事件として、連日報道された。そのため、ネット上ではこの事件を思い出し、引き合いに出す声も少なくなかった。さらに東京・上野の飲食店の店主は、仲間内で聞いたという話を明かす。「都内のあるバーでも、客の女の子のお酒に薬を盛って、店主がレイプした事件が起きていたそうです。そこは特に怪しくない、普通のお店だったみたい。客は店が出したものは安全だと信じ、疑わずに口に入れます。レイプ・ドラッグに限らず、厨房がゴキブリやなめくじだらけだったことで話題になった中華料理店じゃないですが、衛生面はもちろん、食材や調理方法にも十分に注意して安全な飲食物を提供していくのは、飲食店なら当然のこと。お客さんとの信頼で成り立ってる商売ですから」日本料理界重鎮の一番弟子だったのに「他の飲食店の話ですが、お酒に睡眠薬を混ぜて提供し、店側が顧客のクレジットカードや時計など金品を盗む、といった窃盗事件は以前から起きていました。ですが、今回のような高級店で性暴力事件が起きるのは、きわめてレアなケース。明らかな犯罪行為なのに、店主はなぜ事件を起こしてしまったのでしょうか」(グルメサイト関係者)飲食業界は一般企業と比べ、ハラスメントなどについて学ぶ機会は少なく、その認識や認識が乏しいとされている。そのため、現在でもセクハラやパワハラが日常的に横行している店もあり、倫理観が育たないまま成長し、独立してしまう店主もいるという。 ただし、榎本容疑者も倫理観や信頼を学ぶ機会はこれまで当然、あったはずだ。「榎本さんはいくつかの名店での修行を経て、大阪の有名日本料理店で20年以上もの間、腕を磨いてきたんです。その店の店主で日本料理の重鎮A氏の一番弟子だったそうで信頼にも熱く、その腕も一流でした。そこから一昨年、独立したばかり。念願叶った自分の店で事件を起こしてしまった。復活はもうない、のではないでしょうか」(前出の飲食店関係者)なかなか予約が取れない店は、永遠に予約ができなくなった――。
「日本料理店『榎本』(大阪府)は、半年先まで予約を待たなければならない超人気店。ミシュランガイドで”一つ星”も取っており、著名人やインフルエンサーも数多く訪れていた店だったんです」(飲食業関係者)
そんな”超人気店”の店主が、前代未聞の事件を起こした。
「捜査関係者によると『榎本』の店主で、料理人の榎本正哉容疑者(46)が準強制性交等の疑いで大阪府警が逮捕され、すでに起訴されていることがわかりました。彼は客の女性に睡眠薬を入れた酒などを飲ませ、意識を朦朧とさせて抵抗できない状態を作ったうえで、店内で性暴力を働いていたそうです」(全国紙社会部記者)
しかも、被害女性は2人いた。
犯行は昨年12月下旬と今年2月下旬に、それぞれ同様の手口で行われたとされている。被害女性らが被害届を提出、警察が捜査を続けたことで榎本容疑者の犯行が明らかになり、今年6月、8月にそれぞれ逮捕された。
飲食物に睡眠薬などの薬物を混ぜ、被害者を抵抗できない状態にしてから性暴力を働く「レイプ・ドラッグ」事件が後を絶たない。
警察庁によると、レイプ・ドラッグによる摘発は2017年の85件をピークに、年間30~40件ほどで推移。2020年には60件の摘発があったが、これは「氷山の一角」に過ぎない。実数ははるかに多いとみられている。
「薬を混入されたことや、被害を受けたことにも気づかないケースも。被害者の記憶があいまいなため、警察に被害が届けられないこともあるのです。
また、防犯カメラで確認した際、その時は意識が朦朧としていた酩酊状態でも、自分の足で歩いてホテルに入っていたり、男性と談笑している状況などが映し出されていれば、それが『合意』とみなされてしまい、被害を訴えるハードルはさらにあがってしまう。泣き寝入りをしている女性は非常に多いと思います」(前出・全国紙社会部記者)
そんな卑劣な犯行が、高級日本料理店内で起きた。
「『榎本』は厳選された食材を使ったコースを軸に、お酒のアテ的な料理などお客さんがストップをかけるまでちょこちょこ出してくれるシステム。希少な日本酒も大盤振る舞いで、たらふく食べて飲んで単価は一人当たり3万~4万ほど。ただ、そのお酒の提供方法について、真偽不明な噂が流れていたんです」(前出の飲食店関係者)
会計をする頃には泥酔状態に陥り、記憶を飛ばしてしまう客が相次いでいたというのだ。
「最初のほうはカウンターから酒を注いでくれるのですが、飲まされて過ぎて客が酔っ払うころには、調理場の方から運んできた酒を出してくる。それを飲むといつも以上に酔っ払う、という話でした。確かに飲みすぎる人はいますし、居酒屋などではあるまいし、と思っていましたが、事件のことを聞いてぞっとしました。被害者はほかにもいるかもしれません」(同)
さらには常連客やお気に入りの客を終電ギリギリまで引き止めたり、「泊っていきなよ」などと頻繁に声をかけていたとも。
「榎本さんは話がうまい。それにサービス精神も旺盛。客がおなか一杯になるころには、彼もお酒が好きだから一緒に呑みだして、さらに話に花が咲く。だからついつい長居をしてしまう客もいました。これまでは彼の人柄や世話焼きな一面だと思っていましたが、それらの会話や行動を犯行につなげていたと考えると……」(同)
ペッパーランチ事件を思い出す人々これまでにも飲食店内で、店主や従業員による性暴力事件がたびたび起きてきた。多くの人の記憶に残るのは、2007年にステーキ店『ペッパーランチ』大阪・心斎橋店(現在は閉店)で起きた、性暴力事件ではないだろうか。加害者は店長と従業員だった。閉店作業を装って店のシャッターを閉め、店内にいた20代の女性客をスタンガンで脅し、拉致・監禁。睡眠薬を大量に飲ませ、意識を混濁させたうえで性暴力を働いた。なんとか被害女性が自力で逃げたことで事件が発覚。その卑劣さもさることながら、飲食店の安全性や倫理観までをも揺るがす大事件として、連日報道された。そのため、ネット上ではこの事件を思い出し、引き合いに出す声も少なくなかった。さらに東京・上野の飲食店の店主は、仲間内で聞いたという話を明かす。「都内のあるバーでも、客の女の子のお酒に薬を盛って、店主がレイプした事件が起きていたそうです。そこは特に怪しくない、普通のお店だったみたい。客は店が出したものは安全だと信じ、疑わずに口に入れます。レイプ・ドラッグに限らず、厨房がゴキブリやなめくじだらけだったことで話題になった中華料理店じゃないですが、衛生面はもちろん、食材や調理方法にも十分に注意して安全な飲食物を提供していくのは、飲食店なら当然のこと。お客さんとの信頼で成り立ってる商売ですから」日本料理界重鎮の一番弟子だったのに「他の飲食店の話ですが、お酒に睡眠薬を混ぜて提供し、店側が顧客のクレジットカードや時計など金品を盗む、といった窃盗事件は以前から起きていました。ですが、今回のような高級店で性暴力事件が起きるのは、きわめてレアなケース。明らかな犯罪行為なのに、店主はなぜ事件を起こしてしまったのでしょうか」(グルメサイト関係者)飲食業界は一般企業と比べ、ハラスメントなどについて学ぶ機会は少なく、その認識や認識が乏しいとされている。そのため、現在でもセクハラやパワハラが日常的に横行している店もあり、倫理観が育たないまま成長し、独立してしまう店主もいるという。 ただし、榎本容疑者も倫理観や信頼を学ぶ機会はこれまで当然、あったはずだ。「榎本さんはいくつかの名店での修行を経て、大阪の有名日本料理店で20年以上もの間、腕を磨いてきたんです。その店の店主で日本料理の重鎮A氏の一番弟子だったそうで信頼にも熱く、その腕も一流でした。そこから一昨年、独立したばかり。念願叶った自分の店で事件を起こしてしまった。復活はもうない、のではないでしょうか」(前出の飲食店関係者)なかなか予約が取れない店は、永遠に予約ができなくなった――。
これまでにも飲食店内で、店主や従業員による性暴力事件がたびたび起きてきた。
多くの人の記憶に残るのは、2007年にステーキ店『ペッパーランチ』大阪・心斎橋店(現在は閉店)で起きた、性暴力事件ではないだろうか。
加害者は店長と従業員だった。閉店作業を装って店のシャッターを閉め、店内にいた20代の女性客をスタンガンで脅し、拉致・監禁。睡眠薬を大量に飲ませ、意識を混濁させたうえで性暴力を働いた。
なんとか被害女性が自力で逃げたことで事件が発覚。その卑劣さもさることながら、飲食店の安全性や倫理観までをも揺るがす大事件として、連日報道された。
そのため、ネット上ではこの事件を思い出し、引き合いに出す声も少なくなかった。
さらに東京・上野の飲食店の店主は、仲間内で聞いたという話を明かす。
「都内のあるバーでも、客の女の子のお酒に薬を盛って、店主がレイプした事件が起きていたそうです。そこは特に怪しくない、普通のお店だったみたい。客は店が出したものは安全だと信じ、疑わずに口に入れます。
レイプ・ドラッグに限らず、厨房がゴキブリやなめくじだらけだったことで話題になった中華料理店じゃないですが、衛生面はもちろん、食材や調理方法にも十分に注意して安全な飲食物を提供していくのは、飲食店なら当然のこと。お客さんとの信頼で成り立ってる商売ですから」
「他の飲食店の話ですが、お酒に睡眠薬を混ぜて提供し、店側が顧客のクレジットカードや時計など金品を盗む、といった窃盗事件は以前から起きていました。ですが、今回のような高級店で性暴力事件が起きるのは、きわめてレアなケース。明らかな犯罪行為なのに、店主はなぜ事件を起こしてしまったのでしょうか」(グルメサイト関係者)
飲食業界は一般企業と比べ、ハラスメントなどについて学ぶ機会は少なく、その認識や認識が乏しいとされている。そのため、現在でもセクハラやパワハラが日常的に横行している店もあり、倫理観が育たないまま成長し、独立してしまう店主もいるという。
ただし、榎本容疑者も倫理観や信頼を学ぶ機会はこれまで当然、あったはずだ。「榎本さんはいくつかの名店での修行を経て、大阪の有名日本料理店で20年以上もの間、腕を磨いてきたんです。その店の店主で日本料理の重鎮A氏の一番弟子だったそうで信頼にも熱く、その腕も一流でした。そこから一昨年、独立したばかり。念願叶った自分の店で事件を起こしてしまった。復活はもうない、のではないでしょうか」(前出の飲食店関係者)なかなか予約が取れない店は、永遠に予約ができなくなった――。
ただし、榎本容疑者も倫理観や信頼を学ぶ機会はこれまで当然、あったはずだ。
「榎本さんはいくつかの名店での修行を経て、大阪の有名日本料理店で20年以上もの間、腕を磨いてきたんです。その店の店主で日本料理の重鎮A氏の一番弟子だったそうで信頼にも熱く、その腕も一流でした。そこから一昨年、独立したばかり。念願叶った自分の店で事件を起こしてしまった。復活はもうない、のではないでしょうか」(前出の飲食店関係者)
なかなか予約が取れない店は、永遠に予約ができなくなった――。